【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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活動報告で頂いた展開を参考にさせて頂いてます!ありがとうございます!

薬師高校の打順

1番 秋葉(センター)
2番 伊川(セカンド)
3番 北瀬(ピッチャー)
4番 轟(サード)
5番 火神(レフト)
6番 三島(ファースト)
7番 結城(ライト)
8番 瀬戸(ショート)
9番 由井(キャッチャー)


103球目 都のプリンス

 

 

 

 

遂に、薬師野球部は西東京大会の決勝戦まで来ていた。

相手は予想通り稲城実業。夏の地方大会や秋の地方大会、春のセンバツに関東大会と、薬師高校相手に1年で4戦しているチームである。

勝率は3勝1敗と、やや薬師高校に軍配が上がっていたが……普通に投壊野球で戦うなら、油断出来ない相手である。

 

___だが今回は、大エース北瀬をほぼ万全な状態で出せるのだ。

よほどの事がない限り負けないだろうと、轟監督は自信を持ってこう発言した。

 

 

「相手は春のセンバツ準優勝校、稲城実業。守備も良いしピッチャーも良い理想的な強豪校だが……俺達には関係ねぇ!

薬師高校の打撃力と投手力なら、絶対に勝てる! 行くぞぉ!!」

『おうっ!!』

 

意気揚々と楽しげな雰囲気を醸し出しながら、薬師野球部は試合に出場する。

 

 

 

 

 

 

対して稲城実業のベンチは、戦う前から緊張しきっている顔を隠せていなかった。

超満員のスタンドに、萎縮しているという訳ではない。彼らは強豪校のプレーヤーとして、こういった事には慣れている。

 

ならどうして、試合前から劣勢みたいな顔をしているのか……それは、薬師高校の北瀬涼を打ち崩すイメージが沸かないからである。

いくら崩壊守備があれど、あのピッチャー相手なら2点取れれば大金星と言えるだろう。

そして、相手のバッター陣は10点位は取ってくる……これでは選手達が、苦い顔を隠せないのは仕方ないと言える。

 

そんな重い空気の中、成宮の不思議そうな声がベンチに響き渡った。

 

 

「どうしたの? 皆して、そんな硬い顔をして」

「……そりゃそうもなるだろ。相手はプロ級のバッターばかりな上に、ピッチャーは北瀬なんだからよ

絶対勝てねー相手とは言わねぇが、キツい所もあるよな」

 

彼の発言に成宮は、笑顔でこんな事を言い切った。

 

 

「まっ、そうだよね! 俺だって薬師相手に無失点とは行かないだろうし、北瀬から点取れるか分からないし……

___でもさ、この観客の入り具合見てよ……! まるで甲子園決勝の舞台みたいじゃない?!」

「まあそうだな」

 

 

投壊野球をマトモに相手取る事になる、稲城実業の絶対的エース成宮鳴は、笑顔を崩さずにこう言い切った。

 

 

「こんな……プロ行っても戦えない位、凄い選手達相手なんだよ? 楽しまないと損でしょ!!」

「そうか……? いや、そうだよな……!」

「相手はメジャー行きのプレイヤー! 今の北瀬から打ったら、一生自慢出来るな!」

 

稲城ベンチは、成宮の言葉によって盛り上がりを見せた。

これで一応、勝つための最低限の心持ちは整ったと言えるだろう。

果たして成宮は、これを狙って発言したのだろうか……? それは、成宮本人しか知らない。

 

 

 

稲城実業は、高校史上最強打線である薬師高校に勝つ為、エース成宮を公式戦で1度も使わないという大胆な温存策に出ていた。

一歩間違えば成宮の調子が整わずに、決勝戦で大量失点負けになるだろう博打じみた戦略。

稲城実業の国友監督は一か八かを好むタイプではないのだが、これしかないと考えたらしい。

 

確かに165kmを打ちまくると考えるよりも、全試合に出場して青道高校相手にも投げている北瀬が、スタミナ切れする事を狙った方が良い気もする。

 

この作戦に対して、今までは投げたい投げたい俺が投げたいと煩かったエースは完全に同意。

全く文句を言わずに決勝までベンチで待っていたらしい……俺達稲城実業には、これしか無いと考えたのである。

 

この作戦が、吉と出るか凶と出るか。まだそれは、誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

1回表、薬師高校の攻撃は1番秋葉。

U-18にもスタメン出場が噂される、優秀な選手である。

 

対するピッチャーは、都のプリンス成宮鳴。

大層な名前が付く程度には優秀なピッチャーで、ドラ1競合が噂される選手だ。

 

 

___バシッ!

 

「ストライク!」

 

 

___バシッ!

 

「ストライク!」

 

 

___バシッ!

 

「ストライク! バッターアウト!!」

 

あの秋葉が、まさかの三球三振にされてしまった。

それ程までに、今の成宮の変化球は鋭いのだ。そしてストレートはMAX153km。

それに……化け物じみた曲がり方をする、パワプロ表記をするなら変化量7のチェンジアップという武器を、秋葉相手に使用していなかった。

 

 

「カハハハ……成宮!! 凄い!! 凄い!!」

 

ベンチで見ていた雷市は、大はしゃぎでぴょんぴょんと跳ねている。高校最強のホームランバッターである彼が、それだけの反応を示す相手なのだ。

……今の成宮鳴は、思っていたよりもずっと強い。

どこか負けないだろうと感じていた薬師ベンチは、ここで気合を入れ直した。

 

 

 

 

ワンアウトランナー無しで、打順は2番伊川。

堂々とした態度で威圧感を撒き散らしながら、バッターボックスに向かっていく。

 

 

(秋葉に投げてたの見てた感じ、U-18で戦ったプロ位の実力あるんじゃね? ……まあ俺には、普段通り打つことしか出来ないけど)

 

 

 

初回だからと様子見をして、ツーボールツーストライクまで追い込まれた伊川。

アウトになりかねないなぁと思いながら、仕方なく次は絶対に打つと決心した。

 

 

___カキーン!

 

内閣低めを掬い上げて、打球はフェン直ツーベース……に、なるかと思われた。

 

 

___バシッッ!

 

「アウトッ!!」

 

だが、ドラフト有力候補のカルロスがダイビングキャッチ。

危機一髪成功して、あの打率10割の伊川からアウトを取る事に成功した。

 

これに、稲城実業の選手達は吠える。

 

 

『___おっしゃあぁぁ!!』

 

「あの伊川からアウトを取るだと?!」

「成宮強えぇ!!」

「良いぞ成宮ァ! 薬師をぶっ潰せ!!」

「いや、そもそも甲子園打率ほぼ10割の伊川がヤバすぎるだけなんだが……ヤバいな」

 

観客達は、大きくざわめいていた。

当然だ。今まで伊川は高校生相手なら、ピッチャーライナーと監督の指示以外でアウトを取られた事が無いのだから。

 

 

「マジかよ?! 伊川……ドンマイ!」

「えっ、伊川からアウトを取れる事ってあるんだな……」

「……ドンマイです伊川さん!」

「まあ北瀬も練習で、割と伊川をアウトにしてるしな」

 

基本的に動揺しない薬師も、これには多少慌てていた。

まさか伊川がアウトになるとは、誰も思っていなかったのである。

普通なら、バッターがアウトになる事なんて日常茶飯事の筈なのだが……それでも、彼が打席で完敗した事に驚愕してしまった。

 

 

 

___ガギン!

 

「アウト!」

 

そんな空気では、北瀬は力を出せない。

呆気なくゴロを打ってしまい、スリーアウトチェンジ。

 

 

「……ドンマイ北瀬!」

「ピッチングでお返し頼むぜー!」

「ドンマイです北瀬さん!」

「……次はホームラン頼むぞ!」

 

動揺が多少残っている薬師ベンチ。

だがそれでも普段通り、暖かくバッターを迎え入れた。ホームランを狙って負けたのなら、彼らは仕方ないと受け入れるのである。

 

 

 

 

 

 

攻守交代して、今度は稲城実業の攻撃。

 

 

___バシッッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 

___バシッッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 

___バシッッ!

 

「ストライク! バッターアウト!」

 

 

だが、北瀬-由井バッテリーによって三者三球三振に仕留め、直ぐに稲城実業の攻撃は終わった。

……165kmとキレキレのスライダーをマトモに投げられたら、全然打てなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

2回裏、薬師高校の攻撃は4番轟。

高校最強の長距離砲と呼ばれる、打撃力だけで言えば理想の4番そのものな選手である。

 

 

「……カハハハハ!! 成宮、打つ!!!」

 

今まで公式戦で当たった選手の中で誰よりも強いピッチャーに対して、雷市は好戦的な顔をして嗤っている。

彼はバトルジャンキーみたいにとにかく強いピッチャーと戦いたい人種である為、今が楽しくて仕方ないのだ。

 

 

___カキン!

 

最終的に、ヒットを放った雷市。

秋葉・伊川・北瀬のU-18スタメン3人衆がヤられた相手に良く打ったと思われるが……あくまで薬師高校のベンチは頭が投壊していた。

 

 

「ドンマイ雷市ー! 次はホームラン行けるぞ!!」

「お前、今ホームラン狙ってなかったろ! 逃げるのは恥だぞー!」

「ナイスです雷市さん!」

「火神ー! ホームラン頼むぞー!!」

 

今の成宮相手に、ホームラン狙いを崩さないのはどうかと思われるが……今の所、監督達は静観の構えだった。

今までホームランしか狙って来なかった為、ここで指示を変えたらどんな悪影響が出るか分からないからである。

 

 

 

 

ノーアウトランナー1塁で、打席には5番火神。

ミートAパワーAで打撃系金特スキル2種持ちという、打撃をする為に産まれたような人間である。

 

 

___ガギーン!

 

「アウト!」

 

だがそれでも、今の成宮には敵わなかった。

レフトに打ち上げ、これでワンアウト。ランナーは2塁に進んだとはいえ、薬師野球部の上位打線がこれでは負けたのと同じだろう。

 

 

 

 

ワンアウトランナー2塁の場面で、打席には6番三島。

彼もパワーAミートBにアーチスト持ちという優秀なバッターで、今の所天才火神と5番を掛けて争っている選手である。

 

 

「ガハハハ、俺が打つ!!」

 

「頑張れ三島ー!」

「そろそろホームランが見たい!!」

 

ベンチから野次のような応援が聞こえながらも、三島はガハハと笑っていた。これが薬師の平常運転である。

 

 

___カキン!

 

良い当たりだったが、これはファースト山岡真正面。

ダイレクトでボールを掴んでアウト、そのまま3塁に向かって走り出していた雷市をアウトにした。

 

 

「……アウト! スリーアウトチェンジ!!」

『わああぁぁ!!』

 

まさかの、投壊薬師野球部を2回まで無失点に抑えるという奮闘を見せた稲城実業。

観客達も、これは波乱が起きるかもしれないぞと、前のめりになって試合を見始めていた。

 

 

 

 

 

 

___バシッッ!

 

「アウト! スリーアウトチェンジ!!」

 

そんな空気をものともしない北瀬-由井バッテリーは、今回も稲城実業の選手を三者三振に仕留めてしまう。

 

___これが、日本最強ピッチャーの実力。

少し前まで薬師高校の勝利を疑っていた観客達に、彼らの負けは無いと悟らせる程のピッチングだった。

 

 

 

 

……

 

 

 

そこから先も、薬師高校は得点圏にランナーを起きつつも成宮に毎回鎮圧されてしまう。

 

___まさかの、5回裏まで両者無得点。

日本最強ピッチャーである北瀬と、都のプリンス成宮の実力を、ありありと見せつける結果になっていた。

 

だが結果はともかく過程は、全く両校で別の物となっていた。

薬師高校のエース北瀬は、まだ1度もランナーを出していないのである。

 

 

 

これは完全試合も有り得るぞと、観客達に囁かれ始めている北瀬だが、彼は自分の活躍に満足していなかった。

今回の試合で、彼は3回無安打になってしまっているからである。

 

野球を経験してきて今までここまで打てなかった事がなかった北瀬は、かなり焦っていた。

焦りによって安直にボールに手を出し、アウトになってしまうスランプに陥りかけている。

それでもピッチングに影響を出さないのは、流石としか言いようがない。

 

 

 

……ちなみに彼は、完全試合の意味を良く分かっていなかった。

確か、1度も打たれない事だっけ? 位の反応である。完全にノーヒットノーランと混合している。

 

 

 

 

 

 

 

 




今の成宮の投手能力は、球速153km / コントロールB / スタミナA / カットボール4 / カーブ2 / チェンジアップ7
驚異の切れ味 / ドクターK / エースの風格 / 対ピンチ◯ / 打たれ強さ◯ / ノビ◯ / 勝ち運 / 闘志 / 対強打者◯ / 人気者 / 短気 / 力配分
を獲得した、能力を盛りすぎな気がするパワプロ・ダイヤのAactⅡコラボを基準としています
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