BRAVE10   作:花札

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一族の掟

部屋へ戻った伊佐那海……その時、開けっ放しの戸が突然閉まり背後から布で口を塞がれた

 

 

「んん!!」

 

「出雲の巫女、捕獲完了」

 

「結構、簡単ね」

 

「とっととここを去るぞ」

 

 

そう言いながら、犬の面をした者は縛り上げた伊佐那海を持ち上げ担いだ。

 

その時、部屋に数本のクナイが投げ込まれ、犬の面の者は背中に担いでいた大剣の束を握り、勢いよく鞘から抜出クナイを弾き避けた。

 

 

「チッ。面倒な野郎に見つかっちまった」

 

「んんん!!(佐助!!)」

 

「何者!!」

 

「徳川の仕い……とでも言おうか」

 

「光阪流水術水砲弾!!」

 

 

手から出た水に、佐助は驚き身動きが取れず攻撃を喰らった。

 

 

“バーン”

 

 

「?!」

 

 

別室にいた明日花は音に気付き、部屋を飛び出し辺りを見回した。

 

 

(……この殺気。まさか)

 

 

 

庭へ出され、壁に激突した佐助……騒ぎに気付いた、才蔵はすぐに庭へ駆け付け、彼に続いて他の者達も庭に集まった。

 

 

「ゲッ……集まっちまった」

 

「アンタが術使うからだろ」

 

「いや~、何か攻撃しないとヤバいかと」

 

「だから、馬鹿って言われんだよ」

 

 

「話し中悪いが、テメェ等何者だ」

 

 

剣の束を握りながら、才蔵は伊佐那美を担いでいる者を含める五人を睨んだ。

 

 

「あ~らら、珍しいわねぇ。伊賀の忍がこんな小さな国の長に仕えるなんて」

 

「好んで仕えてるのよ。そちらと一緒にしないでくれないかしら?」

 

「あら、南蛮の人がいるとは……真田は随分、いい趣味してるのね」

 

 

猫の面を着けたくノ一に、アナスタシアはクナイを投げつけた。猫の面の者はそのクナイを、突如現れた氷の壁で防いだ。

 

 

(氷!?)

 

「残念。あなたと同じ私、氷使いなの」

 

「……まさか」

 

「殺る前に、教えとこう。

 

我等、徳川に仕える光坂組。組頭雷使い・光坂雷之介(コウザカライノスケ)」

 

「水使い・光坂水月(コウザカスイゲツ)」

 

「風使い・光坂風介(コウザカフウスケ)」

 

「火使い・光坂灯乃(コウザカトウノ)」

 

「氷使い・光坂氷柱(コウザカツララ)」

 

「光坂一族?!」

 

「一族、徳川嫌っている!何故!?」

 

「そんなの、単なる噂。

 

徳川に仕えてる一族何て、ゴロゴロいるわよ」

 

「さてと、ここに長居は無用。

 

とっととおさらば」

「光坂流木術四方拘束!!」

 

 

去ろうとした五人の体に、突如木の根が絡み動きを封じた。その間、雷之介に担がれていた伊佐那海は滑り落ち、落ちてきた彼女を才蔵は受け止めた。

 

 

「木?まさか……」

 

 

氷柱が向いた方には、狐の面を着けた明日花が槍を手に持ち立っていた。

 

 

「紫苑?!何故!!お前は確か、服部半蔵に殺された」

 

「母さんは確かに死んだ……けど、子供を殺したとは、聞かされてないみたいだね」

 

「子供?!あの女に、子供が!?」

 

「裏切り者が、堂々と一族の名を名乗るな!!」

 

「一族でもないオメェに、言われる筋合いはねぇ」

 

「その一族でもない野郎に、拘束されてんのは誰だ?」

 

「こんなもん」

 

 

指を鳴らす灯乃……すると空中に、火の球が昇り木の根を燃やした。木の根が燃やされたと同時に、灯乃は肩に担いでいた火縄銃を構え、銃口を明日花に向け引き金を引いた。

 

 

「うわっ!!」

 

「明日花!!」

 

 

弾は明日花の腕を擦り、彼女は当たった衝撃で飛ばされ倒れた。

 

 

「ヤッター!命中!」

 

「氷柱、やれ」

 

「光坂流氷術霧隠れ」

 

 

冷たい冷気が放たれ、辺りは白い霧に包まれた。才蔵達は武器を構え辺りを見回し警戒した。

 

 

「キャア!」

 

「伊佐那海!!」

 

「出雲の巫女は貰った……」

 

「そんじゃ、またどこかで」

 

「生きていれば会いましょう」

 

 

霧の中に声が響いた……しばらくして、霧が晴れたがそこには雷之介達と伊佐那海の姿は無かった。

 

 

「やられた……」

 

「早く追い駆けるぞ!!」

 

「追い駆けようにも、奴等がどこに行ったのか見当がつかねぇ!

 

それより」

 

 

後ろを振り返る才蔵……目線の先にいたのは、腕から流れ出る血を手で抑え止めようとする明日花と、彼女の傷口に布を巻き付ける佐助。

 

 

「明日花の手当てが先だ」

 

「う、うむ……」

 

 

「退け!!佐助!!」

 

 

怒鳴り声が聞こえ、才蔵はすぐに明日花達の方に振り向いた。腕に布を巻き止血し立ち上がった明日花の前に、佐助は立ち動こうとしている彼女を止めていた。

 

 

「傷口開く!動くの危険!」

 

「止血してる!

 

それに早く追い駆けないと、奴等を見失う!!」

 

「けど」

 

「退かないなら、力尽くで」

 

「その傷で追い駆けたって、足手まといになるだけだぞ。

 

それに追い駆けようにも……!!」

 

 

周りに生える木の根が、鋭く尖り才蔵達に向けられた。

 

 

(何だ……この異様な殺気は)

 

「あいつ等は、裏切り者……速攻に殺す必要がある」

 

「殺すって……」

 

「明日花、仮にもあの者達はお主の」

「徳川に仕えてる奴等なんか、仲間じゃない。

 

徳川に仕えてる奴を見つけた場合、そこにいる一族の者がそいつ等を始末する……それが一族の掟だ」

 

「……」

 

 

突如、煙玉を落とす明日花……彼女を中心に辺りが煙に満ち才蔵達の視界を妨げた後、明日花はその場から離れ雷之介達の後を追い駆けていった。

 

 

「あのクソガキ!!

 

追い駆けるぞ!」

 

 

才蔵の掛け声に、佐助達はすぐに彼女の後を追い駆けていった。




その頃、幸村は……


眠り薬を仕込まれた茶を飲み深い眠りに入っており、六郎は光坂の誰かに麻酔針を刺され気を失っていた。
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