こだわり派喰種の人肉評論記 作:コーヒーはアイスコーヒーしか飲めない
諸君、突然だがスープは好きか?私は大好きだ。骨髄が溶け出した白湯スープは明日への活力を与えてくれる。今回は骨の処理も兼ねてゲンコツスープを作っていこうと思う。
材料は名前の通り
材料を用意出来たところで、まず最初に下茹でしていく。この工程では余計な血や汚れなどを取り除き、臭みを抜くのが目的だ。鍋にたっぷりの水を入れ沸騰させ、骨を投入したのち、30分ほど煮込んでいく。煮込み終わったら骨をザルに移し、流水で軽く洗う。ここで煮込んだ湯は、あくまで臭み抜きのための湯であり、スープになるわけではないので、遠慮なく捨ててしまう。たかだが30分煮込んだ程度では、旨みが溶け出すことは無いので安心するといい。…いやほんと、ちょっとやそっとじゃ旨味が出ないから、これからそうとう長時間煮込む必要があるのだ。
さて、いよいよ本格的にスープを煮込んでいく。寸胴鍋に骨を入れたら水を大量に注ぐ。煮込んでいるうちにどんどん水位は下がるので、出来るだけ多めに注ぐことを意識する。それでも、適宜水を注ぎ足していくことになるのだが。用意が出来たら煮込み開始だ。最低半日ほどは沸騰させた状態をキープする必要がある。
さらに、2,3時間ほど煮込んだあたりから、骨が柔らかくなってくるので、木べらで骨を砕いていく。こうすることで、中の髄がより出やすくなる。それにしても、買ってて良かったな、エンマ棒。そこらの木べらでは、寸胴鍋の底に届かないこともあるが、エンマ棒にその心配はない。なにより、潰しやすい形状をしているから、今回の調理には最適だ。
煮込み始めてから7時間ほどが経過した。そろそろ、スープ完成に合わせて付け合わせを作っていく。使うのは皮だ。人間の体は表皮、真皮、皮下脂肪、筋肉と層になっているが、今回は皮下脂肪より上の層を使ってカリカリの皮焼きを作っていく。皮を剥ぐ前にまずは表面を削るように洗う。表皮の一番外側はだいたい角層なので、削り落としてしまう。また、この作業は皮を剥いだ後だとやりにくいので、必ず肉についてる状態で行うことがポイントだ。
洗い終わったら皮を剥いでいく。ナイフで剥いでいる最中、刃に脂がついて切れ味が落ちることがあるので、そういったときは熱湯で湯煎すれば切れ味が戻る。
皮を剝がし終わったら、一口大に切り分けフライパンに入れ、弱火で加熱していく。すると、皮下脂肪が溶け出してくるので、溶け出した油で揚げ焼きにするのだ。皮から油分が出なくなったら完成だ。なお、フライパンに残った油はスープの仕上げに使うので残しておく。
ちょうどスープもいい感じに煮詰まった頃合いのようだ。寸胴鍋の中はすっかり白濁し、そしてキッチン全体が、というか家中がスープの臭いで満たされている。この部屋の臭いは、時間がかかる、ガス代がかかるに並ぶゲンコツスープ作り最大の欠点だな。ともあれ、出来上がったスープを丼によそいで、先ほどの油を垂らし、飾りつけに眼球を盛り付けたら完成だ。
では、いただくとしよう。
美味い。こってりと濃厚なスープは、液体でありながら肉にかぶりついたような食べ応えがあり、一口飲むたびに重厚感のある旨みが口の中に広がっていく。長時間煮込み、しっかりと乳化させたため、なめらかな舌触りに仕上がっている。そして、最後に足した油によって、香ばしさがプラスされ、味に深みが増した。
そろそろ付け合わせもいただくか。まずは一枚、こちらも美味いな。カリッと小気味の良い音と共に、香ばしい香りが鼻を抜ける。味覚以外の五感が刺激され、食事のレベルが一段上がった気がするよ。飾りつけの眼球のプチっとした食感と相まって、歯でも美味しさを感じられる、素晴らしい出来だ。
抜群の飲みごたえでレンゲを持つ腕が止まらず、気がつけばおかわりも完飲してしまった。時間をかけただけある、脂の旨味をこれでもかと味わえる一杯だった。
明日はどんな味に出会えるだろうか。
次回から投稿時間が変わります。