薩摩武士が異世界をぶっ壊す   作:wakaba1890

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第1話 薩摩武士。

ーーーーー時は、慶長3年(1598年)。場所は現在の韓国・四川。

 

「ーー・・キェェェイ!!!」

 

ドゴぉぉんっ!

 

『なぜ仕留められんのだ!!』

 

『わかりませんっ...ぐはっ..』

 

泗川新城に出で立つ、島津軍5000人対し、朝鮮軍20万の軍勢が城に攻め込もうとしていた。

 

しかし、圧倒的な劣勢のはずの城の方から早々に飛び出て来た、とある武士によって戦線は前へと斬り拓かれていた。

 

「・・のうのうっ!!痴れ痴れた御しじゃのぅ!!」

 

『うわぁっ?!』

 

『同時にいけぇ!!』

 

「ぬるいっ!!!」

 

『...っ...お、鬼だ..』

 

ソレはいくら血を浴びようと、矢を受けようと銃を受けようとも、寸前で全てを斬り伏せ、決して倒れず、鬼神の如き戦闘曲を旋律していた。

 

「..どうしたけ、ワシを倒したけりゃぁ....あと100万兵持ってこ"い"っ!!」

 

死体の山の頂上から、返り血で赤黒く染まった鬼神は敵将の首を手に連ねさせて転がり落とした。

 

『『『っ?!』』』

 

ビリビリと鳴り響くその男の慟哭は、敵兵たちの戦意を根こそぎ削ぎ取っていた。

 

あまりの気迫と、その圧倒的な鬼気迫るどころか鬼の如きパフォーマンスを目にした敵兵の共々は後ずさるほかなかった。

 

『...て、撤退ダァッ!!』

 

地獄の鬼神を目の前にした彼らは既に戦意消失しており、それは何人目かわからぬ代理の敵将の意気地をへし折っていた。

 

「ケッ...易いな、大陸人が」

 

「..全くだ、幾分前の海賊の方が骨があったわい。」

 

「..奴ら本陣じゃろ?したら、今。完膚無きに絶やしたろう。」

 

男は死体の山から飄々と飛び降り、下で待っていた家臣から情報をもらおうとした。

 

「いや、応援がっ...って、もういないし...」

いつものように、自由奔放な遊撃手は敗走兵を追いに馬に乗ってかけていった。

 

そして、撤退を号令した敵将を見つけた彼は、馬の勢いを利用して斬りかかっていた。

 

「ーー・・チェストぉぉぉ!」

 

『ぐはぁっ...はぁ...はぁ...』ニィ

 

背袈裟を深部まで斬り抉られた代理の敵将は、馬からずり落ち地面に突っ伏していた。

「意気地がないのぉ...」

 

正直、大陸側からの後々の返しに対する余地を、限りなく潰すために敗走兵を追ってはいたものの、消化試合で気乗りはしなかった。

 

「あぁん?なんじゃ、これは...」

 

『...地獄に堕ちろ、和人が...』

 

妙な飾りに目を奪われているところ、死に損ないのはずの敵将は、首にかけていた妙な飾りを握りしめそういった。

 

「あぁ?・・ーー」

 

すると、真っ白な眩い何かに包まれたと同時に、目の前の景色が歪み、途端に意識が途切れてしまったはずが、彼は生の力がどこかへ連れて行こうとする何かを掴んだ。

 

 

『・・ぬんっ!!』

 

『っ?!』

 

それは声を発さなくとも、それが動揺しているのが感じられた。

 

『『『・・っ...。』』』

 

『覚えてろ・・ーーー』

 

すると、それらしきものが随分と増え、ついにはソレらの御されてしまい、最後の足掻きを発したのち意識が途切れてしまった。

 

 

 

「・・おい、こいつ死んでねぇか?」

 

「変わった鎧?だな...とりあえず、見ぐるみだけ剥がしとくか..」

 

馬車の通り道に、とある変わった甲冑を着た男が寝転んでおり、人を積んでいる柄の悪そうな男たちが始末をつけようとしていた。

 

「....」ぱちっ!

 

すると、人の気配を感じた男は周囲の人を無差別に切り伏せた。

 

「っ!」

 

「「「はぁっ?!」」」

 

切られたことにすら気づいていない彼らは、遅れて驚いていたが、直ぐに大地の血肉となっていた。

 

「うぅーん...ふぅ、空気が違うのぉ...四川でも、薩摩でもなさそうだな。」

 

体を軽く伸ばし息を吐いていた彼は、冷静に現状を把握しようとしていた。

 

「..や、やっちまえぇ!!」

 

馬車の手綱を握っている頭らしき者は、手下に号令した。

 

「「「うぉぉぉっ!!」」」

 

「ひぃ、ふぅ、みぃ...まぁ、一緒け・・ーー」

 

ざっと敵の数を把握した彼は、ものの数秒で頭らしき坊主頭を残して殲滅した。

 

 

「ーー・・ようやく、サシになれたのっ!」

 

不気味にも返り血ひとつ浴びていない彼は、にこやかに正座している坊主頭に可愛らしく話しかけていた。

 

「ひぃっ..ごめんなさいぃぃぃっ!!」

 

いくら和かにしようとも、坊主頭にとって彼が死神なのは変えようがなかった。

 

「そう恐れるでない、今は殺さぬ。なっ!?」

 

「ひぃっ?!...ぐふっ...」

 

彼の溢れ出る気迫にやられた坊主頭は、泡を吹いて倒れてしまった。

 

「うぅーむ、気絶しとる...ならば」

 

「....!」

 

脈を確認し、死んでないことを確認した彼は、恐る恐るこちらに視線を向けている錠のついた人にターゲットを移した。

 

「おい、汝等は直ぐに解放する。」

 

情報を聞かねばならぬため、奴隷らしき人達の解放から始めた。

 

「・・ありがとうございます!!助かりました。」

 

(..知らぬ同士であれば、先に恩を売って警戒を解かねばな。)

 

彼はすでに状況を把握しつつあり、これからのために着々と筋道を思案していた。

 

「構わぬ。わしは東の果てから来た放浪人でな、汝とここ一帯と国について知りたい。」

 

「東の大陸ですか、随分と遠いところから...えぇ、わかりました。まず私は・・ーー」

 

彼女の名はシレイという名らしく、元冒険者?とやらだったが、依頼失敗の違約金で借金を抱え、債権主に身売りされ、他のものは冬前の口減らしとして売られたといった経緯だった。

そして、ここはアメハラスという地図上でいうと南西の果てにある島国の、本土とは乖離したシレトコという島にいるらしく、対岸にウル・ゴールド帝国という国が介在しており、今は十数年前に戦争をしたが、教会が仲介に入って何とか終戦はしたらしい。

 

しかし、戦争の影響でかつての主要な港を占領されており、帝国産の肥料や食料、物産品は制限されているため、日照時間と雨には恵まれているものの、毎冬厳しい状況を強いられているらしく。

 

大まかな情勢を知れたところで、彼女は意味不明なことを言い始めていた。

 

「ーー・・あとは、そうですね....もしかして、ステータスとかも知らないですか?」

 

明らかに見たことのない風貌に、世間知らずさから、彼がこの世界の基本的なものについても知らないかと思ってそう聞いた。

 

「すてぃたす?蘭語か?うぉっ、なんだこれは...」

 

洋書で聞くような言葉の響きを唱えると、目の前には透明な板が現れた。

 

「ランゴ?...いえ、そう唱えるとその人のスキルや能力値などが写っているパネルが前に現れるのです。」

 

「ほぉ、これが...他からは見られぬのか?」

 

板に映し出されえている内容が、少々不可解であったため一応の確認をした。

 

「はい、ただ鑑定というスキルがあれば見れます。まぁ、一国に数人くらいしかいないのでまずないですけどね。」

 

「ほぅ。」

 

(これが鑑定というスキルか...)

 

ふと説明してくれた彼女を注視すると、彼女のステータスが浮き上がった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前: シレイ・アベリア Lv.18

称号:臆病者。追放者。逃げるが勝ち。

スキル:緊急回避Lv.9。回避Lv.9。隠密Lv.8。直感Lv.8。弓術Lv.3。短刀術Lv.5。炎魔法Lv.2。・・

加護:バンビの加護。

 

体力: 3000

魔力:800

筋力: 55

耐久力: 10

敏捷性: 4,000(+1000)

知性: 2000

運: 3000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(..それと、これは見えとらんのか..)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 東?¥ 義隆!=**

 

称号:異世界の剣士。狂戦士。示現流・極。策士。葉隠。Kあwmcい。・・・

 

スキル:剣術Lv.っmんwc。弓術Lv.ミンrぬcい。kcdno Lv.eきwmi。・・・

 

体力: cmk\x

魔力: dcjb_sc??

筋力: snan**2

耐久力: c=mdrv

敏捷性: tt^fsmcd

知性: cmvr\on

運: eyrvnow

?:nc..,|^

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(ーー・・あれ、ワシ嫌われちょるな、それに妙なすてぃたす欄があるのぉ)

 

明らかに世界に拒絶されているかのような、意味不明なステータス値とレベルなどが記載されており、彼女のステータスと比べ、自らの異質さを痛感した。

 

そして同時に、安易に口外すべきでは無い事と判断し、話を切り上げることにした。

 

「..うむ、了解した。情報、感謝する。」

 

彼女が居なければ得られなかった情報に、彼は礼を尽くすため一度感謝を示した。

 

「いえっ!こちらこそ、助けていただき本当にありがとうございます。」

 

彼女は実直そうに彼より深く頭を下げた。

 

そうして、奴隷商人から根こそぎ金品を奪って、他の元奴隷達に配り、彼らが身支度を整え終わった。

 

「・・では、ここでお別れですね。ありがとうございました。」

 

別れの時が来たが、いくつか気掛かりがあり行こうとした彼らを引き留めた。

 

「主ら、帰るところはあるのか?」

 

人攫いとかもあるだろうが、ソレ以外にもそれぞれ奴隷になった事情があることが気がかりだった。

 

「いえ、ここにいる人たちは殆ど口減らしでしたので...」

 

そう、彼女らの中には若い男が一人も居なかった。10歳もいかない子供、足を悪くした壮年の者、力に劣る若い女性など、コミュニティーから排斥された者が多く見受けられた。

 

「主らっ!つかぬ提案なのだが..」

 

彼女のみならず、他の者にも関することだったので行き場のない彼らに声をかけ引き留めた。

 

「「「?」」」

 

彼らはキョトンとした様子で、こちらに意識を向けていた。

 

そして、彼らの前で俺はこの世界に来て芽生えた、とある野望を話すことにした。

 

「ワシぁ、東元 義隆。お主らっ、薩摩國の民になれ!!」

 

お日様のような満天の笑みで放たれた突拍子もない言葉だったが、確かに行き場を失った者達の心を天に照らしていた。

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