百合小説書いたら売れたわwww 作:百合スキー
「誠に申し訳ございませんでした。」
ある日の昼頃、窓から差し込む太陽の光が部屋全体を照らす。
綺麗なフローリングがされている部屋で私はなんとも綺麗な土下座をしながら目の前にいる太ももがとても太い早瀬ユウカに謝る。
「いや、本当に出来心で書いたものがここまで売れるなんて思ってもいなかったんですよ。まさかミレニアムで知らない人はいないレベルで売れるなんて予想できなかったんです…」
そう言いながら恐る恐る顔を上げると私の額に物騒なものが押し当てられているじゃないか!おい!悲しみも怒りも因数分解するんだろぉ!早く怒りを因数分解しろよぉ!そんなんだからアオイに役割奪われるんだよ。
「………矯正局送りでいいかしら?」
やっべ、マジギレしてるぜ。このままじゃ殺られる。そう思った私は頭を回転させどうにか言い訳を考えるが何も浮かばない。
「…いや、それだけはご勘弁を………一度入った身として戻るのは上京したのにすぐに戻ってきた娘みたいになるので……」
私がそう言い終わると鬼の形相をしているユウカの銃から発射された銃弾が私の脳天に直撃して私は気絶してしまった。
私は目が覚める、天井を見るにミレニアムの保健室だろうか?そう考えていると聞き慣れた可愛い声の持ち主が私に呼びかける。
「ああ 落ち着いてください、焦ることはありません。あなたにお話があります いいですか?どうか 落ち着いて、あなたはずっと昏睡(コーマ)状態だったええ ええ わかってます。どれくらいの長さか?
あなたが眠っていたのは……1時間です。」
「…………アリス…看護師役が足りないよ。」
そう声をかけてきたのは天童アリス……ミレニアムでマスコットみたいになってる少女だ。ロボット?ではあるものの人間と何一つ変わらない感情を見せてくれる。というか機械要素が一ミリも見当たらない。
アリスにアンドロイドやヒューマギアのようにわかりやすく機械のデザインを外側に入れなかったところにアリスを作った奴と私は相容れない。正直言って機械の尻尾とか機械らしい耳とかがなければそれは人型ロボットの魅力が無くなってる。私は少なくともそう思っている。
もうすぐで夕方になりそうな時間帯に私が目覚めるとアリスがメタルギアのアレをしてきた。ちなみにメタルギアをアリスにやらせたのは私です。個人的にビッグボスが1番好きかな。
「やはりモモイを立たせておくべきでした。」
おいおい巻き込まれるモモイが可哀想だな。ちなみにモモイいうのは簡単に言うとアリスのサンドバッグでありパンチラ要員だ。
「そういえば、なぜアイトはユウカに追われてたのですか?」
忘れてた、そういえばユウカに殺されかけたんだったわ。いやー怖かった、ゲーム開発部に怒る時のお母さんのような怒り方ではなくキレすぎて逆に冷静になるアレだった。本当にキレてる時って静かすぎて怖いよね。
「えーと……『恋の因数分解』って本知ってる?」
「はい!ミドリとユズが読んでいました。私も読ませてもらおうとしたのですがアリスにはまだレベルが足りないと言われました。」
レベルかぁ……確かに必要なレベルに届いてなさそうだもんな。
「その本、私が書いて売った本なんだけど……ちょっと内容がユウカに怒られちゃった。」
テヘペロと言いながら舌を出して誤魔化すとアリスの目の色が紫のような変わる。あとついでにヘイローも。
「……あの内容ではユウカに怒られて当然ですね。」
「おっ!ケイちゃん久しぶり〜!!ケイちゃんも読んでくれたの?どうだった?」
ケイちゃんはアリスの中にいるもう1人の僕的なアレだ。
どこかのATMよろしく、闇人格と言ってもいいだろう。本家と同じくアリスの方が殺意も高いしね。ガンドラ強くない?強いよね。
久しぶりに会ったケイちゃんが私の本を読んでくれていることに感動を覚えながら感想を聞く。ケイちゃんには何回も殺されかけた仲だ。今ではというかその時から仲良しだったよ、本当だよ。
「……話も面白くて、女性同士の恋愛模様をよく表現できていたと思いますよ………登場人物が早瀬ユウカと生塩ノアじゃなければユウカもお怒りにならなかったでしょう。」
そう、私が書いた作品というのはユウカとノアの百合恋愛小説である。ノアの好意に気づいてしまったユウカが親友として過ごすのか恋人として過ごすのか、その思い悩みをねっとり書いた作品である。担当編集から恋愛を書いてみないかと提案されたけど男女の恋愛描写が書けなくて、思い切って百合にしてやったらOKがでた。
「……ノアには書くにあたって許可を取ったんだけどな……ノリノリで許可してくれたし、ユウカとのデートの時のコースやセリフまで聞いて書いた本だぞ。」
ちなみにノアはわざわざ私に手を握るシーンをじっくり書くように言ってきた。あいつ怖いよ、ユウカは私よりもノアを捕まえた方がいいんじゃないかな?捕まえるときは協力するよ?銃も持ってないけど。
そんなことを考えているとまたアリスの目の色が変わる。今度は紫のような色から元の青に戻る。またしてもヘイローも。
「百合というやつですね!確か先生がゲームを持っていました。」
え?先生ってあんなに女殴ってそうな顔なのに百合好きなの?……私の作品読んだか電話で聞いてみるか。そういえば生徒たちの絡みをニコニコで見てたけどあれって子供のわちゃわちゃを楽しんでたのではなく、百合を見て喜んでいた可能性が出てきたな。この変態め!バシッ!!
「…ごめんアリス、ちょっと屋上で電話してくるね。」
「わかりました。アリスもモモイを練習台にしてきます。」
アリスと別れてスマホだけ持ってエレベーターに乗り屋上に向かう、屋上は綺麗なオレンジ色をしている夕陽に照らされ、私以外誰もいない。私は落下防止用の柵に腕を置き景色を見ながら電話をかける。
振動音と共に聞き慣れたメロディーが流れ、先生が電話にでる。
「…もしもし先生……『恋の因数分解』買った?」
そう素直に聞くと電話越しに何か液体を口から吹き出してむせているのが音だけでわかる。またコーヒー飲んでるのかな?
『“な、なんでそのことを?”』
「……私の作品だからだよ。」
『“え?……本当に?アイトが『黒餡蜜先生』なの?”」
期待以上に驚いてくれるな。そりゃそうか、元々書いてた本とジャンルが違いすぎるもんな。
「そうだよ……というか先生的には生徒をそのまま出してる百合小説ってありなの?」
『“それに関してはノアに許可を出してるか聞いたから……”』
つまりユウカには聞いてないのか……バレたら終わるな。でもノアもわざと隠した言い方をしたはずだから大丈夫だろ。
「時に先生、私は次の参考とする生徒を探しているのだが誰かいないか?」
『“………先生として答えられないな”』
チッ…どうせ生徒の百合本を読んだ後の癖に、強情な奴め!
「……じゃあ、先生が名前を知っている生徒を1人教えてくれ。」
この問いの意味を先生はわかっているだろう。先生はここで誰の名前をあげてもいいわけだ、これなら先生も立場を気にしなくていい。
『…………………』
「シンキングタイムが長すぎる…さっさと答えないとお前と黒服のBL本書くぞ。」
『“っ!………アル…陸八魔アル”』
めちゃくちゃ小さな声でやっと生徒の名前を出した、流石に黒服とのBL本は嫌だったからか生徒を生贄に差し出したな。意外とキヴォトスでBLって流行りそうだしな。男同士の恋愛描写なら書けそうな自信が無駄にある。
アルちゃんか……彼女はなかなかに面白そうだ。社員であるムツキ、ハルカちゃん、カヨコとの王道を行くもよし、意外と合いそうなヒナちゃんも面白そうだな。ハーレムもいけるし、個人でしっとりもできる。逸材だな。ヒロイン候補もムツキとは幼馴染で昔から展開ができるし。ハルカは遭難系が合いそうかな?カヨコは……アコちゃんを元カレみたいにしても楽しそう。
頭の中で妄想を膨らませながら私は胸ポケットからペンと手帳を取り出して記入していく。
陸八魔アル 取材予定
ゲヘナ学園2年生 便利屋68の社長
相手の候補 浅黄ムツキ、伊草ハルカ、鬼方カヨコ、空崎ヒナ
こんなところか、後は取材して許可を取って書くだけだな
「では先生この辺で失礼させてもらう。次の作品を楽しみに待っておくんだな。」
『“えっ、ちょっ、待って。”』
そう言いながら電話を切り、便利屋68の事務所に電話をかける。
『はい、こちら便利屋68。陸八魔です。』
かっこよく決めようとしているアルちゃんに寿司を頼もうか一瞬考えるがやめて本題を話す。
「やっほーアルちゃん、久しぶり。」
『アイト?久しぶりね、2ヶ月ぶりぐらいかしら?この便利屋68に何か依頼でも?』
「そうだよ。アルちゃんは私が小説書いてること知ってる?」
『ええ、内容は見たことないけどムツキが教えてくれたわ。』
ムツキがアルちゃんに教えちゃったか……内容知らないならいけるな。
「ちょっとアウトローやハードボイルドを次の小説で書きたいんだけど私は詳しく知らないからさ……アウトローでハードボイルドなアルちゃんや便利屋のみんなにインタビューの依頼をしたいんだけどいいかな?」
『………』
あれ?返事が遅い、マイクが切れてるわけでもない。何かあったのかな?
『任せなさい!!!アウトローでハードボイルドな私がアイトに教えてあげるわよ!!』
うるさ!!!声デカすぎだろ、そしてめちゃくちゃ上機嫌だな。そんなにアウトローとかハードボイルドって言われたのが嬉しかったのか?でも残念なことにアルちゃんはハーフボイルドなんだよな。
「と、とりあえず明後日の午前9時から取材してもいい?報酬は50万でどう?なんならお昼も奢るよ。」
なんでそんなに金を持ってるかだって?印税でめちゃくちゃ入ってきた。私はそこまでお金を使うタイプじゃないからかなり溜まってる。
『わかったわ!明後日の9時ね。みんなにも伝えてくるわ!』
「…じゃあ明後日に事務所に向かうから住所送っといてね。」
そう言いながら電話を切る、次の取材の許可も取れてニヤニヤしている私の後ろに誰かが立っている。敵意もなく好奇心のようなものも感じられず殺意だけを感じ取り。私は振り向かずにその人物に話しかける。
「……私は丸腰で君は銃を持っている……不平等じゃないかい?」
私に銃が向けられる音がする。メモ帳を内側の胸ポケットにしまい、両手を上げた。
「……さっき撃ったばかりだろう?もう撃たなくてもいいんじゃないかな?」
私の後頭部に銃口が当たる。
「……ああ!アリスに本の内容を話したことか!……すまない、本当にすま……」
私の後頭部に銃弾が発射された。今日はこれで2度目だな。デジャブを超えてリメイクだな。
私はまた気絶してしまった。
ヤラレチャッタ。
主人公のプロフィール
灰原アイト 女 16歳 無所属(一応シャーレに席がある)
好物は黒餡蜜とアーモンド
見た目
髪色 グレー
髪型 腰まで伸びてるロングヘアー
身長 151㎝
ヘイローの形 黒色の目に白色のペンが刺さってる
どこの学校にも所属しておらず過去に機密情報や消された情報などを本にして売っていたことでSRTに捕まり矯正局に送られた。本人としては真面目にしてたら美味しいご飯は出るし、紙とペンは買えるからそこそこ居心地は良かったらしい。矯正局内では自分から看守の手伝いなどをしたりと模範生より優等生していた。特にアキラと仲良くなり、昼食時などに一緒にいるところを目撃されている。
ワカモ脱走時には逃げれる状況だったものの逃げずにいたためか先生着任時に情報を集めるため、シャーレ所属の身となり仮釈放された。
シャーレへの貢献度が高かったおかげで、もう2度と機密情報などを本にしないと誓わせて仮釈放から釈放になった。
今は出版社『常世文庫』で『黒餡蜜』の名で百合小説を書いて稼いでいる。
現在はD.U.区内のマンションの一室に住んでおり、シャーレからは徒歩5分くらいの位置である。よくアキラが出入りしているが合鍵を渡した覚えは無いようだ。
本人になんで捕まったのかを聞いたら『歴史や物語は本に書くからこそ残されるもの。残されなければそこにあった現実も空想も無くなる』という美学で行なっている点はアキラや美食研究会と同じ生徒だと先生は察した。