仮面ライダー THE ANIMA ~陰の実力者になりたくて……~ 作:ロードすらいむ
───きっかけは何だったのか、今では忘れてしまっている。
───ただ、物心ついた頃にはもう憧れていた。
───それになることだけを考えていた。
それは主人公でもなく、ラスボスでもない。舞台を影から観測し、暗躍し、ときにその圧倒的な実力を示し物語に介入する、言わば第三勢力的存在。
そんな、「陰の実力者」になりたい。と、幼い頃から強く思っていた。
その熱は冷めて散ることを知らず、むしろ日に日に増すばかり。僕は平凡なモブとして生活をする影の中で、毎日毎日修行を重ねた。
この世のありとあらゆる武術を修得し、あらゆる " 強さ " に精通する技術をものにした。
いつか、本物の「陰の実力者」として暗躍できるその時のために。
───が、それらは全て無駄なことだった。
よくよく考えてみれば、どれだけ喧嘩に長けていようが、どれだけ体力をつけようが、武装した軍隊相手に勝つことはできない。ミサイルを積んだ戦闘機が相手では、歯が立ちそうにもない。
頭上に核が落ちてこようものなら、手を上げて降参するしかできないだろう。
僕の思い描く陰の実力者は、生身一つで軍隊を壊滅させられる。戦闘機だって、手刀一本で両断できる。
核攻撃を食らっても、蒸発したりなんかしない。
……人間の力には、限界という壁があった。
僕はいつしかその壁を越えるための人知を超越した力───「魔力」を求め研究に没頭した。
座禅、滝行、断食、改宗、ヨガ、瞑想、……魔力が宿りそうな神秘的行いを片っ端から研究し実践した。そしてそのかいあってか、僕はある晩、ついに魔力なるものを視認することに成功したのだ。
「ヤッター魔力だぁ!!!」
僕は光り輝く魔力の前に飛び出し、そして───
プァァァァァァァァッ!!!
けたたましいクラクションを背景に、僕の体は宙に浮いた。魔力を得たから浮いたのではない。
はねられたのだ。トラックに。
質量を感じる鈍い音と共に、僕は地面に叩きつけられた。トラックの姿はもう見えない。
あー。死ぬのかな、僕。こんなにも呆気なく。
段々と意識が遠退いていく。鍛えた体も、身に付けた体力も、トラックの前では無力だった。これじゃ核はおろか、戦闘機にすら勝てなかったな。
なんてことを考えていると、本当に目の前が暗くなってきた。
……やばい、本当に、死ぬ……。
ここで僕の意識は途切れてしまった。かくしてこの僕、「影野ミノル」はその憧れを実現することが叶わないまま、その一生に幕を下ろすのであった。