【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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ウィキ・原作・個人サイト等で調べましたが、ミスはあります。主人公が入ったことによりポジションが変わっている人がいます。
配球理論とか多分目茶苦茶です。指摘してくださる際は出来れば優しくお願いします。

投稿を予定していなかったのですが、間違えて投稿してしまいました。非公開にしようとする前に、お気に入り追加してくださった方がいて嬉しかったのでそのまま投稿します。マジで見切り発車です。


1球目 雑な神様転生

「ウェイウェイウェーーイ!!」

「ウェーイウェーイ!!」

 

弱小野球部に所属する彼ら、金髪に染めているのでぱっと見ヤンキーの北瀬涼と伊川始の中学校は卒業式だった。

普通は友達と別れるのを悲しんだり、最後の打ち上げに行くのだろうが、二人は卒業式が終わった瞬間、彼らの家で打ち上げと称して普段通りにパワプロをしていた。

 

何故なら彼らの所属していた中学校は治安が悪く、野球部は控えめに言ってゴミだったので、惜しむ所が無いからだ。

部内の三人に一人は学校で喫煙しているヤンキーで、三人に一人は転部していて、残りは虐められているか不登校だった。

更に監督は入部して数日後、一年生の入部届けを受け取ったら一切来なくなったのだ。多分クズ共に関わりたく無かったのだろう。

思考能力のあるマトモな奴は3ヶ月以内に転部するし、適応すれば校内でバイクをブンブン乗り回すし、どちらも出来なければ精神を病む。

 

まあこんな感じの部活だから、他生徒には野球部と言うだけで敬遠されてしまい、同じ野球部の数少ないというか野球部に2人だけしかいない、学校に通っていてヤンキーじゃない北瀬と伊川は半強制的にニコイチだった。

彼らは辞める努力の出来ない人間だったので、野球部にのみ存在する謎伝統、卒業式の日まで部活に顔を出すというルールを生真面目に守っていた。

引退した万年1回戦負けだし、今年は出場停止の部活をやり続けて何になるのか。

いや、カースト上位のヤンキー共に逆らえなかっただけだ。本人達も自覚している。

 

とにかく彼らは卒業出来て喜んでいた。

こんな俺等も、今日からは自由だ!

この貴重な春休み、何をして遊ぼうかな。高校入学に必要な物は後で準備すれば良いし、初日から勉強するのはダルいし。

何事にも適当な彼らは、5時間も野球ゲームの実況パワフルプロ野球をした後、そのまま浴槽にゲーム機を持ち込み中で3時間もやり続けてのぼせた。

 

野球部で散々嫌な思いをしてきたのにパワプロをやめないのは、図太いのか本当に好きなのか。

対戦に飽きた彼らは、キャラを育成しようと思ってサクセスで高卒選手を一人ずつ育成し、プロ野球選手を楽しむマイライフをしようと同時に押した。

すると普段は無い、転生するというボタンが出現した。

 

「なにこれアプデ?」

「なら攻略してwikiに載せようぜ」

「でも最近やってなかったからなぁ」

「なんだ、唯の新要素か」

 

割と軽率な彼らは、全く怪しみをせずに転生ボタンを押した。

すると顔と手が引き寄せられ、トリモチのようにくっついた。慌てて取ろうとすると身体がミシミシ言い出す。

 

「いてぇー助けて!」

「辞めろK○NAMI!」

 

それから数分……いや彼らの体感的には3時間位後に、ようやく痛みが止まり顔と手が離れる。

親友なのに助けてくれなかったので文句を言おうと、隣にいる奴を睨みつけたら、全く知らない奴がそこにいた。

 

「お前誰だよ?!」

「北瀬どこだ?!」

「俺は北瀬だ!」

「俺の名前は伊川始!」

『嘘だろ顔が違う!!』

 

お互いの声に驚き、鏡を見る為に慌てて洗面所に行くと、北瀬の立ち位置には染めて傷んだ筈の髪の毛がテュルテュルになった、カラコンでは無い自然な碧眼のイケメンが映っていた。

伊川の立ち位置には、こんな奇抜な色に染めた覚えは無い所か染めた事が無いのにピンク髪になっていて、眼までピンクのかわいい系イケメンが映っていた。

普段は鈍い彼らだったが、なんか2人の身体は知らない物になっていると分かった。鏡を見たのだから誰でも判るかもしれないが。

思考停止状態になった彼らは日々の習慣が無意識の内に出たのか、学校カバンに入っているスマホでT○itterで呟こうと走った。

噂では聞いた事があるガラパゴスケータイ、通称ガラケーしか入っていなかった。

 

「俺のアカウントどこだ?!」

「スマホごと消えたんじゃね?」

「呟けねぇじゃねーか!」

「つかバレたら実験送りじゃね?」

 

具体的には言わないが被害妄想気味の最悪な展開を想像し、彼らは一周回ってちょっと冷静になった。

冷静に考えて、とりあえず今年の春から通う事になる高校入学の準備をしようと思い、高校指定のカバンを取り出した。

見知らぬ、今の彼らの顔が映っていた。

 

「おっかしいなぁ、俺らの写真まで今の顔になってるぞ」

「逆に考えるんだ。顔が勝手に整形されたんじゃなくて、知らない誰かになったんだ」

「でも俺らの名前は同じだぜ? ほら学生証」

「……知らん! 実験室送りになんなきゃそれでいい!」

「バレたらやばくね?」

「高校に知り合いが居ない事を祈れ!」

 

彼らは元チームメイトのヤンキーに会いたくなくて、都内なのに片道30分も電車に乗る普通の高校に入学を決めていた。

そんな些細な事をこの状態で思い出す事は無かったが、数日後に思い出してその時の自分に感謝を捧げていた。

まあ実際は同姓同名の他人に憑依していたので近場の高校でもバレる事は無かったが、臭いものに蓋をするタイプで一切調べない彼らは一生気付かないだろうと思われる。

 

「母親に何て説明すればいいんだ……」

「あいつらそのまま帰って来ないでしょ」

「てか2年も音信不通だし俺らの顔忘れてるかもな」

「せやな。良かった!」

 

周りの人間は中学時代の担任しか知らないのだが、実は二年前に彼らの父親と母親が再婚して、その直後に転勤で海外に行ってから一度も帰って来てない。

反抗期と重なった事や育児放棄気味だった事もあり、急に家族になった割に気の合う彼らは、2人共親なんて一生帰って来るなと思っていた。その想いは異世界に来た事もあり強くなった様だ。

ちなみに新しい両親もそんな感じだったので、帰って来なかった事は彼らにとってラッキーだっただろう。

まあ生活資金は贅沢をし過ぎなければ余裕な額が振り込まれているので、マジで帰って来るなとは思いつつ彼は恨んではいなかった。

 

「まあ良いや、入学式まで遊ぼうぜ」

「いや待て……明日入学式だ!」

「ハァ?! マジで??」

 

彼らの転移してきた日付は数週間ズレていて、卒業した当日なのに明日が入学式になってしまっていた。遊びまくる筈だったのに。

いや、急に大学生になっていて勉強が分からないよりはマシだが……

彼らは神を恨んだ。

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