BRAVE10   作:花札

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『君には……おそらく、僕の力も引き継いでいるでしょう』

どんな力?

『さぁ……それは分かりません。

けど、君は僕と紫苑の子供です……きっと、強い子になりますよ。明日花』


開花する刃

目の前に突如現れた水の壁……その壁を、雷之介は切り裂いた。

 

 

「水!?」

 

(この技……まさか?!)

 

「……!

 

光坂流木術百狼砲弾!!」

 

 

地面から狼の形をした木々が生え、一斉に雷之介達を攻撃していった。

 

 

雷之介達が怯んでる隙を狙い、鎌之介は鎖を回し風を起こした。風は彼等に当たり、それぞれ木に体を当てた。

 

 

「ンの野郎……なめやがって」

 

「ナメてるのはそっちだ」

 

 

地面に踵落としをする明日花……その瞬間、地面が揺れ水月と風介が座っていた地面から、木の根が生え二人を串刺しにした。

 

 

「風介!!」

「水月!!」

 

「お前等に一族の名は飾らせない。

 

お前等は、私が殺す」

 

「テメェ!!

 

図に乗るのもいい加減にしろ!!」

 

「光坂流氷術ツバメの舞!!」

 

「光坂流雷術百雷白虎!!」

 

 

ツバメの姿をした氷と虎の姿をした雷が、明日花目掛けて突進してきた。

 

氷と雷の技を避ける明日花だが、体の至る所に技が当たり傷を作った。しかし、傷を作っても尚、明日花はその場に立ち二人を睨んだ。

 

 

「その目付き……本当に隊長に似てるな」

 

「……」

 

「これで最後だ……氷柱!」

 

「了解!」

 

「光坂流氷術奥義百槍飛翔!!」

「光坂流雷術奥義双竜雷刀!!」

 

 

空から落ちてきた氷の槍に、竜の形をした雷が纏い明日花を中心に降り落ちた。

 

 

「光坂流木術奥義千本妖花舞!!」

 

 

地面から巨大な木が生え、てっぺんに不気味な色をした花が咲いた。開花した花から、無数の針のように尖った枝が氷と雷の槍に向かって飛び出した。枝は槍を砕きそれと共に散っていった。

 

 

「この技は……」

 

「お前等に、勝ち目は無い」

 

 

いつの間にか、雷之介と氷柱の背後に明日花は立っていた。二人は振り返らず、問い掛けた。

 

 

「テメェは、何者なんだ……一体」

 

「……木術使い元武田軍副隊長・光坂紫苑の娘。

 

名は光坂明日花」

 

「あす……か」

 

 

二人の頭に蘇る過去……

 

 

お腹を擦る紫苑……彼女を囲い座る雷之介達。

 

 

『アンタに子供が出来るとは……』

 

『優と私の子だよ』

 

『本当にいんのか?子供』

 

『いるよ。まだ小さな命だけど……

 

春頃には生まれるって……』

 

『名前は決めたの?』

 

『もちろん!

 

優と考えてね』

 

『どんな名前なんだ』

 

『この子の名前は……

 

 

明日花』

 

 

胸を貫かれた雷之介と氷柱……同時に口から血を吐き、仰向けに倒れた。雷之介は何かを呟くと、ゆっくりと既に息が無い氷柱の手の上に手を乗せ、そして静かに息を引き取った。

 

 

二人の血が付いた槍を振り払いながら、明日花は二人の亡骸を見つめた。

 

 

『明日花……テ……メェか……

 

 

やっと……思い出し……た』

 

 

(……母さん)

 

 

ふと二人の姿が一瞬、自分を庇い死んだ母・紫苑の姿と重なって見えた。

 

 

 

「伊佐那海!!」

 

 

清海の声が聞こえた明日花は、すぐに彼の元へ駆け寄った。社は焼け焦げ跡形も無くなっていた。

 

 

「伊佐那海!!答えよ!!伊佐那海!!」

 

 

瓦礫を探る清海……才蔵達は、社の焼け跡を見ながら唖然としていた。

 

焼けた屋根を、明日花は蹴り砕いた。そこには何もなく辺りを見回し、社の裏手にある茂みの方へ歩んだ。歩むと茂みの一部に、何かが滑り落ちた跡がありゆっくりとそこを覗いた。

 

 

「……才蔵!」

 

「?」

 

「さっさと、ここにいる女引き揚げろ!」

 

「?!」

 

「いたのか!?」

 

「痛ったぁ……才蔵!!どこぉ!!」

 

 

気が付いたのか、伊佐那海は滑り落ちた拍子に撃ったのか、お尻を手で抑えながら才蔵の名を呼び叫んだ。清海は泣きながら喜び、崖下へ降りようとしていた。

 

才蔵達が伊佐那海を救っている中、明日花は雷之介達の面を一つずつ砕いて行った。全てを砕き終えた彼女は、亡骸の上に何かを投げた。すると亡骸から苗が生え小さな木へと成長した。

 

 

(……じゃあね)

 

 

「明日花ぁ!!帰るぞぉ!!」

 

 

鎌之介の叫び声に、明日花は彼等の元へ駆けて行った。その様子を、木の上からあの鳥の面を着けた者が眺めていた。

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