仮面ライダー THE ANIMA ~陰の実力者になりたくて……~ 作:ロードすらいむ
西野茜が逃げた後、ホッパーと本郷の間には沈黙が流れていた。
ホッパーは何かをブツブツと呟きながら頭を抱え、本郷は構えの状態でホッパーの行動を警戒している。
「俺は、望んだ力を手に入れることができたはずだ。……力? 一体何のために?? 俺はどこでそれを……いや違う。ショッカーだ。俺はショッカーの実力者なんだ……。 ───待てよ、じゃあ一体いつから俺はショッカーで、実力者だったんだ? それにさっきの記憶は……」
明らかに錯乱している。その自覚は更にホッパー自身の身体を締め付けた。
「お前まだ調整が完全じゃないみたいだな。思い出せるかもしれない。本当の自分を」
「……ふ、ふん。知ったような口をきくなよ裏切り者が。俺はショッカーの実力者、ゼロホッパーだ。世界を裏から支配する、陰の……」
ピキッ。
突如として割れるような頭痛が走る。
『陰』───この言葉を口にした途端、まるで自分が自分でなくなってしまうような感覚に襲われた。
俺……いや、僕だったか? 俺が演じていたモブは、一体どんなキャラだったか。いよいよ自我が保てなくなってきたらしい。
ホッパーは絞るような声で、本郷に尋ねる。
「本郷猛、お前は何を思って闘うんだ。一体、何のために力を得た」
「そんなこと聞いて、一体何のつもりだ」
「思い出すかもしれないんだろ? 俺が、本当の自分とやらを」
少し間が空いた後、本郷は静かに答えた。
「僕はただ、美しいものを守りたいだけだ」
「美しいもの……だと」
「あぁ。お前にも絶対にあるはずだ。自分にとって、美しいものが」
美しいもの。
俺は何を美しいと感じ、何を大切に守ってきたのか。
───ショッカーか? いや、ショッカーは美しいものではない。
───改造人間である己の力か? いや、俺は俺の思う「美しいもの」に近付きたくてこの力を得たはずだ。
なら、俺にとっての「美しいもの」って……。
『それさえ叶えば、僕はお前たちの望む実力者になってやる』
断片的な記憶を一つ思い出した。そうだ、僕は憧れていたんだ。主人公でもなくラスボスでもない存在に。
───きっかけは何だったのか、今では忘れてしまっている。
───ただ、物心ついた頃にはもう憧れていた。
───それになることだけを考えていた。
それは主人公でもなく、ラスボスでもない。舞台を影から観測し、暗躍し、ときにその圧倒的な実力を示し物語に介入する、言わば第三勢力的存在。
『力だ。世界を陰から変えることができる程の、人知を超えた力を寄越せ。それさえ叶えば、僕はお前たちの望む実力者になってやる』
それが、「陰の実力者」……!