仮面ライダー THE ANIMA ~陰の実力者になりたくて……~   作:ロードすらいむ

1 / 6
※本作品に出てくる「ホッパー」とは、仮面ライダー一号及び二号やそれに類するライダーを指す言葉です。また、作中に出てくる「本郷猛」とは仮面ライダー一号(ホッパー一号)の変身者であり、「一文字隼人」は仮面ライダー二号(ホッパー二号)の変身者です。かげじつの主人公である影野君は仮面ライダー零号(ゼロホッパー)に変身します。


第一話 陰の実力者

 ───きっかけは何だったのか、今では忘れてしまっている。

 

 ───ただ、物心ついた頃にはもう憧れていた。

 

 ───それになることだけを考えていた。

 

 それは主人公でもなく、ラスボスでもない。舞台を影から観測し、暗躍し、ときにその圧倒的な実力を示し物語に介入する、言わば第三勢力的存在。

 

 

 そんな、「陰の実力者」になりたい。と、幼い頃から強く思っていた。

 

 

 その熱は冷めて散ることを知らず、むしろ日に日に増すばかり。僕は平凡なモブとして生活をする影の中で、毎日毎日修行を重ねた。

 

 この世のありとあらゆる武術を修得し、あらゆる " 強さ " に精通する技術をものにした。

 

 いつか、本物の「陰の実力者」として暗躍できるその時のために。

 

 ───が、それらは全て無駄なことだった。

 

 よくよく考えてみれば、どれだけ喧嘩に長けていようが、どれだけ体力をつけようが、武装した軍隊相手に勝つことはできない。ミサイルを積んだ戦闘機が相手では、歯が立ちそうにもない。

 

 頭上に核が落ちてこようものなら、手を上げて降参するしかできないだろう。

 

 僕の思い描く陰の実力者は、生身一つで軍隊を壊滅させられる。戦闘機だって、手刀一本で両断できる。

 

 核攻撃を食らっても、蒸発したりなんかしない。

 

 

 ……人間の力には、限界という壁があった。

 

 

 僕はいつしかその壁を越えるための人知を超越した力───「魔力」を求め研究に没頭した。

 

 座禅、滝行、断食、改宗、ヨガ、瞑想、……魔力が宿りそうな神秘的行いを片っ端から研究し実践した。そしてそのかいあってか、僕はある晩、ついに魔力なるものを視認することに成功したのだ。

 

「ヤッター魔力だぁ!!!」

 

 僕は光り輝く魔力の前に飛び出し、そして───

 

 プァァァァァァァァッ!!!

 

 けたたましいクラクションを背景に、僕の体は宙に浮いた。魔力を得たから浮いたのではない。

 

 

 はねられたのだ。トラックに。

 

 

 質量を感じる鈍い音と共に、僕は地面に叩きつけられた。トラックの姿はもう見えない。

 

 あー。死ぬのかな、僕。こんなにも呆気なく。

 

 段々と意識が遠退いていく。鍛えた体も、身に付けた体力も、トラックの前では無力だった。これじゃ核はおろか、戦闘機にすら勝てなかったな。

 

 なんてことを考えていると、本当に目の前が暗くなってきた。

 

 

 ……やばい、本当に、死ぬ……。

 

 

 ここで僕の意識は途切れてしまった。かくしてこの僕、「影野ミノル」はその憧れを実現することが叶わないまま、その一生に幕を下ろすのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。