仮面ライダー THE ANIMA ~陰の実力者になりたくて……~   作:ロードすらいむ

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第五話 美しいもの

 西野茜が逃げた後、ホッパーと本郷の間には沈黙が流れていた。

 

 ホッパーは何かをブツブツと呟きながら頭を抱え、本郷は構えの状態でホッパーの行動を警戒している。

 

「俺は、望んだ力を手に入れることができたはずだ。……力? 一体何のために?? 俺はどこでそれを……いや違う。ショッカーだ。俺はショッカーの実力者なんだ……。 ───待てよ、じゃあ一体いつから俺はショッカーで、実力者だったんだ? それにさっきの記憶は……」

 

 明らかに錯乱している。その自覚は更にホッパー自身の身体を締め付けた。

 

「お前まだ調整が完全じゃないみたいだな。思い出せるかもしれない。本当の自分を」

 

「……ふ、ふん。知ったような口をきくなよ裏切り者が。俺はショッカーの実力者、ゼロホッパーだ。世界を裏から支配する、陰の……」

 

 ピキッ。

 

 突如として割れるような頭痛が走る。

 

 『陰』───この言葉を口にした途端、まるで自分が自分でなくなってしまうような感覚に襲われた。

 

 俺……いや、僕だったか? 俺が演じていたモブは、一体どんなキャラだったか。いよいよ自我が保てなくなってきたらしい。

 

 ホッパーは絞るような声で、本郷に尋ねる。

 

「本郷猛、お前は何を思って闘うんだ。一体、何のために力を得た」

 

「そんなこと聞いて、一体何のつもりだ」

 

「思い出すかもしれないんだろ? 俺が、本当の自分とやらを」

 

 

 少し間が空いた後、本郷は静かに答えた。

 

「僕はただ、美しいものを守りたいだけだ」

 

「美しいもの……だと」

 

「あぁ。お前にも絶対にあるはずだ。自分にとって、美しいものが」

 

 美しいもの。

 

 俺は何を美しいと感じ、何を大切に守ってきたのか。

 

 ───ショッカーか? いや、ショッカーは美しいものではない。

 

 ───改造人間である己の力か? いや、俺は俺の思う「美しいもの」に近付きたくてこの力を得たはずだ。

 

 なら、俺にとっての「美しいもの」って……。

 

 

 

『それさえ叶えば、僕はお前たちの望む実力者になってやる』

 

 

 

 断片的な記憶を一つ思い出した。そうだ、僕は憧れていたんだ。主人公でもなくラスボスでもない存在に。

 

 ───きっかけは何だったのか、今では忘れてしまっている。

 

 

 ───ただ、物心ついた頃にはもう憧れていた。

 

 ───それになることだけを考えていた。

 

 それは主人公でもなく、ラスボスでもない。舞台を影から観測し、暗躍し、ときにその圧倒的な実力を示し物語に介入する、言わば第三勢力的存在。

 

 

『力だ。世界を陰から変えることができる程の、人知を超えた力を寄越せ。それさえ叶えば、僕はお前たちの望む実力者になってやる』

 

 

 それが、「陰の実力者」……! 

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