BRAVE10   作:花札

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才蔵達と別れた明日花……


明日花は、霧が深くかかった森の中をコノハと歩いていた。


魂の謎

抜かるんでいる道を進む明日花……

 

 

(何で、こんな所にアイツは住んでいるんだ……)

 

 

霧が晴れ、森を抜け広場に出た明日花……

 

 

そこに、一つの岩がありそこに横たわる鳥の面を着けた男……

 

その傍には、寄り添う狼が二匹……

 

 

「?

 

 

このにおい……懐かしいなぁ」

 

 

男はそう言いながら、起き上がり明日花の方に体を向けた。起き上がった男は、岩に立て掛けていた杖を持ち、明日花に向かってこっちへ来いと言っているかのように、手招きをした。明日花はそんな男に、首を傾け肩に乗っていたコノハに目を向けながら、その男に近付いた。

 

男は近付いてきた明日花の頭に手を乗せ、髪を触り出した。

 

 

「この髪の質……

 

お前、紫苑の倅(セガレ)か?」

 

「前にも会ったことあるでしょ?

 

五、六年前に」

 

「おぉ、そうだったな。

 

いやぁ、すまんすまん。最近になってまた目が悪くなってなぁ……」

 

「光は?光は感じ取れているのか?」

 

「多少な。

 

 

で?倅、お前何でこんな所へ来たんだ?」

 

 

その質問に、明日花は服の下に隠していた勾玉を取り出し、男に見せた。

 

 

「今私が持っている物、見える?」

 

「……これ、幸魂じゃねぇか?

 

これがどうしたんだ?」

 

「教えて……これってどんな力が……どんな秘密があるの?」

 

「知ったところでどうする気だ?」

 

「え?」

 

「まぁ、幸魂の力だけでも、教えてやるよ。

 

 

その魂は、『人に幸福を与える』魂なんだ」

 

「人に幸福?

 

そんなのでたらめだ!!だって、だって……」

 

 

目に映るのは、血だらけになった母の姿……

 

そんな母の姿を思い出した明日花は、手を握りながら震えていた。そんな明日花に、男は髪を触っていた手を離し、明日花の顔に付けていた面を外し頬に触れた。

 

 

「人の話を最後まで聞け。

 

えーっと、どこまでだったっけ」

 

「……幸魂が、人に幸福を与える魂だって……」

 

「おぉ。そうだったそうだった。

 

 

人に幸福を与える……確かにそう言われてるが、別の意味の幸福だ」

 

「別の意味?」

 

「例えば、里一の人気者が笑ったら、里の者全員笑うだろ?」

 

「まぁ……たぶん」

 

「それと一緒だ。

 

お前が、人を傷つけたくない、誰かを守り抜きたいって気持ちが強ければ、お前の力はそっちの方へ行き、プラスの力となる。

 

 

逆に、お前が恐怖や怒りを持ったりすると、マイナスの力となっちまうんだ。」

 

「何のために、母さんは私にこれを……」

 

「お前のマイナスの力を、抑えるためだ」

 

「マイナスの力?」

 

「闇の力だ」

 

「……

 

じゃあ、プラスの力は光?」

 

「そうだ。

 

 

良い物を使うには、悪い物も使わなきゃならない。

 

お前の力は、母であった紫苑を亡くしたのをきっかけに、怒りの気持ちが強くなって、闇の力が増大している。」

 

「母さんって言ったって、本当の母さんじゃないし……」

 

「そう言うな。

 

紫苑は、お前の事を誰よりも可愛がって誰よりもお前を愛してた。これは一族全員と、アイツが一番知っている」

 

「……」

 

「さぁ、俺の話はここで終わりだ。納得したか?」

 

「全然、解決してないんだけど…」

 

「ハハハ……

 

知らなくていい事もある。」

 

「……

 

 

また来る。じゃあね」

 

 

外していた面を着けた明日花は、後ろを振り返り男のもとを去ろうとした。

 

 

「待て、紫苑の倅」

 

 

帰ろうとした明日花に、男は声をかけその足を止めた。明日花は足を止め、振り返り男を見た。

 

 

「お前、会っちゃいけない奴に会ったな?」

 

「会っちゃいけない奴?誰?」

 

「そいつに会ったなら、お前が今思っている『光』の傍にいろ。そうすれば闇の力は多少防げる」

 

「光って……

 

アイツは今はもう、会えない立場だ」

 

「アイツじゃねぇ。借りの光だ。いるだろ?一人」

 

「……分からん」

 

「そうかい」

 

「じゃあね」

 

 

そう言い、背を向けた明日花は森の中へと姿を消した。男は面を外し、ポケットから煙草を取り出し、火を付き口に銜え吸った。

 

 

(全く、紫苑も酷い奴だよなぁ……

 

あんな小さな子一人残して、あの世に逝っちまうなんて)

 

 

明日花の消えた方向を見ながら、自分に寄り添っている一匹の狼を男は、頭を撫でながら笑い掛けた。

 

 

(まっ、アイツがいるから問題ないか)

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