【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話 作:いちごケーキ
曇りの日の朝、昨日行われた引退試合を振り返り、北瀬は寂しそうな顔をしていた。
「先輩達が引退かぁ……残念だなぁ」
「とは言っても、国体行った後は実質引退してたけどな」
「それはそうだけどさぁ、やっぱり実感しちゃうじゃん」
「そうだな、寂しいな……」
しみじみと先輩達が居なくなる事を寂しがっている彼らに対して、奥村がツンツンした声で言った。
「寂しがっている暇はありませんよ、春のセンバツはすぐそこなんですから」
「おー、悪い悪い」
「……つれない事言ってるけど、奥村も本当は寂しいんだろ?お前も先輩に懐いてたじゃん」
「別に!重要な戦力が抜けて残念なだけです!!」
『はいはい』
北瀬も伊川も、絶対奥村も寂しがってるだろ……コイツあんまり友達いないし。と若干ひどい事を思いつつ、彼の噛みつきをあしらっていた。
そうやって会話している所に由井が現れ、いつもの様に北瀬にお願いした。
「北瀬さん、今日もキャッチング練習お願いします!」
「分かった!今からやろう!」
「はいっ!!」
そうやって居なくなった北瀬を見て、残念そうな顔をしている奥村。どうやら北瀬とキャッチング練習がしたかったらしい。
そんな奥村を見た伊川は、由井の方を応援してるけど奥村が嫌いって程でも無いんだよなぁと微妙な顔をしていた。
「来年、綾瀬川と黄瀬が入ってくるのを知ってるか?」
「綾瀬川は知ってますが……黄瀬って誰ですか?」
「あぁ、体験練習見てなかったのか。ソイツは7個も変化球を持ってる優秀そうなピッチャーだよ」
その言葉に奥村は驚き、慌てて伊川に質問していた。
「そんなに凄いんですか?!……ちなみに球速は?」
「130中盤辺りに見えたけど」
「即戦力じゃないですか!」
「だよなー……正捕手狙うなら、そのへんが狙い目じゃないか?」
「……アドバイスありがとうございます」
奥村は伊川の意見に納得していた。
今直ぐ出来る事ではないのが悔しいが、確かに1番の近道だと思ったのだ。
「おぉ、じゃ俺はバッティング練習に行くから」
「俺も一緒に練習して良いですか?」
「いいよ、行こう」
好感度の関係で僅かにではあるが、この友情トレーニングで奥村のバッティングが少し成長したらしい。
ジワジワと成長しているので誰も気付いていないが、ミート力を上げる能力も、特質すべき伊川の能力だと言えるだろう。
練習が終わった夜、伊川は過去の薬師スレをパソコンで見ていた。スマホでも見れるとは知っているのだが、操作が慣れないのである。
700:名無し@実況感想総合板
薬師vs烏野キター!!
704:名無し@実況感想総合板
薬師の先発は真田で、烏野の先発は日向か…妥当だな
705:名無し@実況感想総合板
やっぱ3連投とか4連投は避けたいだろ
708:名無し@実況感想総合板
打撃系守備難チームvs走塁系守備難チームか…
709:名無し@実況感想総合板
>>708キャッチャーに影山がいる分、烏野の方が大分マシだけどなw
ここまで見て、伊川は顔を歪めた。
うるせぇな。俺のリードがゴミだった事位分かってるんだよ……こんな掃き溜めを見てる俺がそもそも悪いが……
そんな事を考えため息を吐きながら、気になって続きを見てしまっていた。
712:名無し@実況感想総合板
>>708これはコンセプトの戦いだな
どちらも得点を重視するチームだけど、肝心の点の取り方が違うし
715:名無し@実況感想総合板
>>712ええ事言うやん
コンセプトの戦いという言葉を読んで、フラグを立てた奴がいるなぁと伊川は思った。
この後の烏野高校は、ミート力と走塁の化け物になって薬師高校の前に立ち塞がるのだ。
ミート力とパワーで戦う薬師とは、同類だがコンセプトが違うと言って良いだろう。
719:名無し@実況感想総合板
1回表、薬師高校の攻撃からか…
720:名無し@実況感想総合板
秋葉ー!ホームラン打ってくれー!!
724:名無し@実況感想総合板
>>720秋葉はそういうタイプのバッターじゃないだろ
725:名無し@実況感想総合板
おっ、ツーベースじゃん!
726:名無し@実況感想総合板
良い当たり打つよなー秋葉も
「良い当たりを打つよなー秋葉も」という書き込みに対して、伊川は分かってんじゃんとご満悦だった。
友人が褒められるのはかなり嬉しいらしい。
729:名無し@実況感想総合板
次は伊川の打席かー、どんなヒットが出ると思う?
731:名無し@実況感想総合板
>>729ツーベースの可能性が高いんじゃないか?
734:名無し@実況感想総合板
やっぱコイツ、選球眼あるなー
738:名無し@実況感想総合板
ワンボールノーストライクだな
739:名無し@実況感想総合板
逝ったぁぁぁ!!!
740:名無し@実況感想総合板
初回からホームランキター!!
744:名無し@実況感想総合板
伊川は打率9割でホームランまで打てるのヤバすぎ!!
747:名無し@実況感想総合板
マジ打者としては最高峰の才能持ってるわー、守備はアレだけどな…
749:名無し@実況感想総合板
>>747普通にDHがあるだろ
伊川にはDHがあるだろという書き込みに対して、今はマシになったけどこの頃は酷かったよなぁと同意していた。
本当に……いやマジで酷かった。完全に一生物の黒歴史だよと、頭を抱えている。
753:名無し@実況感想総合板
伊川、打ったにしては微妙な顔してるな
754:名無し@実況感想総合板
何か彼にとって足りない所でもあったのかね?
757:名無し@実況感想総合板
>>753>>754飛距離が足りないとか?
760:名無し@実況感想総合板
次は北瀬かぁ!! ホームラン頼むぞ!!
762:名無し@実況感想総合板
あっ……
763:名無し@実況感想総合板
ボールゾーンの球に手を出しましたね……
766:名無し@実況感想総合板
次次! 次は打てる!!
768:名無し@実況感想総合板
轟打てるかな?
770:名無し@実況感想総合板
打てるだろ!あいつは長距離砲として高校最強だ!!
774:名無し@実況感想総合板
逝ったああぁぁ!!
775:名無し@実況感想総合板
いや、風が強く吹いてるぞ?!?!
777:名無し@実況感想総合板
あー…押し戻されたか
781:名無し@実況感想総合板
残念、まぁこれも野球です
784:名無し@実況感想総合板
マジで惜しかったなぁ。角度ちょっと違えば入ってた!
……
827:名無し@実況感想総合板
次は真田のピッチング…守備大丈夫か?(笑)
828:名無し@実況感想総合板
これは討ち取ったな(フラグ)
832:名無し@実況感想総合板
?!?!
835:名無し@実況感想総合板
何故3塁に投げたww
836:名無し@実況感想総合板
伊川…お前船降りろ! ドン!
838:名無し@実況感想総合板
打撃は最高クラスだから赦して上げて欲しいの…
842:名無し@実況感想総合板
伊川「俺って打撃が天才過ぎるので守備で相殺します」
844:名無し@実況感想総合板
www
847:名無し@実況感想総合板
あっ、次はバントか
849:名無し@実況感想総合板
嘘でしょ、ゲッツー?!
853:名無し@実況感想総合板
青道との合宿をやったからバント対策だけは万全って噂、本当だったんだな…
青道とのバント合宿という書き込みを見て、伊川はまた顔を歪めた。あれは青道の先輩が怖かった……本当に……と思い返してビビっていたのだ。
意外と丁寧に教えてくれた彼らが親切だった事は分かっているのだが、それとこれとは話が違うのである。
905:名無し@実況感想総合板
6回までで7-7のシーソーゲーム、この先どうなるか…
908:名無し@実況感想総合板
頼むぞ勝ってくれ!俺は投壊野球が見たいんじゃ!
912:名無し@実況感想総合板
ん…?烏野のピッチャー交代か…?
913:名無し@実況感想総合板
岩泉って誰だっけ?
915:名無し@実況感想総合板
>>913さぁ…?
918:名無し@実況感想総合板
>>913チェンジアップとドロップカーブを投げる選手だと思う…多分
921:名無し@実況感想総合板
>>913>>918強い?
923:名無し@実況感想総合板
相手ピッチャーに薬師打線が慣れてきた所で変えてきたな…どうなる事やら
924:名無し@実況感想総合板
>>921そこまででもないと思う
928:名無し@実況感想総合板
話してる間に伊川が打ってますね…
932:名無し@実況感想総合板
逝ったああぁぁ!!北瀬2ランホームラン!!!
934:名無し@実況感想総合板
祭りじゃああぁぁぁ!!
938:名無し@実況感想総合板
まあ薬師のホームランとかよくある事ですが…
ここまで見て、後は薬師打ちまくって終了だなとパソコンを消した。
伊川は大きく伸びをして、成宮さんと戦い討ち取られた時の動画を見返し始める。
動画を見ている最中、由井とピッチング練習をしていた北瀬が帰って来た。
「あれ、何見てるんだ?」
「成宮さんと最後に戦った時の試合だよ、ほら……カルロスさんにダイビングキャッチされた時の」
北瀬はその時の事を思い出し、率直に思った事を伝えた。
「ふーん……でもあれさぁ、ぶっちゃけマグレじゃね?
あんなギリギリの打球、いくらカルロスさんでも早々取れないって!」
その言葉を聞いて、そりゃそうだけど違うんだと反論した。
「確かにそうだけど……俺のミスも大きかった。打ちたい方向に対して、打球が右に3度位ズレてたんだ。だからカルロスさんの守備範囲内にギリ入ってた」
「そうなんだ、俺には全然分からなかったけど……ちなみに理由とかはあるのか?」
成宮さんのボールを思い返している伊川は、北瀬にも分かりやすく端的に説明し始める。
「多分カットボールのキレが予想より大きかったのと、ボールの重さが思ったより軽かったのかなー」
「えっ、軽いなら良くないか?」
北瀬の疑問に対し、そういう人もいるらしいのが不思議だよなぁと逆に伊川も不思議に思いながらこう言った。
「そういう人もいるらしいけど……俺は、バットに当てる強さとか角度とかが変わってくるから苦手だな」
「へー……全然分からん!まぁ伊川はそうなんだろうな、人によって感覚は違うだろうし」
「だよな!」
北瀬も伊川もそうやって納得し、今後話を蒸し返す事はなかったらしい。
彼の特殊な感覚は、監督やコーチに伝えるべきだと思われるのだが……そんな事に気付いていなかった。
由井がこの時、部屋にいなかった事が不幸である。
野球少年といえど、息抜きは必要だ。
だから薬師野球部の生徒達は、偶にスマブラやポケモンで遊んでいたりするらしい。
そう言った娯楽系の物を持ち込めない部では、絶対に出来ない楽しみである。
そういった緩い雰囲気を聞いて、薬師野球部に入部した3軍の生徒も多かったらしい。
練習が少なかった今日は、スマブラで遊んでいた。
「うわ、また伊川に負けた!!」
「3対1なのに……しかも先輩のダメージは200%からで、残機も無しなのに……」
「ははは、俺はキャラのコマンド全部覚えてるからな!ド素人じゃ勝てないぜ!」
「ゲームにそこまでします?!」
努力家な面が、無駄な所にも発揮されているのかもしれない伊川。
ゲームで真面目に戦った時の勝率は、どんな不利な条件でも8割を超えている。
「だから伊川と戦うのは嫌なんだよ……珍しいポケモン捕まえてくれるのとかはありがたいけどさ」
「……悪い」
「いや謝らないでくださいよ!負けてるこっちが虚しいじゃないっすか!」
「そうそう!次こそ勝ちますよ!!」
いや……実は伊川は、見ているだけでキャラの攻撃速度や動きをある程度は覚えてしまうだけである。別にスマブラの攻略を頑張ったりはしていない。
北瀬はそんな伊川の能力が分かっているので、伊川とゲームで戦いたい時は何時間も練習した奴で、ろくに操作説明もしないで挑んでいるらしい。
別に騙し討ちがしたい訳でもないのだが、そうでもしないとマトモな戦いにならないからだ。