「あ~、肩こった」
「お疲れ。
しっかし、随分と手薄だったね。上田は」
「少しは骨のある奴がいるかと期待してたが……ガッカリだ」
「確かに……」
「けど、まさかあの紫苑の子供がいたとはね。
そこだけ驚き」
「紫苑の奴、ガキ産めたっけ?」
「確か、戦の時に隊長庇って腹に矢が刺さったはずだ。
その怪我のせいで、子供は産めなくなってる」
「でもいた……
拾った子共って事?」
「それか、産めなくなる前に産んだか」
「それはねぇよ。
産んだって分かりゃ、一族の中で話題になってる」
「何より、あの隊長さんが一番喜ぶよ。
何せ、紫苑の許婚だったんだから」
「あ!それ言えてる。
紫苑だけ良いよねぇ……私もお婿さん欲しいなぁ」
「何ガキみたいな事言ってんだ?てか無理だろ?
灯乃、お前もう二十八だろ。歳考えろ」
「三十越えてるオッサンに、言われてもねぇ」
「んだと!!」
「喧嘩すんなら、他所でやりな!」
「氷柱はいいじゃない!頭の奥さんなんだから」
「なっ!私の話は止してよ!!」
顔を真っ赤にしながら、氷柱は怒鳴った。そんな他愛のない話に、雷之介は笑みを浮かべて耳を傾けていた。
その時、心地良い風が吹き木々をざわめかせた。何かの気配を感じ取ったのか、雷之介は目付きを変え大剣を手に持ち立ち上がった。
『森がざわめく時、銀色の髪を風に靡かせ狐の面を着けたくノ一現る。
姿を見た者、運命は……『死』』
どこかで聞いたような声と言葉……その言葉通りに、その者はそこにいた。
白髪の髪を風に靡かせ狐の面を着けた明日花……
「よく場所が分かったな」
「臭いで分かる……徳川に就いた光坂なんか、尚更」
「へ~……」
睨み合う雷之介と明日花……風が吹き、二人の髪を靡かせた。その時、どこからか放たれた木の矢が、灯乃の胸を貫いた。彼女は、目を強張らせ口から血を吐き仰向けに倒れた。
「灯乃!!」
(何が起きたの?!)
「ガキだからって、油断するな。
これでも、アンタ等と同じ光坂一族の一員だ」
「……その様ね」
「けど、一対四だぜ?どう見ても、俺等に敵う」
「由利鎖鎌奥義風神掌!!」
背後から風か吹き荒れ、明日花はすぐに後ろを振り返った。
「ヒャッホー!!やっと追い付いたぜ!」
「鎌之介?!」
「お前は馬鹿か!!いきなり攻撃する奴がどこにいる!!」
「我が妹に傷一つでも付けてみよ!!拙僧が許さんぞ!!」
「助っ人の登場か……(俺等と同じ技を使えるのは、南蛮人とあの叫んでいる馬鹿の二人だけか……)」
「ったく、テメェ早ぇんだよ駆け足!!危うく見失うところだったぞ!」
「ついて来いなんて言った覚えはない」
「ンの野郎!!」
「やるって言うの!!」
「喧嘩も良いけど、早く構えないと殺られちゃうよ」
氷柱は明日花と言い争っている才蔵に笑みを浮かべながら、そう言うと手から氷のクナイを作り彼等に投げ飛ばした。その氷を、アナスタシアは氷の壁を作り防ぎ、腰に着けていた鞘から刀を取り出し、氷柱に向けて剣先を突いた。突いてきた剣を、氷柱はアナスタシア同様に刀を取り出し防いだ。
「あら?私の相手、アナタなの。嬉しいわ」
「喜んでいただいて光栄よ。すぐに凍らせてあげるわ」
「それはどちらが先でしょう」
「おい!俺の獲物を捕るんじゃねぇ!!」
「アンタの獲物じゃないだろ!!」
「光坂流風術熱風弾」
火混じりの風が、騒いでいた鎌之介の体に当たった。
「熱っ!!」
「灯乃の仇……取らせて貰う」
「知るかよ。殺られる方が悪いんだろうが!!」
「殺す!」
両手に持っていた鉄扇を扇ぎ、風を起こした。鎌之介は鎖を回し風を起こし抵抗した。
「お!風介もやり始めたか。
そんじゃあ、俺は……
頭!二人相手して良いですか?!」
「好きにしろ。だが、そこにいるガキだけは残しとけ」
「了解しました。
つー訳だ。楽しませろよ!!」
手から水を出し、水月は清海と佐助目掛けて攻撃した。二人はすぐに避け、佐助は手に爪を嵌め水月に攻撃し清海も鉄棍棒を振り上げ地面を揺らした。