【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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設定が秋季大会出場した事になった為、IF扱いに変更になりました。申し訳ありませんがご了承ください。

日時が変わってもメンバーは変わらない為、どこかで似たような事が起きている裏設定です。


IF 32球目 伊川の趣味

今日から寮生活になった、轟親子と北瀬達。これからの寮生活に1番ワクワクしている轟監督は、北瀬達に理事長達から聞いた寮の使い方について説明する。

ちなみに北瀬達より早く来ていた雷市は、既に説明を聞き終えて寮の部屋で寛いでいた。

 

 

「ここからここまでが、全部部員用の部屋だ! スゲェだろ」

「なにこれ、超凄いっすね!」

「こんなに部屋数入るんですかね……?」

 

テンションが高いのが北瀬で、低いのが伊川である。基本的に北瀬の方が、内心のテンションが高い。

相手に慣れるまでは中々話さない為、初対面の人からはそう思われないが、実際の所はそうだった。

 

 

「へー! ベットは4人ずつみたいっすね……それにしても寮生活かぁ、緊張します……」

 

こういった寮生活を当然経験していなかった北瀬達。彼らは上級生達が優し過ぎる、慣れない高校生活を半年間続けてきたが、やはり寮生活となると緊張していた。

 

無いと思うけど、俺達虐められないよな? ずっと一緒にいるとヤバくなってくる奴は山程いるし……先輩達に限って無いと思うけど……そう考え、北瀬は非常に緊張していた。

ちなみに伊川はそうでもなかった。人の悪い所を観察するのが北瀬より得意な伊川は、先輩達にそういう悪癖が無いのを察知していたからである。

薬師野球部の皆が好きだろうに、なんでそんなに緊張しているんだろうかと、伊川は疑問に感じていた。そういう所を確認し合わないのが、彼らの悪い所の1つでもある。

 

 

 

「あ、言ってなかったけど部屋割りはこっちで決めたから……とは言っても、お前ら2人は一緒にしたけどな」

『アザース!!』

 

監督達は、寮内を歩きながら話を続けていた。

部屋割りを監督が決めるのはごく普通の事なのだが、轟監督はわざわざ彼らに説明しているのだ。どうせ彼らは、部活での寮生活を考えた事も無かったのは分かり切っていたからだ。

轟監督の部屋割りを同じにしたという発言に、北瀬達は大きな声でお礼を言った。

……特に感謝していたのは伊川。ただでさえ他人と暮らしたくは無いのに、北瀬と別行動になったら発狂してたかもしれないと感じたからだ。

 

そもそも内心、伊川は寮生活に反対していたのだ。

誰も彼もが喜んでいたし、北瀬も喜んでいたし、タダで食事が出てくるから入寮する事に決めたには決めたが、未だに彼は嫌がっていた。

まあいつ仕送りが止まるかも分からないし、なるべく貯蓄しておきたいし、北瀬が嬉しそうだったから仕方ないけど。嫌だなと、伊川は内心憂鬱だった。

ちなみに若干内心が漏れていたので、轟監督は今からの寮生活の心配していた。

 

 

「お前らは入口から1番近いこの部屋な?」

『了解です』

 

北瀬達は轟監督が適当に決めたのだとばかり思っているが、それは違う。監督は部員達の部屋割りをしっかり考えて決めている。

 

 

まず、1・2年生は2人ずつ部屋に配置するという決め方をしている。

なぜかと言うと、まず来年の1年生の数は、今の1・2年生より大幅に多くなる事が予想されている。けれど下級生達が、なるべく上級生に話しかけられる環境を作りたい。

 

……だが、寮生活に慣れていない彼らを1人ずつ部屋に配置する訳にもいかない。

今の上級生達と違い、実質新設された野球部に入部してくる、骨のある下級生である。

1人で対応させていれば、薬師の主力にも関わらず、下級生達の思考に引き摺り回されてしまうのが目に見えている。

よって上級生と下級生の人数が合わなかろうが、今の1・2年は2人部屋に配属している

 

 

次に、部屋を2つずつ飛ばして今の部員を配置するという事だ。

これは、上級生の人数が足りない事による苦肉の策。新入生10人の面倒を、2人の上級生に見てもらう事で、寮生活の面倒事に最低限は対応出来るだろうと考えたのだ。

まあ大体の薬師高校部員は面倒見が良いから、多少の事は自力で何とかしてくれるだろう。多分。

 

そう考えた轟監督は、狂気に見えなくもない、上級生に殆ど全ての権限を託した上級生管理作戦を実行した。

やべー素行の奴がいたら基本的に上級生が対応してね。駄目そうだったら監督の俺に言ってくれ。後上手そうな部員がいたら報告してね。俺だけじゃ対応出来ねぇし……

 

 

そんな、性格の悪い上級生が1人でもいれば、部が乗っ取られる危険もありそうなこの作戦。だが轟監督は元薬師部員を信じている事と、ぶっちゃけ大人数の管理に向いていない自身の性格から実行してしまう事にした。

とりあえず俺が大人数の指導に慣れるまで時間を稼げれば良いんだ、よろしく頼むぜといった感じである。

 

上級生の部屋にいる2人+上級生の権限で管理する部屋4人×2部屋、これで合計60人までの新入部員に対応出来る! アリエナイ生徒任せな作戦で、とりあえず轟監督は下級生を管理しようとしていた。

もしかしたら、生徒の全てを管理しようとする完璧主義よりはマシかもしれないが……それにしても酷い。

 

 

薬師部員になりたい奴は100人、下手したら200人を超えているだろう。けど、どうせ薬師高校のキャパを考えればそれ位の人数しか入って来れないだろうし、と轟監督はなんとなく考えていた。

応援したいだけの新入生や、甲子園で吹奏楽をやりたい新入生も入学してくる。1学年70人弱の学校だから、多めに入れて100人位までだろう。その内、野球部に入るのは半分強位かねぇ……?

 

楽観的に考えていた轟監督。だが将来、学校側が教師数の増加などを頑張った結果、新入部員が100人を超えた事により完全にキャパオーバーしてしまう。

その場合、とりあえず寮関連は上級生の部屋を動かして、管理人数を上級生2人で1年生20人までに増やして対応したが……教員資格等の勉強すらしていない、ペーペーの雇われ監督には厳しい人数が急に集まってしまったのだ。

 

というかこの人数までいると、下手な管理職の大人より野球部上級生の管理人する人数が増えている。現野球部の1・2年生は、適当な上に新人の監督と、やる気のヤバい下級生にブンブン振り回される事が既に確定していた。

 

 

最後に、実力が高いグループから入口近くに配置。

理由は、毎日凄い上級生を見かける事によって下級生のやる気を上げ、なんとなく話し掛けやすくする作戦である。

まあこの作戦は、上記2つと比べたらついでにも程がある作戦なのだが、多少の効果はあるかもしれない。

ちなみに轟監督の部屋は、寮部屋内のど真ん中にある。ここと、もう2部屋だけ1人部屋なので、恐らく監督達が住む予定で作ったと思われる。

よって轟監督は、ありがたくその部屋を使う事にした。

 

 

 

 

「うし、ここが食堂だ」

『おお……』

 

300人までなら入れるらしいクソデカ食堂に、北瀬達は驚いていた。

この場面では気付かなかったが、流石に要らないと思われるレベルの食堂に対し、北瀬達はなぜコレを建てたのかと不思議がる事になる。

轟監督が入部試験を実施しなかった結果、北瀬達が3年生になる頃には部員が300人近くなる事を彼らは知らない。

 

 

「あれ、おっきいテレビもありますね!」

「それにホワイトボードも隣に置いてますね、何に使うんだろう?」

「作戦会議の時だろう。飯食いながらやれって事だ」

 

もしかしたら作戦会議室が別であった方が良かったのかもしれないが、ポケットマネーから建てた理事長は強豪野球部に詳しくない為、割と適当な作りになってしまっていた。

まあ、野球部の為にここまでやってくれた事自体に感謝すべきだろう。

 

 

「ここが監督室だ。多分……棚とか豪華な椅子とかあるし」

「へー、そういうのもあるんですね」

「暇な時はココにいる様にするから、なんかあったらとりあえず来い。あ、話したいからとかでも良いぞー!」

『はい……』

 

強豪校の作りを知らない北瀬達は、監督室と言う言葉が初耳だった。とりあえず監督の居る場所なんだなと、適当にスルー。

監督の言葉に対して、別に轟監督とは話したくはならないなと思いながら一応返事をしていた。

ちなみに今後、後輩達が大量に押し寄せて来た時の避難先として重宝する……かもしれない。

 

 

「ここが洗濯室。まー下級生が来たらやらせても良いけど、程々にしろよ」

 

轟監督は、北瀬達の性格を考えずに適当な事を言った。

監督直々に酷い事を言うなよという話だが、そもそも強豪校では洗濯等を下級生にやらせるのは割と常識だったりするので問題はない。

まあ北瀬達は下の人間をパシらせる喜びを特に知らない為、今は全く考えもせずに即答した。

だが彼らが2年生になると、後輩達に追いかけ回されてうんざりし、適当に洗濯を押し付ける未来があるかもしれない。

まあその場合でも、洗い残し等があっても全く怒らない性格の為、色々覚悟して強豪校に来ている下級生達は別に嫌がりもしなかったが。

 

 

「しませんよ、そんな事……と言うか、先輩達の洗濯ってやった方が良いですか?」

「やんなくて良いんじゃね? そもそも人数少なすぎて、下級生で仕事を回すとか今は出来んだろ」

「分かりました」

「別に、先輩達に言われたらやっても良いんですけどね……」

 

逆に先輩達の洗濯等は率先してやるべきかと確認する北瀬達。

人数が少ないから要らないと即答した轟監督だっだが、彼らは内心、尊敬する真田先輩達の為ならやっても良いかなと思っていた。

そんな雑務をする位なら、守備能力を何とか改善して欲しいと思われているとは知らなかった。

 

 

「ここが雨天練習場だ。あー雨の時とか筋トレをしたい時はここでやってくれ」

『えっ広すぎ!』

 

 

今まで使用してきた筋トレ室より明らかに広く、トレーニング機材も100人同時に使用出来そうな数だった。それに、謎の大きな空白地帯まである。

北瀬達の考えていた空白地帯を見れば普通、バットを振るための場所と、ピッチャーが投げる為の場所だと気付くと思われるのだが、野球部経験の浅い彼らは気付かなかった。

 

それに1人で何個も使える程器材を買ってどうするんだよと北瀬達は考えていたが、実はこれは英断だった。

北瀬達が3年生の頃になると部員が300人近い大所帯となっていた為、トレーニング機材が少なければ、一軍しか使用できない様な事態になっていた。

 

 

「学校にも似たようなのありますよね……どうするんですか?」

「さぁ? そこまでは聞いてねーや」

 

伊川が言っているのは、学校内に入部当初からある筋トレ用のジムの話だ。2箇所も要らなくねといった話である。

轟監督も彼から質問され、確かにと思った。だか合っても困らない事、そしてどうせ誰かが使い道を考えるだろうと放置することにした様だ。

ちなみにこの場所は、授業の合間すら筋トレに費やしたい一部の来年の後輩から絶大な支持を得ることになる。北瀬達は、マジかよーとちょっと引いていた。

 

 

 

「ついでに図書室だ。今ある本と、野球の資料、ついでに持参したマンガとかを置いても良いらしい」

「……必要なんですか? この部屋」

 

学校の図書室より広い、まだ本も少なくがらんどうな図書室。部員が座る椅子も沢山ある。

これに対して伊川は、本当にこんなに広い部屋が必要なのか疑問視していた。

監督は微妙そうな顔をしながら一応肯定する。

 

 

「まあ……多分、恐らく。建てた理事長の趣味じゃねぇの?」

 

ぶっちゃけここまで大きな図書室が必要とは思えないが、まあ無いよりはあった方が何かしらに使えるだろう。轟監督は適当にそう考えつつ、理事長の趣味だろうとした。

いや、図書室で勉強もしろというお達しだろうかと、勉強を全く教えられない監督は冷や汗をかいていた。違う。理事長は、資料室と混合したイメージで適当に作っただけである。

 

ちなみにこの部屋は来年頃から、図書室というより談話室に実質変更されていた。

北瀬達が進級した後、キラキラした顔で追いかけて来る下級生の群れから逃げ出そうと図書室で勉強し始めると、後輩の一部が付いて来て勉強。途中から勉強しないで話すだけの部員が現れ、気付けばそうなっていたらしい。

 

 

 

 

「寮のおばちゃんは2週間後位にくるらしいから、それまでは自炊だな。材料は適当に買って来たけどよ!」

 

雷市と合流して、現在朝の10時位。轟監督は暫くの間自炊してくれという宣言をきた。

その話を聞いて、伊川は少しだけワクワクする。彼は実は、割と料理を作るのが好きなのだ。

最近の悩みは、中々料理のレパートリーが増えない事である。

ちなみにその原因は、料理は慣れれば直感で良いんだという事を知らない為、料理本に書いてある作り方、材料の量まで丸暗記してから作るやり方にあった。

 

成人した後、趣味で料理教室に通った時に、割と適当で良いと聞いて驚く事になる。

 

 

「じゃあ食堂のおばちゃんが来るまで、俺が料理作っても良いですか?」

「まじか! ありがとよ! 伊川って料理すんのが好きだったりすんのか?」

 

轟監督の1言に対して、伊川は普段通りの顔でこう言った。

 

 

「そうっすね、俺の趣味って言ったら料理っす。特にアラ汁を作るのが好きです」

「アラ汁……じゅるり、割と真面目なお前なら美味そうなの作るんだろうな……!」

 

なんか渋い料理を得意料理として話す伊川。料理本にある丁寧な下処理を全く手抜きしない彼は、時間こそかかるが魚系の料理とは割と相性が良い。

アラ汁を作るのが好きなのは、北瀬と一緒に住むようになった頃にアラ汁をべた褒めされたからなのだが、わざわざ言ったりはしなかった。

 

 

「まあ魚の下処理は得意な気がします……ちょっと時間かかるかもですけど、材料買って来て作りましょうか?」

「マジか! 頼むわ!!」

「……なー親父、アラジルって何だ?」

 

1人アラ汁が分かっていない人間もいたが、伊川は今日のメニューをアラ汁、魚のフライ、モヤシのナムルに決定していた。

 

 

 

 

2時間位経ち、伊川が料理を作って持ってきた。

最初は食堂で食べる予定だったが、300人が入れる所に4人だけではあまりにもがらんどうとして寂しかったので、監督室に集まって食べる事にした様だ。

彼らは早速一口食べ……轟監督はその美味しさに愕然としていた。

 

 

「カハハッ、美味っ! 美味い!!」

「マジで旨っ! フライサクサクじゃん!」

「……サバフライ旨いっすよね」

 

轟親子がガツガツ食べながら料理を絶賛してきたので、伊川はちょっと照れながら話をすり替える。

サバを捌く所から始めているので、普通のサバフライより美味しいのである。

 

 

「モヤシのナムルもなんか旨いなァ!」

「伊川はわざわざ、モヤシの根っこまで取ってるからシャキシャキなんですよ」

「普通取るよ、料理本に書いてあるし」

「いやー……んな面倒くせぇ事まで普通しねぇよ」

 

多数派のご家庭は、モヤシの根っこまで一々処理したりはしない。料理が好きで手抜きをしない彼だからこそ、30分位掛けてモヤシのナムルを作っていたのである。

その時間をリードの勉強に使えば……とは言ってはいけない。伊川にとっては、野球部はたかが部活である。野球部で自主練しているのなんて、割と大切な仲間達への義理でやっているに過ぎない。

 

 

「鯛に人参大根ゴボウしいたけ……何個具材入ってるんだよ!」

「10種類っすね」

「……お前、もしかして毎回こんな豪華なの作ってんの?」

「そりゃまあ。毎回美味しそうに食べてくれるし手抜き出来ないっすよ」

 

伊川は毎日、2時間近く掛けて食事を作っていた。だって北瀬が美味しそうに食べてくれるし、料理も嫌いじゃないしと言った感覚である。

美味しそうに食べてくれる轟監督達を見て、寮生活も悪くないかもなと考え始めた伊川。

毎回料理を作れるのは食堂のおばちゃんが来る2週間後までなのだが、趣味の料理を他人に振る舞う事が出来るのは大きい。

そして実際、伊川の料理に味を占めた野球部員達は、しょっちゅう伊川に好物を頼む事になる。彼は嬉しそうにしている先輩達を見て、少し嬉しそうに食べている所を眺めていた。

 

そんな事を毎日しているから、リードの勉強をする時間が無くなって悲惨な事になっているのだが……野球<料理である伊川は全く気にしていなかった。

まあこれからは寮生活になるので、料理やゴミ出し等の雑務が無くなって睡眠時間は4時間位は取れるようになるだろう。

 

 

 

 

 

 




裏設定に近い伊川くんの日常

6時〜  部活開始
8時〜  学校スタート
15時〜 部活開始
20時〜 北瀬とゲーム
22時〜 明日の支度
0時〜 予習勉強
2時〜  料理作り置き
4時〜  寝る
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