BRAVE10   作:花札

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狙われていたもの

階段を下りていく才蔵達……

 

 

「随分深いな……

 

まだまだ先が見えねぇ。

 

 

もう、十丈(約三十メートル)は下りたぞ」

 

「そういえば出雲大社には、大昔天界に届くような高さ十六丈(約四十八メートル)もの巨大な階段があったって、聞いたことがある。」

 

「じゃあこの地下階段は、その反対……」

 

「反対って……

 

じゃあこの階段は、冥府に届くってか?(やめろよ……変な話は……)」

 

「冥府ねぇ……

 

まだ、目的果たしてないから行きたくないんだけど……」

 

「つーか、その話自体有り得ねぇ!」

 

「えぇ!?

 

才蔵、信じてないの!!

 

 

アタシ、死んでも才蔵とは冥府で結ばれると思ってたのにぃ!!」

 

「(死んでも?)あの世では、静かに暮らしてなぁ……」

 

「縁起でもないこと言わないでよ。

 

本当に、この階段が冥府に続く道だったら。私たちここでおしまいだよ?」

 

「そうだな。

 

……

 

 

 

着いたんじゃねぇか?」

 

 

階段が終わり、ようやく地面に着いた才蔵達……

 

辺りは真っ暗闇に包まれており、才蔵と明日花が持つ燈火が唯一の光だった。

 

 

「真っ暗で、何も見えないじゃん…」

 

「仕方ねぇ」

 

 

才蔵は札が付いたクナイを出し、札に火を点け投げ飛ばした。投げて数メートルもしないうちに、クナイは壁に当たった。

 

 

「!?」

 

 

クナイについていた札の明かりに灯された場所には、巨大な石の壁があり行き止まりになっていた。

 

 

「い、行き止まり?!」

 

「何もない……

 

これじゃあ、先にも進めない……」

 

 

すると何かに気付いたのか、伊佐那海はその巨大な岩に近づき何かを見た。

 

 

「ねぇ!岩に何か書いてあるよ!!」

 

 

その言葉に、才蔵達は岩に近づきその書かれているものを見た。だがそれは見たことのない文字の様なものが、その岩に書かれていた。

 

 

「何だ?こりゃ?」

 

「多分、出雲の字だと思うよ?」

 

「読めるか?!」

 

「……うんうん」

 

「何だ、そりゃ……」

 

「ここまで来ても、結局何も何ということか……」

 

「だな。

 

 

 

明日花、どうかしたか?」

 

 

才蔵の隣で、ジッと文字を見つめる明日花に、才蔵は声をかけた。

 

だが、明日花は聞こえてないのか何も答えず、その文字を見ていた。

 

 

「……」

 

「おい、明日」

「うわっ!」

 

 

声をかけた途端、明日花は突然悲鳴を上げ、その場に尻を突いた。その様子に気付いた十蔵はすぐに明日花に駆け寄り、膝を付いて明日花の顔を見た。

 

 

「明日花、大丈夫か!」

 

「才蔵!明日花ちゃんに、何か」

「してねぇよ!勝手に倒れたんだ!」

 

「明日花、どうしたんだ?」

 

「……」

 

「おい、明日花」

 

「……

 

何か、見えた」

 

「え?」

 

「何かって、何だ?」

 

「……分からないけど……

 

何か……」

 

 

 

 

“ドカカカカカ”

 

 

「!!」

 

 

突然、階段の方から数本のクナイが飛んできて、巨大な岩に突き刺さった。それに気づいた才蔵達はすぐに後ろを振り返った。

 

 

「何?!」

 

「何者?!姿を見せよ!」

 

「いやあ、出雲に先回りして張ってた甲斐がありましたよ」

 

 

そこにいたのは、上田を襲った伊賀の忍び服部半蔵と半蔵の仲間の桜割(オウカツ)だった。

 

半蔵の声に気付いた明日花は、立ち上がり振り返り半蔵を見た

 

 

「(……こいつ…まさか?!)

 

!!うわぁ!!」

 

「明日花!!」

 

 

突然、半蔵が放った火の玉が明日花に命中し、明日花は放たれた勢いで岩に体を叩きつけられてしまった。

 

 

「感謝しますよ?ここを見つけて下さったうえ、長年探し求めていた幸魂も持ってきて下さって……」

 

「幸魂?!(狙いは、あれか?!)」

 

「さて、幸魂もですが渡して貰いますよ?その奇魂を」

 

「くしみたま?

 

まさか、狙われていたのは、アタシの簪だったの?!」

 

「お前の簪だけじゃなねぇ!明日花の首から下がってるあの勾玉もだ!(やっぱり、あの二つが爆弾だったのか!)」

 

 

壁に叩きつけられた明日花を目にしながら、才蔵は伊佐那海を隠すように前に出た。

 

 

「まさか、その子が帰っていたとは……」

 

「帰ってた?どういう意味だ?!」

 

「いえねぇ……

 

二年前、その子が下げている勾玉……幸魂を渡して貰おうと、その子の母親に申し込んだところ、お断りするので少し痛めつけようと思い攻撃しましたら、まぁ反撃が来ましてねぇ……

 

 

仕方なく、母親を」

「光坂流木術!妖枝術!」

 

 

明日花が倒れている方から、先の尖った不気味な色をした枝が半蔵目掛けて飛んできた。だが半蔵は飛んできた枝を鞘から刀を抜き取り、刀で枝を切り刻みバラバラにした。

 

 

「困りますねぇ……話の途中に攻撃されるのは」

 

「黙れ!!

 

アンタだけは、私が殺す!!」

 

「あなたには大人しくしててもらいたいのです。桜割、あの子を大人しくさせなさい」

 

「承知いたしました。

 

しばらく、寝ていてもらいましょう。」

 

 

そう言うと、桜割は明日花の頭上から蛇を落とした。蛇に気付いた明日花は蛇の方に目を向けた途端、蛇に首を噛まれそのまま意識が無くなり、その場に倒れてしまった。

 

 

「明日花!!」

 

「テメェ!!何しやがった!!」

 

「少し、寝かせただけです。

 

 

さぁ、渡して貰いますよ?」

 

 

もう一つの鞘から、刀を取り出し攻撃態勢に入る半蔵……

 

 

その途端、才蔵の手が震えだした。

 

 

「(震えんな!!手!!鳴るな!!歯!!

 

あの時は、油断してただけだ……

 

 

締めて掛かれば、何とかなる!!

 

要するに、伊佐那海と明日花を守りゃ……

 

 

俺は、バカか!!んな、逃げ腰でどうすんだ!!)

 

 

誰が、テメェら何かに渡すか!!」

 

「そうだ!!力ずくで来るというなら、受けて立つ!!」

 

 

才蔵の掛け声に、十蔵は銃を構えた。半蔵はため息交じりに才蔵達に言い放った。

 

 

「退屈させないで下さいね?」

 

 

その言葉と共に、天井が突然動き出した。よく見ると、それは蛇の大群だった。

すると蛇たちは、雨の用に才蔵達目掛けて落ちてきた。

 

 

「蛇だと?!」

 

「筧さん!!銃は駄目だ!!

 

この蛇は、殺すと爆発する!!」

 

「何?!

 

斬っては駄目なのか?!」

 

「斬れるなら、とっくにやってる!!くそ!!」

 

 

“バタン”

 

 

突然、何かが倒れた音が聞こえそこに目を向けると、そこにいたはずの伊佐那海がその場に気を失ったのか、倒れ込んでいた。

 

 

「伊佐那海!!(そうだ!!こいつ、蛇苦手だったんだ!!)」

 

「半蔵様、あの渋井殿方は私にお任せを」

 

 

半蔵の隣にいた桜割は、蛇を自分の周りに寄せ付け十蔵に飛び乗った。

 

 

「蟲傀儡秘儀蛇玉繭!!」

 

「?!」

 

「さあ……私を楽しませて下さいませ」

 

「筧さん!!」

 

「余所見しないでください!」

 

 

後ろを振り返ると、才蔵の真後ろから半蔵が手に持っていた刀を振り下ろしてきた。才蔵はすぐに剣の束を掴み、鞘から取り出し刀の攻撃を防いだ。

 

 

「さぁて……とっとと、済ませましょうか?」

 

「相変わらず、嫌な殺気を放つ野郎だぜ!!」

 

「何です?まさか、やるつもりですか?

 

先日、俺に惨敗したのは、どこの誰でしたっけ?本当、学習能力が無いですねぇ……」

 

「今回はそうは行かねぇ!!(守らねぇと……もう、後には退けねぇ!!)ここでテメェを、倒す!!」

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