異世界TS転生曇らせ愉悦部員が失敗するだけの汚話   作:アスタロット

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異世界TS転生曇らせ愉悦部員が失敗しただけ

人間は知恵の実を食べて文化を得た。

それから今に至るまで人々の関心は、愛と別離が世の常である。

 

愛と、それにまつわる喜怒哀楽。

邂逅に始まり死に終わる別離。

常に人々は、それらに心を動かされる。

それは普遍的な価値観だ。

 

ゆえに幾らかの者は、それらが綯い交ぜになった”曇らせ”という感情の発露に対していたく”愉悦”した。

そういった彼らが、拗らせた質(たち)により自ずと人生を狂わせていくのも、きっと無理からぬ事なのだろう。

 

この私も、そんな愚かな人間の内の一人にすぎなかった。

 

ただそれだけの事なのだ。

 

ああ、でも

可能ならば

前世で旅立った愛する彼女たちに

逢いに逝きたいなあ

やはり死は救済なんだ

 

でも無理だ

 

私に救済は無いのだから

 

 

 

 

気付けば娘のフィサリスは、随分と大きく成長してた。

本来ならようやく乳離れをする時期なんだけど、既に彼女は野山を駆け巡るような活発さをゲットしていた。

活発さに加えて、やたらと大人びてきた。

言葉遣いとか、もうすでに大人のそれだ。

今だにフィサリスから、母乳を求められるのは変わらずだけど。

むしろ、物心付いてからの方が乳をねだられる始末。

余程私のミルクが旨いらしい。

まだまだおっぱいが張るし、この娘テクニシャンだから乳を吸われるのは、大いに構わないんだけどね。

娘が私を性的な目で見ているのは、気のせいだと思いたい。

だってまだ※歳だよ!?

 

はぁ、娘も物心付いてきたし…

そろそろ計画を実行しようかな。

村に魔物を誘引してもいいけど、賊で良いかも。

娘が隠れている目前で、ヤツらに犯されながら殺されるのも良い。

いやむしろ、これ以上ないくらい素晴らしいシチュエーションだ。

よし、動くか。

 

そう思った矢先だ。

首都で政変が起こったらしい。

圧政してた王様か何かが斃されたみたい。

最近は村に徴税官が来なかったけど、政権交代による混乱か、と納得。

なんか他国と色々と交易も始まったらしい。

珍しく村に来た商人がそう言ってた。

この閉ざされた大地に他国なんてあったか?

まぁいいや。

 

ここは僻地も僻地なので、とにかく情報が来ない。

情報が来ても、それはすっごく遅れてくる。

まあ、欲すれば幾らでも探ることはできるけど。

首都に興味は無いし、本当に初耳だった。

基本的には、この娘の成長が第一だしね。

 

 

今思えば、もっと情報に敏感であるべきだった。

 

 

ある日、珍しく村にお客様がやって来た。

旅人のようだった。

リーダーの男が一人に、女が四人。

見た目は地味な彼らだけど、立派なハーレムだ。

男が羨ましすぎる。

 

彼らは私が営むパン屋にやって来た。

ちなみに営業中は、フィサリスは友達んちに預けてるから問題なしだ。

ここら辺は、日頃の行いの良さが効いてくる。

 

「いらっしゃい。こんな片田舎のパン屋に来てくれるなんて嬉しいわ。さあどうぞ、ゆっくり見ていって下さいな」

 

「ど、どうも」

 

地味男が地味に応える。

見た目は地味極まりないモブパーティーだけど、実力はとても洗練されているな。

 

男は剣を携えているし、おそらくは前衛か。

それに重武装の女、これも前衛。

身軽そうな徒手の女、これは遊撃手か?

それに魔術師らしき杖を持った女に、聖職者っぽい女もいる。

見た目がモブofモブなパーティーだけど、バランスとしては最高だ。

 

「うふふっ、素晴らしいメンバーですね」

 

「あ、ああ…わかるか?」

 

リーダーとみられる男が応える。

 

「ええ。私にも、かつて同じような仲間が居ました。それはもう素晴らしい方々で…男性が一人に女性が四人で、偶然にも皆さんと同じ構成でしたね。今はこうして、しがないパン屋をやっていますが…ふふっ、あなた方を見ていると、思い出してしまいますね」

 

「…すまない事を聞いた」

 

どうやら男は、私の仲間が死んでいると勘違いしているようだ。

 

「あっ、死別とかではないですよ。今でも彼らは元気だと思います。理由(ワケ)あって私が勝手に居なくなっただけですから」

 

「そ、そうか…それで、今でも仲間の事は愛しているのか?」

 

「はい、もちろんです」

 

愛していない訳なんてない。

愛しているから、曇らせたのだ。

 

「その…リーダーの事は、今でも!…いや、何でもない」

 

なんだァ?

煮え切らない野郎だなぁ。

 

「?…あ、皆さん本日の宿はお決まりですか?ご覧の通り、村には宿が無く。村長の所なら客室があると思いますので、よければお取り継ぎ致しますが?」

 

「いや、その必要はないよ………ティアナ」

 

「あら、そうですか…………え?」

 

がちゃん、と金属が嵌る音がした。

首が、硬く冷たい物体で包まれる。

 

「命ずる…動くな、ティアナ。この魔道具を装着した君は、今から俺の奴隷だ。君の意思では、その首輪を取り外す事は一切出来ない。これから君にとって僕の命令は絶対だ」

 

私は目の前の男から、金属製の首輪を嵌められた。

一瞬の隙だった。

そして彼の言う通り、身体が言う事を聞かない。

 

「うぐぅ…私はティアナという名前ではありません…それに貴方達は一体…何者………」

 

彼らの見た目は、先程の地味なものから瞬時に変わっていった。

かつて、私が見慣れた人たちに。

 

「あっ……あぁ…まさか…まさか…ありえない…私が気が付かないなんて…」

 

ああ…アルトくん…もう一度会えるなんて

 

くそっ…見た目をモブに偽装されるとは、油断した。

彼らにそんな芸当が出来たなんて、思いもよらなかった。

 

それに、この首輪。

他人を隷属するアーティファクトなんて、聞いたことが無い。

それらしきは黄金の首輪だが…

アレは何の変哲もない、ただの換金アイテムだった筈だ。

 

「ふふっ…久しぶりだね、ティアナ。また会えて嬉しいよ…さて、”我が命じる”、嘘は禁止だ。さあ、改めて名乗ってもらおうか」

 

「うぐっ…ちがっ…ぅ…わた、し…は…イェン…イェンティアナ・ラブカス…うぅ……」

 

口を塞げない、勝手に声が出る。

私の意思を無視して、口からは真実が紡ぎ出される。

 

この首輪はとんでもないアーティファクトだ。

私に対して、絶対の強制力をもっている。

 

ありえない…

 

こんな、遺産級のアイテム何処からゲットしてきたんだ…

 

「フフフッ…ティアナ…やっとだ…また君と共に……」

 

アーシャ!エリナ!サティア!

それに…この女は…あの刺客だった侍女か!

私の後任として聖女に仕立て上げ、魔王に献上した筈だが。

まさか勇者パーティーに加入していたとは!

 

「うぅ…もう…やめて下さい…お願いです…私に、構わないでください…」

 

「諦めてくれ。君の隷属化は俺達パーティの総意だ。君は放っておくと危なっかしいからね。さあ、これで全員が揃った。ティアナ、みんなで首都に行こう。世界を救った勇者達の、真の凱旋だ」

 

無理だ、逃げられない。

ああ…もうダメだ。

 

せっかく物語から脱落したのに。

 

ここから先の物語に、私の存在はあってはならないのに。

 

だから自分という存在を、彼らの前から消した筈なのに。

 

あとは遠巻きに、君達を眺め、恍惚に浸るだけだったのに。

 

それを思い出に、ひっそりと暮らす筈だったのに。

 

失敗した。

 

彼等の想いを甘く見ていた。

 

お願いだから、解放して。

 

さもなければ、いっそのこと…

 

私を殺してくれ。

 

 

野原の街道に、女の慟哭が響き渡る。

 

「い゛や゛だぁ゛!!や゛め゛ろ゛ォ!い゛ぎだぐな゛い゛ぃ!!」

 

「フフフッ…ダメですよ、お母さん♡お母さんは私と一緒に帰るんです」

 

「ちがう!お゛前な゛ん゛か私の娘じゃないぃ!!」

 

女に似た聖職者は、女にひっついて離れない。

 

「アンタ、ほんっとうに最低ね。こんだけ私たちに愛させといて、捨てるワケ?許さないわよ、絶対に」

 

「アーシャさん゛ん゛!違うんですう゛!これには、ワケがあっでぇえええ!」

 

魔術師は、女を侮蔑した目で見つめているが、頬を赤らめている。

 

「私は赦すぞ、ティアナ。キミが最後にキスをしたのは、私だったな。身体を激しく締め付けながら、唾液の交換をしてくれた。あの時の痛みと快楽が忘れられないんだ。だから一緒に帰って、しよう」

 

「エリナざぁ゛ん゛、そう言うなら!助けてくだざいよ゛ォ!!ゴホーシしますからぁあ゛あ゛あ゛ぁ゛!」

 

重武装の騎士は、最後に選ばれたのは自分であると、誇らしげにしている。

 

「哀れな女だ。変態クソ小便垂れ流し聖女には相応しい末路だな。もちろん、帰ったら私もお前をブチ犯してやるからな、覚悟しろ」

 

「あ、サティアさんですか。それは結構です」

 

「ムキィイイイイ!!私の時だけ冷静になるなぁ!!クソがぁ!おいアルト!私の番になったら頼むからな!土下座させてブチブチ犯してやるんだ!」

 

魔族の女は地団駄を踏みながらも、仕返しを宣言した。

 

「仕方がないなあ、サティアは。だけど、最初は俺だからな。俺がティアナを孕ませる、確実に」

 

唯一の男は、股にあるイチモツを大きくしながら、そう宣言した。

 

「ひいっ!?あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ!!!殺せぇ!殺せェ!!今すぐに!オイィィ天のワタシィィィィ!!さっさと遠隔で私を殺せェ!!!………クソッ!!なぜだ!?なぜ天にいるバックアップは応えてくれない!?」

 

「何を言ってるんだ、ティアナ?ほら、早く帰るよ」

 

「ッ!?まさか…まさか……裏切ったナァ!!バックアップの…バックアップのクセにぃ゛い゛い゛い゛!!」

 

女はべえべえと泣き喚きながら、彼らに連れ去られた。

 

勇者一行は死んだ筈の聖女と共に凱旋した。

聖女は奇跡を起こし復活したのだ。

 

その後、ローズ王国は歓喜に包まれた。

 

 

 

 

「フィーちゃん!!フィーちゃん!!大変じゃ!!フィーちゃんの母さんが!」

 

友達の家で過ごしていると、村長のお爺さんが駆け込んで来た。

 

「…えっ?母さんが?」

 

ボクが駆けつけた時、母は既に連れ去られた後だった。

 

村に来たあの旅人達は、はじめから母が目的だったのだ。

 

奇跡の聖女。

村を飢えから救い、祈りと信仰を捧げた私の母。

母は間違いなく聖女だ。

 

母は父の事を一切語らなかった。

村人は処女受胎だとか言っているが、あり得ない。

父については知る術もないが、きっと強大な力の持ち主に違いない。

だってその血が流れているボクにも、大きな力が受け継がれているから。

 

母はその事を知らない。

ボクが隠しているから。

母が知っているのは、ボクの成長が他の子供より多少早い事くらい。

 

その成長も、かなりの部分を隠している。

ボクの思考は既に、そこら辺の大人よりも明晰だ。

 

ボクは母を愛している。

母としてではなく、女として。

娘と母?

同性なんて関係ない。

無償の愛をくれた母を、自分も愛した。

それだけの事。

 

だから母の乳を求めた。

母を想って自慰もした。

母に近づく不埒な輩は、密かに追い払った。

 

そうやって過ごしている内の出来事だった。

 

母を連れ去った盗人は、新たに開かれた大地の住人らしい。

その大地にある人々と戦争があったけど、和睦して交易が始まったばかりと聞く。

ヤツらはそこにいる、一人の男と四人の女で構成されたグループだ。

 

絶対に、絶対に許さない。

 

母は必ず取り戻す。

 

母はボクのものだ。

 

 




TOPS:隷属の首輪
被使用者は全ての言動を使用者に強制される。
被使用者の意識によって取り外す事は出来ない。
使用者が死ぬまでの間に、その効果を別の人間に引き継ぐことができる。
これにより奴隷の相続が可能となる。
隷属者が不死の女ならば、男児が産まれ続ける限り、孕み袋に困る事はないだろう。

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