異世界TS転生曇らせ愉悦部員が失敗するだけの汚話   作:アスタロット

57 / 66
魔族の秘宝

 

「秘宝の在処が分かりました」

 

朝一番に、パーティー全員を集めたティアナ。

彼女が放った言葉は、衝撃的なものだった。

 

「はぁ!?秘宝が見つかったのか!?」

 

驚いた。

いつの間に、彼女は秘宝の所在を突き止めたんだ。

 

「ええ。秘宝とみて、まず間違いありません」

 

「ほう、我が国で散々と遊び呆けていたキサマがなぁ…真面目に調査している、そんな素振り、なかった筈だがな」

 

同席していたサティアが、ティアナに毒突く。

 

「遊び呆けた…さて何の事やら。まぁ、調査はそれなりにしてましたよ。サティアさんが存じ上げなかっただけでは?それよりも肝心なのは、秘宝がある場所です」

 

ティアナはサティアの挑発に乗る事なく、話を続ける。

 

「チッ…近頃のキサマは酒も飲まんし、つまらん聖女様になったものだ」

 

サティアは舌打ちをしつつも、これ以上ティアナを揶揄うつもりは無いようだ。

 

「っていうか、今までのティアナがおかしかったんじゃないの?アタシが言うのも何だけど、聖人としての品格が無かったし」

 

アーシャはティアナの変貌を、つぶさに感じ取っていたようだ。

確かに、酒を断ってからティアナは品が良くなった。

 

「同意だ。今のティアナこそ、王国の聖女たるに相応しい。その…男装は…平素からもっとしてくれて良いのだが…」

 

おっと、エリナさん!?

心の声が漏れてるぞ!!

 

「さて皆さん、ここで質問です。王国の秘宝は、宝物殿ではなく王城地下の倉庫にあった盃でした。では、魔都にあると思われる秘宝は、一体どこにあるでしょうか」

 

「それなら魔王城にあって、尚且つ器のような物なんじゃないのか?」

 

俺は前提知識から、ティアナにそう答えた。

 

「違います」

 

「いや違うんかい!!」

 

堪らずアーシャが指摘する。

 

「じゃ、どこに?」

 

「山です」

 

「「「やまぁ??」」」

 

「ええ、山です」

 

「「「どこの!?」」

 

「そこの山です」

 

ティアナは徐に窓を開け、そこから覗く魔王城を指し示した。

 

「いや、山じゃなくて城じゃないの。あんたバカぁ?」

 

「その奥ですよ、奥。そんな事も分からないんですか?アーシャさんは純粋ですね」

 

「ムキィッ!!」

 

猿のような声を上げるアーシャを他所目に、俺はその先をよく見つめる。

魔王城の背後には、荘厳な山嶺が聳え立っていた。

 

「おいクソ聖女、その山は我ら魔族が崇める霊山ビーモンだ。人間はおろか、魔族ですら入ることが許されん禁域だぞ。たとえ秘宝とやらがあるとしても、入ること罷りならん!」

 

「あ、そこら辺は色々と面倒なんで、魔王陛下から直接の許可は取ってますよ」

 

「何ぃ!?!?ほ、本当か!?えぇー!?陛下ぁー!?ちょ待て、へ、陛下に確認を取ってくる!!」

 

サティアはドダドタと音を立てながら、家を出て行った。

 

「ねぇアンタ…本当に許可とってる?」

 

そう言いながら、アーシャはジットリとティアナを見つめる。

 

「勿論です、プロですから。あ、ちなみに対象物の形状は漏斗です」

 

「ジョーゴ?ジョーゴ…ジョーゴって何よ!」

 

アーシャはよく質問してくれて助かる。

 

「まぁそれは実物を見れば良いでしょう。さて、さっそく準備しましょうか。今回の目的地は山ですし。宝物殿のように、拠点から簡単に行き来は難しいですからね。あ、エリナさんはお留守番お願いします」

 

「なぜ!?私も行きたいぞ!」

 

「だってエリナさん、放置されるの好きじゃないですか」

 

「はぅあっ!?」

 

俺とアーシャとティアナは、変態なエリナをサティア邸に放置して、買い出しに向かった。

 

 

同時刻ー魔王城、玉座の間ー

 

そこには息を切らせながら、魔王に傅くサティアの姿があった。

肩を上下に揺らし呼吸する様はまるで、全速力で駆けつけてきたかのようである。

 

「はぁっ…はぁっ…へっ、陛下ぁ!魔王陛下ぁ!!あんのクソ聖女にっ…霊山の…立ち入り許可を、出したと言うのはまことですか!?」

 

「騒がしいな、サティアよ。ふむ、それに関しては相違無い」

 

「な、なぜ!!あそこは古来より禁域と聞いております!それが何故!まさか本当に秘宝があるとでも!?」

 

「あの女の言う通りならば、おそらくな。それにヤツは我に約束をした」

 

「ーっ、ふぅー……そ、それはどのようなお約束で?」

 

息を整えたサティアは、続け様に主へ問うた。

 

「それはあの女から直接にでも聞くがよい。それとも、お前は我の決断を疑うのか?」

 

魔王からプレッシャーがサティアに放たれる。

彼女に戦慄が走った。

 

「い、いえ…その様な考えは全く」

 

漸く息を整えた彼女であった。

だが魔王の圧力により、またしてもサティアの呼吸が荒くなりつつあった。

 

「我の圧如きに堪え兼ねるか…サティアよ。その体たらくでは、あの女の足元にも及ぶまい………まあ良い。これより先の問答は無用。お前は勇者共の秘宝探索に助力せよ。あの山は、中々の歯応えだぞ。ついでに、その錆びついた腕も霊山で鍛え直すがよい」

 

「…は、拝命いたしました」

 

不祥不詳といった具合で、サティアは引き続きアルト達に協力する事となった。

 

 

 

ー同時刻サティア邸ー

 

 

 

「ハァッ…♡ハァッ…♡久しぶりのっ…放置…♡た、たまらん♡」

 

 

サティア邸に独り残されたエリナは、放置に堪え兼ねて自家発電していた。

この直後に家主が帰ってくる事も知らずに。

 

 

 

 

お色気はお好き?

  • 好き♡
  • 嫌い♡
  • おっぱい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。