【完結済】気付いたらパワプロで適当に育てた選手に転生してた話   作:いちごケーキ

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今日の打順

1番 秋葉(センター)
2番 伊川(キャッチャー)
3番 北瀬(ピッチャー)
4番 轟(サード)
5番 火神(レフト)
6番 三島(ファースト)
7番 結城(ライト)
8番 増田(セカンド)
9番 米原(ショート)

これが基本的な薬師打線になりますが、5番火神と6番三島は入れ替わる可能性があります。


81球目 3度目の勝負

 

 

 

 

次戦うチーム同士なのに、何やかんや割と和やかに試合観戦をした薬師と青道。

大エース北瀬が、青道高校のピッチャーを認める発言をしたのが良かった様だ。

 

最初は北瀬の敬語を聞いて、降谷への嫌味か? と思っていた選手もいたが、北瀬が和やかに話し続ける姿を見て違うだろうなと直感したらしい。

まあ結局、なんで日本最強と思われる大エースが、降谷を尊敬しているのかという疑問は残っていたが。

北瀬の説明が下手だったので、あまり伝わらなかったのである。

 

 

 

最終的に見ていた試合は、稲城実業が4点差という大差で勝利し、だよなぁと言った雰囲気を醸し出している両校。

彼らの因縁のライバルである稲城実業の強さは、当然知っているのである。

もうすぐ試合なので素早く撤収作業を始めながら、北瀬と沢村はお互いに闘志を燃やしていた。

 

 

「今日、沢村達と話せて良かった! でも、優勝出来るのは1チームだけなんだよな……俺だって、負ける気ねーからな!」

「おう! 俺だって負けない! 勝負だ北瀬!!」

「……僕も、負けない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ2回戦が始まる場面、割と張り切っている轟監督がチームを鼓舞していた。

自分の教え子達が全国制覇しているとはいえ、強豪渦巻く西東京3強相手というのは気分が高揚するらしい。

それに彼らは同地区のライバルで、1年生を試用運転していたとはいえ春季大会で負けているという事実も大きいだろう。

 

 

「相手も強打の青道だが……俺達が打撃で負ける事は有り得ねぇ! ここから先はオメェらの仕事だ! 大好きなホームランを、しこたま打ってこい。ここでドカンと勝ち越して、気持ち良く優勝するぞ!!」

『おーっ!!』

 

 

 

 

 

 

普段からテンションが高いとはいえ、監督のハイテンションにつられて更に盛り上がっている薬師高校。

対する青道高校は、落合監督が落ち着いた声色で酷い事を言っていた。

 

 

「相手は甲子園優勝校、まあ格上相手って事だ。普段通りの野球をしてたら勝てない

打撃は当てて、守備のミスを狙う。守備は長打警戒……勝てる可能性は低いが、やってみなきゃ分からん。自分の進学の為にも、とにかく勝てる様に努力してくれ」

 

「……ハイッ!」

 

演説が苦手な落合監督は、理屈は正しいとはいえやる気を下げそうな事を言っていた。

指導は上手いし無理をさせたりはしてないのに、生徒達に慕われないのはこういった所が悪さをしている。

 

その上、監督はエースにだけ特別に一言を掛けていた。チームワークとか、そういう事をあまり考えていない様にも見える。

 

 

「……勝つにはエースの奮闘が必須だ。頼んだぞ、降谷」

「はい! ……負けるつもりは、ありません」

 

だが、エースはその一言でやる気が出た様だ。

降谷にとってもエースという言葉は重く、自分がやらなければという気持ちにさせられていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1回表、青道高校の攻撃は1番倉持から。

相手は優秀なバッターとはいえ、164kmの北瀬が警戒する程ヤバい相手ではないかもしれないが……彼はつい先程話していた、降谷や沢村へのライバル宣言が尾を引いていた。

 

 

(追い込んでから、全力ストレートを使いたい。良いか? 伊川)

(そこまで警戒するバッターとは思えないけど……まあ良いんじゃね?)

 

 

___ガギン

 

そんな事を考えていた薬師バッテリだが、彼らの思惑通りにはいかず、ゴロからのエラーで進塁されてしまう。

キャッチャーである伊川が、未だに他人のゴロを打たせるリードをコピペしているから仕方ないのだが、北瀬は悔しがっていた。

 

やる気を出した瞬間打たれた事で、北瀬が思わず感情を出した。

 

 

「やられたっ!」

「まあそんな事もある!」

「……そうだな! 伊川」

 

不甲斐ない自分にイラッとしていた北瀬だが、伊川の一言で直ぐに落ち着きを取り戻していた。

まあ、はたから見ると明らかに打たれた原因であるキャッチャーが言うなという話なのだが……北瀬は気付いていない。

 

 

 

 

ノーアウトランナー1塁、バッターは2番小湊。

彼に対しても、北瀬-伊川バッテリーは追い込んでから全力ストレートを使おうと考えていた。

 

 

___バシッッ!

 

「ストライク、ツー!」

 

バッターがツーストライクと追い込まれた状況で、青道高校の選手達は内心こう考えていた。

 

 

(倉持先輩に出塁された時、北瀬は珍しく感情を乱していた筈だ……それでコントロールが崩れてくれるかもと思ったけど、そう上手くはいかないか?)

 

当然、そう上手くはいかない。北瀬は気分でバッティングが左右されるタイプだが、ピッチングは気分に左右されない質である。

彼からすれば、言われた所に言われた通りに投げ抜くだけなのに、なぜコントロールがズレるピッチャーがいるのか良く分かっていなかった。

 

 

そして、ノーボールツーストライクと追い込んだ薬師バッテリー。

この場面で、伝家の宝刀である全力ストレートを解禁した。

 

 

___ズバシッッ!!

 

「……ストライク! バッターアウト!!」

 

「すげぇぇ! 何だあのボール」

「キター164km!!」

「大エース北瀬のストレートやべぇ!!」

 

明らかに他者と違う、怪物球威を持った164kmストレートに、観客達は大いに湧いていた。

 

 

正バッテリーの投球を見ていた由井も、知っていた筈なのに圧倒される大エース北瀬の投球や、それを難なく処理する伊川のキャッチングに惚れ惚れしていた。

 

凄い、あれが北瀬先輩の言う全力ストレート……! 今までは上手く行ったストレートなのかと思ってたけど、言われてみれば全然違う……!

精密極まるコントロールを少しだけ捨てて、その分の全てを球威にしているんだ!

 

彼は、高校所か日本最強と確信できる大エースを見て、夏の甲子園では俺が取ってみせると覚悟を決めていた。

あれだけ凄い選手と組める機会がある、その幸運に感謝していたのである。

 

 

 

 

「ナイス三振!」

「ナイピ!」

「涼ー! この後も三振頼んだぜー!」

「ナイスです、北瀬さん! 伊川さん!」

 

「秋葉ー! この後ホームラン頼むぜー!」

「俺ホームラン狙うタイプの選手じゃないんだけど……」

 

 

3番白州と4番降谷も三振に打ち取り、青道高校相手に無失点で切り抜けた北瀬。ベンチも喜んで彼らを迎え入れ、明るい空気のまま1回表が終わった。

 

 

 

 

 

 

次は1回裏、薬師高校の攻撃は1番秋葉。

 

 

___バシッッ!

 

「ボール、フォア!」

 

降谷の荒れ球に対して冷静に対処した秋葉は、ワンボールの状態で四球を勝ち取っていた。

どうも今日の降谷は、力み過ぎてコントロールが定まらないらしい。

 

 

「四球狙いとか甘えだぞー!」

「でも一応良くやったー!」

「ナイス見極めです、秋葉さん!」

「フォアボールじゃホームラン打てねぇぞー!」

 

相手の状況を見極めて冷静に対処した秋葉だったが、薬師野球部1・2年生からのウケは悪かったらしい。

常にホームランを求めている彼らからすれば、バットを振らない四球なんて甘えだった。

 

野球という競技に対して、何か齟齬がありそうな彼ら。

勝負事に謎の美学を持ち込むのはあまり良くないと思われるが、その楽観的思考が終盤での粘り強さをもたらしているから難しい所だろう。

 

 

 

ノーアウトランナー1塁で、打席には2番伊川。相当な威圧感のあるバッターである。

 

 

「……」

「ボールフォア!」

 

人外の動体視力を持つ彼は、荒れ球を積極的に打ちに行くのを面倒臭がって四球狙いをした。

そして当然の様に成功させて、伊川は1塁に進む。

……打率10割に近い彼は、積極的に打ちに行った方が明らかにリターンが大きいと思われるのだが、根本的に野球に興味がない為楽な選択肢を取った様である。

伊川への対策に、コントロールの悪いピッチャーをぶつけるという選択肢が出てきそうな話だった。

 

 

「伊川ー! 次は積極的に打てよー!」

「ボールフォアなんて甘えだぞー!」

「フォアボール狙い、ナイスです!」

「三振で良いから打ってこいやー! お前が打てなかったの見たことないけどな!」

 

「別に、ランナー進んだんだから良いだろ?!」

 

伊川の人外じみた打撃力を知っている薬師ベンチは、非難轟々。

薄々楽がしたかっただけだと分かっているので、真面目にやれというかホームラン狙えやというブーイングを飛ばしていた。

秋葉の時の様な、フォローする言葉がほぼ無かった。

 

伊川は何で俺が非難されてるんだとクレームを入れていたが……まあ、真面目に公式戦をやらない彼が悪いと思われる。

 

 

 

 

ノーアウトランナー1・2塁、打席にはエースの北瀬が立つ。彼も妙な威圧感のあるバッターだ。

誰も知らないが、パワプロ能力で威圧感の入手条件を満たしていた結果、最近能力に追加されたのである。

 

 

(降谷さん調子悪いのかな……まさか怪我?! 大丈夫かな? まあ、手加減はしないけど)

 

そんな事を考えている北瀬だが、降谷は別に怪我ではない。

彼は立ち上がりに課題がある事が多く、その日の調子に左右されやすい質なので、今日の調子が少し悪かっただけである。

 

北瀬の前で、その調子が悪い時のピッチングを見せたことが無かったから知らないだけなのだ。

 

 

___カッキーン!

 

『わああぁぁ!!』

「ホームランキター!」

「164kmのホームランバッター最強!」

「北瀬! 北瀬!」

『北瀬! 北瀬!』

 

MAX154kmから、盛大な初球ホームランを放った北瀬。

薬師高校を見に来ていた観客達は大盛りあがりで、北瀬コールが鳴り響いている。

 

 

 

そんな薬師イケイケムードの中、次の打順は4番轟。

高校最強打線の薬師高校の中でも、轟は最強のバッターである。つまり彼が、高校最強の長距離バッターだという事だ。

 

 

「カハハ……カハハハ……! フルヤ打つ!!」

 

打撃に関しては、天才としか言いようのないバッターが威風堂々とバッターボックスに立つ。

 

当然、天才キャッチャーである御幸も、彼の事は警戒している。

 

 

(ホームラン打たれた事は忘れろ! 轟相手に余計な雑念を持っていたら、簡単に打ち込まれるぞ!!)

 

普通に考えたら、轟相手なら敬遠気味のボールを投げさせるのが最適解だろう……だが相手は、恐怖の投壊薬師打線。轟を敬遠きた所で、流れを断ち切る事は出来ない。

後ろにも、既にドラフト上位が噂されている火神や三島が控えている。だから、相手ピッチャーは勝負するしかないのである。

 

 

___カキーン!

 

快音が鳴り響き、これは長打になる……と思いきや、ライトの白州がダイビングキャッチに成功。

 

 

「うわっ、今の取るのかよ?!」

「マジ惜しいぞ雷市ー!」

「ドンマイです雷市さーん!」

「絶対ツーベースは行くと思ったのに!!」

 

 

 

薬師イケイケムードを少しだけ沈めた青道バッテリーだが、薬師は高校史上最強のマシンガン打線。

5番には、どこから連れてきたか分からない天才、火神大我が待ち構えている。

……火神が薬師高校に来た事も、世間的には轟監督の手腕扱いされているので、最近スカウト達は薬師高校の監督に対して非常に注目していた。

 

 

「よっしゃー! 降谷にリベンジだ!!」

 

大きな声でリベンジだと叫びながら、火神が打席に入った。

 

 

___カキーン!

 

前回の打席での雷市と、似たような起動を描いて飛んでいったボールだが、流石に今回白州はキャッチングに失敗してしまう。

とは言っても失態とは言えない積極的な守備だったのだが、結果だけ言えば暴走気味の走塁をした火神がスリーベースヒット。

 

観客達も、これには大層盛り上がっていた。

 

 

「キター! スリーベースヒット!!」

「ホームランより珍しくね?!」

「火神鬼強えー!!」

「薬師ってどうなってるんだ?!」

 

 

 

ワンアウト3塁とチャンスな場面で、打席に立つのは6番三島。

彼は、打順を下げられた事を大層悔しがっていた。

 

 

(クソッ! エースで4番になる筈が、一歩後退……ここは一発打って、俺の打撃力をアピールするしかねぇ!!)

 

 

 

 

___ガギン!

 

打ち気が強すぎたのか、運が悪かったのか。相手は剛速球の降谷とはいえ、あっさりボール球に手を出してしまった。

ボールはファースト付近に飛んでいき、山口がしっかりキャッチして一塁フォースアウト。

 

 

「ホーム!」

「……セーフ!!」

 

とはいえ、三島が打った瞬間に飛び出していた火神は本塁に帰還。

割とギリギリのタイミングだったが、火神は送球より速く帰還していた。

御幸がいくら天才キャッチャーとはいえ、来てないボールを取ることは出来ないので、当然の結果だろう。

 

 

「三島ー! 惜しいぞー!」

「そんな事もあるぞー!」

「火神ー! ナイス走塁!!」

「結城ー! ホームラン頼むぞー!」

 

ベンチは三島を慰めたり、火神の走塁を褒めたりと忙しそうだ。

三島は犠打を打っているから失敗したという程ではないし、火神の走塁は暴走気味だったから褒め称える程でもないのだが……薬師としては関係ないらしい。

 

 

 

 

今の所1回裏で4点差、ツーアウトの場面。

次は元青道高校キャプテンの弟、結城将司が打席に立つ。

 

 

 

 

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