異世界TS転生曇らせ愉悦部員が失敗するだけの汚話 作:アスタロット
ずっと対策を考えていた。
あの斬撃から付与されるバッドステータスは、厄介極まる。
さすがの私でも、あの弱体化を喰らった状態だと本当に消えかねない。
それを克服する数少ない方法の一つは、一度死んでから蘇生させること。
死ねば全てのステータス変化をリセットできるから。
しかし私は蘇生してくれる第三者の存在を想定してはいない。
そこで肉体を粒子状に分解し、再構築する事でそれを可能に出来るのではないか、と仮説を立てた。
この世界にはそういった発想をした者はいなかったようだ。
ゲームでもそんな魔術やらスキルは、確認出来なかったからな。
つまり私がこの蘇生と転移を兼ねた高等魔術における、パイオニアである。
そんなパイオニアの私が実験した結果、ある事が判明した。
どうやら分解された肉体が再構築される過程で、使用者が死亡したと判定されるようなのだ。
“分解を経て再構築された私は、同一の存在か”
スワンプマンの問いが頭をよぎった。
だが、それに関してはあまり気にしていない。
私は彼らの曇り顔が拝めれば、それで良いのだ。
結果的にこの選択が、離別のシチュエーションとしては、この上ない演出を生み出した。
第三者の手を借りない場合は、蘇生の陣などを予め敷いておくのが、手っ取り早くて良かったのだが…
位置や時間の調整が面倒極まりない。
第一に、その場で蘇る事は私の計画には無い。
アルト君は決意をもって私を殺してくれたのだ。
”愛の力で生き返りましたぁ!”
なんて不粋の極み!
醜悪!
ヒロインは死すべき!
覚悟を決めた彼に対して、そんなご都合主義は無礼千万。
それに、愛する人達には永遠に曇っていて欲しいんだ、私は。
私はそういった経緯から粒子化転移に踏み切り、それを実現させた。
予定通り、私は無事に目覚めた。
全裸で。
衣服はアルト君のために、遺品として置いてきた。
残り香で私を思い出し、アレコレしてくれると嬉しい。
何はともあれ、懸念事項だった”致命の斬撃”の影響も既に消えている。
ここに仮説が証明された。
私の身体が転移した場所も完璧だ。
ここはアルト君達から、遥か彼方の土地。
そこにある、私自ら用意した住居だ。
彼らがここに来る事は、まず不可能。
基本的に彼らは、国境の荒野から北に進むことは出来ない。
正体不明の見えない壁に阻まれているから。
私はこれをゲームにおける”マップの端”と考えている。
おそらくは海の向こう側にもあるだろうが、地続きにあるマップの端はそこが分かりやすい。
私がまだ、アルト君と出会う前の頃だ。
偶然にもその壁を越えることができた。
この世界にも、ウラ技がある。
条件を満たせずとも、邪神の神殿に御礼参り出来るくらいには。
だからデバック作業の如く、私は発見した見えない壁に当たり続けた。
予感は的中。
ある箇所において、壁抜けに成功した。
その向こう側は虚無ではなかった。
私は未知のマップに歓喜した。
新たなエリアは広大だった。
集落や都市もあった。
一度訪問したエリアなら、転移魔法でたちまちに行き来可能。
私は天才だから何でもできる。
未発見のエリアを探索する最中、私は新たな拠点の目星を付けた。
エリア最北端に位置する、ドイナカ村という超田舎町だ。
そこは、田舎というかむしろ開拓村に近い。
開拓民の暮らしは過酷だ。
基本的に人も物資も足りてない。
そんな環境であるからして、新参者である私もだいたいにおいて歓迎されるだろう。
アルト君達の曇り顔も大切だが、転移後の生活も考えなくてはならない。
その下準備として私は村のはずれに、ささやかな教会とパン屋を設営していた。
“人はパンのみにて生きるものにあらず”
前世で、とても素晴らしい人がそう仰っていた。
食と信仰が足ることで、人は真に幸福になれる。
もう聖女でも枢機卿でもないので、布教なんて必要ないのだが。
何年も聖職者をやっていると、このロールをしていた方がごく自然に振る舞える。
それは開拓村において、私の居心地が良くなる事を意味する。
故に、パン屋と信仰の場を村に提供した。
村人の反応はかなり良いものだった。
何せ、食糧危機になりかけてもパンだけは食い詰めないのだ。
小麦粉?
そんなものは私のストレージに売るほど貯め込んである。
傍から見れば私は、無から小麦粉を生み出す超能力者だろう。
そんな感じで主食と信仰の提供をしていたら、いつの間にか村で聖女扱いされていた。
染みついた聖職者ムーヴがそうさせてしまったのか。
アルト君のパーティーに合流する際には、巡礼の旅に出るとか何とか適当なことを言って誤魔化してきた。
旅なら長期間不在でも構わんだろうし。
食糧の供給も安定してきたし、問題ないだろう。
村に残るよう、めっちゃ皆んなに懇願されたが。
出来そうな貢献はした。
後は知らん。
聖女ロールは充分にやり尽くしたので、お腹いっぱいだ。
戻ってきたら教会に、適当な村人を司祭として割り当てようかな。
できるなら将来的に、パン屋一本で行きたいところだ。
あとは…そうだ!
アルト君(かもしれない)との間に授かった赤ちゃん。
コレを出産をしなければ。
いけない忘れていた。
今まで頑張ってこの子の成長を抑えていたが、そろそろ限界だ。
というか気を抜いたら、現在進行形で急激に腹が膨らんでる!
長らく成長を抑えていた分、大きくなるのが非常に早い。
いや、それでも早すぎる。
邪神×聖女×勇者だからか?
あっ!?
お腹蹴ってる!?
あっ…うぐぅ
これヤバい
え、まじで?
もう!?
こんな早く!?
あっ!
痛い!
痛い痛い!
マジで痛い!
うわぁー!!
やべぇー!!!
転移早々に産まれるゥー!!!!
クッソぉ!
前世で何人も愛する人を孕ませて産ませて来たんだ!
そのノウハウを今こそ活かすんだ!
ひっひっふぅー!!
ひっひっふっー!!
ア゛ーっ!!
無理ィー!!!
クッソいでぇー!!!!
前世の皆んなぁ!!
いまアナタたちの気持ちを理解しましたー!!!
あっ♡
お色気はお好き?
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好き♡
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嫌い♡
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おっぱい