【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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活動報告でリクエストをくださった方、ありがとうございます!思っていたのと違ったらすみません


リクエスト・投手伊川

 

 

 

 

小学校高学年の頃、北瀬は名捕手とやらに憧れを抱いたらしい。

 

 

「なぁ伊川、俺キャッチャーやりたい! だから一緒に野球やろ! ピッチャーやってよ!」

「うーん、俺ルールもよく知らないんだけど……まぁやってみるよ」

「ありがと!!」

 

簡単に調べてみると、ピッチャーは身体能力が大事で、キャッチャーは頭脳が大事だと分かった。

割と身体が強い北瀬はピッチャーの方が向いてそうだけど、まぁ本人がやりたいなら良いか……

 

 

こうして北瀬は捕手に、伊川は投手になった。

北瀬はルールや定石についてよく調べ割と良いキャッチャーになり、伊川はキレキレの変化球に精密過ぎるコントロールを活かしたピッチャーになった。

そして何故か、伊川の非公式戦の打率は10割だった。

 

彼の動体視力の高さや、予測誤差が殆ど無い精密さがそうさせているのだが、彼らは自分達の能力の高さに気付く事は無かった。

部活の先輩達が豚箱行きになり、公式戦に一切出られなかったからである。

 

 

 

 

 

薬師高校に入学し、案の定野球部に入った彼ら。

轟監督が伊川を見た時、その圧倒的な実力に驚愕した。

 

 

(何だあのピッチングは?! 150後半はありそうな球速に加え、7種類のキレキレ変化球だと?!

それにミート力も非常に高くて、討ち取られる感じがしねぇ……これが真の天才って奴か?)

 

北瀬の事も、轟監督は高く評価していた。

 

 

(一見、雷市並の長打力だがリードは普通の捕手に見えるが……キャッチング力も恐らく高い!

伊川のコントロールが高すぎて分かり辛いが、どんなミスも取れる様にしている……)

 

「ラッキー、こりゃ行けるんじゃねぇの? 甲子園!!」

 

ニヤッと笑い、無精髭のおっさんは笑っていた。

部員達も後輩達5人を見て、本当に甲子園に行けるんじゃないかと期待し始めている。

 

 

 

 

 

 

青道部員達は、後々戦う市大三高の試合を見に来ていた筈だった。

 

 

「お前ら。市大の打線、よぉく見とけよ? 楊しかいなかった明川打線とは違うからな?」

「市大ってそんなに強いのか?」

「強いに決まってるじゃん! 選抜出場校だよ、春の都大会で戦ったでしょ」

 

知識の欠片も無い沢村に対し、春市がツッコミを入れた。

何で知らないの? と困惑するレベルの浅い話である。

 

 

「俺、グラウンドに残ってたから見てねぇし……で、この薬師ってチームは?」

「ここまで1度もバントが無い、超攻撃型のチームだ。去年の春から監督が代わり、力を付けてきた

3本のホームランを出した三島と秋葉の打力は全く侮れないし、エースの真田を今まで温存してきている。だが、やはり総合力では市大だろう」

「クリス先輩! ちなみに、薬師の3番ってアレなんて読むんスか? 車3つだから……三輪車?」

「トドロキじゃないかな?」

 

1年生はしょうもない事を言っていたが、2・3年生達は真剣に薬師打線を考察していた。

そして、とんでもない事に気付く。

 

 

「待てよ……轟、北瀬……クリーンナップが入れ替わってる!」

「クリス先輩、選手名簿に乗ってますよ。打順1番から5番まで、全員1年っすね。こいつら」

「あれ、監督も同じ名前っすね」

 

市大での試合で、前試合で活躍した三島ではない1年を抜擢か……妙だな。

クリス等と一部が、この段階では違和感を感じつつ、誰も薬師の異常性に全く気付いていなかった。

 

 

「先発ピッチャーは、1年の北瀬か……どんなピッチングをするんだろうな」

 

 

 

 

 

 

北瀬の本職はキャッチャーだ。

では何故、彼が投手までしているのか。それは当然、薬師野球部にはピッチャーの駒が足りないからである。

 

 

「何だぁ?! あの北瀬のボールの速さは?!」

「誰かスピードガン持って来い!!」

「152kmだとぅ??! 怪物だ!!」

 

見に来ている観客は少ないながらも、かなりざわめいているスタンド。

 

 

轟監督はそれを見て、ニヤァと悪い笑みを浮かべていた。

 

 

(コイツと真田のピッチングを見て、まさかエースが他にいるとは思わねぇだろ! ……騙し討ち上等! 甲子園に行く為なら、なんだってやってやるぜ!!)

 

 

 

 

5回表時点で5-12、ピッチングに慣れていない北瀬がスタミナ切れで真田に変わったが、リリーフの彼も非常に良い仕事をしている。

 

 

「おいおい、コレ抑えたら5回コールドだぞ?!」

「何だコイツらの打撃は?! 化け物かよ!!」

「スタミナは無いけど、先発の北瀬ヤベェな……152kmかよ!」

 

観客達がざわめいている間に、あっさりと試合は終了。

5回コールドという屈辱負けで市大三高の夏は終わった。

 

 

「にしても、先発北瀬が思ったよりハマったな。これは……ピッチャーにポジション変更させたほうが良いか?」

 

 

 

 

 

 

準々決勝、青道高校vs薬師高校の試合を見に来ている稲城実業野球部。

成宮は、微妙な顔をしながら北瀬を酷評した。

 

 

「4回で降板?! ホントにスタミナ無いね!! エースとしての自覚が足りないんじゃない?」

「そう言ってやるな。相手は無名選手、大方指導者がいなかった才能ある選手って所だろ

野球を真剣にやれる環境にあった俺達とは違うんだ」

「それで152km出すとか……超ナマイキだね」

 

ストレートが速いだけでナマイキ扱いされる北瀬。

彼が知ったら困惑するだろうが、人の勝手なレッテルなんてそんな物である。

 

そんな彼らの話を聞きながら、カルロスが軽い口調でこう言った。

 

 

「にしてもアイツら、良いチーム編成してますよね

守備は荒すぎるけどピッチャーが抑えて、打線が点を取る……どちらか1つが無かったら成り立たない戦法っすよ」

「7回で13-5、これは薬師が来るね……一也とも戦いたかったんだけど」

「仕方ねぇ。これが勝負の世界だ、諦めろ」

 

成宮は原田の言葉を聞いて、プクっと顔を膨らませて抗議した。

 

 

「そんなの分かってるよ!!」

「落ち着け成宮……それにしても薬師は強い、俺達はどう戦うべきか……」

「そんなのさぁ、俺が投げるんだから行けるに決まってるじゃん! 俺達が目指すのは甲子園優勝だからね!!」

 

試合は結局7回コールド、13-6で薬師高校の勝ち。

新たな西東京の強豪校として、彼らの名前が囁かれる様になっていた。

 

 

 

 

 

 

そして西東京地区決勝、薬師高校のオーダーを見た稲城実業のメンツは驚愕していた。

 

 

「嘘でしょ?! レフトの伊川が先発?!」

「決勝という舞台で、1度も公式戦に出した事が無いピッチャーを登板させんのか……他投手が潰れた苦肉の策か、コイツもピッチングが上手いのか」

 

 

 

 

対して薬師ベンチでは、轟監督が伊川に激励をかけていた。

 

 

「今までピッチングをさせてやれないで悪かったな……思う存分暴れて来い!!」

「うす」

「普段通りで逆に安心したわ! ___ここから先はお前らの仕事だ! 思いっきり打て、全力で守備に付け! めいいっぱい野球を楽しんで、勝ちに行くぞ!!」

『おうっ!!』

 

 

 

 

1回表、稲城実業はスライダーとシュートとフォークによって三振に仕留められていた。

そして……ストレートの球速は156kmを記録。

彼こそが薬師野球部の本当のエースだと、会場中に知らしめていた。

 

 

「クソッ! なんつー球だ!!」

「まーアレは、初見じゃ打てなくても仕方ないね! それにあの、余裕ぶった表情……まだ隠し玉がありそうだ」

「マジで言ってんのか? 鳴」

「……? そりゃそうでしょ。そうじゃなきゃ、追い詰められてもないのに全部変化球を晒す訳ないじゃん。ド素人じゃ無いんだし」

『…………!!』

 

北瀬のリード力や彼らの表情から、相手に隠し玉があると見抜いていた成宮。

彼の一言で、稲城実業メンバーは更に気を引き締めた。

 

確かに一理ある。ただでさえ156kmに鳴並の変化球があるとはいえ……無闇に球種を晒してくるとは思えねぇ。

恐らく奴は、他にもう1球種持っている!

 

 

だが……分かっていても伊川を止められなかった。

追加で変化球を2つ解禁した伊川のボールに、全く対応出来なかったのだ。

相手の守備難で1得点した事はあったが、本当にそれだけだった。

 

伊川にはスタミナ難すら無く、最後まで投げぬかれてしまったのである。

 

 

 

 

結果、6-1で薬師高校の勝ち。

この試合で伊川は、高校最強のピッチャーだと囁かれる様になった。

ちなみに、彼は地方大会打率10割のままである。

投手としても野手としても天才的過ぎて、彼はプロに行ったら二刀流にするべきなのかと言う議論が各地で巻き起こっていた。

 

 

「やった……」

『やったあああぁ!!!』

 

最後まで投げぬき1失点で勝った大エース伊川に、部員達は抱きつきに行った。

 

 

「ちょっ、恥ずかしいですって!」

「何言ってんだよ! お前のお陰だぞ!!」

「マジ最高の投球だったぜ!!」

「伊川……俺と野球をやってくれて、ありがとう!!」

 

伊川は皆に感謝される事を照れながら、今まで北瀬と2人で野球をやってきた事を思い返していた。

 

 

(北瀬……お前と2人でやる野球も嫌いじゃなかったけど、皆でやる野球は楽しいな

俺らは、最高のチームメイトと遊べてるんだ! 嬉しくて、楽しいな……! ありがとう北瀬、お前のお陰だよ)

 

こうして、薬師野球部の夏は続く。

北瀬と伊川は、最高のバッテリーとして高校野球の舞台で伝説になった。

 

 

 

 

 

 

ちなみに北瀬はU-18にピッチャー枠で招集され、こんな大きな大会への招集を断るのが嫌だった彼は、世界大会でそこそこの投球を見せてしまった。

 

 

高校最後の夏が終わり伊川はメジャーに行ったが、北瀬は誘われず、いつかメジャーに行って伊川とまたバッテリーを組もうと思っていたが……

プロに入った瞬間、何と北瀬は無理やり監督にピッチャーにされてしまったらしい。

 

背番号18から嫌な予感はしていたが、まさか本当に俺をピッチャーにするつもりなんて……

 

当然北瀬は嫌がったが、監督に「キャッチャーとして最低限のリード力が、君に付けられるとは思えない。プロで活躍したいなら、才能のあるピッチャーをするべきだ」と何回も熱心に言われて折れてしまった。

 

 

渋々始めたピッチャーだったが、案外彼の性格に合っていた様で何やかんや真剣に練習していた。

ピッチャー専任と覚悟を決めると球速はグングン伸び、何と7年で15kmも上がってしまった

世界最速の、173kmピッチャーの誕生である。

 

 

 

 

対してメジャーに行った伊川はと言うと……完全に無双していた。

ピッチャーとしても160kmの球にキレキレの変化球7種を投げる化け物で、バッターとしても打率7割を維持。

試合にフル出場しても壊れない頑丈さを兼ね備えた彼は、ターミネーターIGAWAとして畏怖されていた。

 

彼はしょっちゅうインタビューで「相棒の北瀬がここに来るのを楽しみにしています」と答えていたが……本当に北瀬は7年後、メジャーの舞台に立っていた。

彼らはマリナイズの2大エースとしてファンからは親しまれ、他球団ファンからは恐怖の対象として扱われていたという。

 

 

ちなみにあまりにも彼らが無双し過ぎた為、ルール改正が行われ、途中北瀬と伊川は他球団に引き剥がされていた。

 

小難しい言葉を並べ立てているが、結局の所「最強選手が同チームに3人もいると、商業スポーツとして成り立たない」という事である。

無条件移籍の条件は彼ら以外には絶対当てはまらない為、ルールYAKUSHIと呼ばれたりしていた。

 

北瀬と一緒に合流していた雷市も引き剥がされ、彼らは40歳位まで仲良く戦い続けたとか。

 

 

 

 




北瀬はピッチャー適性の方が高いし、伊川はキャッチャー適性の方が高いですが、高校1年生の頃だけ考えると逆の方が強い裏設定です

1番小説内に出てきてほしいキャラを答えてください

  • 桜木花道
  • 流川楓
  • 百沢雄大
  • 國神錬介
  • 青井葦人
  • 笠松幸男
  • 赤葦京治
  • 黄瀬涼太
  • 木兎光太郎
  • ラギー・ブッチ
  • 緑間真太郎
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