【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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薬師高校の打順

1番 花坂学   サード    3年生
2番 瀬戸拓馬  セカンド   3年生
3番 真田太平  ファースト  3年生
4番 火神大我  レフト    3年生
5番 結城将司  ライト    3年生
6番 綾瀬川次郎 ピッチャー  2年生
7番 三井寿   ショート   2年生
8番 青井葦人  センター   2年生
9番 笠松幸男  キャッチャー 2年生


 阿久津渚(アオアシ・センター)や鳴子章吉(弱虫ペダル・ショート)などの将来有望な選手は続々と入ってきているのですが、上級生からスタメンの座を奪う事は出来ませんでした。


229球目 決勝戦

 

 

「Hey Kitase, are you going to practice again today?

(おい北瀬、今日も練習してくのか?)」

 

 休みの時期に最近仲良くなった選手から電話が掛かってきた彼は、嬉しそうな声色で珍しく否定した。

 

 

「No. I'm school has a baseball big game today.

So I'm watching game on my tablet.

(ううん。今日は学校の、大きな試合がある。だから、タブレットでゲーム見る。)」

 

 世界最強クラスの選手が、たかが高校生の大会を気にかけている事が意外だったらしい。

 少しビックリした様な声をしながらも、気のいいチームメイトは北瀬の予定に乗っかる事にした様だ。

 

 

「You're going to watch your former team's game... Sounds fun! Can I come over to your place to watch it?

(前のチームの試合を見るのか……楽しそうだな!俺もお前んちに行って見て良いか?)」

 

「happy! learn.There will an interpreter and a reporter, is that okay?

(嬉しい!了解。通訳と記者も、けど良いよな?)」

 

「He's a trustworthy guy. Then there's no problem, it's more fun to watch the match with different people!

(信頼出来るやつ?なら問題ない、試合は色んな人と見たほうが面白いしな!)」

 

 陽気なチームメイトと急に野球を観ることになった北瀬は一応佐藤の許可も取った後に、3人で部屋の片付けを始めた。

 別に散らかっている訳でもないのだが、気にしがちな日本人らしく慌てて細部を片付けようとしているのだ。

 

 ちなみに所々おかしいが、北瀬は1年で多少は英語が話せる様になったらしい。通訳が居なくても、一応何とか意味が伝わる様に話せる様になっていた。

 まあ勿論、火神以下の会話能力だったが。

 

 

 

 

 

 

「Wow, there's quite a crowd. Which team is your alma mater?

(へー、かなり観客が入ってるな。どっちのチームがお前の母校なんだ?)」

 

 ステーキ、マッシュドポテト、ピザ、フローズン、グリーンピースを豪快に食べながら、チームメイトは適当に解説を聞いていた。

 勿論タブレットから流れている言語は日本語なので、翻訳者が細かく解説を翻訳しているが……彼はあまり興味が無い様だ。

 あくまで友人と話に来たと言う顔をしながら、ムシャムシャと肉を摘んでいる。

 

 

「Black and White.amazing teammates are my equals.

(白黒。凄いチームメイト、俺の同格)」

 

「Isn't that a bit too much?

(流石に盛りすぎじゃねぇの?!)」

 

 北瀬が本気で言っている事を察したチームメイトは、意味が分からないと言う顔をしている。

 歴代最高とも言える北瀬と同等のプレイヤーが、3人もいるとはどうしても思えなかったのだ。

 

 北瀬涼、伊川始、そして無も知らぬ天才の3人が集まった白黒の高校に対してどこか畏怖の様な感情すら感じていた。

 まぁ北瀬が実力を勘違いした可能性の方が高いとも考えていたが……それを加味しても脅威でしかない。

 

 

「There is a player named Ayasegawa who is rumored to be on the same level as Kitase.

He is a very intelligent player and plays with a good understanding of his own strengths and his opponents' weaknesses.

(綾瀬川と言う選手が、北瀬と同格と噂されています。彼は素晴らしい頭脳派プレイヤーで、自分の長所と相手の短所を的確に理解したプレーをするんですよ)」

 

「So he's a candidate to become a major leaguer! I'm starting to get interested.

(じゃあメジャーリーガー候補だな!俄然気になって来たわ)」

 

 通訳の解説を聞いて、日本の高校野球に詳しくない彼も綾瀬川の実力を察したのだろう。

 やっぱりNINJAの末裔達か?なんて思いながら、先ほどまでとは打って変わって真剣な表情で画面を注視している。

 

 

 

 

 

 

『全国高校野球選手権大会、西東京地区決勝!カラッとした夏の日差しが降り注ぐ中、選手達はどのような試合を見せてくれるのか?!日本が誇るキセキ、甲子園5連覇を誇る薬師高校対、春甲子園2連続決勝進出の強豪、青道高校の試合が始まります!!』

『両校とも甲子園に出場出来れば優勝が期待されるチームですしね。地区大会で戦うのは不幸なのか運命なのか……兎に角、素晴らしい試合になる事は間違いありません!』

 

『わあああぁぁ!!』

『勝てよ綾瀬川〜ッッ!!』

『頼んだぞ大和っ!戦艦大和の実力を見せてくれぇ!!』

『薬師!!薬師!!』

『青道!!青道!!』

 

 試合が始まる前から熱狂に包まれている球場。

 自動翻訳の字幕を見ながら、チームメイトは感心した様な顔をしている。

 

 

「I don't understand Japanese, but I can tell they're really excited. Baseball is really popular in Japan!

(日本語はわからないけど、チョー盛り上がってるのは分かる。日本は野球がマジで人気なんだな!)」

 

「the most popular Japan. different in other countries?

(日本1番人気。他の国違う?)」

 

「It depends on the country. In my country, soccer is popular.

(そりゃ国によって違うよ。母国で人気なのはサッカーだったな。)」

 

「Wow! That's right!

(へー!そうなんだ!)」

 

 

 

 

 

 

 北瀬とチームメイトが楽しく話している間に、気付けば試合が始まっていた。

 

 

『わああぁぁ!!』

 

『初回から完璧なピッチング!これが薬師高校のエース綾瀬川ッッ!!』

『前エースの北瀬くんとは異なりますが、完成されていて芸術的とすら言えるピッチングを見せました。青道高校、これはかなり厳しいか?』

『もし彼を攻略できる選手がいたら、既にメジャークラスと言えるでしょうね』

 

 1回表の青道高校の攻撃は綾瀬川が三者三振にし、北瀬が鼻高々と言うドヤ顔をした。

 チームメイトは綾瀬川の実力を認めつつ、北瀬程では無いなと思っている。

 彼の真価は、戦ってみないと分からないのだ。

 

 

「I think Yakushi High School will win.

(こりゃあ薬師高校が勝つだろうな)」

 

「Yes. Yakushi wins!

(正しい。薬師が勝つ!)」

 

 北瀬達は、薬師高校が勝つ事を疑っていない。

 元チームメイトを尊重している気持ちも大きいが……薬師高校の選手達は、元々のフィジカルが高過ぎるのだ。

 だから普通に考えて、どう考えても勝つと思っている。

 

 

「にしても、何で捕手が笠松なんだろ?他にも奥村とか由井がいるじゃん」

「俺には分からない」

 

 正捕手の奥村がキャッチしていない事が少しだけ気になった北瀬は通訳に質問したが、彼も分からない様だ。

 

 北瀬達は知らない事だが……由井は綾瀬川と練習していないので球が捕れなくて、奥村は準決勝での軽い故障によって試合に出られないらしい。

 よって急遽、3番手キャッチャーの笠松が決勝戦で捕手として座る事になっていた。

 

 

 

 

 

 

 1回裏は2番瀬戸が出塁し、3番の太平が結果的に進塁させるも、強打者の4番火神が平凡なゴロで無得点。

 この展開を見たマリナイズのチームメイトは、彼らの打撃に疑問を抱いているらしい。

 

 

「This is too much of a home run.

(これ、ホームランを狙い過ぎだろ)」

 

「Really? It looks normal.

(そうか?普段通り見る)」

 

 北瀬にとっては日常風景だったので特に気にならなかったが……確かに薬師野球部は崩れつつあった。

 秋葉の様な安打製造機型の選手まで、無闇矢鱈にホームランを狙ってしまっているからだ。

 

 強打者達のスタメン争いが激化した結果、他の選手達まで釣られてしまっているのだろう。

 キャプテンの三井は気付いて正そうとしていたが、残念ながらパワー型の彼が言っても説得力が無かった。

 そして監督やコーチは彼らの意思を尊重しようと思ったのか、強くは否定しなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 勿論2回表も薬師高校のエース綾瀬川が完璧に抑えたが……彼は何故か、嫌な予感を感じていたらしい。

 3回裏まで両校共に得点が取れていない緊迫した空気の中、4回表で大変な事が起こってしまった。

 

 

___ガギ

 

『あーーっと?!またも薬師はエラー、ランナーが2人いる状況で主砲の園くんに打席が回ります!』

『綾瀬川くんのライバルと呼ばれる打者ですから、これは得点が期待される状況ですよ』

 

 薬師高校を応援する大勢の観客達が固唾を呑んで見守る中、園は究極の集中状態になっていた。

 

(___ここで綾瀬川に勝てたら、死んでも良い)

 

 断固たる決意で打席に臨む彼を見て、一部の観客達は魅了されたらしい。

 薬師野球部を応援していた筈の観客達の中から、ちらほら園への応援が聞こえる様になった。

 

 

___カッキーン!!

 

 そして、全身全霊の一撃が決まる。

 

 

『…………わああぁぁ!!』

 

『園大和!!決めました!!スリーランホームラン!!』

『高校最強格と目される大砲が、制圧の綾瀬川くん相手に本塁打を放ちました!!これで3-0!!』

 

 画面から歓声と悲鳴が聞こえる中、北瀬は呆然とした顔をしていた。

 まさか薬師高校のエースを託したライバルの綾瀬川が、ホームランを打たれるとは思っていなかったからだ。

 

 

「Hey, isn't this tasteless?

(おいおい、これは不味いんじゃねぇの?)」

 

 驚愕している北瀬を見たチームメイトは、少し心配そうにしながらも率直な感想を述べた。

 悲しそうなのは同情しなくもないが、たかが母校が負けそうなだけで悲しむ気持ちが分からなかったからだ。

 

 

「Ah, yeah... this bad

(ああ、そうだ...これはひどい)」

 

 北瀬は、試合でリリーフが炎上した時よりも焦っている表情が全く隠せなていなかった。

 

 

 

 

 

 

「綾瀬川、ここは敬遠で良い!抑えてくれ……!」

 

 無意識に手を合わせ、祈る様な体勢を取っている北瀬。

 だが10回表、5-5と同点の場面で、ここまで2ホームランの主砲に打席が回ってしまう。

 

 

___カッキーン!

 

『わあああぁぁぁ!!』

『は、入ったーー!!ボール球を無理やりスタンドに放り込んでしまいました!!試合を決める主砲の一撃!!』

 

 偉大な先輩達が活躍し続けていて、まさかここで負けるとは思っていなかった薬師高校の選手達がグラウンドに手を付いて絶望している。

 緊張する場面で下位打線は全く打てず、試合は8-5で終わってしまった。

 

 

 最強の長距離砲の火神大我と結城将司、高校最速のパワード、神童由井薫、高校最高の捕手奥村光舟を含む131名が今日を以て引退。

 チームを後輩達に託し、涙の別れを告げる事になる。

 

 

「Sono's SEIDOU baseball team is so good... he must be major league.

(青道野球部の園って選手エグいな……既にメジャークラスだろ)」

 

「Ahh... RAICHI was just like that guy's

(ああ……まるで雷市みたいなバッティングだった)」

 

 呆然としながらも何とかチームメイトに返事を返している北瀬は、後輩達に何て声をかければ良いのかとぐるぐる悩んでいた。

 結局1週間後になって漸くLIMEを送ったせいで、後輩達の罪悪感を煽る事になっていたと言う。

 

 

 

 




青道はエースの九鬼がめちゃくちゃ成長してました。
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