猫箱の物語 作:山羊
ミレニアムのセミナーの会計にちょっとしたお小遣いがやってきたお話です。
たったそれだけ。確かに出所不明なお金は怖いですね。
でもそれだけじゃないようで…
では、赤き真実です。
今回の事件の登場人物は、ユウカ、ノア、コユキ
それでは、どうぞ――
――ミレニアム
ユウカ「ねえ、コユキ」
コユキ「はい?なんですか、ユウカ先輩」
ユウカ「あなた、私の口座にハッキングした?」
コユキ「してませんよ!そんなこと」
ユウカ「そうよね…いくらコユキでもあんなことできないわよね…」
ノア「どうかしましたか?ユウカちゃん」
ユウカ「うぅん。私の口座に異常があって…残高が変化しているのよね」
ノア「お金が盗まれた、とかですか?」
ユウカ「いえ、逆よ」
コユキ「逆?」
ユウカ「残高が増えたの」
ノア「…ということは、ユウカちゃんの口座にお金が振り込まれたということですか?」
ユウカ「それなら誰が振り込んだか突き止めればいいだけの話なんだけど…」
コユキ「どうかしたんですか?」
ユウカ「チヒロ先輩が言うには私のカードから預け入れられたらしいのよね」
コユキ「なら、私関係ないじゃないですか!」
ユウカ「そうなんだけど、一応ね」
ノア「…ということは、誰かがユウカちゃんのカードを盗んでユウカちゃんの口座にお金を預け入れた。というわけですか?」
ユウカ「そうなるわね…」
コユキ「カードを置き忘れたとかじゃないですか?」
ユウカ「いえ、カードは財布に入れているようにしているから、カードの置き忘れはないわね」
ノア「もしカードを盗むのなら、財布ごと盗む必要があるということですね」
ユウカ「ええ。さすがに四六時中財布を持っているわけじゃないから、財布は何時でも盗める状況にはあったわね」
ノア「なら危ないじゃないですか。今日は部長会議でユウカちゃんはセミナーにいなかったじゃないですか」
ユウカ「でも確かノアとコユキはセミナーにいたはずだけど」
コユキ「え”⁉あー、そのー」
ノア「ふふっ。今日は私とコユキちゃんはちゃんと仕事してましたね」
ユウカ「そうなの?」
コユキ「…はい」
ユウカ「……」
コユキ「……」
ユウカ「…はあ、分かったわよ」
ノア「それでは、誰が、どうやってユウカちゃんの財布を盗んだのでしょう」
ユウカ「うーん…どうも難しいわね…誰かが来たらコユキとノアが気付くはずだし」
ノア「そうですね。今日は誰も来ていませんでしたね」
ユウカ「…どう考えてもあなたたち二人のうちどちらかが盗んで預け入れたとしか考えられないわ」
ノア「確かに私たちにしか犯行は不可能ですね。ですが、二人ともセミナーにいたとして、どちらかがユウカちゃんの財布を盗んだらもう片方の人物もそれに気付きますよ。コユキちゃんは盗んでいませんでした。それに私とコユキちゃんは仕事をしていました。確かにユウカちゃんが部長会議から帰ってくるまでに犯行可能な時間は十分にありました。財布を盗んで銀行に行ってお金を預け入れて戻ってくるのは十分に可能ですが…」
ユウカ「コユキやとノアにはそうする理由がない…」
ノア「そうですね。なので私たちに犯行は難しいかと」
ノア「ところでユウカちゃん。財布は戻ってきたんですか?」
ユウカ「ええ。ちゃんと財布は戻ってきたわ」
ノア「お金は?」
ユウカ「手付かずね」
ノア「なら、最悪の事態は避けられた、ということでしょうか」
ユウカ「そうね」
ユウカ「うーん…ん?これって…」
コユキ「げっ!」
ノア「あらあら、ばれてしまいましたね」
ユウカ「キューブパズル…?」
ノア「はい。コユキちゃん、ユウカちゃんへの日頃の感謝の気持ちを込めてプレゼントがしたいって、準備していたんです」
コユキ「先生に聞いたら、ユウカ先輩はこういうのが好きだって。うぅ…こんな状況でばれてしまうなんて…」
ユウカ「…ありがとう、コユキ。とてもうれしいわ」
コユキ「ユウカ先輩…!」
ノア「プレゼントするために急いで仕事を終わらせて、プレゼントの準備をしに外に出たんですよ?あっという間に終わっちゃいました」
ユウカ「コユキ…」
ノア「ちょうどいい機会ですし、外食に行きませんか?ユウカちゃんへの感謝の気持ち、私からも送らせてください」
ユウカ「いいわ。行きましょう」
最後に、犯人について定義しましょう。
犯人の定義とはユウカの口座にお金を預け入れた人物のことである
犯人は嘘をつく可能性がある
犯人でない人物は真実のみを語る
犯人でない人物は犯人に協力しない
犯行時刻は昼から夕方までの間である
たとえわずかな時間であったとしても犯行は可能である
以上の情報で犯人が特定できることを保証する
いかがでしょうか。
前回と比べると難易度が下がりましたね。
本職の方々と比べるとどうも見劣りするばかりです。
ただ、この謎が皆様方のお茶請けになれば。
これ以上の幸せはありません。
それでは、いずれまた――
この事件の犯人は「ノア」です。