寒くなったり暑くなったり、どうすればいいんでしょうか?
あ…ありのまま今起こったことを話すです!
「朝目を覚ましたら見知らぬ女の子が寝ていた」
な…なにを言っているのかわからないとは思う(ry
……すみません、少し取り乱しました。こういう時は落ち着いて、女の子を起こさないように布団から脱出するのです。あ、ダメでした。何故か腕に抱きつかれていました。どうしましょう、困りましたね。
身体強化は起きたてでうまくできる自信が無いです。あの術結構複雑なんですよね。
よし、もう諦めましょう。この女の子の観察でもしていましょうか。女の子の観察、なんだかアレな響きですね。
肩まである赤い髪。顔立ちから判断するに大体十代の後半くらいでしょうか。体は布団に隠れていて分からないが、これだけは言える。この子、私より胸があります…。
ここまではまあ普通の人間といえましょう。問題は頭に狐の耳が生えているのです。はい、赤い髪に狐耳、これ多分赤火です。足にもふもふしたものがあたっているのですがこれは尻尾でしょうね。狐の時よりもふもふです。
「ん…」
あら、起きてしまったようです。
「おはようですよ、赤火」
「おはようなの……」
返事もありましたし赤火で確定でしょう。
髪はぼさぼさ、口元にはよだれの跡。眠そうな目をこすりながら大きな欠伸をしている。その様子はとても愛らしい。
「え、あれ、なんでこんなに…?」
どうも自分でもなぜこうなっているのか分かっていないようです。ってあれ?尻尾が三本になってますね。これが原因でしょうか?よく分かりませんけれど。
「赤火、落ち着いて後ろを向くのですよ」
「う、うん」
素直な子ですね。しかし時にその素直な心があだとなるのですよ!
「えいっ!」
「ひゃあ!?」
思いっきり尻尾に飛び込む。赤火は驚き、声を上げるが容赦はしない。もふもふな尻尾が目の前にあるのです、我慢なんてできませんよ!
「もふもふですー、幸せですー」
「やめ、てゃああ!?」
もふる。もふるもふるもふる。これでもかというほど尻尾をもふもふする。あー、気持ちがいいですー…
「ふふふ…」
「やああああめえええ……」
―――――――――――――――――――
「は…ふ」
「赤火、大丈夫ですか?少しやりすぎました、すみません」
ご主人に尻尾を撫でられ引っ張られ頬ずりされ、私、赤火が解放されたのは、私が呼吸をするのもままならなくなった頃。空気っていうのはこんなに美味しいものだったの…
「ご、主人…。少しやりすぎ…、はふう…だと思うの」
「それについては悪いと思っています。でも赤火の尻尾がもふもふなのがいけないのです…」
呼吸を整え、悪いと思っているのか私から目をそらしているご主人に文句を言う。すると返ってきたのは私の尻尾が悪いという言い訳。そんなことを言われてもこれはしたくてしているわけじゃないので仕方ないの。悪いのは全部ご主人だと思うの。
しかしなぜこんな体になってしまったのかよくわからない。尻尾が三本になったことが何か関係しているの?難しいことはわからないの。
「………」
「あの、本当に悪いと思っているのですよ…?」
私がそんなことを考えていると、ご主人が心配そうな顔でそう言う。怒っていると思われているのか。別に怒ってはいないのだけど、そういう顔をされると意地悪をしたくなるの。
「私は怒っているの。絶対に許さないの」
許すも何もないのだけれどね。ご主人には少し痛い目を見てもらわないといけないの。了承を得てからならいいの。今みたいに突然されると困るの。
「ほら、今日の夕飯のきのこ多めにしてあげますから許してください」
「いいの!?」
べ、別に食べ物で釣られたというわけではないの!私は心が広いから許してあげるだけなの!えへへ、今日はきのこいっぱいなの…
「……ちょろいですね」
「今何か言ったの?」
「いいえ、気のせいじゃないですか?」
聞こえなかったけど、何か馬鹿にされたような気がしたの。まあ気のせいならいいの。それよりもきのこなの。
「ご主人、きのこどれくらい増やしてくれるの!?」
「うーん、いつもより多いくらいですよ」
「それじゃわからないの!具体的にお願いするの!」
「………五本くらいですかね」
えっと、いつも食べてるのが七本だから… あ、だめなの、指が足りないの。まあ要するにそれくらいたくさんってことなのね。ご主人様はやっぱり優しいの。
―――――――――――――――――――
場所は変わって近所の森。保存しているきのこが底をつきかけていたので、採りに来たのです。もちろん赤火も一緒です。
「ご主人ご主人!これはどうなの!?とってもかっこよくて美味しそうなの!」
赤火がそう言って持ってきたきのこは白色のきのこ。これは確か昔食べたような気がします。その時は笑いが止まらなくなって大変だった覚えが。……あの時のことは思い出したくないです。
「それはやめておいたほうがいいと思うですよ…」
「どうしたのご主人?顔色が悪いの」
「あはは……」
まさかあの時のことを言うわけにはいかないので、笑って誤魔化しておく。すると赤火は、何かを察したの手に持っていたきのこを全力で投げ捨てた。何を察したのでしょうかね…。
そんなこんなでかごいっぱいのキノコを集めた私達は帰路についていました。既に空は暗くなっており、虫たちの鳴き声があたりに響いています。隣には上機嫌の赤火。たくさんきのこが集まったので嬉しいのでしょう、繋いだ私の手をぶんぶん振っています。
言っておきますけど手を繋ごうってしつこいから繋いであげたのですよ?そこのところは勘違いしないでくださいね?本当ですからね?
「きのこのこのこげんきのこ!」
「もう少し静かにするのです、赤火。」
「周りのことなんか気にしないの。妖怪が出てこようが人間がでてこようが、ご主人は私が守るの!それともご主人は迷惑なの…?」
「……ありがとうです。それに迷惑なんかじゃありませんよ」
ならいいの、とそんなやり取りをしながら二人夜道を歩く。
あぁ、百年くらい前もこうやって二人であの人と並んで歩いたことがありましたっけ。懐かしいですね。
「どうしたのご主人?さっきからずっとにこにこしてるの」
「え?」
「それに今日は一日機嫌がよかった気がするの。いつも一緒にいるからわかるの」
そうでしょうか?私はいつも通り過ごしていたのですけれど。よくわかりませんね。顔に出やすい、ってやつなんですかね。
「私も今日はいっぱいお話できて楽しかったの。なんでこんな体になったのかはわからないのだけれど、助けてもらった時からずっとお話ししたかったご主人とお話しできるからどうでもいいの」
こちらを向き、満面の笑みの赤火。そんなふうに言われると照れます。赤火のくせに生意気です。ぐぬぬ…
「あとね、助けてくれてありがとうなの。ずっとこれを言いたかったの」
繋いでいる手は、先ほどよりも強く握られている。
「どういたしましてですよ」
本当は、別に感謝されるようなことではないのです。ただ目の前で死にかけていたから助けただけ。当然のことなのですよ。ですがまあ、今はありがたく受け取っておくことにします。
「うん!じゃあさっさと帰るの!私はもうお腹がすいて倒れそうなの!」
「そうですね、私もお腹がすきました」
二人は手を繋ぎ、月に照らされた道を歩いて帰る。そして家に着くまで、繋いだその手が放されることはなかった。
その後、赤火が、食べるきのこを選ぶために時間がかかったのはまた別のお話です。
\アッカヒーン/
少々遅くなってしまい申し訳ないです。
次はいつになるんでしょうか…。できるだけ早く続きを書きたいものです