異世界TS転生曇らせ愉悦部員が失敗するだけの汚話   作:アスタロット

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再誕の儀式

 

秘宝は揃った。

邪神の眷属たる、偽りの聖女ティアナ。

彼女は勇者一行を運命の地へいざなう。

 

大陸北西部にある国境の荒野。

勇者一行が必死に戦った国境の砦とは異なり、水も緑も資源も無い、人間と魔族の双方から捨てられた枯渇の大地。

そんな何も無い所へ彼等はやってきた。

 

「我が神よ、祭壇よ」

 

祈るティアナから薄暗いオーラが漏れ出る。

それと同じくして、地面から漆黒の台座がせり上がってきた。

 

祭壇の側面には、絡みついた触手のような物が装飾されている。

平面に見える祭壇上部表面は、よく見ると溝が掘られている。

その色や装飾に畏れはあっても、神聖さはない。

 

「こ、これが祭壇…なんだか禍々しいな」

 

勇者アルトは思わず、その嫌悪感を口にした。

 

「古き神とは、往々にして混沌としているものです。さあ、復活の儀をはじめましょう」

 

ティアナからは、尚も黒いオーラが濃度を増して溢れている。

かつてないプレッシャーを放つ彼女に、一同が息を呑む。

 

「ね、ねぇティアナ。ちょっと待った方が良いんじゃない?何か変な感じがするわよ」

 

「アーシャさん…それに、皆さんも。死にものぐるいで秘宝を揃えたのは、今日この時の為ですよ。これで恒久なる平穏が訪れるのです。そうですよね、アルトさん?」

 

「ま、まあティアナが言うなら…よし、はじめてくれ」

 

「はい♪」

 

ティアナが貼り付けたような微笑をし、祭壇に向き直った。

 

「混沌を焚べよ。万物の起源をここに」

 

彼女は秘宝の片割れに力を注ぎ、盃を赤黒く光る魔力で満たす。

 

「回帰せよ」

 

そして盃に満たされた魔力を、一方の秘宝へ注ぐ。

漏斗状の秘宝を経由した力は、凝縮されながら祭壇に落ちる。

注がれた混沌は更に面妖な光を放ち、祭壇の溝に血液のように染み渡っていく。

 

「顕現せよ顕現せよ顕現せよ」

 

すると地面が大きく揺れた。

 

「な、なんだ!?何が起こってる!?」

 

「な、なんだコレは!?おい!クソ聖女!説明しろ!!」

 

勇者アルトは戸惑い、魔族の女サティアはティアナを問い質す。

 

「皆さん、見えますか、アレ」

 

ティアナの視線の先を見ると、突如階段が出現していた。

その階段の先は、空間が赤黒く歪んでいた。

 

 

「神殿の入り口が現れました。ははっ…やった…やりました…神が復活なされました。ありがとう、みなさん…無事に我が神は蘇りました」

 

ティアナは一向の前に佇み、振り返るとそう言った。

 

「人間と魔族の秘宝が二つ、我が神の祭壇に捧げられました…もう誰も我が神の…邪神を止める事はかないません」

 

ティアナは今まで彼等に見せた事のない、薄暗い笑みを浮かべている。

するとどうだろう、捧げられた二つの秘宝が祭壇に溶けて消えた。

 

「邪神!?それに…!!秘宝がッ!?……ティアナ、これは!?」

 

アルトは堪らずティアナに問いかけた。

 

「封印のリソースは残らず神に捧げました。ああ、ありがとう…わざわざ供物を見つけてくれた上、それを儀式のため私に預けてくれて、本当に恩に着ます。まさか片方の秘宝が、王家の倉庫で埃を被っていたとは、お粗末な話でしたが…」

 

「いったい何のことだ、ティアナ?」

 

他のメンバーに代弁して、アルトは再びティアナに問いかけた。

 

「邪神再誕の鍵は、私一人の力では入手できなかったんです。神託をもってしても、その具体的な場所までは掴めなかった」

 

ティアナは聖職者らしからぬ、邪な笑みを浮かべて語る。

 

「肝心の我が神は、最初の神託を残したまま、完全にお隠れになってしまいました。二つの秘宝が無い私は、儀式を成す事が出来なかった…まさに八方塞がりだったんです…人魔の秘宝が揃わなければ、我が神の復活は叶わない!」

 

「おいクソ聖女!!キサマ何を言ってるんだ!?なんだアレは!薄気味悪いアレが神殿の入り口だと!?ふざけるな!!どう見ても悪神の類だろうが!!!」

 

サティアはティアナに向かって怒号を浴びせた。

それを無視してティアナは続ける。

 

「単独での秘宝入手が難しくなった以上、別の方法を探すしかない…そこでアルトさん、あなた方に賭けてみる事にしたんです」

 

「何だって?」

 

「私が人間の聖職者に紛れたのも、その一つです。神に関わる財宝ですから、教会の聖遺物かとも思いましたが…まさか王家の秘宝だったとは」

 

「全て、最初から仕組まれていたと言うのか?俺達に、その邪神とやらを復活させるために…」

 

「あら?もしかして…ここまで来られたのは、アルトさん自身の才能だと思っていらっしゃる?」

 

「ティアナ…ティアナは……ティアナは私達を利用していたのか?」

 

エリナは泣きそうな声でティアナに語りかけるが、その声は届かない。

 

「とにかく、我が神の復活はここに、あい成りました。これでようやく魔族も人間も…邪神の思い通り。これで世は、我が神にとっての平穏…即ち、大いなる混沌に満ち溢れます」

 

「大いなる混沌?一体…」

 

「また人間と魔族で…争い、殺し合い…怒り、憎み、悲しみを重ねていくんです。はぁ…最高です、うふふっ♡惨めですね、アルトさん?」

 

「ティアナ…君はいったい何なんだ!」

 

「全て教えて差し上げますよ。もしも私を倒すことが出来れば、ですが」

 

「ティアナ、いい加減にしー

 

「アルト!距離を取りなさいってば!そいつ、アタシ達の知るティアナじゃないわ!」

 

いち早く冷静さを取り戻したアーシャが、二人の会話に割って入る。

 

「アーシャさん…今更気づいても、もう遅いですよ」

 

ティアナから禍々しいプレッシャーが放たれる。

先程から溢れる黒いオーラに、更に殺気が込められた。

ティアナに向かい合う一行に戦慄が走る。

 

「馬鹿のアンタも分かるはずよ、アルト!こんなに重くて禍々しい魔力…聖職者どころか、そもそも人間に出せるもんじゃ無いわ!なんで怪しまなかったのかしら!アタシの馬鹿!」

 

「じゃあティアナ、君は………」

 

「アタシ達の仲間だったのはー…がっ!?」

 

アーシャの言葉は遮られた。

ティアナが彼女の腹部を、瞬時に殴打して吹き飛ばしたから。

 

「がはっ…がふっ…ごふぅ…」

 

その拍子に地面に数度打ち付けられた彼女は、吐血しながら痙攣している。

打撃の衝撃で内臓がやられていた。

放っておくのは極めて危険な状況だ。

 

「うるさいですね、アーシャさんは。さて、改めて自己紹介致しましょう。イェンティアナ・ラブカスは世を忍ぶ仮の姿。我は邪神の眷属にして、隠されし神殿の司祭…」

 

「アーシャ!!!アーシャぁあああ!!ティアナ、なんで!?君はまさか…俺達を、俺達を裏切っていたと言うのか!!」

 

「だから何度もそう言ってるじゃないですか。ちゃんと自己紹介させてくださいよ…はぁ、裏切っていたも何も、私の神は初めから、あの御方だけですよ。教会の神?あんなモノは屑以下の偶像です。さぁ、もはや問答は十分でございましょう。あなた方の役割は終わりました…さあその魂、我が神に捧げなさい!」

 

「やめろ!ティアナ!俺は君と闘いたくない!」

 

「さようで…では、抗う覚悟のある方から、あの世へ送って差し上げましょうか…」

 

「来るぞ勇者!この変態クソ聖女は私達を殺る気だ!」

 

「ふふっ、前々からサティアさんには、仕返しをしたかったんですよね…あの戦場での、ねぇ!!」

 

ティアナは正面からサティアに殴り掛かった。

 

「馬鹿力とはいえ、膂力で魔族の私に敵うか!」

 

サティアは接近戦の構えを取った。

しかし…

 

「あなたと正面から殴り合うとでも?」

 

「何っ!?」

 

「馬鹿はアナタですよ」

 

サティアの視界からティアナが消えた。

ティアナは不意にしゃがみ込み、サティアの足を蹴りで払った。

 

「ゥッ!?うぐぅっ!?」

 

ティアナは体勢を崩したサティアの首根っこを、背面から瞬時に掴み片手で掲げた。

首を絞められながらも、苦しそうにサティアが抵抗する。

 

「さぁ、あの時の私の苦しみを味わって下さいな♡」

 

「ッ!?!?ごほっ」

 

ティアナの腕が、サティアの胸部を背後から貫いた。

荒野の大地を、サティアの鮮血が染めた。

胸を貫いた拳は、サティアの心臓を握っていた。

 

「二人目♡」

 

“ぐしゃり”

ティアナは心臓を握り潰した。

返り血で濡れたティアナは、サティアをアーシャに近い地面に力任せに投げ捨てた。

 

「アーシャ…サティア…うそだ…」

 

「くっ、サティア殿まで…私達だけでも何とかティアナを止めねば!」

 

そう言うとエリナは剣を構え、アルトと並んだ。

 

「そ、そうだ…やるしかない!」

 

「二対一とは卑怯ですね。ふふっ…連携なんてさせませんけど、ねぇ!!」

 

ティアナは聖魔法を用いて、二人に強烈な閃光を放った。

何百倍にも増幅された光に、二人の網膜は焼けつき目の前が真っ白になった。

しばらくしてアルトの視界が回復すると。

 

「んちゅっ…れるっ…ちゅるっ…っはぁ…エリナさん…好き♡好き♡愛してます♡」

 

「ひゃめ…ひぃあな…んんっ…ちゅっ…ちゅるっ…んはぁ…」

 

ティアナはエリナを抱きしめて、彼女の唇を貪っていた。

 

「な、何をしてるんだ…ティアナ…」

 

アルトはあり得ない光景に、またしても呆然とした。

 

「ちゅるっ…むちゅるっ…れるっ…んふっ…アルトさん…私を止めたいのなら、どうぞ…エリナさんごと、ご一緒に♡んちゅ…ちゅるっ…ちゅるるるっ」

 

ティアナはエリナの唇を味わいながら、彼女を肉盾としていた。

 

「ん゛ん゛ーッ!!んちゅる…ん゛ん゛ー!!」

 

しかし、はじめは悦楽に浸っていたエリナの様子が瞬く間におかしくなってきた。

そうアルトが違和感に思った瞬間だった。

 

「ちゅっ…ぷはぁ…キス、良かったですよエリナさん。じゃ、さようなら♪んちゅううううううっ」

 

ティアナはキスを続けながら、エリナを抱き締める力を強めた。

アーマーごと締め付けられるエリナの身体が、バキバキと音を立てていく。

 

「んむ゛ぅっ…んがっ…んぎぃ…」

 

手にしていた剣は、とうに手から落としている。

そしてエリナは口から泡を吹き、次に血を吐きながら白目を剥いた。

ティアナはエリナを文字通り抱き潰したのだ。

 

「ッぷはぁ…んふ、三人目♡」

 

ティアナは身動きの無くなったエリナを、アーシャとサティアが転がっている地面に”ぽいっ”と投げ付けた。

 

「エリナ…?エリナァァァァァァアッ!!!!」

 

「ふふふっ…うふふっ…あははっ…アルトさんが闘わないばかりに、三人とも逝ってしまいました。悲しいですねえ」

 

「ティアナ…ティアナッ!どうしてこんな!!」

 

「さあ、アルトさん。これが最後の二人きりです。存分に楽しみましょう」

 

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