【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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前回の話で、性別の投票をしてくださった方ありがとうございます!女性向け小説のつもりで書いていたのですが、圧倒的に男性の方が多くて驚きました!なので、当初予定していた展開を変更していきます。


今回の打順

1番 秋葉一真 ショート
2番 伊川始  セカンド
3番 北瀬涼  ピッチャー
4番 轟雷市  ライト
5番 火神大我 レフト
6番 三島優太 ファースト
7番 由井薫  キャッチャー
8番 瀬戸拓馬 ショート
9番 真田太平 サード

Q.なんでエースが試合に出てるのに三島達が出てるの?守備重視にするんじゃ無かったの?
A.観客達のウケを重視しました。多分勝てる試合なので。後は少し轟監督の3年生贔屓も入っている様な気も…


200球目 予感

 

 

 

 

甲子園準決勝、巨摩大藤巻対清正社の戦いは3-0で本郷正宗率いる巨摩大藤巻高校の圧勝。

轟監督達が予想していた通り、最後の試合も巨摩大藤巻と戦う事になった。

 

ちなみに彼らと薬師高校は甲子園で4回も当たっているので、お互い妙な縁を感じている。

強いチーム同士は当たる運命とはいえ、それにしても戦った回数が多いのだ。

 

高校球児が甲子園に出られる回数は、最大でも5回。

その内の4回も当たっているのだから、もはや運命の最終決戦と言っても良いだろう。

 

 

「今日が俺達最後の試合か。さびしーなぁ……」

「北瀬はアメリカに行くからなぁ……俺が一緒に戦えるのは最後だな……」

「いやまあ、WBCもあるし秋葉もメジャー行くかもしれないけど、薬師野球部として甲子園で戦えるのは最後だな。寂しいわ……」

「まっ、これが最後だから精一杯やらないとな!」

『おうっ!!』

 

北瀬、伊川、秋葉の最上級生3人は、勝っても負けても最後の試合と言う事で感慨にふけっていた。

最強クラスの選手が偶々集まった事により、弱小校から一転して超強豪校に変貌する事に成功した薬師高校。

その一部始終を支え見届けた(本人談)彼らは、決勝戦の前に達成感と寂寥を感じている。

 

 

「ん?最後の試合かは関係ないだろう。俺達は全力で、勝ちを目指して戦えば良いだけだからな!!」

「ホンゴウ、打つ!___カハハ……カハハハ!!」

「今日も絶好調だな!雷市は」

 

意気揚々と、勝利の宣言をした三島。

ちなみに3年生の中で彼だけは、このチームは自らが作り上げたと考えているらしい。

最上級生の中で1人だけ併用選手なのだが……彼は超ポジティブなので、その辺は考えないのだろう。

俺は最強チームの薬師高校に欠かせない選手だと、割と調子に乗っていた。まあ別に、その気持ちで誰かに迷惑を掛けている訳でもないので問題は無い。

 

 

「……決勝戦、優太も試合に出れるらしいな。最後は一緒に戦えて嬉しいよ」

「ああ!監督も、ようやく俺の打撃が必要だと気付いたんだろう!甲子園最後の試合!本塁打5本が目標だ!!」

「本郷くん相手にそれ狙うのか……やっぱり凄いな、三島は」

 

北瀬は異次元の成果を狙う三島に感心し、このやる気は見習おうと思っていた。

秋葉や伊川は、流石に厳しいのではと感じているが……

 

 

「そうか!ガハハハハ!!」

「カハハハ!!俺はロッポン!!」

「何?!……流石は俺のライバル!なら俺は7本だ!」

「ハッポン!」

「9本!!」

「ジュッポン!」

 

雷市も三島の発言に賛同して、更に上の目標を口にした。

もちろん三島は対抗し、更に上の数値を言い出す。

 

暫くの間、非現実的なホームラン数を叫んでいた2人に、着替えの最中なベンチ入りメンバー達は若干呆れていた。

北瀬だけは、彼らが盛り上がっているのを見て羨ましく思っていたらしい。

流石にあんな無茶苦茶を話す中に入っていくのは彼のメンタルでは出来なかったが、高い目標を立てて楽しんでいる姿を見て良いなと思っていた。

 

 

 

 

 

 

同時刻、巨摩大藤巻高校のバッテリーはお気楽な薬師高校と違いビリビリした空気を出しながら2人で話していた。

どれだけ相手が強かろうと、北海道に深紅の大優勝旗を持ち帰るという覚悟は変わらない。

火山口のマグマの様な執念を胸に、彼ら2人は薬師高校に打ち勝とうと決意している。

 

 

「新田監督さ、『本気で勝ちたくば、薬師を3失点に抑えろ』って凄いこと言うよな」

「フン___勝つ為に必要なら、やるだけだ」

「お前はそう言うと思ってたぜ」

 

 

 

 

試合直前、巨摩大藤巻で長年指導し続けて来た名監督は、選手達にこの様な激励を飛ばした。

___お前達が攻略するのは北瀬では無い。キャッチャーの由井薫だ、と。

 

 

 

 

対して薬師高校の轟監督は、楽しそうに普段通りのドヤ顔をしていた。

野球に対する思いが薄っぺらい伊川や黄瀬などは話をろくに聞かず、向こうの監督をボケーっと眺めて貫禄を見いだし、うちの監督はコレなんだよなぁと呆れている。

 

 

「本郷は強い。けどな、うちの北瀬の方がもっと強え!いつも通りのバッテングで、アイツらの頭上をぶち抜け!

最強世代最後の甲子園、評判通りの実力を見せ付けろ!!

___お前達が、世界最強だ!!」

『おうっ!!』

 

 

 

 

 

 

___バシッッ!

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

 

___バシッ!

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

 

___ガギ

___バシッ

 

「アウトォ!……スリーアウトチェンジ!!」

 

1回表、巨摩大藤巻の攻撃は簡単に3回で終わった。

北瀬は当然と言った顔をしてベンチに帰って行ったが、由井は強い違和感を感じていたらしい。

難しそうな顔をしている彼に対して、北瀬は何か変なピッチングをしてしまったのかと困っている。今回の投球に、悪い所が見当たらなかったので直す点が分からなかったのだ。

 

(今回のバッター、北瀬さんの投球動作をちゃんと確認していなかったよね。なんでファールチップとは言え、当てられたのか……)

 

由井もエースの投球に悪い所を見出せていなかった。だから逆に、なぜ170kmに、ほんの少しだけでも当てられたのか分からなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

1回裏、薬師高校の攻撃は1番秋葉一真。今夏甲子園打率は7割5分と、正に最強の安打製造機と言える実力を見せている。

尚、今年の甲子園では決勝戦までに打率10割と言う化け物がいるせいで、最強は名乗れないらしいが……端的に言って、今年の夏は異常な環境としか言いようがない。

 

 

___バシッ!

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

「惜しい!」

「狙いは良かったぞー!多分!!」

「次は打てますよー!!」

 

途中にファールを挟みつつ、彼は結局三振。今回の打席では、本郷正宗というピッチャーの引き立て役で終わった。

もう少し対応が早ければ打てたと、少し悔しげな顔をして帰って行く秋葉。だが、ベンチメンバーは特に気にしていない。

今は序盤も序盤、結局の所は勝てると思っている試合なので、別に彼が打てなくても気にならなかったのだ。

 

 

 

 

「秋葉がやられたか……だが、奴は四天王の中でも中堅」

「……急に何言ってんだ?」

「さっき漫画で読んだセリフを急に言いたくなって……」

 

ワンアウトランナー無し。ネクストバッターズサークルの北瀬としょうもない会話をしながら威圧感を撒き散らし、伊川始が打席に立った。

最後の夏、最後の試合でこんなくだらない事を言える彼は、相当薬師野球部の適当な気風に染まってしまっているのだろう。

元々の彼は意外と真面目な性格だったので、この状況で軽口を叩ける性格では無かった筈だ。

 

ちなみに本来のネタは「四天王の中でも最弱」なので、若干秋葉に気を使っている。

仮に薬師四天王を決めるとしたら北瀬・伊川・轟が先に来ると思われるので、本来のセリフのままでも正直な所間違いでは無いのだが……流石に大切な仲間にソレは言えなかったらしい。

 

 

___カキーン!

 

「セーフ!」

 

彼の実力通り、初球から長打で2塁に進んだ。

狙おうとすれば3塁まで行けたかもしれないが、リスクは冒したくなかったのだろう。無難に2塁で止まっていた。

 

 

 

 

「よし!俺が打って返す!!」

「ダメだ。アイツ、絶対空回りするぜ……」

 

ワンアウトランナー2塁の状況で、メラメラと闘志を燃やしながら3番バッターの北瀬が打席に立った。

その様子を見て、轟監督がため息を吐いている。

北瀬の打撃は調子に乗っている時が1番強いので、真剣な表情をしている場合は駄目なのだ。

 

 

___バシッ!

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

「ガハハハ!良いガッツだった!」

「カハハ……力が入りすぎ……」

「センパーイ!焦っても良い事ないっすよー!」

 

轟監督の予測通り、彼は呆気なく三振。

トボトボと肩を落としながら、ベンチに帰って行った。

 

 

 

 

「カハハハ……ギュイーンって来る!たのしみ!!」

 

楽しそうに嗤いながら、名実共に高校最強の長距離砲である轟雷市が打席に立った。

薬師の1軍選手は彼が本当に相手のピッチングを楽しみにしていると分かる笑みだったが、他校の選手からは実力の足りないピッチャーを嘲笑っているのだろうと評判の顔らしい。

 

 

___カキン!

 

「カハハハ……ニルイダー!!」

「……アウトォ!!」

「えっ」

 

暴走気味の進塁を決行した雷市は、案の定優秀な巨摩大藤巻の野手陣に挟まれてアウト。

久しぶりのランナーコーチャーをガン無視した突撃に対し、薬師高校のメンバーからは「アイツ、またやりやがった……」とか「今の突撃は要らねぇッスよ」というクレームの声が上がっている。

まぁ、最上級生達は彼の暴走に慣れてはいたが。

 

 

 

 

結局、薬師の1点先取で迎えた3回裏。そして試合の様子は……対照的と言わざる終えない。

薬師高校はヒットが実質3本も出ているが、巨摩大藤巻高校はボテボテのゴロが1度出ただけ。

観客達も、やはり北瀬が無双して投壊打線が点を取って終わるだろうと言う顔をしている。

 

 

次はいつ彼らが点を奪うかとワクワクしている様子の観客達に囲まれながら、次のバッターは9番打者の真田太平。

彼は試合前のインタビューで「最高の先輩方と一緒に戦える最後の試合に出場出来て良かったです」と語り、黄金世代5人の目を潤ませていた。

 

 

___ガギン!

 

ファーストがキャッチしたタイミングとほぼ同時に塁を踏んだ太平は、全身でセーフを主張した。

雷市先輩や伊川先輩の様に、いつでも簡単そうに打てるプレイヤーではないので細かいアピールが重要なのだ。

 

 

「……アウト!」

「クソッ!」

 

「ドンマイ太平!」

「惜しい!惜しかったよー!」

「むむむ!今のはセーフだろ!」

 

だが、残念ながら判定はアウト。良い当たりだったし紙一重だったが、運に恵まれなかったらしい。

ベンチメンバーも少し残念そうにしながら、彼の健闘を称えている。

これが仮に三島の出した結果だったら煽られていたがろうが、太平は彼みたいなお調子者ではないし、彼ほど打力を信頼されてもいなかった。

 

 

 

 

彼が惜しくもアウトを取られた後、秋葉は打ち取られるも伊川がツーベース、北瀬は珍しく四球で出塁した後に轟がヒットを出して帰還。これで2得点目。

4回表の巨摩大藤巻は、やはり北瀬の170kmストレートが打てずに三者三振。

由井は嫌な予感が続いていたが、気のせいかもしれないと思い始めている。

 

 

「まだ2点かぁー、やっぱ巨摩大は強えぇな!」

「だな……やっぱり大量得点が入らないと気持ちワリィ」

「ん?そうか?俺達は後半で追い上げてくチームだろ!勿論ホームランが出た方が嬉しいが、俺は嫌な気持ちにならないな!」

「そういやそうだったな……」

 

伊川の若干悲観的な意見を三島が笑い飛ばし、ベンチメンバー達は笑みを浮かべていた。

若干相手を舐め腐ってもいるが、無駄な緊張感が無い良いムードである。

そんな後輩達の反応を見て、三島の言う事はもっともだと頷いた伊川を見ながら黄瀬は驚きの声を上げていた。

 

 

「えっ、薬師って後半追い上げるチームだったんスか?知らなかったッス!」

「うん。前半に打って相手エースを疲れさせて、後半で追い上げるスタイルだと思う。最近は俺達が強くなって、序盤から大量得点の事が多くなってきてたけど……」

「なっ……ナーッハッハッハ!俺は知ってたからな!!」

 

秋葉の解説を聞いた桜木は、目をきょろきょろさせながら知っていたと宣言した。残念ながら、明らかに自白になっている。

だが、流川がベンチ外になっているので残念ながらツッコミは入らなかった様だ。

毎日の様にケンカをしていた相手の嫌味が聞こえず、桜木は少し寂しく感じていたとかいないとか……

 

 

 

 




本編200話まで読んでくださりありがとうございます!文字数は約110万文字で、大体ハリー・ポッター3冊分です。拙い文章をこんなに読んでくださり、ありがたく思っています。

長編を書いてこれたのは、誤字報告で小説を直してくださる方に、感想やここ好きで良かった所を教えてくださった方、小説の展開をくださった方、そして読んでくださっている皆様のお陰です!

高校最後の戦いも始まり、完結まで後少しだと思います。精一杯書いて行くので、最後まで読んでくださると嬉しいです!
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