前までの閑話、原作の話から一転。
ここからは閑話に至るまでのレフィリの学園都市での軌跡を見ていて頂けたらなと思います
遠い過去の記憶。もう戻ることは出来ない、懐かしき楽しかった日々の頃の思い出を、度々思い出す。
あの日見た夕暮れに思いを馳せて。あの日食べたみんなとの食事が鮮明に残っていて。あの日戦った魔物との戦闘で付いた傷を見ながら。
何かと、1つ1つ些細なものを見つけては、あの頃との共通点を探しているような気がした。
誰かと、懐かしむことも出来ないような記憶を抱えて、いまもまだ私はあの記憶の元へは帰ることは出来ていない。
ただ、ひたすらに。いまも見ているこの月夜を、あちらでも彼女が見ていたらと考えるばかりだった。
あぁ……会いたいよ"フリーレン"。
あの儚くも美しい、エルフの少女をいまでは愛おしく思う程だ。
私はいつまで1人で居ればいいのだろう。
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まだ、冬の寒さが残る春の始まりが外の光景に見え始める頃のことだ。
私は、"とある"ことに巻き込まれ、この日本の学園都市に迷い込んでしまう。
見たことも、聞いたこともないような場所で、行先も知らず途方に暮れていた。そんな頃の私の話
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とある鏡面の魔法使い
1話 迷い込んだ魔法使い
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私の名前はレフィリ。歳は500を超えた辺りから数えてない。髪色はちょっと変なこと以外は、至って普通の美少女だ。
ただ、体型が幼く見えてしまうのはご愛嬌だろう。こっちの方がロリロリしくて可愛らしいと思うので、モーマンタイと言うやつだが。
そんな私だが、仲間達と一緒に冒険の途中。厄介な魔物に出会い、逢えなく戦闘を行うことになってしまったのだが、その時の一撃により私は昏倒。そして目が覚めたら────
「…………嘘、ここどこ?!」
───まったく知らない土地に誘拐されていた。
見た目は子供、頭脳は大人……そんな私が、誘拐されるとは。奴隷にでもされてしまうのだろうか。
「出来ればエロい目的じゃないと良いな。とりあえず、フリーレン達と合流するのが正しいか?」
そう言いながら、兎にも角にも現状把握が出来ていないことには何も始まらない。一先ず私は、これまでの経緯を思い出すのと共に持ち物の確認と、現在位置の確認から行うことにした。
私が最後にいたのは、遠方の水晶洞窟の中。立ち寄った村で、村長が病に伏せ倒れているという話を聞いた私たち一行は、村から少し離れた場所にある水晶洞窟で、病を治すための材料を集めに行っていた。
そこで現れた魔物が魔法を阻害、跳ね返すタイプの魔物だったようで、うっかり1番手を担ってしまった私が被害を受け、自身の魔法の影響で昏倒。そしていまに至るわけだったのだが。
自身の魔法を受けてしまう、もしくは阻害されてしまっていたともなれば、何が起きてしまうのか想像できない。最悪、故も知らぬ場所に送られてしまうなんてことが往々にして有り得る。
「とりあえず、持ち物の方は大丈夫かな。どれもこれも揃ってる、ただ杖だけが問題だなぁ……」
いつものように取り出した杖は、見事に真ん中のところでポッキリ折れてしまっていた。特に何か思い出のある品ではないが、デザインが気に入ってただけあってとても残念な気持ちになってしまった。
どこか魔法商か魔道具店にでも行って直してもらおう。バラバラじゃないなら、たいした手間でもなかろう。
「次の問題は、現在位置の把握……なんだけど。明らかに、いた場所と見た目違うよねぇ?」
元いた水晶洞窟の水晶が煌めく幻想的な風景とは違い、そこは真っ暗闇が奥の方まで見える洞窟のようだった。
視界が慣れるまでは無闇に動き回らない方がいいかもしれない、くらいの暗さ。
微かに水の流れる音が聞こえてくるから、もしかしたら洞窟よりは山道の方かもしれない。そうなると、迷宮やらに飛ばされているわけではないだろうから、安心だけど。
「うーん、やっぱり魔力探知が上手くいかないな。何か別のものに阻害されてる? 魔力じゃないよなコレ」
何やら四方八方、あちらこちらに飛び回っている謎の波? というより、吹き溜まりみたいなのに魔力探知が邪魔されて外の様子や、フリーレン達の魔力が追えない状況になってしまった。
「困ったな、魔力探知に関しては私の上を行くやつは居ないんだけど、私ですら無理なら誰がいけるんだよ」
この点に関しては、同じパーティーにいる魔法使いの、フリーレンやフェルンにも認められている。
前に会ったことのある、フリーレンの師匠である"フランメ"その師匠である"ぜーリエ"にも、認められているところだ。
そもそも私の魔法自体が、魔力探知に造詣が深くなければ扱い切れない魔法だしな。
「安全を確保してから動こうと思ってたけど、これじゃダメだな。多分、そういう特性の魔道具か魔物でもいるんだろうし、さっさと事を進めた方がいいかな」
そうとなれば早速行動するのが、魔法使いの掟。
考えをすぐ実行しなきゃ、考えたことがドンドン腐っていくからね。
ということで、魔法で光を出しながら歩き始める。
そこで気付いたのは、水の音はどうやら近くで流れていたものだったようで、洞窟状になっている用水路だったみたいだ。
……それにしては作りが精巧すぎる気もするけど。
十数分程歩いて気が付いたこと。
これ用水路じゃない気がしてきた……。
あまりにも水が汚れすぎてる、私はいまとんでもないことが頭の中に考えついてしまっている……。どうかそれが本当じゃないことを願うばかり。
歩き続けて30分は経過した頃、ようやく出口が見えた。問題は出口が少々狭い、出る時に服が水で汚れてしまうという点だったが、多少は我慢。綺麗な白い服が汚れてしまったが、あとで魔法でどうにかしよう……。
用水路を出て、外の景色を見ることが出来た私。
あぁ……最悪だ。最も、1番考えたくないことが当たってしまった。
私はここからどう、向こうに帰ればいいんだよ……。教えてくれフリーレン……。お前ならいつもみたいに、知識を披露して教えてくれるだろ。
「ああ、最悪だ。本当に最悪だ……。もう二度と戻ってくるかと思っていたのに」
外の景色、周りにいる人間達。そしてその格好。
遥か昔、遠い記憶の彼方にあるもう既に薄れて、殆ど思い出すことも難しい、あの記憶の片隅にある場所。
それとは少し景観が違うけど、それは明らかに。
「───ここ日本じゃねぇか」
第1の故郷だった。