【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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今の所、ハーメルンでは次回のWBCで完結される予定です。後は同人誌で出す予定ですが、就職活動が終わらなかった場合は申し訳ないのですが次の機会に延期する可能性があります。


244球目 ライバル

 

 

 

「第1ラウンド1位決定戦は、予想通り韓国に決まったな!」

『ハイッ!』

「先発はエース北瀬!リリーフは成宮で行く!勝てる試合だ。正々堂々、俺達は勝ちに行くぞ!」

『ハイッ!』

 

 第1ラウンドの決勝戦は、北瀬以外の日本代表メンバーが予想していた通り韓国に決まった。

 色々な事を知ったかぶりで誤魔化している北瀬は、こっそり謎テレパシーで伊川に確認を取っている様だ

 

(あれ?ちょっと前に韓国と戦わなかったか?)

(今回の大会もトーナメント戦じゃねぇから、そんな事もあるぞ。もしかしたら、更に戦う事になるかもな。)

(へぇ~、面白い戦いが出来ると良いな〜。)

(それなら決勝戦で完全試合目指せば?予選じゃ変えられるだろうけど、決勝なら行けるだろ。)

 

 韓国代表が強いと言う事も、今回の大会がトーナメントでは無いことも、試合前ミーティングの段階でようやく知った北瀬。

 割と動揺した顔をしているが、高卒直ぐにメジャーリーグに飛んだ結果、彼を詳しく知っている人が少なかった事が幸いし、伊川にしか気付かれていない。

 雷市は気付ける可能性が一応はあったが、自由奔放な薬師時代ですら苦手だったミーティングで緊張していてそれどころでは無かった様だ。

 

 

「韓国相手にリリーフか、悪くは無いね!悪くは!」

「成宮よぉ、北瀬の完投判断されなくて有り難く思っといた方が良いんじゃねぇの?」

「本当にな。別に北瀬なら、完投だって行けただろ。」

 

 また不屈のプリンスが実力差を無視したとも言える傲慢な言葉を吐き、先輩から宥められている。

 

 別に成宮だって本当は、北瀬や竹阪との今の所の実力差を理解していない訳では無い。

 だが投手に相応しいエゴイストな性格を持ち合わせている上に、高い目標を言い続ける事によって自分を鼓舞している面もあるのだ。

 だから、彼の発言は必ずしも間違っている訳では無い。

 ……まあ、合っているとも言い難いが。

 

 それでも先輩に暴力や暴言などを受ける範囲までは行かないあたりが、成宮の持つ魅力なのだろう。

 正直、彼のやらかしだけを考えると、様々な問題が出ていても可笑しくは無かった。

 

 

「はい、行けます。けど成宮さんなら勝つでしょうし、どっちが投げても変わらないですよね。」

「――お前、分かってんじゃん!俺は強いもんね!!」

 

 北瀬の、高校生時代からの刷り込みによる本心の言葉は、意外と人からの評価を気にする成宮を内心感激させた様だ。

 強いライバル意識はそのままに、少しだけだが素直な後輩として認める感情が湧いてきた様だ。

 

 というか彼は、薬師メンバーの性格を特に認めていなかったにも関わらず、堂々と仲良しグループに混じっていたらしい。

 成宮が一緒に行動していた理由のほぼ全てが、技術を盗む為に近付いているという打算であった。

 それを特に隠していないにも関わらず、何となく薬師メンバーからも好意的に見られているのは本当に不思議である。

 

 いずれファン達から『勝利の星』と言われる様になる彼のモチベータースキルは、こんな所でも活かされていた。

 天才薬師メンバーから慕われ続けている真田キャプテンを超える戦意高揚能力は、本当に凄まじい。

 後々、彼は打倒北瀬&伊川を掲げ、綾瀬川や三島が所属するロッギーズに所属して共に王者の打倒を目指す事になり、大分厄介な相手になる事を今の北瀬達は知らない。

 

 

 

 

 

 

 最近連敗を重ねているにも関わらず、まだまだ順位は1位を独走しているヤクルス。

 先輩方がかなり調子を崩している事によって、奴に耐性のある若手5人が1軍に潜り込んでいる。

 最近1軍に定着しつつも、ポジションは奪えていない御幸とカルロスと、なんかヌルっと1軍リリーフローテの一角に成長している真田は今日も一緒に行動していた。

 

 御幸とカルロスはあまり人と深く関わろうとしない性格だが、人懐っこい真田によって何となく一緒に行動する事が多くなって来ていた。

 ついでに、御幸は真田の球を捕りたくて、カルロスは伊川の打撃を知りたいという実益もあったり関係である。

 

 

「今日は1位決定戦じゃん、お前らも一緒に見るよな?」

「まあ、いずれリードする選手達だからな。見ないって選択肢はねぇよ。」

「んー、どうせ勝つだろうし俺は見なくても良いけどよ。最近筋肉疲労が溜まってきた感じがするから休憩がてらに見ても良いな。」

「お、じゃあケッテーな!」

 

 こうして彼ら3人は、揃って北瀬達の試合を観戦する事になった。まあ、予定調和だろう。

 

 

 

 

 

 

『薬師黄金世代4人が出場する、2009年WBC第1ラウンド決勝戦!

日本の1等星エース北瀬、打率9割の美青年伊川、高卒3年目にして主砲争いを続ける轟、北瀬のライバルにして先発と外野の同時起用が成される綾瀬川の活躍を期待しましょう!』

 

 他にも素晴らしい選手は沢山いるというか、現時点の主砲が省略されているが……世間の注目度が反映された結果、薬師4人が大きく宣伝されている。

 だが前のオリンピックで屈辱の大敗を喫した先輩方は、文句すら付けられない心境らしい。

 今は大差勝ちをしているから、尚更に。

 

 プロとして当然知っている情報を聞き流しながら、ふと御幸は前から考えていた懸念を話し始めた。

 

 

「なんつうかさぁ……お前の後輩達っていうか、特に伊川って怖えぇよな。」

「え?あいつ、けっこう優しいと思うけど。」

 

 

 真田は、伊川を怒らせた事が無いので不思議そうな顔をしている。まあ伊川の沸点はかなり高いので、普通にしていたら怒らせる事は早々無いのだが。

 御幸は軽く首を振り、苦い笑みを浮かべている。

 カルロスも思い当たる節があるのか、チラリと御幸を見て同意を示した。

 

「そういう意味じゃねぇよ。怒られねぇ程度、プロとして平均に近い練習を軽く熟して遊んでるじゃん。でも実際、練習も出て結果も出してるから監督も叱れねぇじゃん。」

「ああ、そういうトコあるよな、アイツ。」

「そうか?俺が練習に誘ったら毎回ほぼ来てくれてるけどなぁ。」

 

 実は、理屈上は伊川の怖さを理解している真田。

 だが彼は野球を真剣に初めて直ぐの段階で伊川が近くにいた為、かなり感覚が麻痺している様だ。

 

 

――カキーン!

 

『伊川、余裕のツーベースヒット!最高の形でイチロウに繋げました!』

 

 テレビに映っている伊川は、汗一つかかず平然とした顔をしながら、大きくリードを取って次の塁を狙っている。

 御幸はそれを見ながら、呆れる様なオーバーリアクションを取った。

 

 

「だってアイツ、やろうとすりゃ何でも出来るし、誰でも出来て当然って顔してるだろ?なのに面倒見は良いし。

 俺は対戦相手として見てたから無理くり慣れられたけどよ、最初からチームメイトだったらな……頼り切りになっちまう先輩達の気持ちも、まぁ分からなくは無い。」

「しかも薬師には北瀬もいたしな。真田は、よくもま〜ここまで来れたよ。やっぱ投壊してたのが良かったのか?」

 

 御幸もカルロスも内心、高校生時代は薬師高校の強運を羨んでいたが、最近はそうでもないと思い直したらしい。

 ヤクルスの崩壊を見ていると、どうも普通のチームメイトでは彼らを扱い切れないと気付いたのである。

 

 

――ガギ

 

『これはピッチャー真正面。しかし伊川は、俊足を活かし3塁に進みました!』

『結果的には進塁打ですが、私はこれを進塁打とは呼びたくないですね。』

 

 解説達は、確かに事実ではあるがイチロウの失敗を抉るような発言をしてしまっていた。

 伊川などの異常さに慣れようとすると、他の選手達への対応がおざなりになる事が多々あるらしい。

 

 

「いや、なんか違う気がするな。だってピッチャーは、1人って訳にはいかないだろ?

 少人数時代から俺はあいつらの先輩だったからな。足を引っ張る訳にはいかないって、いっつも思ってたよ。」

 

 だがら、真田にとっては的外れだった。

 彼らと甲子園に行く為に自分が必要であると、黄金世代到来時から冷静に考えていたからである。

 肉体の持つ才能と、健全な自己肯定感、そして他者の才能を愛する性質が、彼を野球へといざなっていたのだ。

 

 

――ガギーン!

 

『轟!いい当たりでしたが惜しくもフライアウト。ですが3塁ランナーは余裕でホームイン!』

『まずは1点、良い試合の入り方ですね。』

『でも正直ちょっと、前の試合を見てると更に点が欲しくなってしまいますねぇ!』

『どっちにしろ勝ち濃厚ですがね。何故なら――今の日本代表には北瀬がいます。』

 

 前提として、轟雷市は素晴らしい選手である。

 まだ高卒3年目ながらもハードバンクの絶対的主砲として活躍し、WBCでも主砲争いが出来る程度の長打力を持っているからだ。

 

 しかし――それでも尚、北瀬の注目度には敵わない。

 高卒1年目で日本人ファン悲願のメジャーリーグ最優秀選手賞を筆頭に、数々の賞を受け取ったイケメンには敵わないのだ。

 

 親バカ雷蔵は、北瀬の飛躍を心の底から喜びつつも、俺の息子をもっと見ろ!!と思っている。

 比べる対象が間違っているだけで、注目は滅茶苦茶されている事を彼は気付けていない様だ。

 薬師フィーバーが凄すぎて、轟監督はかなり感覚が麻痺しているらしい。

 片岡コーチはその辺がズレなかったので、いつも気苦労を背負っている。

 

 

――バシッ!

 

「Strikeout Change!」

 

『これでスリーアウト。皆さんお待ちかねの北瀬がマウンドに上がります!』

『今日は現地で見られますからね、175kmのストレートが!』

『珍しくテンションの上がってますね!』

『野球好きなら当然でしょう。』

『ですね!』

 

 主砲の三振があっさり流され、御幸が見たがっていた北瀬のピッチングが始まろうとしている。

 

 御幸にとって、彼は複雑な感情を抱く相手であった。

 突如現れた強力なライバルではありつつも、捕手として取ってみたくなる投手。酷い相方も献身的に支え、U−18では意気込んでいた自分も変化球を封印させる事になってしまった。

 そして、いつか絶対に、また組むと決めている憧れの後輩投手なのだ。

 

 

 

――バシッッ!!

 

「Strike!

(ストライク!)」

 

「1球目、175kmストレート!今日も初球から素晴らしい安定感があります!やはり彼のピッチング安心して見ていられますね!」

「ええ、彼が負ける姿は中々想像出来ません。」

 

 

――バシッ!

 

「Strike!

(ストライク!)」

 

「2球目、160kmスライダー、これも勿論ストライク!バッター空振りました!」

「北瀬くんが投げている間は負けないでしょうね。」

「もちろん身体への負担がある為、彼に投げさせ続ける訳には行きませんが……最終ラウンドの決勝戦なら、彼の完投する姿が見られるかもしれません!注目ですよ!」

 

 

 

……

 

 

 

――バシッ!

 

「よしっ!」

「Strike out!! Game set!!」

 

『最後は成宮、得意のチェンジアップで試合を終わらせました!3回無失点、本来ならエースとしてでも通用したであろう若き天才です!』

『成宮良いですよね。私もけっこう好きです。』

 

 御幸達は、リリーフ成宮が意気消沈している韓国打線を抑えつけて、北瀬と2人で完全試合を成し遂げた所まで見ていた。

 北瀬の淡々と全力で投げ続ける精密機械の様なピッチングと違い、抑える所は抑えてここぞという場面で全力を出す変化球主体の成宮は、この世代だと玄人受けする部類に入るらしい。

 

 ちなみに、その言葉が完全に似合うピッチングを続けている沢村は、元気印の炎のサウスポー(劇場型投手?)として何故か妙にウケていた。

 プロに入ると軽い球を痛打される場面が増えたが、持ち前の強心臓で何とか抑え続けている様だ。

 高卒2年目にしてデットボール20回を達成したパワプロくん程では無いが、ノーコン剛速球の日本人最速右腕降谷と並べられて割と持て囃されている。

 

 

「ハハッ、やっぱ鳴はスゲェよ!俺も頑張んなきゃな。」

 

 成宮と幼少期から友人関係を続けてきた御幸は嬉しそうな顔で、珍しく本心からの笑みを試合以外で見せた。

 

 

 

 




 過去のアンケートで御幸を主人公にした感じの文書を出す事になっていたので、そうしたつもりです。なってなかったらすみません。

「いや〜やっぱり俺、凄いでしょ!次は先発を任せて欲しいですね!」
「あいつ、前は猫かぶるの得意だったのに……いや、まさか炎上キャラを狙ってるのか?」
「でもSNSではウケてるみたいだぞ。」
「確かに憎めないキャラしてるよな、成宮。」
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