こだわり派喰種の人肉評論記 作:コーヒーはアイスコーヒーしか飲めない
諸君、突然だが燻製は好きか?私は以前自宅で燻製をやったらえらい目にあったため、若干苦手意識がある。換気扇だけでは間に合わないとその時学習したよ。
さて、なぜ急に燻製の話を始めたかと言うと、コーヒーの
というわけで早速やっていく。コーヒー燻製の最初の工程として、かすを干して乾燥させるというものがあるが、今回はすでに乾燥済みなので省略する。脱臭剤に使えるからと、かすを捨てずに干しておいた先週の私には感謝しきれんな。
乾燥させる必要があるものはもう一つある。燻す肉だ。今回は広背筋を使う。煙は水溶性なので、水分が多く残ってると煙が水分に乗りすぎて酸味、苦味、エグみになる。そのため、ある程度乾燥させなければならない。
干す前に筋切りをした後、風通しの良い場所で30分から1時間ほど陰干ししていく。今が湿気の多い梅雨や夏場で無くて良かったよ、悲惨なことにならずに済みそうだ。
かすと燻製する肉が用意出来れば、あとは燻していくだけである。フライパンに干したかすを入れ、その上にアルミホイルを敷く。この時、アルミホイルはかすの煙を消さないように、クシャクシャにしておくことを忘れないこと。肉を乗せる用のフライパンより一回り小さい網を置き、網の上に肉を乗せたら燻製開始だ。
最初は中火から強火にして発煙させ、煙が出てきたら弱火に変え、フライパンに蓋をする。スモークさせすぎると肉が硬くなってしまうので10分ほどで火を止め、さらに10分蒸らせば完成だ。
蓋を開けた瞬間に広がるコーヒーの香りが成功を予感させる。これはきっといい出来栄えに違いない。
では、いただくとしよう。
美味い。燻製にしたことで凝縮された肉の旨みが一噛みごとに解放されていくようだ。絶妙な柔らかさと、ミディアムほどの火入れ加減、時間設定は完璧だったようだ。成功の予感は正しかったらしい。咀嚼し、飲み込めば、口の中に広がる余韻の中にコーヒーの香りが顔を出す。なんとも心安らぐ後味だ。
そして私は気づく。「この味に血酒を合わせないのは、もはや肉への冒涜なのではないか?」と。思考が頭に浮かんだ時には、すでに私はボトルを開け、グラスに血酒を注いでいた。
まさしくマリアージュと呼ぶに相応しい。凝縮され、濃厚になった肉の旨みと、丹念に熟成された血酒の相性が悪いはずが無い。これこそが美食だと自信を持って言える。
燻製肉を完食する頃には、ボトルを一本空けてしまった。後片付けがあるのは分かっているが、今はこの心地よい酩酊感に浸っていたい。なんとも素晴らしいディナーだった。
明日はどんな味に出会えるだろうか。