【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

151 / 288
なんか新入生アンケートで通報をされてしまい、一時期見れなくなっていたと思います…ハーメルンのルールを理解してなくてすみません


133球目 ドラフト会議

 

 

 

明後日から強敵との3連戦が始まる薬師高校。

だが今の彼らは、固唾を呑んでテレビカメラの前に集まっていた。

 

 

___そう、今日はドラフト会議当日。

真田先輩のプロ入りが決まる日である。

 

真田先輩は集まっているリポーター達を見ながら、神妙そうな顔をしていた。

 

「うわぁ、テレビカメラ集まっちゃってるよ。指名されなかったら恥ずかしいんだけど……」

「大丈夫ですよ! 先輩なら絶対1位指名ですから!」

「流石に149kmの好打者を指名しないって事は無いですって! 上位指名されますよ!!」

 

北瀬と伊川は、絶対真田先輩なら指名されると思っているので余裕の表情だ。

他の部員達も、上位指名かは分からないけど指名はされるだろうといった表情だ。

 

実際、彼の能力なら指名されない事は無いだろう。

高校生の間に怪我を2回しているのがネックだが、それでもキレキレの変化球3種に149kmのピッチャーを逃すのは惜しすぎる。

 

 

 

 

そして、運命のドラフト会議が始まった。

 

 

『第1巡指名、中帝ドラゴンズ___成宮鳴、投手、稲城実業高校』

『おおお……!』

 

ドラフト会議で指名された、1人目は成宮鳴。

薬師野球部因縁のライバルであり、2年生にとっては世界大会で一緒に戦った盟友でもある。

 

 

「やっぱ成宮さんも指名されるよなー」

「そりゃあの成宮鳴だぜ? 1位指名されて当然だろ」

「ですよね! 今まで戦った3年生の中で1番強いし」

 

伊川に話しかけた北瀬だったが、真田が割り込んできた。

多分彼はかなり緊張していて、自分に話しかけられたと勘違いしたのだろう。

 

 

『日本ツナ___成宮鳴、投手、稲城実業』

『おお……!!』

 

2連続で、ドラフト1位指名されたのは成宮さん。

北瀬はヤバくね? といった顔をしている。

 

 

「えっコレ、全部のチームが成宮さん指名したらどうなっちゃうんですか?」

「抽選になって、負けたチームはハズレ1位を決めるな」

 

そうなったら真田先輩がハズレ1位になってしまうと、北瀬は内心慌てている。

 

 

「なるほど……そうならなきゃ良いですね」

「……? ああいや、別に俺は良いけどなー」

「北瀬、ハズレ1位でも契約金は変わらないからな?」

「えっ、そうなんだ」

 

自分が1位指名なんて烏滸がましいと考えている真田は、北瀬が一瞬何を言いたいのか分からなかった様だ。

一瞬経った後、北瀬が真田の1位指名を望んでいる事に気付き薄っすら冷や汗をかいていた。

 

えっ俺が指名されても、1位指名じゃなきゃ残念がられちゃうのか……? とちょっと慌てている。

 

 

『ヤクルスワローズ___成宮鳴、投手、稲城実業』

『おおお!!』

 

真田に熱心に声をかけていたヤクルスワローズも、成宮鳴を指名。

伊川は真田先輩の顔を恐る恐る見たが、彼はやっぱりなという顔をしていて、特にダメージを受けていなかった様だ。

 

由井と奥村と瀬戸は、1位指名されなかった真田先輩を気遣いながらヒソヒソと感想を漏らしていた。

 

 

「やっぱり成宮さんが1番人気だね、あの人凄かったし」

「……真田先輩だって、1位指名される実力があるのに」

「この時代に産まれなかったら1位指名だったっしょ! まあ、来年ドラフトの人よりはマシだけど……」

 

 

薬師野球部のメンツが凹んでいる間にも、無情に会議は進んでいく。

 

 

『西部___成宮鳴、投手、稲城実業』

『讀売___成宮鳴、投手、稲城実業』

『東北樂天___成宮鳴、投手、稲城実業』

『横浜DMA___西谷夕、内野手、烏野高校』

『福岡ハードバンク___成宮鳴、投手、稲城実業』

『広島東陽___成宮鳴、投手、稲城実業』

『千葉レッテ___成宮鳴、投手、稲城実業』

『阪真___進清十郎、内野手、和瀬田大学』

 

『信じられません……!! 史上初の10球団複数指名!! それほどまでに評価される程、成宮選手は素晴らしいのでしょうか?!』

『もちろん、成宮選手は素晴らしいプレイヤーです!!

現時点でもメジャーから複数オファーが来ている選手が2人いる、あの薬師高校を途中まで抑え切りましたからねぇ……!!』

『確かに成宮選手の実力からすれば、10球団重複指名も当然かもしれませんね!!』

 

 

今まで最高の競合数は6球団、それなのに成宮の競合数は10球団。

彼が、非常に強い期待を背負っている事が分かるだろう。

 

そして成宮がどの球団に入るかのくじ引きがあり、北海道ツナに入団する事が決定した。

大きな大きな歓声が、テレビから鳴り響いている。

 

1年生達も、因縁のライバルの所属球団が決まって何となく喜んでいる。

由井は複雑そうな表情をしている北瀬に、知っている情報を教えてくれた。

 

「成宮さんは北海道ツナに決定しましたね!

……北海道ツナといえば、昨年ドラフト2位指名で稲城実業正捕手の原田さんが指名されてましたよね!」

「へーそうなんだ、前はドラフト見てなかったから知らなかった! ありがとな

……そういやヤクルコが成宮さんを指名出来なかったって事は、真田先輩がハズレ1位の可能性は高いな!!」

「……いやいや、そこまで期待すんなって」

 

真田は四方八方から降り注ぐ期待に内心辟易としながら、北瀬に訂正を入れた。

だが、そんな謙遜は要らなかった様だ。

 

 

 

 

___くじが外れた9球団の内、7球団が真田を指名。

史上最多の外れ1位競合数だった。

 

 

「ま、マジかよ……??!!」

「おめでとうございます!! 真田先輩!!!」

「じゃあ、先輩を胴上げしよう!!」

『わーっしょい!! わーっしょい!!』

 

テレビカメラの前で、全員が集まって真田前キャプテンを胴上げしていた。

 

 

「落ちる! 落ちちゃうって!!」

『わーっしょい!! わーっしょい!!』

 

キャーキャーとはしゃいでいる薬師部員達。

だが内心真田は、ドラフト指名された事にビビっていた。

 

自分の実力を全然信じられていなかった彼は、どうせ指名漏れするだろうと高を括っていたのだ。

だから天才達が犇めくプロに行く覚悟が、あまり出来ていなかったのである。

 

 

自分を信じて喜んでくれている後輩達には言えなかったが、彼はプロ入りにかなり気後れしていた。

彼視点からすれば、周りに勧められて記念半分でプロ志望届けを出したらテレビカメラが沢山やってきて、本当に1位指名されてしまったという状況だった。

 

俺なんかがここまで期待されて大丈夫かよ……と、憂鬱になっている真田。

だがメンタルが図太い彼なら、きっと直ぐに順応してくれるに違いない。

 

ドラフトハズレ1位指名を受けて気合で笑顔を保っている彼は、この先どうなるのだろうか?

まぁ多分、真田は天才なので何とかなるだろう。

 

 

 

 

 

 

その後、北瀬達と関わりのある選手の指名も決まった。

カルロスと御幸がヤクルスワローズに上位指名されたり、U-18のベンチメンバーが育成指名されたりしていた。

 

試合に出ていないとはいえ、日本初の国際大会優勝メンバーにしては順位が低い気もするが……

恐らく、決勝戦での下位打線の悲惨さが尾を引いているのだろう。

 

そんな事は全く気にしていない監督は、ワクワクといった表情をしながら真田を連れ出そうとしている。

ちなみにスーツは持っていなかったので新しい物を買ったらしい。

メジャースカウトや日本のスカウトと相対する時に、毎回片岡コーチからスーツを借りるのはいい加減ヤバいと気付いたのかもしれない。

 

 

「行くぞ真田! 皆お前の発言を待ってるからな!!」

「あっそっか、確か指名されたら体育館で記者会見があるんでしたよね」

「そうだ!! ちゃんと中身を考えて来ただろうな?!」

「まぁ何となくは……後はその場のノリで行きます!」

「お前ならそれでも大丈夫だろ! じゃあ行くぞ!!」

 

胴上げしている所を取られた後、真田は轟監督と片岡コーチに連れられて記者会見の場に行った。

 

 

___ガラガラ

___パシャパシャパシャ!!

 

ドアを開けて真田が入った瞬間、カメラのフラッシュが大量に焚かれた。

そんなに自分が注目されていると思っていなかった真田は、記者の人数に驚きつつも堂々と入場する。

 

 

「これより真田俊平投手の記者会見を始めさせて頂きます

最初にこの会見の出席者を発表させて頂きます

左から順に野球部部長片岡鉄心、真田俊平選手、監督の轟監督3名でございます。それでは着席してください

それでは代表質問をして頂きます、EBSの輝乃アナウンサーよりお願いします」

 

「EBSの輝乃より質問させて頂きます、よろしくお願いします。真田選手、改めてましておめでとうございます」

「ありがとうございます!」

 

畏まった記者会見に、こういうの得意じゃないんだよなぁと思いながら笑顔で返していた。

真田が得意では無いのなら、誰が得意なのかというほど堂々とした姿勢なのだが……彼は無自覚だった。

 

 

「今の心境を、まず教えてください」

「本当にヤクルスワローズの方が1位指名してくださって、驚いています。熱心に誘ってくださったチームに入る事が出来て、嬉しいです!」

「ヤクルスワローズの印象を教えてください」

「名捕手やトリプルスリーの方を排出した凄いチームだと思っています。俺もあの方々に続く選手になりたいです」

 

プロ入りをあまり考えていなかった真田は、薬師が新興チームである事も合わさり無難な事しか言えなかった。

まぁ特に興味がないのにマトモな回答が出来るのは、ある意味凄いとも言えるが。

 

 

「今日を迎えるまで様々な思いがあったと思いますが、今日を迎えるまでの心境はどうだったのでしょうか?」

「指名されるか全く自信が無かったので、周りからの期待が少し重かったですね。結果的に1位指名を頂けて、凄く嬉しかったです!!」

 

軽い口調で真田にとってはキツかった重圧を話しながら、喜び切れていない1位指名を大げさに喜んでみせていた。

アナウンサーは特に彼の言動を疑問視せず、次の質問に移った。

 

 

「プロに入って、どんなピッチャーになりたいですか?」

「後輩である北瀬の様に、皆から期待される選手になりたいと思っています!」

「そして、対戦したいバッターは誰でしょうか?」

「後輩の轟雷市です

来年彼がどこに入団するかは分かりませんが、チームが違ったら全力で戦いたいと思っています!」

 

プロに入った時の話なのに、後輩の事ばかり話す真田。

2年生が天才ばかりなので不審には思われなかった様だが、北瀬や伊川の妙な真田上げの発言も合わさり、相思相愛とか一部ネットで言われてしまったらしい。

 

 

「では最後に、プロに入る決意や抱負をお願いします」

「監督や後輩達との出会いがなければ、高校生活は全く別の物になっていたと思うので凄く感謝しています

彼らに恩を返せる様に、一歩一歩着実に強くなって行きたいです!」

 

この後も記者会見は続き、真田はその全てに楽しげに返答していた。

彼の人当たりの良さは、記者会見でも発揮されるらしい。

 

 

 

 

 

 

1時間超えの記者会見が終わり、真田や監督達は食堂に行って遅めの夕食を食べようとしていた。

そこに北瀬がやってきて、何やら手招きしてきている。

 

 

「どうしたんだ、涼?」

「お疲れ様です! グラウンドで皆が待ってるので、来てください!!」

 

小走りでグラウンドに向かうと、そこには大量の肉や野菜が仮設の机に置いてあった。

どうやら、また焼き肉パーティをするらしい。

 

 

「おお! 今日の主役が来たか!!」

「おっ、理事長じゃないですか! また肉を持って来てくれたんです?」

「そうじゃそうじゃ! こんなお祝い事、最後まで楽しまなきゃ損じゃろ!! じゃ真田くん、一言宜しくな!!」

 

キラキラとした目で見てくる後輩達に対して、真田は心からの笑顔を浮かべていた。

 

 

「今まで一緒に戦えて良かった! ありがとな!! じゃあこれからの薬師の活躍を祈って……カンパーイ!!」

「カンパーイ!!」

 

皆はオレンジジュースや緑茶が入ったコップを掲げながら乾杯し、我先にと肉を焼き始めた。

やはり男子高生、お肉には逆らえないのである。

 

 

___パシャパシャ、パシャパシャ

 

テレビカメラマン達も理事長達に言われて待っていた様で、彼らが豪快に食べる姿を取っていた。

 

真田は沢山肉を焼き、後輩達からも貰った後カメラマンに近付いた。

 

 

「あの……もし良ければ、お肉要りますか?」

「えっ……ありがとうございます!」

 

カメラマン達も同伴に預かる姿が映りながら、ハズレ1位の真田が所属する薬師野球部の取材は終わった。

普通の動きとは違う奔放で楽しげな薬師の姿に、つられて楽しくなっていた視聴者も多かったという。

 

 

 

 

綾瀬川は登場するかの再アンケートです

  • 登場する・最高のライバル√
  • 登場しない・孤高の1等星√
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。