【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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展開を提供をしてくださった方、ありがとうございます!
木製バットの音を知らないので、金属バットみたいな音で表記してしまっております。申し訳ありません


118球目 神話

 

 

 

 

U-18日本代表のオープニングラウンドにおける、初戦の対戦相手はメキシコである。

 

彼らも国際戦らしく全体的にレベルの高い選手が揃っているが、あまり纏まりは良くない。

国際試合と考えても、各個人の能力が特に悪いというわけでもない。だが……今年の日本代表と戦うには、あまりにも貧弱過ぎるだろう。

 

 

チームの主な火力要因はDHのミゲル。

全体的に高いパワーを持つため、甘い球を投げられれば即長打を打つ選手達である。

基本的に、ミート力と選球眼を無くした超劣化版轟みたいな打撃能力らしい。

 

 

 

 

彼らメキシコ代表は、野球が盛んな地域である日本を最初から警戒していたが……

 

 

「今年の日本代表、102マイルを出したピッチャーが居るんだって?」

「流石に嘘だろ。5マイルは計測に誤差がありそうだ!」

「ハハハ、誰がそんな噂話を流したんだか!」

 

流石にメジャー最速クラスの165kmを、ハイスクールの生徒が出したという噂を信じてはいなかった。

実際の所、北瀬は出そうと思えばコンスタンスに165kmを出せるのだが……彼は世界のバグに近い選手なので、疑い切ってしまっても仕方ないだろう。

 

そして、長打が上手過ぎる日本5人組の噂も甘く見ていた。

あー、日本人特有のミート力に、アメリカ並のパワーを付けたって事かな? 確かに凄いね!……大体他の国の代表は、そんな反応だった。

 

今回の試合でありありと日本代表の実力を見せつけられて困惑する事になるのだが、それを今の代表達は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

1回表、メキシコの攻撃。

日本の先発ピッチャーは、ギリギリでU-18の代表に残っていた天久。

 

 

キレのある変化球好投で、天久は1・2番からあっさり2アウトを取る。

だがゴンザレスは状況とかお構いなしの強振でポテンヒットを打ち、主砲ミゲルがツーベースを放ってツーアウト2・3塁になってしまった。

 

 

「あれ、打ち取れたと思ったんだけどな? ___まあ良いや、次アウト取れば」

 

天久は何故かメキシコ代表を舐めていたのか、得点圏まで進まれた事に首を傾げていた。

 

 

___カキーン!

___バシッ!

 

「アウト!」

 

続くバルドメロも長打を放ったが、カルロスの好守備に阻まれフライ、無失点でチェンジとなる。

 

 

「初っ端から危ねー! でも、結局抑えたからセーフ!」

「天久先輩もカルロス先輩も、ナイスアウトです!」

「ふふ、ウチのカルロスなら当然だよ! 守備は高校最強クラスなんだから!」

「何で鳴が偉そうなんだよ……」

 

 

 

 

 

 

日本代表は少しじゃれ合った後、堂々と打席にバッターが入って行った。

ちなみに、今回のファーストは三島である。

 

 

つまり、2番から6番まで全て同学校の同学年で独占された、有り得ない打順。

1番藤澤がアウトを取られた後、2番の秋葉は世界が相手でも変わらない安定ヒットで出塁。

 

アイツ上手いなとメキシコバッテリーが唸りながらも、いきなりのヒットに対して一息落ち着こうとした瞬間。

バッターボックスに入った男、伊川始に会場中の誰もが目を奪われた。

 

 

彼が打席に立った瞬間、メキシコ代表の誰もが悟った。

___この男は、俺達が絶対に辿り着けない領域にいる。

 

 

 

 

今までの野球経験で全く経験のない感覚に動揺している、メキシコのエースフアン。

 

 

塁を更に埋めて、いきなりの敬遠をするべきか? 

捕手ウンベルトは少し時間が経った後我に返り、半ば敬遠のボール1個半外しアウトコースを指示。

 

だがヤツは、全く手を出してこない。

メキシコ代表として、全く勝負をしない訳にもいかないと、ストライクゾーン外角一杯に投げ込んだ瞬間。

 

 

___カッキーン!

 

『わああぁぁ!!』

 

あっさり、木製バットでホームランを打たれた。

 

 

 

 

ここでメキシコ代表達は、3番伊川を日本の主力打者と認識したらしい。次からはしっかり敬遠も考えよう。

 

そう思った次の瞬間___先程と同じ感覚。

まさかと思い目を向ければ、バッターボックスに立っているのは別の男、北瀬涼。

 

 

だが、明らかに嫌な予感がするとは言え、どうすればいいのだろうか? メキシコバッテリーは困惑していた。

当然の様に監督も困惑していて、打たれてもいいから取敢えず投げろという指示を出してしまう。

 

 

___カッキーン!

 

『わああぁぁ!』

 

結果、初球ホームランである。

 

もう次から2塁埋めてもいいから敬遠しよう…と思っていたメキシコ代表達。

 

でもそういえば、彼は4番でまだ5番のDHが残っていた。途轍もなく嫌な予感とともに目を向ける。

……明らかに、ヤツからも威圧感を感じる。

 

ヤケクソになりながら、メキシコバッテリーは取り敢えず勝負を始めた。

 

 

___カッキーン!!

 

『わああぁぁ!』

 

当然の様に、3連続ホームランを打たれた。

続く三島に楽々2ベースヒットを打たれたが、カルロス、真貝は抑え込む事に成功して、初回は4失点。

 

だが、初回から大量失点したメキシコのエースフアンを責めるものは誰も居ない。

リリーフ緊急登板の指示も、ベンチから一切出なかった。

あんなの誰が出たって同じだろ! という共通認識があったからである。

 

 

 

 

 

 

3回になったら、伊川・北瀬・轟だけでなく三島にも立て続けにホームランを打たれてしまい、フアンは死んだ目になりつつあった。

途中3番から6番打者、4人連続敬遠で1点押し出しとか良く分からない事が起きつつ、ようやく8回裏。

 

 

……まさかの満塁で伊川に。

流石に、ここからの敬遠はもう出来ない。

 

意を決し投球を開始して、ボールがフアンの指から離れた瞬間、メキシコ代表の誰もが悟った。

 

 

___駄目だ、打たれる!

その結末は、言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本代表に20失点もして、ボコボコにされたメキシコ代表のエースミゲル。

 

___だが、彼を責めるものは誰もいなかった。

大敗の責任を取らされる監督も、口さがないサポートすらも、誰もが口を嗣んだ。

 

その理由は、いずれ日本代表の彼等が世界に名を轟かせる絶対的強者である事を、誰もが分かっていたからである。

 

 

 

この戦いで、他国も日本最強打者3人の異次元の強さを認識。

その対策に、慌てふためきながら講じることとなる。

 

 

 

 

 

 

ちなみに今日先発の天久や捕手の御幸などの、薬師出身ではない日本代表達もひたすらあ然としていた。

 

 

「なんかさぁ、神話の武器手にした気分だわ……これずっと使ってたの薬師ヤバすぎでしょ……」

「俺達はもう引退だけど、あんな奴らともう1年引退まで戦うんだよなぁ……降谷も、沢村も……」

 

 

 

 

 

 

メキシコ代表のエース・キャッチャー兄弟達も、日本代表のあまりの強さにこんな事を話していたらしい。

 

 

「あの兄貴が持ってたマンガ……キの強さで絶対勝てないって悟るアレ、本当にあったんだね……」

「ああ……ドラゴンボールは、真実を描いてたんだな……」

「彼カメハメハとか撃つのかな? 金髪だし」

「それは多分、ねえと思うが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

オープニングラウンド2戦目の前、ミーティングが終わって余興として、なぜ今の高校に入学したのかを話していたU-18日本代表達。

 

御幸の「尊敬するキャッチャーが青道にいたから」や、本郷の「厳しい環境でこそ、強さが形作られる(意訳)」という意識の高さに関心を抱いたりしていた。

 

 

 

 

「俺と伊川っすか? 在籍してた中学校が苦手だったんで、遠くて学力が丁度いい高校を選んで

___入学式の日に校庭で、轟監督から野球部に勧誘されたんですよね。部活って強制かと思ってたんで、何でも良いかって入部しました」

 

___だがそんな話なんて吹っ飛ぶ、驚愕しかない話を北瀬がぶっちゃけていた。

 

 

「___はああああぁぁぁぁぁああ!??

じゃあ何? 日本史上最速最強の投手北瀬涼が、今頃帰宅部かその辺の文化部で?? 世に知られることなく消えていく可能性もあったってコトなのか!??」

 

御幸先輩のあまりの剣幕に驚いている北瀬は、なんて事ない内容を話したつもりである。

 

 

「……え?まあそうですね、そうなります

というか、部活必須じゃないってあの時知ってたら多分勧誘断ってましたね。今はもう辞める気はないですけど」

「ウ……ウソやろ、マジで言うとるんか……!?」

 

驚愕しながらも、なんとか話を聞いていた天久。

だが彼はふと、気付いてはいけない事実に気付いてしまった様だ。

 

 

「ちょっちょっ、ちょっと待て? つまり薬師の轟監督が誘わなかったら、伊川も帰宅部になってたって事!?」

「まあ、そうでしょうね」

『…………』

「……まあそうでしょうねって、お前。そんなあっさり言うことじゃないやろ……」

 

青森安良の真貝が、何で北瀬さん達はそんな平然な顔をして言えるんだ……? 

という、いっそ絶望している様に見える表情をしながらボソッと呟いた。

ノリが良い天久が、コイツらが野球やってないなんて有り得ないんだけどと思いながら絶叫している。

 

 

「じゃーもしその時薬師の監督さんが校門いなかったら、今ここにお前らいないじゃん!」

「み、三島、秋葉、お前ら知ってたのか!? コレ!?」

 

U-18勢の絶叫に対して、薬師部員達は言われてみれば可能性はありそうな言動してたな……と思いながらこう話していた。

 

 

「あー……監督が誘ったって確かに聞いてましたけど、野球続ける予定がなかったってのは初めて聞きました」

「だがお陰でこの俺三島は、最高の仲間とライバルを得られた! 感謝しきりだ! ガハハハハ!!」

「お……親父のやった事で、珍しく……珍しく誇れること、だと思う…………」

 

薬師野球部員の反応を見て、コレはマジの話なんだなと実感した日本代表達。

U-18キャプテンの赤川は、試合の時より疲れた顔をしながら話をこう纏めた。

 

 

「……もう俺達、ミーティングの内容が頭から全部吹っ飛んじまったよ……」

 

北瀬や伊川を野球に引き摺り込んだ影のMVPが、轟監督である事などが判明したこの日。

じゃあ伊川や轟監督が取材で言ってた通り、薬師野球部に入部したのは偶然だったんだなと一瞬思ったが……

 

よく考えたら轟監督は、沢山の新入生の中から才能あるプレイヤーを見抜いた上で、彼らを即座に入部させたって事だろうなと考え直していた。

監督は、別に北瀬と伊川の才能を見抜き切って誘った訳ではないのだが……

 

まあ確かに、轟監督は体格が良い人を優先的に誘ったのであながち間違いではない、かもしれない。

 

 

 

 

 

再掲します。キャプテンに相応しいと思う人に投票してください

  • エースの北瀬
  • 打率9割の伊川
  • 快活な三島
  • 真面目な秋葉
  • 4番の雷市
  • 無回答
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