【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話 作:いちごケーキ
「ガハハハ!今ホームランを討ち!雷市を超える!!」
「頑張ってください!キャプテン!」
「北瀬センパーイ!!172km見せてよー!!」
スリーアウトランナー1塁の場面で、打席には5番三島。
幼馴染兼ライバルの雷市を越えようと、日々努力している選手である。
……凄まじい向上心を持つのは良いが、エースと主砲、両方を越えようとするのは難し過ぎる。
彼はピッチャーか野手のどちらかに絞るべきだ。スタミナが普通程度なので、明らかに二刀流は厳しい。
___ガキン!
「……アウト!」
「セカンドに打っちまった!!」
「カハハ……抜けなかった……」
ギリ抜けれそうな打球だったが……残念、そこは伊川の守備範囲内。ショート三井に球を渡し、彼がファースト太平に投げた。
何と薬師野手陣がダブルプレー!……とは言っても、守備が上手い奴だけ集めたから起きた事なのだが。
ファイブアウトランナー無しの場面で、打席に6番結城。
瀬戸とバッティング能力が拮抗しているらしく、コロコロ打順が変えられている。
ミートCパワーSの結城とミートBパワーAの瀬戸、どちらが強いのか分からなくて困っているらしい。
一撃の破壊力をとるか、安定感のあるバッティングを取るか……難しい問題である。
まぁ薬師打線は上から下まで基本強いので、あまり打順を気にする必要は無いのだが。
「___打ちます、北瀬さん」
「負けない!勝負だ!」
___バシ
___ブォォン
「ストライク!」
初球、超スローボールに体勢を崩された結城。
全力フルスイングが仇となり、対応出来なかったらしい。
「初球からスローボール……!」
「北瀬さんと良い感じに盛り上がってたから、ストレートを投げて来ると思った……?」
「……」
「北瀬さんは首を振らない投手だから、俺のリードに従ってくれてるよ」
「……未熟!」
結城の短絡的な考え方を諭した由井。
言われた結城は、自らの甘さを恥じていた。
___バシッッ!
___ブォォン
「ストライク、ツー!」
「スローボールから172kmは手ぇ出ないって!」
「エグい!北瀬さんの投球エグい!!」
「北瀬先輩最強!!」
___バシッ!
「ストライク!バッターアウト!!」
『わあぁ!』
「結城は当てればめっちゃ飛ぶんだけどなぁ……」
「いやアイツのミート力って、2年って考えたらめちゃ凄いだろ!天才が何人もいるせいで若干霞んでるけど……」
「普通に考えたら、結城さんは主砲扱いですよね……」
結城は成長速度も考えたらドラ1も狙える天才バッターにも拘らず、火神や由井に瀬戸といった、彼と同じくドラフト1位を狙える選手達がいる事によってあまり目立てていない。
最強チームで甲子園に乗り込める天才達を羨みつつも、正直天才は3人位で十分だよなと思っていた2軍選手達。
化け物が大量にいるせいで誰も目立たなくなってるし、俺らの出場枠も無くなるんですけど?!と焦っているのだ。
ちなみに3・4軍の選手達は、そもそも自分が出ようと考えている人が少数派なので、呑気に薬師は最強チームだと喜んでいた。
1軍の選手達ほぼ全員にサインを書いてもらった後輩も多いらしい……ちなみに奥村はくれなかった様だ。
シックスアウトランナー無しで、打席には7番由井。
今回だけは捕手を奥村に変更しての戦いになる。由井も内心、エースの球を打ってみたかったらしい。
強いピッチャーの球が打ちたい気持ちはよく分かるから許可した北瀬だが、正直奥村相手にどうやって投げれば良いか困っていた。
彼に駆け寄ってきた奥村に対し、困りながらこう言った。
「えーっと……ストレート、取れそう?」
「全力ストレートとスライダー以外は、全部取ります」
「流石に無理じゃね?一応、U-18のキャッチャーでも取れなかったんだけど」
「___この1年間、ずっと見てきましたから」
折れない奥村を見て、基本的に押しが弱い北瀬は負けてしまった。
「……分かったよ、奥村。お前を信じて投げてみる!」
「信頼を裏切る様な事は、しません」
(いやでも、正直無理じゃね?由井だって半年位掛かったのに、見てただけでって相当キツいと思うんだけど……
結局、俺は捕手じゃねーから分かんねぇな。まぁ怪我しそうなら止めれば良いか?)
信じるとは言いつつも、やはり半信半疑な北瀬。
奥村が怒ると怖いから全力で投球はする予定だが、正直かなり不安に思っていた。
1球目、北瀬は早速ビビっていた。
(初球低めにフォーク?!絶対落とすって!)
そう思った彼だが、他に良い配球が思い付いた訳でもないので首を振れなかった。
渋々、1球目を投げる
___バシッ!
「ス……ボール!!」
ミットが動いてボールにしてしまったものの、ボールは零さなかった奥村。
本人はピッチングの邪魔をしてしまった事で歯噛みしていたが、観客達は衝撃を受けていた。
まさか本当に、日本最速のピッチャーの球をほぼ初見で取り切るとは誰も思っていなかったのである。
「ナイス奥村!良いキャッチングだったな!!」
「……嫌味ですか」
「嫌味じゃねーよ!取れたじゃん!フォーク!!」
「それでも、ボールになるのは許されません」
「強情な奴だなぁ……まあ良いけどさ!次はもうちょい、ストライクゾーンの内側に配球したらどうだ?それなら多少ズレても大丈夫だぜ!」
「結構です!」
「えぇ?……まぁ練習だしいっか!」
大体の事をまぁ良いかで流す北瀬は、奥村のキャッチング能力を知っても軽くで流していた。
この出来事を深く考えず、(奥村も俺の球キャッチ出来るんだなー、万が一由井が怪我したら取って貰おう)位に考えている。
一方由井は、奥村の方がキャッチャー能力は格上だと確信して内心焦り始めていた。
(奥村くんの方が、悔しいけどリードは良い……北瀬さんの球が取れるなら、彼が正捕手になってもおかしくない
だって、得点出来る選手は沢山いる。大エースを盛り立てられるなら、打撃の穴が出来る事なんて許容範囲かも?
それに絆とかを加味されて北瀬さんとのバッテリーを守り切れても、春からは奥村くんが正捕手になる可能性も……マズい、急いで対策しなくちゃ!)
薬師野球部には、打撃が得意な選手が沢山いる。
守備型の選手の方がある意味重用される特殊な学校なので、彼が追い落とされる可能性はかなりあった。
それに綾瀬川や黄瀬との交友関係は奥村の方が深かった。
大エース北瀬の球を取る事に必死になっていた由井は、後輩達の球を取る時間が無かったのである。
まぁ相手からの好感度は同じ位なあたり、コミュ力の高さではかなり勝っているのだが……
なんなら彼は他のポジションでも割と守備が出来るので、そちらに回されてしまう可能性もあった。
___バシッッ!
___ブォン
「ストライク、ツー」
___バシッッ!
___ブォン
「ストライク!バッターアウト!」
『わあぁ!』
そんな雑念に支配されていた由井は、北瀬-奥村バッテリーにあっさり三振にされてしまった。
「後2人!……奥村もナイスキャッチ!!」
「由井が勝手に自滅しただけですよ」
「自滅?……由井、どうかしたのか?」
「いえ、何でもないです」
「そうなのか?」
「はい!」
「そっか……」
奥村の一言によって由井の不安に気付きかけた北瀬だったが、本人が何でもないと言ったのを信じてしまった。
彼は何度騙されても、基本的には人を疑えない質である。本気で信じている仲間の言葉なら、尚更に。
そこが北瀬の美徳でもあるのだが、不利益になる事も当然あった。
セブンアウトランナー無しで、打席には8番瀬戸。
ミートBパワーAと、現段階の能力でもドラフト指名に引っ掛かりそうな選手だ。
「よろしくお願いします!」
「よろしく!……全力で行かせて貰うよ!」
「胸を借りるつもりで頑張ります!」
瀬戸は、珍しく普通にエースに敬意を払う選手である。
薬師下級生達は、スタープレイヤーを見るように囃し立てる後輩達と、偶にいるクセのある後輩が目立っているのだ。
彼や由井の様に、親しみやすい雰囲気を出しつつ過度に囃し立てもしない上で、上下関係を意識して敬意を払える選手はかなり少なかった。
___バシッッ!
___ブォン
「ストライク!」
___バシッ!
「ストライク、ツー!」
___バシッッ!
___ブォン
「ストライク!バッターアウト!」
『わあぁ!』
そんな瀬戸でも、北瀬相手では三球三振にされてしまっていた。
彼は少し悔しげな顔をしながらも、にこやかにエースを褒め称える。
「いやー凄いっすね!いつか打てる様に頑張ります!」
「頑張れ!俺も負けない!」
爽やかに北瀬を褒めてからベンチに帰っていった瀬戸。
今ので北瀬からの好感度は微増しているので、やはり彼の人の良さは薬師高校では有利に働く様だった。
薬師スタメン全員と戦いたいから、9打席勝負にしようと言った北瀬。
だが、投げている自分は打てない事を考慮してなかった。
どうしようかなぁと考えている最中、知らないお兄さんがグラウンドに急に現れた。
「次のバッター……誰にしよっか?」
「あー、もし良かったら俺に打たせてくれよ!」
『えっ誰ですか??』
きょとんとしている部員や、不法侵入者を見るような目付きで見ている部員達。
あわてて宮内は、自分が来た理由について話し始めた。
「俺はスポーツ医学部生の宮内!青道OBで、片岡コーチに頼まれて来たんだ!んフー」
『へー凄い!』
医学生っていうのは、良く分かんねぇけど凄いなぁと思った北瀬達。自分達に宮内さんが来ると連絡が来ていない事は、どうせ轟監督だし……と納得した様だ。
実は、ちょっとお茶目な片岡コーチがサプライズゲストで呼ぼうと思って言わなかったのだが、そんな事を彼らは知らない。
伊川は内心、(野球辞めたら医者も良いかもな。今の学力なら行けそうだし)と思っていた。
先の将来設計まで考える余裕がある彼を見たら、全国の野球人が歯噛みするかもしれない。
「良いっすよ!他の打ちたい奴は、別の日に打てば良いと思うし!」
「うし!全国最強の投手の球、楽しみだ!」
こうして、青道OB対薬師の大エースの戦いが始まった。
___バシッッ!
「ストライク!」
「マジか……!」
1球目は169kmのストレート。
宮内はあまりの豪速球に愕然としている。速さも見た事ないレベルだけど……何だあの浮き上がる軌道は!こんなのどうやって打てば良いんだよ?!と驚いているのだ。
___バシッッ!
___ブォン
「ストライク、ツー!」
「エゲツねえっ!!」
2球目も170kmのストレート。北瀬にとっては全力じゃない、ただのストレートだ。
だが宮内のバットは明らかに空を切った。御幸が競争相手とはいえ、ベンチを温めていた彼に日本の大エースを打てるだけの打力がある筈もない。
___バシッ!
「ストライク!バッターアウト!」
「これが、北瀬のスライダー……噂以上だ!」
最後は宮内を楽しませるべく、北瀬の決め球スライダーで終わらせた由井。
その考えの通り、宮内は驚愕しながらも喜んでいた。
「よっしゃ!これで9人無得点!!」
「あちゃー、2点位は取りたかったな」
「ガハハハ!次は俺の満塁ホームランで勝ってやるぜ!」
「北瀬相手に満塁ってあるのか……?」
「久しぶりに北瀬さんの球を受けましたが……やはり凄まじいですね」
こうして今回の北瀬vs薬師野手陣の戦いは、北瀬圧勝に終わった。薬師打線は大エース相手でも3得点取れた事があっただけ、この結果は悔しかった様だ。
次北瀬と戦う時は絶対打ってやると、闘志を滾らせながら……U-15優勝の立役者、綾瀬川次郎との戦いになる。
どこかで脇役メインの話を書きたいと思っています!もし良ければ、誰が良いか回答よろしくお願いします!
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桜木(1軍)
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流川(1軍)
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百沢(2軍)
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國神(2軍)
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青井(3軍)
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笠松(1軍)
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赤葦(3軍)
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黄瀬(1軍)
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木兎(2軍)
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綾瀬川(1軍)
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錦織(1軍半)
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沢村(青道高校・1軍)
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本郷(巨摩大藤巻・1軍)
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御幸(ヤクルス・2軍)
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天久(阪真・2軍)
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北瀬母
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真田母
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理事長
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その他
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無回答