東方縛鎖録   作:ふみくじ

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眠いです。


そのご

 妹紅さんに出会ってから一週間が経った。

 妹紅さんは今私の家で暮らしている。というか住み着いている。話を聞くところによると「家がない」のだそうだ。それじゃあいったいこれまでどうしていたのでしょうか…?気になるが別に聞いてみようとも思わない。出て行ってほしい、とも思わない。迷惑というわけではないですから。……むしろ一緒にいてくれるのはありがたいですし。

べ、別に一人だと寂しいとかじゃないですからね!?

 

 

―――――――――――

 

「しばにゃんもっとだ!もっと持って来い!」

 

「私もお願いするわー」

 

「その呼び方やめてください。後二人ともお酒臭いのです」

 

 適当に相手をしながら、空になった盃にお酒を注ぐ。

 三日前に月から帰ってきた八雲紫と居候の藤原妹紅。私の目の前にいる二人の酔っ払いたちは顔を真っ赤にしながら互いに愚痴をこぼしていた。

 

「しばにゃんはさ、小さいよな」

 

「そうねぇ、確かに小さいわねぇ」

 

「なっ…!?」

 

 違う、愚痴じゃなかった、私の悪口でした。成長しないものは仕方ないじゃないですか!人が気にしてることを目の前で言わなくたっていいじゃないですか!いつか私も変化の妖術を覚えてぼんきゅっぼんになってやります!……ちくせう。

 

「いくら私でもその話をそれ以上続けるなら本気で怒りますよ?」

 

「そんなこと言うなよしばにゃーん。私とおまえの仲じゃないか」

 

「あらあら、いつの間にそんなに仲良くなったのかしら。妬けちゃうわぁ」

 

 ああ、もう。付き合ってられませんね。

 

「もう知りません。散歩にでも行ってきます。お酒は自分で注いでください」

 

「あいよー」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

 

「出て行っちゃったわね」

 

「そうだな」

 

 彼女が出ていった扉を見る。あの様子なら一時間は戻らないかな。ちょっとふざけたつもりが怒らせてしまったようだ。後で謝っとかないと。

 そんなことを考えながら改めて目の前にいるスキマ妖怪のほうを向く。この幻想郷を作った妖怪らしい。私が初めてこいつを見た時の印象は、胡散臭い、だった。この笑みといいしぐさといい全てが胡散臭い。何を考えているのかわからない。縛理の奴は「よくわからない人がいい人」と言っていた。前半部分はわかる。が、後半のいい人ってのは理解できない。どこをどう見たらいい人に見えるんだろうか。

 

「お前、月に行ってたんだってな」

 

「……そうよ。それがどうかした?」

 

 月、という単語を出した瞬間スキマ妖怪の表情が変わった。苦虫を噛み潰したような顔。ひどく不愉快そうな顔だった。

 

「一つ聞きたいことがあるんだが」

 

「嫌よ。知り合って二日の人間なんかに答える義理がないもの」

 

 即答された。だがここだけはどうしても譲れない。

 席を立ち、床に手と膝をつけ、頭を下げる。所謂土下座だ。

 

「頭をあげなさい」

 

「お願いだ。月にどうしても殺さなきゃいけない奴がいるんだ」

 

 あいつを殺せるならプライドなんてそこらの妖怪に食わせてやる。悪魔にだって魂を売ってもいい。

 頭を下げているせいで、スキマ妖怪の表情はわからない。

 

「……仕方ないわね。今回はその誠意に免じてあげるわ」

 

 ため息をつくスキマ妖怪。こちらが折れないと判断したのだろうか。なんにせよ答えてくれるならありがたい。

 

「助かるよ」

 

 土下座をやめ、膝についた汚れ払う。

 改めてスキマ妖怪の前に座り直す。

 

「で、なんなのかしら?聞きたいことって」

 

「蓬莱山輝夜、腰より長い黒髪に桃色の服を着ている女を見なかったか?」

 

 蓬莱山輝夜。父を辱め自殺にまで追いやったあのクソ女。絶対に殺してやる。

 考え込むこと数十秒、スキマ妖怪は口を開いた。

 

「月では見ていないわね。ただ……」

 

「ただ?」

 

「地上にいると思うわ、そいつ」

 

 は?今何と言った?地上にいる?あいつは月に帰ったはずだ。

 

「月にいた奴らに言われたのよ。お前らは輝夜の手先かって。それにたぶんだけど私見たことあるのよ、この地で」

 

 私は言葉が出てこなかった。月に帰っていたはずのあいつが、父を殺したあいつが幻想郷にいるなんて。

 

「それじゃあ私は帰るわ。お酒もなくなっちゃったし。縛理ちゃんによろしく言っといてね」

 

 そういってスキマ妖怪は席を立ち、能力だろうか?気持ち悪い空間にはいっていった。

 

諦めかけていた。月にいるなら仕方がないと。だが今、奴はここにいる。

心の奥で消えかかっていた憎しみの炎が、再燃するのを感じた。

 

 

 

 

「ただいまですよ。あれ?妹紅さんだけですか」

 

 そろそろお酒も尽きたかな、と思い家に戻ってみるとそこにいたのは妹紅さん一人でした。紫さんは帰ったんでしょうか。

 妹紅さんは俯いていて顔が見えません。返事もないですし寝ているのでしょうか?

 

「妹紅さん?」

 

 近づいて声をかけてみる。

 

「ん?ああ、縛理じゃないか。いつの間に帰ってたんだ?」

 

「いまただいまって言ったじゃないですか」

 

 どうしたんでしょうか。なんだかいつもの妹紅さんじゃありません。なんていうのか、こう、こわいです。

 

「どうしたんですか妹紅さん。なんだか変ですよ?」

 

「別にいつも通りだよ…。眠いから先に寝るわ」

 

 そういって自分の布団に潜り込む妹紅さん。潜り込んだと思ったらいびきが聞こえてきました。そんなにねむかったのですか。

 机の上には盃などがそのまま置いてある。あの人達は本当にだらしないです。妹紅さんにいたっては盃にお酒残ってますし。

 

「……お酒っておいしいのでしょうか?」

 

 興味本位で残っているお酒を舐めてみる。

 

「まず……」

 

 なんだかよくわからない味がした。なぜ妹紅さんたちはこんなものをあんなに美味しそう飲めるのでしょうか。私にはまだ早いんですかね?

 でもなぜでしょう、止まりません。やめられない止まらないとはこのことでしょうか。不味いとは思うのですが盃を傾ける手が止まってくれないのです。

 

「ぷはっ…」

 

 結局、盃が空になるまで飲んでしまいました。お酒って怖いです。

 なぜでしょう、急に眠くなってきてしまいました。なんかほわほわします。瞼が重いですし。

 

「妹紅しゃんおやすみ、なさい…」

 

 少女は自分の布団に入りもう寝ているであろう人物に挨拶すると同時に、深い眠りに落ちていった。

 

 

 

 朝、目を覚ましてみるとそこにはきれいに折りたたまれた妹紅さんの布団と、ごめん。と書かれた紙が机の上に置いてあった

 

 

 






紫さんの帰還!もこたん失踪!そして酒に弱い主人公!

次はだいぶ飛ばすつもりでございますよ。

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