秋といえばきのこ、きのことといえば秋である。
突然どうしたんだ、と思われるかもしれませんが、昔からきのこを主食としてきた、きのこマイスターであるこの私からすれば秋は素晴らしい季節なのです!……まあ自称なんですがね、きのこマイスターって。別にそこまで好きというわけでもありませんし。きのこを焼いていれば、いつかあの人が戻って来た時にも一緒に食べられるってだけです。
「こっちから匂いがします」
私がきのこを探す方法なのですが、それは匂いです。
きのこには様々な匂いがあります。柑橘系の匂いのするものや、カレーの匂いのきのこ。果てにはアンモニア臭がするきのこだってあります。アレを嗅いだときは本当に酷かったです。うぅ、思い出しただけでも吐き気が…。もちろん食べましたが。味は普通でしたし、お腹も壊さなかったです。
そんな多種多様な匂いからどうやってきのこだと判別するのか。能力です。いやあ、能力って本当に便利ですねぇ。きのこからする匂い以外を嗅がないように、嗅神経の機能を縛ればいいのです。どんな匂いがしても、それはきのこなのですから。
一応ですが安全のため、妖怪の匂いも嗅げるようにしています。きのこと妖怪の匂いが混ざることは偶にしかありません。あいつらほとんどの場合血生臭いですからね。その偶に、を引き当てた場合は私の食糧になってもらうだけですけれど。
「おお、初めて見るきのこです」
匂いをたどっていくとそこには何とも珍妙なきのこが。一言で表すと何でしょう?人の手ですかね。太い柄から五本の細い柄が真っ直ぐに生えており、五本の柄それぞれに傘がついています。色も肌色っぽい感じです。
「これは楽しみです」
その手のような気持ち悪いきのこを採り、ずっと愛用しているかごに放り込む。かごの中身はきのこだらけである。
「これくらいですかね」
もうすぐ暗くなってきますし、それにお腹もすきました。とっとと帰りましょう。
能力を解除し、来た道を引き返そうとしたとき、視界の端に何かが映った。
「赤い、狐…?」
赤い狐なんて見たことがない。微かにですが妖力を感じたので、妖怪でしょうか。
なにかから逃げていたような様子でしたね。怪我もしていたようですしちょっと追いかけてみましょうか。
赤い狐を追いかけて飛ぶ。三十年以上かけて生み出した身体強化の妖術を使って視力を強化。見落とさないようにする。
「いました…って妖怪も一緒ですか」
そこには体中ぼろぼろの状態でうずくまっている赤い狐。その数メートル先には大きな蛇の妖怪がいる。狐はこいつから逃げようとしていたのだろう。その蛇は徐々に狐に向かって這っている。結構速い。あ、やばいですね。
「あなたのいる空間を縛ります」
パチン
今にも狐に飛びかかりそうな様子だったので能力で縛る。
これぞ私の必勝パターン。大妖怪クラス以外なら大体これで動けなくなるのですよ。大妖怪クラスには数十秒しか持ちませんでした。なぜ知ってるかというと紫さんで試させてもらったのですよ。
あぁ、そんなことより今は狐さんでした。
「ぼろぼろですね…。急いで連れて帰りましょう」
別に助けようと思ったわけではないのですよ。きまぐれと好奇心ってやつです。赤い狐なんて見たことがありませんからね。
きのこの入ったかごを腕にかけ、狐を傷つけないよう抱き上げる。赤かったのでわかりませんでしたが血も流れていました。
「急ぎましょう」
空を飛び一直線に家に帰る。
「包帯ありましたっけ…」
狐の体を気にかけながら、いつもより速めのスピードで飛ぶ。時々狐を抱え直す。落としてしまったら死んじゃいますからね。
そうして家に帰り、狐の手当てを終え、採ってきたきのこを焼いている時、縛理はあることを思い出した。
「あ、蛇さん忘れてました。まあ、いいですかね」
食事回(食べるとは言ってない)
きのこの匂いについてですがこれは本当っぽいです、ネットで書いてありました。
さて次回は金曜日になります
慣れてくるまでは一話一話を短めにしていきます