【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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96球目 将来性

 

 

 

 

由井が2週間通常練習に参加出来ない間に、色々な事が起こった。

北瀬と奥村の仲がマシになったり、瀬戸が奥村の代わりに伊川に謝り倒したり、グラウンドにイヌが入ってきて火神が怯えまくったり、三井の応援団らしい未成年の不良達がバイクで来たのがバレて警察沙汰になったりなどだ。

 

警察沙汰になったのは、薬師野球部のファンが彼らが不良に襲撃されたらマズいと慌てて警察に通報したかららしいのだが、ぶっちゃけ事情聴取で時間が取られてありがた迷惑だった。

大体の部員は警察に萎縮していたが、北瀬と伊川は未成年がバイクを乗り回しただけなのにと首を傾げていたらしい。

彼らの中学校は、バイク登校なんて普通の話だったのだ。

 

 

 

 

突き指から2週間が立った今日、病院に再来して怪我が治った事を確認した由井。

北瀬は大変喜びながら彼に駆け寄り、安心した声色で話し始めた。

 

 

「由井も今日で復活かー! ちゃんと治って良かった、これでまた一緒にピッチング出来るな!」

 

「はい! 早く北瀬さんのボールが取りたいってウズウズしてました!

地方大会まで後3週間しかないですけど、せめてスライダーだけは完璧に取れるようになるので、よろしくお願いします!」

 

2週間キャッチング練習をしなかったツケや、残り日数を考えた結果、苦渋の決断で他の変化球は諦めざる負えなかった由井。

内心自分の事を責めながら、それでも北瀬には自信ありげにこう宣言していた。

ピッチャーに弱音を吐いて、負担を掛けるわけにはいかないと考えているのである。

 

 

「無理はするなよ! でも、これからもバッテリーとしてよろしく頼むな」

「はい!」

 

試合まで3週間という所で、ようやく薬師エースバッテリーの練習が再開した。

由井のキャッチング能力自体は前からあまり向上していないと言うのは、西東京地区の希望となるのだろうか……?

MAX165kmのストレートを投げるピッチャーがピンピンしている時点でダメそうだが、青道、稲城実業、市大三高の旧3強チームには頑張って欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

由井の復活から3週間が立ち、今日は地方大会ベンチ入りメンバー発表日。

轟監督が珍しく真面目な顔をして、薬師高校のベンチ入りメンバー発表し始める。

 

 

「今から、スターティングメンバー9人と、ベンチ入りメンバー20名を発表する! 呼ばれた者は前に来てユニフォームを受け取ってくれ!

 

……1番、北瀬涼! 

お前が、薬師高校の絶対的なエースだ! もっと自信を持て、お前が最強のピッチャーだ! ___頼んだぞ」

 

「はい!」

 

北瀬が、昔とは違いハッキリとした口調で返事をした。

轟監督の前に堂々とした態度で立った後、真面目な顔でエースナンバーを受け取る。

 

轟監督は、もう昔の弱々しいメンタルのエースじゃなくなったなと、嬉しそうな顔をしてこう告げた。

 

 

「じゃー分かってたと思うけど、何かエースとして一言!」

 

何回か皆の前で言わされているので、空き時間に何をいうかじっくり考えていた北瀬。

彼にしては非常に珍しく、エースに相応しい堂々とした態度のまま、しっかりした声で話し始めた。

 

 

「俺が薬師高校に来てから1年半が立って、漸くエースとしての責任とか、強豪校としてのプライドが芽生えてきたと思います

ここまで来れたのは、精一杯努力している1年生達や、一緒に戦ってくれた同級生達、そして暖かく見守ってくれた先輩達のお陰です!

だから俺は___エースとして、甲子園優勝という結果で答えたい。地方大会も甲子園も、俺は全力で走り抜けます……だから、期待しててください!」

 

 

___パチパチパチパチ!

 

今までとは違う、エースの貫禄に溢れた北瀬の姿に部員達は大きな拍手で返していた。

俺達のエースなら、絶対に勝ってくれる!!

大きな期待を胸に、薬師の……日本の大エースの事を祝福していた。

 

若干言葉は長過ぎた気もするが、彼の薬師野球部に掛ける思いは部員達に伝わった様だ。

 

 

 

 

「次……2番、由井薫!

基本はエース北瀬とのバッテリーの時だけ使うから、当然強敵相手の時ばかりの起用になる!

アイツを使い熟すのは大変だと思うが、うちのエースを宜しく頼むぜ!」

 

「はいっ!!」

 

少し緊張した表情をしているが、堂々とした態度で彼はこう話し始めた。

神童と呼ばれている彼は人の前に立つことに慣れているのだ。

 

 

「北瀬さんと組むには、まだまだ実力不足だと思います。配球や牽制などもそうですが、スライダー以外の変化球を取れないという問題は、非常に大きいです

……それでも、選ばれたからには、少しでも北瀬さんを活かせるリードをしていこうと思っています! 絶対、期待に答えてみせます! 選んでくださり、ありがとうございました!!」

 

 

___パチパチ、パチパチ

 

北瀬の変化球を散々零している事を知っている部員達は、一応拍手していますという態度の人が多かった。

だが由井は、そんな空気を物ともしない綺麗な姿勢で、深く頭を下げていた。

選ばれたからには、最善を尽くすしかないと理解しているのである。

 

 

 

 

次はファーストの発表。三島はワクワクといった表情をして、今か今かと呼ばれるのを待っていた。

 

 

「次、3番三」

「ハイッ!!」

「返事早すぎだぞー、まあ良いけどな

守備がアレだが、U-18に選ばれたお前の実力は本物だ! 普段通り、自信を持ってプレーしてくれ!」

 

轟監督が名前を呼び終わる前に、大きな声で返事をした三島。

自分が呼ばれると確信を持っていた上、早くユニフォームを受け取りたくて仕方なかった様だ。

 

 

「今回も、俺のやる事は変わらねぇ!

エースとしても主砲としても、雷市や北瀬に勝つ! 今は負けてるかもしれねーけど、絶対奪い取ってやる!!

それに、上位打線を取られちまった火神にも負けねぇ!!」

 

___パチパチパチパチ

 

関東大会の時と同じく、かなり無茶な目標を立てた三島。

未だに、彼は本気でエースも4番も奪い取るつもりである。凄い精神力だ。

 

聞いている部員達は前回と同じ様に、流石に厳しい気がするんですけど……と思いながら一応拍手をした。 

名指しされた火神達は、好戦的に笑い返している。

まあ雷市や北瀬に勝つという目標は兎も角、1年生の火神相手なら勝てる可能性はあると思われる。

 

 

 

 

次はセカンドの発表だが……誰が呼ばれるかは、ここにいる全ての部員達が確信していた。

 

 

「次……4番、伊川始! お前の世界最強クラスの打撃力は、この大会でも絶対通用する!

守備も打撃も出来る、万能ユーティリティ選手としての力を見せてくれ!」

 

「はいっ! ……セカンドとして起用して頂けて、凄く嬉しいです!

攻撃でも守備でも、薬師野球部のメンバーとして恥じない成績を残したいと思っています!

そして真田キャプテンが、昨年勝ち取れなかった深紅の大優勝旗を受け取れる様に勝ち進んで行きたいです!」

 

地方大会を超えて、既に甲子園についての抱負を語っている伊川。

春のセンバツ準優勝校の稲城実業等、西東京地区には実力のある学校が多いのだが、何故か気にしていなかった。

……あまり物事を考えず、脳死で話しているのかもしれない。

 

だが真田先輩達の引退試合を、勝利で終わらせたいと考えているのは本当だ。

彼はそこまで勝ちに拘りは無かった筈だが、周りの空気に流されているらしい。

 

 

 

 

そして次は、サードの発表だが……誰が呼ばれるかは分かりきっている。

薬師高校の3本柱、高校最強クラスのバッターである彼しか有り得ない。

 

 

「5番、轟雷市! 俺達の主砲は、お前しかいねぇ! 投壊薬師高校の4番として、全力でバットを振るってくれ! ……頼んだぞ!!」

 

 

「……カハハハ……ワカッタ!! 降谷、成宮……打つ!!」

 

カタコトながら、力一杯返事をした雷市。

言葉は非常に少ないながら一応抱負らしき事も言った後、すぐさま皆が並んでいた列に戻っていった。

打席の時以外の彼は、非常にシャイなのである。

 

 

 

 

次は、6番ショートの発表である。

ここのポジションは、有力な選手達がスタメンを勝ち取ろうと切磋琢磨し合っていた為、ある意味1番緊張する瞬間だった、

 

轟監督は、関東大会と同じ選手にしようか迷っていたが……来年のチーム構成も考えて、最終的には彼に決定したらしい。

 

 

「6番、瀬戸拓馬! かなり悩んだが……打撃力と守備力のバランスが取れた、お前を使うと決めた!

期待に答えて、良いプレーをしてくれる事を期待している!」

 

「……はいっ!!」

 

瀬戸は本当に俺で良いのかと少し悩みながら、大きな声で返事をした。

まるで、そうしなければスタメンの座が無くなってしまうと言うかの様に必死な声だった。

関東大会でも活躍した3年生の米原先輩や、自分より逆境に強い三井など、有力なライバルが沢山いると知っているのである。

 

 

自分より1年生の方が才能があると知ってはいたが、ショックを隠せない米原。

涙を流しながら俯きつつ、仕方のない選出だと納得しようとしていた。

実力は同等と見ていただけ、余計に悔しかったのである。

 

 

「同じ位の実力者だった米原先輩じゃなくて俺で、本当に良いのかという思いはあります……けど、選ばれたからには、前を向いてやり切ろうと思っています!

絶対青道や稲実に打ち勝って、甲子園優勝まで行きます! 応援よろしくお願いします!!」

 

人当たりの良い彼らしく、同ポジションの米原先輩とも仲が良かった瀬戸。

選ばれて良かったという思いも、米原先輩の最後の年を奪ってしまったという思いもありつつ、前を向いて戦っていくと宣言した。

 

 

 

 

次の番号は、7番レフト。

このポジションは、大方1年生の彼だろうと噂されていた。

 

 

「次! 7番……火神大我! 基本的にはクリーンナップとしての起用になるだろう! お前の打撃力を、存分に発揮しまくってくれ!

……もうちょい守備も、何とかしようとしてくれよな?」

 

「うっす! ……テレビで見た、凄い打撃の薬師になれて良かった! 俺の目標は、雷市や北瀬を超えた日本一! 誰にも負けねぇ!! です!」

 

 

___パチパチ、パチパチ

 

彼の成長速度を考えると不可能と言う程ではないが、物凄い打撃力を持つ皆の憧れの先輩達を超えると、目の前で堂々と宣言した火神に若干呆れが混じっている1年生達。

 

まあ思いっきり人前で名指しされた雷市や北瀬は、ニヤッと楽しげな表情を浮かべていた為問題ないのかもしれないが……

 

 

 

 

次は、8番センターの発表。

誰が指名されるのが妥当かと言われれば……U-18に代表入りした彼しかいない。

 

 

「次! 8番、秋葉一真! 

守備も打撃もちゃんと出来るお前に、俺達はすげぇ助けられている! 薬師高校を支えるセンターとして、お前の優秀さを発揮してくれ!」

「はいっ!!」

 

当然だろうなと思いながらも、やはり嬉しげな秋葉。

春のセンバツ優勝校のセンターとして、あいつも良いよなぁと言われるプレーヤーを目指して今まで努力して来た。

その成果を思う存分発揮してやろうと、喜びながらユニフォームを受け取った。

主役になりたいと言えない所が、彼の悪い所でもあるのだが……チームメイトが化け物ばかりな為、仕方ないといえば仕方ないだろう。

 

 

「また同じ背番号が貰えて嬉しいです! 薬師高校のセンターとして、恥じない動きが出来るように頑張ります!

……打撃も、1年生に負けない様にやっていきたいです! 優秀な選手が沢山入ってきて焦っていますが、頑張ります! 応援よろしくお願いします!」

 

 

 

 

最後に選ばれるのは、9番ライト。

今まで選ばれた選手の傾向から言って、多分彼が選ばれるだろうなと大方の部員が予想していた。

そして轟監督は、彼らの予想通りの選手を告げる。

 

 

「最後に9番、結城将司!」

「はい。俺は高卒でメジャーに行きたいです

その目標の為、まずは雷市さんや北瀬さんを超えるバッティングを身に着けます。それと火神……お前にも負けない」

「おうっ! 負けない!!」

 

 

___パチ、パチ

 

やっぱり。言うと思った。

大体の部員は、呆れた様な顔をしながら一応拍手をした。本当に一応だが。

 

 

 

……

 

 

 

そんな微妙な空気の中、ベンチ入りメンバーの発表は続いていった。

口々に豊富を述べるベンチ入りメンバーの中で、部員達に1番発言の印象が残したのは、13番キャッチャーの奥村。

 

「夏の甲子園までに正捕手を奪い取ります」という大胆不敵な発言をした上で、「北瀬さん……うかうかしてると、真田先輩と俺でエースナンバーを奪い取りますよ」というキャプテンを巻き込んだ超強気な言動をしたのである。

 

流石にこれには、ビックマウスに割と慣れている薬師部員達も驚愕した。

当然、巻き込まれた真田キャプテンも驚愕していた。

 

 

だが意外にも、北瀬や伊川に三島と言った2年生達には好印象だった様である。

北瀬や伊川は真田先輩をそこまで評価するとは、コイツもやるなと考えていたし、高い目標を持つ1人として、三島はかなり共感していた。

 

 

コミュ力が相当低い奥村だが、ここでかなり挽回出来たのかもしれない。

まあ同じ学年の1年生からの評価は、地底の底まで下がっていたが。

 

入部してすぐキャプテンに喧嘩を売って、その後キャプテンを使ってエースに喧嘩を売るとか頭がおかしい……といった反応である。

残念ながら、その意見も正しい。

奥村は、走り出すと止まらない系の殉教者タイプである。

 

 

 

 




次の話は、選手達の能力設定になります。
私が思い出す為に書いた奴をついでに投稿しただけなので、読まなくてもOKです。
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