【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話 作:いちごケーキ
1年夏甲子園編の終わりまでが投稿されるまで集計します。
これは薬師ルートになります。別名トゥルールートです。
「……主砲でエースの、北瀬さんですよね」
「あーうん。君はァ……?」
新入生が入ってきた初日。
新入部員から沢山の視線を感じながら部活に行く途中、新入生らしき人に話しかけられた北瀬は、声がひっくり返りながら何とか返事をした。
未だに初対面の人と話すのが苦手な彼は、急に話しかけられるのが苦手だったのだ。
「俺は入部希望のキャッチャーで、由井薫っていいます。先輩達の技術を吸収して、絶対凄い選手になってみせます! よろしくお願いします!」
新入生が入って来た春休み。入ろうとすれば誰でも入れる入試のお陰か、入部してきた部員は100人を超えていた。
3年生が抜けてからたった14人でやってきた、弱小モドキの薬師野球部は、後輩達の圧倒的なまでの熱意に驚いていた。
荷物持ちとか自主的にやってくれようとする後輩までいる。流石に申し訳ないからと大体の人間が断ったが、あまりの熱心さに驚いて頷いてしまった人も中にはいた。
だけどまぁ、轟親子が入って来た時もこんな感じで驚いたし……と、上級生達はとりあえず諦めて長いものに巻かれるというか、多数派の空気に従う事にしたようだ。
入部してきた下級生と、その十分の一位しかいない上級生の自己紹介が終わった後、打撃練習の時間も終わって自主練習の時間になった薬師高校。
見慣れないガチ体育会系の後輩から大量に挨拶されて気疲れした北瀬達は、もう帰ろうと思いバットを置いた瞬間……今日の朝話しかけられた由井薫に話しかけられた。
「あれ、もう自主練習の時間なんですか?」
「あー君、たしかキャッチャーの……由井さんだったよね」
ヤンキーに囲まれて立場が底辺だった頃のクセで、やさしげだが心が通っている声をした後輩に対し、咄嗟に敬称をつけた北瀬。
「俺は後輩ですから……さんなんて付けないで由井って呼んでください! それで、北瀬さんはこの後の予定とかありますか?」
「うわあいつ、早速北瀬さんに話しかけやがった!」
「アレは神童、由井薫! あいつなら仕方ない!」
甲子園で見た投球と打球に圧倒され、尊敬している北瀬さんに対して唐突に話しかけに行った由井に驚く観衆だったが、その人物が神童と呼ばれたキャッチャーだった事に納得したようだった。
努めて観衆を、見ないように、聞かないようにしていた北瀬だったが、由井薫に話しかけられている事に困惑していた。大量の視線に見られている俺に話しかけられるとか、どんな度胸をしているんだろうかと不思議に思ったのだ。
眩しい笑顔で話しかけて来ているからそこまで不快感は感じないが、初対面でガンガン来る後輩に少し違和感を感じていた北瀬。
(えっ、何で俺の好感度が高い状態な感じで話しかけて来るんだ……? それに急に予定聞くなよ。初めての人と話して疲れたから、帰って伊川とゲームする予定なのに……)
「え? いやぁ、まー伊川とキャッチング練習でもしようかなぁと思ってたけどねェ」
後輩に対してつい見栄を張った北瀬だが、声が裏返っている。格好悪いなと、ちょっと自己嫌悪した。
「そうなんですか……俺、北瀬さんのボール、早く受けてみたかったです……」
凄く残念そうな顔で言われたので、後輩が出来た初日からサボろうするのが事が申し訳なくなった北瀬は、慌てて前言を撤回した。
「まあなんの練習でも良かったしな! じゃあキャッチングをしようか!」
……
軽く準備運動としてキャッチングをする北瀬と由井。北瀬は全力の5割未満の相当軽いピッチングをしていたつもりだったが、由井の腕は痺れ始めていた。
(嘘だろ……? これがウォーミングアップだなんて、本番ならどれだけの球を投げるんだ?!)
夏から少し球速が上がって、MAX163kmのストレートを投げる北瀬。全力のストレートがここまで速いと、腕を振り切らなくても150km近い速度が出ていた。
この間まで中学生だった相手では普通当然取れないボールを、準備運動がてらに投げる北瀬は無自覚だ。元相棒が簡単に取れていた事もあり、下級生達に天才と呼ばれるキャッチャーなら簡単に取れるだろうと思ってしまっていた。
「あれ、どうしたんだ?」
「……なんでもありません。そろそろ本番ですよね、全力のストレートをお願いします」
「よし、分かった……行きます!」
___ガン!
由井はあまりのノビに目測を見誤り、バックネットにボールが突き刺さる。内容は分からないが他の事をやりたがっていた先輩に、無理を言って取らせて貰っていると実は自覚している由井は非常に焦った。
「何だあのボール?!」
「流石北瀬さん! 球の動きが半端じゃねぇ!」
いつの間にか出来ていた、下級生のギャラリーがざわめく。
轟監督は、まあ見るのも勉強になるかもしれないしやる気も上がるだろうと、投球練習を見ていて時間を無駄にしている人垣を退けなかった。
「すみません!」
「いーよいーよ。そんな事もあるって! ……じゃあ次良い?」
キャッチャーが触れもしないで後ろに逸らしたのを見れば、1年生相手とはいえ普通失望するだろうが、常識を知らない北瀬は何も思わなかった。
エラーと同じで、ちょっとしたミスなんて良くある事だよ、ドンマイ! と早合点し、簡単に次を催促する。
薬師程の頻度のエラーもマグレで起きる物ではないが、ストレートを捕球出来ないというのは少し違う。そもそも相手ピッチャーの球を受けるレベルに達していないと言う事だ。
あまりにも的外れな慰めをした北瀬。だが由井はあり得ないミスをしてしまったのに、先輩が投球を投げるのを止めない事にとりあえず安心して次のボールを要求する。
……
「あー、えっと……空ももう真っ暗だし、そろそろ俺は帰る準備しないと。由井はこの場所まだ使うか?」
由井がストレートを取れなかった時から1時間が経過。由井の腕を冷やしたりの為、多くの休息を挟みながらも北瀬は投げ続けた。
由井の腕は真っ赤に腫れ上がり、体にも沢山の青あざが出来ていた。
ヤンキー校にいながらも自分から人を傷つけた事が殆ど無い北瀬は、ちょっと心配そうにしている。
自分の関係ない所でついた傷でこれ位なら気にしないけど俺が付けちゃったよ……と言った感じである。
「もう少し、もう少しだけお願いできませんか! 絶対、北瀬さんのストレートをキャッチ出来るようにしてみせます!」
せっかく薬師高校に入って来てくれた下級生の、しかもちょっと話しただけで性格が良いと分かる後輩の期待には出来るだけ答えたい気もしていた北瀬。だが、そう出来ないしょーもない理由があった。
「いや……悪い。俺と伊川は色々あって同じ家に住んでるんだけどさ、俺今日家のカギ忘れちゃってて。今既に伊川に待ってもらってるんだよなぁ」
「そうなんですか? 残念です……」
新しく入って来た新入生は割とどうでも良いが、親友の北瀬も少しだけ残念そうにしているのを見て、身内には割と優しい伊川はこう答えた。
「あー、別に良いよやってて。俺は自分の教室でも行って英単語の勉強でもして来るから、終わったら呼んでー」
そう言って、伊川は歩いて居なくなってしまった。
内心、学校に残るのに練習しないんですか? と思った由井だったが、北瀬のボールを取らせて貰う為に無理やり残ってもらう申し訳なさから聞かなかった。
……
「俺は……北瀬さんのボールを取れるようになって、必ず伊川さんから正捕手の座を奪ってみせるつもりです!」
あくまで明るく……だが好戦的な目をして伊川に宣戦布告する由井。
それに対して伊川は、ふーん……で、だから何か? と思いながら口を開く。
「はぁー、そっか。良いんじゃね? 頑張れ」
出来る訳ねぇけどな、みたいな言い草で適当な返事をする伊川に対して、流石にムッとした由井。
「たしかに北瀬さんのボール、全然取れませんけど……リードなら負けてないつもりです!」
リードがヘッタクソな伊川に、いっそ挑発するかの様に答えてしまう由井。先輩に対して失礼かもしれないが、それ位の覚悟が無ければここに立っていないのだ。
それに昔から……打たれる筈もない北瀬のボールを、あんまりな配球で台無しにする伊川に反感を覚えていた。
先輩との上下関係には従いますが、そこを譲る気はないですから。そう強い意思をもって反発したつもりの由井だったが、伊川から衝撃的な1言が出る。
「……だから、それなら俺が面倒なキャッチャーとかしなくて済むし、良いんじゃないか? 頑張ってほしいと思うよ」
「伊川さん……本気でそう言ってるんですか?」
甲子園に出たキャッチャーとしては有り得ない発言に、流石に呆然としながら質問する。
あまりに酷い発言に、先輩に対して一瞬タメ口を使いそうになってしまった由井。普通なら内心慌てる所だが、それよりも重大な事があった。
___コイツ……キャッチャーとしてのプライドが一切無い駄目な先輩だ!
プロ以上のボールを投げる北瀬の相棒として、失格にも程がある発言をした伊川に対して尊敬心を全く無くし、内心タメ口すら使う由井。
基本人当たりがいい性格にも関わらず、思いっきり嫌そうな顔をしてしまっている由井だったが、由井に興味がない伊川は全く気付かず。面倒だから早く家に帰してくれないかなと思いながら、適当な発言をした。
「そりゃまあ……守備って面倒じゃん。1番面倒っぽい、いやピッチャーもか? まあどっちでも良いけど……キャッチャーなんてやりたくねぇよ。取るだけならまだ良いけど、ちゃんと頭使ってやれとかさ……」
「えっと……」
コイツ面倒だな、早く帰らせてくれないかなと思いながら伊川は返事をした。
殴りかかって来られても体格が小さいから恐らく余裕で倒せるし。発想が物騒な伊川は、由井の好戦的な視線を悪意と勘違いして、内心敵だと思っていた。
恐らく言葉遣い的にヤンキーじゃないし、殴りかかっては来ないだろうと、完全な警戒をしなかっただけ伊川は成長している。
由井は言い返したかったが、相手が上級生である事と尊敬する北瀬と一緒に住んでいる事を思い返して、なんとか無言でやりきった。
……
夜中の10時過ぎ、北瀬と伊川はポケモンのダイヤモンド・パールをして遊んでいた。昔いた世界には無かったゲームなので、目新しく遊べるのだ。
野球も良いけど、やっぱりゲームも楽しいなと北瀬は思いながら、下級生の勢いが怖いと雑談がてらに話す。
「マジさぁ……下級生が怖すぎる」
「分かる! 特に由井薫」
「あー、分からんでもない」
伊川は由井に睨まれたからそう口に出したが、北瀬は違う。
鬼気迫る表情でボールを取ろうとする由井に対して、悪い奴では無いと思いつつもなんとなく恐怖を感じていたのだ……その程度の事で尊敬している北瀬に若干疎まれている由井は、泣いても良いだろう。
「無限にボール投げてくれって催促してくるし……」
「正捕手の座を奪うぜって宣言してくるし……コレが目立った弊害って事か?」
SNSで良く薬師の話題が出ている事を知っている伊川は思わずそう口に出した。
多分あいつは、多少目立ってる俺が真面目やらないのに怒ってるんだよな、たまたまガチ部に入っただけなのにさぁ。伊川はそう思い、嫌そうにため息を吐いた。
合っているような間違っているような、微妙な言い草だった。
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人に聞いてみたら「利益出ちゃうとマズいんじゃない?」と言われて納得しましたので、電子書籍を売る可能性は減りました。適当なアンケートをとってごめんなさい。この先電子書籍は出来れば押さないでください。
1年の夏甲子園が終わった後の正史をアンケートで決めます。正史にならなかった同人誌を買ってくださる場合はそちらを押してください。20人を超えたら検討します。1冊700円位と思われます。
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