出オチキャラに転生したので生き延びる   作:世界系

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正真正銘の初投稿です。
至らない部分は多々あると思いますが一人でも楽しんでくださる方がいれば幸いです。

2024/03/28 16:36 改稿


game#01

 鐘の音が鳴り響く渋谷106の屋上で私は息をひそめて物陰に潜んでいた。

 

 そんな私の視線の先、そこには現在進行形で我が身を襲う驚異の姿があった。

 

 「――んー、つまりあれかなー?俺様が得意な「奪い合い」ってやつかな。これー?しかも舞台は俺の庭シブヤときたか!もうサイコーだぜDゲーム!!愛してるぅー!!」

 

 ドレッドヘアに蛇のような顔をしたその男は、渋谷を牛耳るクラン「エイス」のクランリーダーの(ワン)だ。

 

 そしてそれを隠れて様子を見ている私の名前は志藤(しどう)アカネ。

 

 私は前世の記憶がある転生者だ。前世で大好きだった作品『ダーウィンズゲーム』の世界に転生してしまったと気づいたのはアプリ「ダーウィンズゲーム」を起動して蛇に噛まれたその瞬間だった。

 

 『ダーウィンズゲーム』(以下原作)は見知らぬアプリ「ダーウィンズゲーム」を起動させてしまった高校生の主人公・須藤(スドウ) (カナメ)が与えられた異能(シギル)を駆使して生死を懸けたソーシャルゲームに臨む、デスゲームジャンルのマンガである。

 

 今世の私である志藤(しどう)アカネの原作における扱いは所謂”かませ”キャラクターである。

 

 原作における主人公が初めて参加したイベント「宝探しゲーム」開始直後に現在目の前にいるクラン「エイス」のクランリーダー(ワン)に喧嘩を売って、本編をたったの4Pで退場する。

 

 かませモブとは思えないキャラクタービジュアルの美少女っぷりに、「私の炎は4000度!骨まで残さず()く!」などとかっこつけたセリフからの即落ちの鮮やかさに前世の私も大いに笑わせてもらったものだ。

 

 しかしそれはあくまで創作の世界でのお話で、これが現実、しかも己の身に降りかかる定めとわかっているのであれば話は別である。

 

 思い出した前世の記憶によれば、前世の私は20歳という若さで交通事故によってこの世を去っている。

 

 折角の第二の人生なのだから、前世で果たせなかった大往生を遂げたい。

 

 まかり間違っても、殺した相手の指を収集して、それを漬けて酒だかエナジードリンクだかをつくるようなやつに殺されるために転生したわけではない。

 

 とりあえずこの場で何の策もなく(ワン)に喧嘩を売るのは愚策であると、原作の志藤アカネ(わたし)が証明している。

 

 (ワン)異能(シギル)は空間を自在に操る念動系異能(シギル)虚空の王(ベルゼブブ)」といい、瞬間移動と切断と攻防優れた利便性作中トップクラスの異能(シギル)だ。

 

 (ワン)異能(シギル)で瞬間移動できるのは基本的に自分自身だけであるが、例外として自分と相手の位置を入れ替えることはできる。

 

 つまりここ渋谷106の屋上から飛び降りた(ワン)に位置を入れ替えられると、強制的に飛び降り自殺させられることになる。

 

 異能(シギル)なんて大層な力を持っていようとも、基本的に身体は脆弱な人間のまま。こんな高所から飛び降りさせられたら普通死ぬ。ちなみに原作上での私の死因はこれだ。

 

 つまり不用意に動いて(ワン)に見つかった時点で私の命はなく、ここは(ワン)が移動するまで待つしかない。

 

 幸いにも、「宝探しゲーム」のルール上には何もせず潜んでいるプレイヤーを探知する機能はない。

 

 注意深く(ワン)の動向を見張りつつ、まずは今後の立ち回りを考えるためにも前世の記憶からこの「宝探しゲーム」のルールを復習することとしよう。

 

 ・渋谷の街に隠された宝を見つけて、ポイントをゲット

 ・ゲームの制限時間は24時間

 ・プレイヤーは300名、イベント中は全員バトルロイヤルモード(攻撃可)に設定

 ・[リング]の種類は7種で価値はそれぞれ、トパーズ100pt(ポイント)、ベリドット150pt(ポイント)、ラピスラズリ300pt(ポイント)、ルビー500pt(ポイント)、サファイア800pt(ポイント)、エメラルド1200pt(ポイント)、ダイヤモンド2000pt(ポイント)

 ・[リング]はゲーム終了後に上記のポイントと交換される

 ・ゲームがクリア出来ずに制限時間が過ぎた場合、[リング]の所有数が3個未満のプレイヤーはゲームオーバーとなる

 ・[リング]はアプリの地図と新機能[異次元カメラ]を駆使して探す

 ・イベントエリア内では、プレイヤーサーチは無効化され、イベント期間中にイベントエリア外に出た場合ゲームオーバーとなる

 

 これが「宝探しゲーム」のルールとして明記されていたものだ。

 

 (ワン)が移動を開始し、その姿が完全に見えなくなったのを確認した私も移動を開始する。

 

 私の中に潜む外道の鳴神が「出発(デッパツ)すっぞ」と叫んでいる。うん、自分でもどうかと思うこのマンガ脳。

 

 目的地は渋谷駅を越えた先にあるシブヤセントラルタワーだ。そこに()がいるはずだ。

 

 私の立ち回りとしてはズバリ[リング]は集めないし、プレイヤーも襲わない。

 

 第一目標は主人公・須藤(スドウ) (カナメ)に接触し、彼のイベント内即席クランに加入することだ。

 

 原作を知らない人からすれば一見愚策に見えるこの立ち回りがこの「宝探しゲーム」、更にその先をも生き抜くための最善の手段なのだ。

 

 まずこの「宝探しゲーム」だが、実はこのゲームの宝とは[リング]のことではない。つまり[リング]をいかに多く集めたところでゲームクリアとはならない。

 

 [リング]は宝を見つけるための鍵でしかないのだが、これがルールを一目見ただけではわからないようになっている。

 

 実際、原作ではほとんどのプレイヤーがルールをミスリードさせられていたのに加えて、「ゲームがクリア出来ずに制限時間が過ぎた場合、[リング]の所有数が3個未満のプレイヤーはゲームオーバーとなる」の部分と[リング]のポイントにばかり注目した結果、いたるところでリングの争奪戦が行われるデスゲームのイベントにふさわしい様相になっていた。

 

 その癖、この[リング]は[異次元カメラ]で探索が可能なので、一つでも保持していると[リング]を狙うプレイヤーに次々襲われる疫病神と化す。

 

 つまり、このゲームが()()()()()()()()()()()の上では、[リング]は無暗に持ち歩かない方が良い。

 

 そして私は原作知識から、私が何もしなくとも主人公・須藤(スドウ) (カナメ)とその仲間たちがこのゲームをクリアしてくれることを知っている。

 

 なのでその先、ゲームクリア後のことを考えて私もそこに合流することにしたというのが大まかに現在私が考えている立ち回りだ。。

 

 それにしても、リスポーン地点だけあって、渋谷106内はプレイヤーが非常に多い。

 

 ここから主戦場になると想定される渋谷駅を越えて、もう一つのリスポーン地点であるシブヤセントラルタワーに向かうのはそれ自体がかなりの難易度だ。

 

 その上、原作の描写通りであるのならその道中にあるファミレスを先程の(ワン)が、クランメンバーを引き連れて占拠しているはずだ。

 

 「エイス」もそこからシブヤセントラルタワーに向かっていたはずで、万が一にも鉢合わせになるようなことがあればその時点でゲームオーバーだ。

 

 探知されない現状において、気を付けるべきは長距離狙撃と鉢合わせのみだ。

 

 スナイパーの射線に注意して裏通りを駆けていく。大通りなんか通ろうものならわざわざ[リング]を持たないで行動している利点がなくなってしまう。

 

 [リング]持ちとの接触は[異次元カメラ]を使用して確認することで防げる。

 

 あとは私と同じ[リング]未所持のプレイヤーと鉢合わせないようにだけ気をつけていれば……

 

 !?

 

 「おいおいおじょーちゃん、こんなとこで一人で走り回ってちゃ危ないぜ。怖いお兄さんに捕まっちまうぞってな」

 

 早速事故ってんだけど!?どうやら私は”不運(ハードラック)”と”(ダンス)”っちまったみたいだ。




(書き溜めは)ないです。
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