【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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163球目 練習

 

 

 

 

___バシッ!

 

「由井、すげぇキャッチ上手くなって来たなぁ!」

「北瀬さんのお陰です!」

 

 

___バシッ!

 

「それは違う!お前の努力の成果だからなっ!」

「練習にずっと付き合ってくれましたから……それが無ければ、ここまで出来る様にならなかったと思います!」

 

 

___バシッ!

 

「謙虚な奴だなー!偶には自慢しても良いんだぜ?」

「じゃあ……北瀬さんのボールが取れる様になりました!このまま正捕手も狙って行きたいです!!」

 

 

___バシッ!

 

「その意気だ!頑張れ!!」

「はいっ!!」

 

安定してカーブが取れる様になった由井。そして、全力ストレートも最近取れる様になってきている。

これで北瀬は、甲子園の前に全球種が使える様になった。

こうして由井とキャッチング練習をしている最中、北瀬はふと思い立ってこう言った。

 

 

「なんか俺、伊川とか雷市達と勝負したくなってきた!

良ければ由井も、一緒にやってくれないか?」

「もちろんです!先輩達でも打てないリードが出来る様になりたいですから!」

 

 

 

 

 

 

一方その頃、伊川・奥村・綾瀬川の3人はピッチング練習をしていた様だ。

 

 

___バシッ!

 

「……ボール、ですかね」

「だよなー」

 

 

___バシ!

___ブォン

 

「よし、ストライク!」

「やっべミスった!綾瀬川も奥村もスゲーな!」

 

 

___バシッ!

 

「ボール!」

「今の球はあからさまにボールだっただろ……もうちょいストライクゾーン側に入れた方が良いんじゃね?綾瀬川はコントロール良いんだし……」

「なるほど、バレちゃってますね……」

「…………」

 

 

___カキーン!

 

「このリードはどうでしたか?」

「だから俺はリードとか分かんないんだって!……審判に誤認させる様な配球なんだよな?多分

良いと思うぞ!一瞬、見逃すか迷ったからな!」

「そうですね。ストライクゾーンを広く使ったので、今の球は審判の方から見たらストライクに見えると思います!奥村さんのキャッチングあっての想定になりますが……」

 

何やら高度な事を話している彼ら。

特に頭脳面が優れている天才ピッチャーに、甲子園優勝校の薬師で1番リード力が高い奥村、そして異次元の選球眼を持つ伊川の3人で話し合う事によって、えげつない効率の練習が出来ていた。

人と感覚が違う伊川は話に付いていくのがギリギリだったが、確かに役に立っている様である。

 

 

「おっ、伊川見つけた!……俺3打席勝負とかしたくなって来たからさー、今からやらね?」

「ちょっと待ってくれ

……奥村も綾瀬川も、どうせなら北瀬の思い付きに乗っかって勝負してみないか?それに北瀬が集めたバッター達と、お前らも戦ってみたら良いんじゃね?」

 

突如現れた北瀬にも動じず、伊川は一緒に練習している仲間の許可を取ろうとしていた。

それに、地味に彼らも楽しめる様な提案をしている。

 

 

「綾瀬川をリードして、雷市さんや北瀬さんと勝負……確かに面白いと思います」

「やってみたいです!俺ちょっと、先輩方に投げてみたいと思ってたんですよ!」

「よっしゃ!……北瀬ー、お前が投げ終わったら綾瀬川に投げさせても良いよな!」

「もちろん!……ってか、綾瀬川のボールも打ってみたいから先に投げても良いぜ!」

 

 

 

 

 

 

こうして投壊薬師打線vs最強投手2人の戦いが始まった。

野手陣は、北瀬の提案により薬師の中では守備が固い選手が守っている。

代わりに今回は9人アウトにするまで投げ続けるルールらしく、結果的に妙にバッターが有利になっていた。

 

 

「北瀬相手に打つのは久しぶりだな……」

 

1番バッターは当然、U-18でも活躍した秋葉。

青道戦でやらかした自分の不甲斐ない働きに、かなり落ち込んでいるらしいが……正直1回は打てているのだからそこまで気にする必要が無い。

メンタルがあまり強くない所が、彼の1番の弱点である。

 

 

___バシッッ!

___ブォン!

 

「ストライク!」

 

初球、172km全力ストレートでねじ伏せる北瀬。

 

 

「は、速い……!!」

「流石北瀬さん!カッケェ!!」

「てか……青道相手に投げた時よりはやかない?!」

「気のせいじゃね?」

 

全体練習が終わったらしい、3軍や4軍の選手達が見学に訪れてワイワイとはしゃいでいる。

スタープレイヤー達の戦いを、こんな間近で見られる事が最高に楽しいのだ。

 

メジャーリーガー達の戦いを、こんな至近距離で見られる事なんて普通無いぞ?!このチームに来て良かったぁ!!

志の低い選手達は、こんな感じの事を考えている。彼らに学力で負けて入学出来なかった選手達は、不憫としか言いようが無いだろう。

まぁ結局、受験に負けたのが悪いのだが。

 

 

___ガギ

___バシッ

 

「アウト!」

『わあぁ!』

 

2球目、160kmキレキレの魔球スライダーにバットを何とか当てた秋葉。

だがかなり鈍い当たりだったので、あっさり投手に取られてアウトになった。

 

 

「あの球凄いなぁ……!俺も打席で見てみたい!」

「実はオレ、打席で見せて貰った事あるんだよな!」

「マジすか?!超羨ましいッスね!!」

「意外と北瀬先輩は、暇そうな時に頼めば3軍選手でも対応してくれるんだよ!」

「後で頼んで見ようか超迷います……!でも迷惑な気もしますし……どうしましょう?!」

「俺、後で頼みに行ってみる!一生に1度のチャンスだし!お前も一緒に行こうぜ!!」

「お、おうっ!!」

 

3軍の1年生と2年生が観戦しながら雑談した結果、北瀬にピッチングを頼む生徒が地味に増加した。

北瀬本人は嫌がっていないが、ぶっちゃけ彼の練習は阻害している様だ。

奥村は、実力不足で努力も足りない選手達がヘラヘラとメジャー級選手の邪魔をしている状況にイライラしていた。

 

 

 

 

ワンアウトランナー無しで、打席には2番伊川。

この打席はセカンドに流川を置いたので、若干守備が弱くなっている。

けして彼の守備能力が低い訳ではないのだが、守備力S捕球S守備職人の化け物には敵わなかった。

 

……寧ろ、なぜ伊川のえげつない守備が噂されないのか不思議な位である。

実は彼の能力の大半が、味方の悲惨な守備を補助する事に費やされていたので分かり辛いのだ。

国際大会では味方の優秀な守備に戸惑い能力が低下していたので、尚更観客達からは分かり辛くなっていた。

もちろん高校野球界では、薬師高校のセカンドにだけは飛ばすなと評判になっている。

 

 

___バシッッ!

___ブォン

 

「ストライク!」

 

(やべ、今の当ててたら絶対フライアウトだったな……)

 

予測にブレがあったと気付き、伊川は慌ててバットをズラして初球空振り。

北瀬の球はいつも見ているから分かっている筈が、今日の彼の調子が良すぎて伊川の予測とズレたらしい。

 

 

___カキーン!

___バシッ

 

「……アウトォ!」

『……わあぁ!!』

 

「うわっ!やっぱ重い!」

「よっしゃあぁ!!」

 

2球目、また全力ストレートで来た球を打ち返した伊川。

だが怪物球威によってバッティングがブレ、センター疾風の守備範囲内に入ってしまったらしい。

 

 

「惜しかったです!伊川さん!!」

「あ、唯菜ちゃん見てたんだ……恥ずかしい所見せちゃったな」

「いえ!後少しで長打コースだったと思います!良いスイングでした!!」

 

勝手にラブコメを始めている伊川と唯菜だが、周りは特に気にしていなかった。

女性マネージャーが唯菜しかいない現状で彼女に嫉妬する人は居なかったし、世界最強バッターとも言われる伊川に嫉妬出来る程才能のある選手は少なかったからである。

雷市や三島、秋葉に火神などのスタープレイヤーは権利があるのかもしれないが、彼らは他人の恋愛に興味が無い。

 

 

 

 

ツーアウトランナー無しで、打席には3番火神。

 

 

「よっしゃあ!テンション上がってきた!!」

 

お決まりの言葉を言いながら、彼は打席に立った。

 

 

「今日も三振取ってやる!行くぞ火神!」

「北瀬……お前もやる気出てんじゃねーか!俺も負けてねぇ!!」

 

 

___バシッ!

___ブォォン

 

「ストライク!」

 

ピッチャーとバッターが喋りながら1球目、Hスライダーに空振り。

 

 

「あ゙ー!スライダーかと思った!!」

「お前、Hスライダー苦手だよなー。俺も俺の球を打席で見てみてーよ」

 

 

___バシッッ!!

 

「……ボール!」

 

「見切ったぜ!」

「あちゃー、今の何でバレたんだ?」

「直感!」

「参考にならねぇ……」

 

2球目、ギリギリボールゾーンに投げた北瀬の球を見逃し、当然判定はボール。

ボールゾーンに投げさせた由井自身が判定している為、間違えようがなかった。

 

 

___バシッ!

 

「……ボール!」

 

「えっ、今のボールかー」

「俺ストライクかと思った!ので!」

「……じゃあ何で振らなかったんだ?」

「分からなかったから!」

 

よく分からない会話をしている北瀬と火神。

火神が言いたかったのは、「俺、ストライクか迷いましたよ!」である。

助動詞が間違っていたから、意味が通じなかったのだ。

 

ちなみに伊川は、(今のってギリギリストライクじゃね?)と思っていた。

実は由井も迷ったのだが、不正を疑われない様にボール判定にしたのである。

ストライクとボールの中間辺りに投球させたので、どちらの判定にすれば良いのか分からなかったのだ。

大エース北瀬にボール球を多く使わせる程、火神というバッターが優れているとも言える。

 

 

___バシッッ!

___ブォォン

 

「ストライク、ツー!」

 

 

___バシッッ!

___ブォォン

 

「ストライク!バッターアウト!!」

 

「ストレート速えぇ!!何マイルだよ!!」

「えっと……マイルが分かんねぇ」

「106マイルオーバーですね!」

「ヤベェ!!」

 

若干怪しい場面もあったが、最後は直球でゴリ押しでスリーアウト。北瀬と由井は笑顔を浮かべていた。

まだまだ強いバッターは沢山後ろに控えているとはいえ、薬師バッターを三者連続で打ち取れたのが嬉しかったのである。

 

 

 

 

「この調子で、雷市もアウトにしよう!」

「はい!」

「カハハ……キタセ凄い!俺もマケナイ!カハハハ!!」

「おっ、雷市も上がってんじゃん!」

 

 

 

 

スリーアウトランナー無しで、打席には雷市。

U-18世界大会で最多本塁打だった、薬師主砲に相応しい天才バッターだ。

 

 

「カハハ……キタセ、打つ!!カハハハハッ!!」

「やってみろ!……あはは!」

 

「北瀬先輩!討ち取ってください!!」

「北瀬ー!雷市は強いぞー!」

「ガハハハ!雷市と北瀬、俺様のライバル2人の戦い!目が離せんぞ!!」

「雷市先輩!一発頼みます!!」

『北瀬!北瀬!』

『雷市!雷市!』

 

エースの主砲のボルテージが最高潮まで高まると、つられて他メンバー達も叫び始めた。

 

 

___バシッッ!

 

「……ストライク!」

「思ったより、うき上がった……凄い凄い!!」

 

初球は172kmの低めの浮き上がるストレートでストライクを取った北瀬。

1球目はまるで簡単に打ち取れた様に見えるが……油断してはいけない。雷市相手に失投すれば、一撃でスタンドまで運ばれてしまうのだから。

 

 

___ガギン

 

『わあぁ!!』

 

2球目、鈍い音を鳴らしながらボールは進んでいく。

打球はポテンと三井の守備範囲外に落ち、ヒットになる。

 

 

『トッドロキ!トッドロキ!』

 

「うてた!うてた!……でも、ホームランじゃない」

「打たれたぁ!でも、次は負けない!」

「カハハハ……!次はホームラン打つ!!」

「俺が三振にしてやるよ!」

 

北瀬は珍しくヒットを打たれた後も、軽口を叩くのを忘れなかった。野球の事をけっこう好き程度位に考えているので、メンタルが勝敗に引き摺られないのである。

 

 

 

 

170話あたりで、脇役キャラメインで1話書きたいと思っています。誰が良いでしょうか?

  • 三島
  • 秋葉
  • 雷市
  • 轟監督
  • 片岡コーチ
  • 由井
  • 結城
  • 奥村
  • 瀬戸
  • 友部
  • 太平
  • 三井
  • 火神
  • 疾風
  • 4軍のモブ
  • 降谷
  • 成宮
  • 真田俊平
  • その他
  • 無回答
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