【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話 作:いちごケーキ
6時〜 部活開始
8時〜 学校スタート
15時〜 部活開始
20時〜 予習勉強
22時〜 寝る
寮に入った事や、医者に伊川が睡眠問題を指摘されてから、北瀬が伊川の為にゲームをしなくなって半強制的に寝させる事にしたため、伊川の睡眠時間は劇的に改善しました
尚、伊川は悪夢を見たくないから寝るのがあまり好きではありません
まさかの部員不足で敗退した北瀬達は、部員集めに疾走させられていた。だが、クソきつい野球部に、今から入ってくれる人は見つからない。
「背の高いそこのキミ、野球部入りませんか?!」
「苦しいのはちょっと……」
「ヒョロっとしたそこの人、野球部に入って筋肉付けませんか?!」
「俺一応バスケ部なんで……」
「君、野球部入らない?!」
「SNSで呟かれる覚悟が無いっていうか……」
勧誘を頑張っても、野球部を見学しようという人は一向に現れない。一応甲子園ベスト4の部活なのに、他のチームは沢山部員がいるのに、なぜ薬師高校だけは人数が集まらないのだろうか。
北瀬は校内生徒のあまりの反応の冷たさ、無関心さに、地団駄を踏んでいた。
「なんで部員がこんなに集まらないんだ?! マジで楽しい部活なのにさぁ……?」
「野球をガチでやりたくはないんだろ。分からんでもない」
伊川は、やりたい訳でもないのに最近話題に挙がるから入ろう、と誰も考えなかった事を内心称賛していた。
やりたくもない奴が部に入ってきたら、部活がやり辛くて仕方ないだろうが!
完全に自分を棚上げして考えていたが、まあ伊川は割と取り繕う努力をしているのでマシな方かもしれない。
主砲の1人でチームの看板である雷市を筆頭に、伊川はリードの努力をしているのに一向に上達しないのだと考えている部員も割といた。
「どうしよう、人数が集まらないと甲子園行けたら大変な事になっちゃうのに……」
北瀬が半泣きになっているのを見て、伊川は思ってはいたが口には出さなかった疑問を口に出した。別に、何もマトモな部員だけを集める必要は無いのではという話だ。
「人数がいれば良いなら幽霊部員を集めて、試合の時だけ来て貰えば良いんじゃないか? ワンチャン泣きつけばなんとかなるかも?」
「確かに……」
本当はよろしく無いだろうが、もうそれしか無いんじゃないかと、北瀬は半分投げやりになりながらこの意見を轟監督やチームメイト達に伝えた。
そして人数集めに疾走していたのに全く部員が集まらない野球部員達は、かなり適当な伊川の言葉に賛同してしまった。
こんな面倒で無益になりそうな事をする位なら、練習していた方が良いと考える部員が大半だったのだ。
どうせ甲子園に行ける確率は低いんだし、ド素人のやる気ない奴を4ヶ月育成しても結局大差ないだろうと、春の甲子園に行けた場合はベンチに6人テニス部員を入れて対応する事になる。
ちなみに部員が集まらなかった理由は、練習がキツいと分かり切っている事、超陽キャの巣窟である事、監督が胡散臭い事、SNSでめちゃくちゃ個人が特定される事の大体4つに分けられる。
偏差値がどちらかと言うと低くやる気のない学生達にとっては、これだけ理由があれば1人も入らなくても当然だろう。
まあ後は、人が良くて強引に勧誘する事が出来なかった薬師部員達の問題もある。
学園長とか教頭とかに泣きつけば、もしかしたら半強制で誰かを入れてくれたかもしれないが、そこまでは薬師部員には出来なかった。
ちなみにテニス部員は弱小なのになぜか部員数が30人を超えている為、2軍の貸出を教員兼監督が快く行ってくれた……無理矢理ド素人として甲子園に連れて行かれるテニス部員一向は、泣いて良い。
「えーこれから、春の甲子園か夏の甲子園を目指して戦う事になりますが! 新たなコーチを紹介します。ではどうぞ!」
「コーチとして呼ばれた、片岡鉄心だ! 薬師高校の一員となったからには、甲子園優勝が目標だ……これから、よろしくお願いします」
『??!』
最近轟監督に、やる事が多すぎて管理出来ないと泣き付かれた理事長は、元青道高校監督の片岡をコーチとして雇うことを決定。薬師部員一同の度肝を抜いた。
すげぇ、強そう、威厳がある、この人の方が監督より監督っぽくね、怖そう……薬師部員の反応は、大体こんな感じだった。
というか、薬師高校と青道高校は同地区なのに、監督が移動してきて大丈夫だったのだろうか……? 真面目な平畠と秋葉、意外と現実的に物事を考える真田と伊川は疑問に感じた。
当然、あまり宜しくは無い。
片岡監督……いや、コーチも苦渋の決断だった。だが実質青道高校から追い出された片岡は、高校野球に関わりたいならこれしか道がなかったのである。
「元々はライバル同士だったが……これから薬師高校の一員になる以上、しっかりと指導をしていく
主に打撃指導を得意としているが、守備練習など、別の話もできるつもりだ。気になる事があったら、積極的に話しかけてくれ」
『……おなしゃーす!』
薬師部員は返事を返したが、轟監督も打撃指導が得意なのに、この人がコーチだと相性が悪くないか? と素朴な疑問を感じている部員も何人かいた。
まあいっか、俺達はファイアーカルテットの薬師高校だし! 俺達は打撃だけしてれば良いんじゃないか?!
素朴な疑問がある部員もいたが、本人のホームランを打ちたいという欲求にかき消されてしまっていた。
……恐らく、轟監督と片岡コーチの相性は悪いだろう。野手陣のコツは教えられたが、バッテリーの育成は元々苦手としていた。だから打の青道と呼ばれていたというのもある。
打撃だけは高校野球最強格の薬師に、更に打撃系のコーチを足して何になるというのか。
それに、適当な性格の轟監督とキッチリとした片岡監督では、時間の使い方や寮生活のルールに対する意識が全く違う。理事長が相性を考えずに適当に雇った事で、部員達は暫く苦労する事になる……
いや他の仕事もあって忙しい理事長からしてみれば、名門校の元監督で生徒達から慕われているらしい所まで調べれば、この人が良いんじゃないかと思って当然だろうが。
「伊川、今から話がある。監督室に来い」
「?! えっ、今からっすか??」
次の日、片岡コーチに呼び出された伊川。
まさか青道高校が敗れた腹いせに闇討ちするのではないだろうかと、ビクビクしながら監督室に向かった。
もしバットで襲いかかって来たら、俺は勝てるのか? ……明らかに威圧感が素人ではないし、ガタイも俺より良い……厳しくないか。
内心恐怖を感じて顔が少し青ざめている伊川。そんな彼を見た真田と北瀬が、心配そうに見つめていた。
「なぁ涼、始はどうしたんだ? 珍しく青ざめてるけど」
普段一緒に行動している北瀬が、この事に気付かない筈が無いと考えたら真田先輩。とりあえず北瀬に説明を求めていた。
「いや、なんか片岡コーチに呼び出されたらしくて……あの人怖いからビビって震えてるんすよ」
「うわぁ、あの人から呼び出されたら俺もチビる自信があるわ。でも俺にはどうする事もできねぇ……始は頑張ってきてくれ……」
「あの、失礼します」
「そこに座れ」
眼の前には机と片岡コーチ。現実逃避できる物がねぇと思いながら、
「はい……あの、要件は……」
「前から思っていたが、なぜ伊川はリードを勉強しない」
伊川はその言葉を聞いて、困りながら面倒臭がりながらというか、
「いや、部活の時間に無いんで……」
「強くなる為には、日々の鍛錬が必須だ。お前は、強くなりたいと思わないのか?」
伊川はコーチにいつ殴りかかられるか怯えながら、相手の質問に誠実に答えていた。
ぶん殴る口実を与えてしまうかもしれないが、この眼圧を相手取れば、嘘はバレてしまうから駄目だと察してしまったのである。
流石は強豪校の元監督。伊川如きのメンタルで太刀打ち出来る相手ではない。
当然だが、片岡コーチは殴りかかってくる様な人間性をしていない。コーチの顔が怖いのと彼に威圧感があるのもあるが、基本的には伊川の被害妄想である。
「えーっと、いや、別に野球で食ってく訳でもないし、ぶっちゃけ北瀬がやってるからオマケで野球やってるだけなんで……すんません」
「そうか……強くなりたくなったら、いつでもここに来い___俺は待っているからな」
ここまで野球に興味の無い部員を担当した事がなかった片岡コーチは、とことんやる気の無い伊川に対応しきれなかった。
片岡コーチは恐怖政治タイプに見えて、部員全てを育てたい誠実な育成者タイプである。
生徒のやる気をサポートし、自ら出来る人間に育てていく人格者だが、ぶっちゃけ伊川の様なやる気の無い天才部員に強制出来る人間ではなかった。
後は、まだ伊川の好感度が全く高くなかった事も大きい。轟監督が言えば、一応監督に愛着が湧いている伊川は多少検討しただろう。
(ひえー、怖かった。いつブチ殺されるかと思った。あの人意外と精神力高いのかな? 言った内容的に、お前なぞ要らんシネってプチッと潰されるかと思った……)
伊川は片岡コーチの、サングラスからでも分かる眼圧に怯え萎縮していたが、片岡コーチはめちゃくちゃ良い人である。それだけは伊川に伝えておきたいが、難しいだろう。
「……伊川、片岡コーチどうだったよ?」
「眼圧がめっちゃ怖かった……ヤクザかよ……」
「そこまでいう程怖かったのか?! 記者に話しかけられても骨ヤられても普通の顔してた伊川が?!」
その記者に話しかけられるのと、骨を折られるのを同列に語るのはおかしいが、超不良校にいた北瀬達にとっては同じ位の出来事だった。
というか、骨折られた時より恐怖を感じる眼圧とは一体……いや、骨を折られた時は北瀬を守る為とかでアドレナリンが出ていたのかもしれないが。
部員数100人を超える名門校の監督だった片岡コーチは、その辺のヤクザより圧があるのだ。
「奴は人殺しでもおかしくない……」
「マジかよ?!」
北瀬達の地域では、嘘か真かそういった噂が流れている人間がいたので、本気で片岡コーチの事もそう勘違いしていた。
彼らのいた地域は、偶に度胸試しの若者達が何人かで来て、ここが日本かと驚く位には治安が悪かった。喧嘩をしている人やナニカを吸っている人が道端に普通にいる位だ。
……多分、殺した噂の流れている人の何割かは、本当にヤッていたと思われる。
「怖えぇぇ! なんて奴をコーチとして呼びやがった、あの理事長!」
「この人事、理事長が決めたのか怪しいけどな……」
理事長が決めてはいるが、片岡コーチは完全に人格者である。クレームを入れたくなる程、性格の悪い人間ではない。
まあ、轟監督と片岡コーチの育成方針の違いは、後々面倒事になるかもしれないが。
コーチなんだから、監督の言う事を聞けと思うかもしれない……だが、轟監督があまりにも適当なのだ。
新入部員は今の部員達に大体任せよう。自主練習は好きにやって良いよ。遊びに行きたいなら、どこに行くのかは書いておいてね。大体そんな感じである。
新入部員への説明は大体、見かねた片岡コーチがやる事になる。
自主練習は打撃しかしない伊川をなんとかしたくても、轟監督にあいつはプロ行ったらファーストかDHの男だからヨシとあまりにも適当な事を言われて困惑し。
自主練習は打撃特訓をする物だと解釈して善意で後輩にまで勧める上級生に、止めたいけど止められないと葛藤する事になり。
そして、部活があるのに休んでディスニーに行った輩を適当に許す轟監督に内心ブチギレる事になる。
轟監督は、いつ野球部が面倒になって辞めるか分からない不発弾を高校生の内に爆発させないように、プロに行かせられるようにつまらない事は基本させていないのだが、そんな事は言わなければわからない。
この天才を、プロにもさせずに腐らせる訳にはいかない、どうにかプロに行きたいと思ってもらうしかないと、轟監督は考えていた。
伊川はプロになったとしても、やっぱり普通の生活がしたいとか言って簡単に辞めそうだが、その件はプロ側に頑張って貰うしかないだろう。
この話を片岡コーチにも話しておけば良いと思われるのだが、薬師高校には報告・連絡・相談をするシステムが無かったのでしなかった様だ。
まあこの話を話したとしても、人格者の片岡コーチは部員を不平等に扱う事はできないとして、逆に伊川に厳しく当たったかもしれないが……その場合、どうなっていたかは一切不明。
将来入部してくる、部活があるのに休んでディスニーに行った、その後部員達からディスニー君とあだ名が付けられる彼。
普段は真面目に練習をしているのだが、彼女のディスニーに一緒に行きたいという可愛らしいおねだりにどうしても答えたくなってしまったらしい。
家の猫が死んでしまったから葬式に行くと嘘を吐いて出かけた彼だったが、しばらく経ってからの片岡コーチとの面談でバレてしまった。
コイツの処遇をどうするか轟監督に聞きにいった片岡コーチ。割とブチギレている。野球部としての自覚が足りない、悪い事をしたなら反省させなければ、また次の人間が現れるだろうと考えていたのだ。
対して轟監督は面白い奴だなぁ、罰として1週間トイレ掃除お前だけでやれよ。というめちゃくちゃ軽い罰で済ませてしまう。
サボるのも本人の自由だろという適当な考え方をする轟監督を見て、片岡コーチは俺がなんとかしなければと考えたらしい。
ぶっちゃけ轟監督は、少数人数のやる気無しのやる気を出させる事ができるモチベーター件打撃コーチとしては非常に優秀だったが、大人数を管理する能力は特になかった。
信頼関係のある少人数なら、悪い事をするのは何となく辞めようという空気に出来るのだが、大人数になると何となくではなく規律で縛っていかなければならない。
だが轟監督はルールを考えるのに向いていないし、そもそも大人数を管理するのに性格上向いていない。
轟監督も場数を踏ませればやる気はあるので何とかなりそうだが、とりあえず1軍を管理するのが轟監督、2軍3軍を管理するのは片岡コーチで合意した。
普通の意味ではなく、2軍3軍の権限は片岡コーチの方が強いという意味である。規律や場数を踏ませる人間も、片岡コーチが決めて良いという事だ……その内乗っ取られても仕方ない杜撰な体制だが、薬師野球部はコレで良いのだろうか?
とりあえず秋季大会に負けて青道をクビになった、片岡元監督を入れてみたのですが、いるのといないのどちらが良いでしょうか?
投票でいないほうが良ければ、恐らくIF扱いにします
片岡コーチがいれば、薬師高校は強豪校としての動きが最低限出来るようになります
片岡コーチがいなければ、薬師高校はゆるゆるの上級生と熱心な下級生でてんやわんやします
片岡コーチっていたほうが良い?
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無回答
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いたほうが良い!
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いないほうが薬師っぽい!