BRAVE10   作:花札

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夜……

才蔵達が待つ宿へ帰ってきた幸村と六郎……


「さぁ、上田へ帰るぞ!」


才蔵達がいる部屋へ来るなり、幸村は言い放った。伊佐那海は不機嫌な表情を浮かべた。


「えー、もう?!

お土産買ってないよぉ!」

「すまんな、また今度にしてくれ」

「(何かやったな、オッサン)

けど、明日の朝に帰って来る明日花はどうすんだ?」

「何とかするだろう」

「ヒデェな……」




数時間後……


「物家の空です」


家康の使いの者が、幸村達が泊まる宿へ押しかけたが、既に出て行った後だった。


「まだ遠くには行っておるまい!!」

「近江方面へ向かったとの情報が!!」

「急げ!!真田を逃すな!!」


馬を走らせ、橋を渡ろうとしたところへ、橋の真ん中に鎖鎌を構える鎌之介が立っていた。


「ここは通れねぇよ」

「真田の一味か?!殺れ!!」

「バーカ!!

由利鎖鎌奥義風神掌!!」


鎌之介が放った風は、使いの者たちに当たり橋から落ちて行った。


「鎌之介、行くぞ!!」

(念には念を!!)


鎌之介が橋を渡り終えたのを見た清海は、鉄棍棒を振り下ろし橋を壊した。


「これで、追って来れまい!」

「凄ぉい!!」

「目立つことすんな!!」


遅れてきた勇士

陽が昇り、辺りに朝陽が照らされた……

 

 

「ふうぁあ……眠い」

 

 

髪を梳かし簪で纏める明日花……

 

 

日の出と共に、一族の者皆目を覚まし自分たちの持ち場へそれぞれが帰っている最中だった。

 

 

「眠そうだね?明日花」

 

「朝は苦手なんだ」

 

「そうか……」

 

「明日花」

 

「?

 

何です?頭」

 

「真田の倅の所まで、銀之助が送り届けることにした」

 

「え?!」

 

「一応、お主はあの狸に狙われておる。そのためだ」

 

「分かったよ。」

 

 

「紫苑の倅!!」

 

 

森の方へ行ったはずの髪を結った女性が、明日花のもとへ駆け寄ってきた。

 

 

「どうしたの?」

 

「さっき、そこの道を伊賀の奴を連れた武将の馬が走っていくのが見えたんだ!

 

アンタの仲間じゃないのか?」

 

「伊賀の奴?

 

(まさか……)」

 

「ねぇねぇ、ひょっとしてその武将さん、何か、見た目的にムサイ人連れてなかった?」

 

「あぁ、連れてた」

 

「……」

 

「明日花、どうやらお前、置いて行かれたみたいだね?」

 

「あの野郎!!

 

銀!!行くよ!!」

 

「え!?」

 

「早く面着けろ!!追い駆ける!!」

 

「あ!待てよ!!明日花!!」

 

「達者でなぁ」

 

 

面を着け先に行く明日花の後を銀之助は慌てて追い駆けて行った。そんな二人を晃三は嬉しそうな笑みを溢しながら、手を振って見送った。

 

 

 

 

馬を走らせる才蔵達……

 

どこへ向かっているか分からなかった伊佐那海は、馬に揺られながら幸村に質問した。

 

 

「どこへ行くの?!幸村様!!」

 

「佐和山へ向かう!あそこであれば、ひとまず安全だろう」

 

「俺等に釘刺しといて、何やらかしたんだよオッサン!?」

 

「ん?

 

 

家康の奴、儂の舞がよほど気に入らなかったらしくてのう……まったく、失礼な狸だ」

 

「ハァ!?それだけ!?」

 

「どうでもいいじゃねぇか!!面っっ白そう!!

 

あー!!久しぶり!!この感覚!!

 

 

殺るぜ!!殺りまくるぜ!!」

 

「逃げるのが優先だっつうんだよ!!このバカ!!」

 

「キャッホー!!」

 

「聞いちゃいねぇ」

 

 

「いたぞ!!」

 

 

後ろから追い駆けてきた家康の使いが、幸村達を見つけるなり矢を放ってきた。

 

 

「才蔵!!矢!!」

 

「分かってる!!

 

鎌之介、攻撃しろ!!」

 

「へっ!!こんなのチョロイ!!

 

由利鎖鎌」

「光坂流水術水鉄砲」

 

 

その声と共に、崖の上から水が放たれてきた。水は幸村達目掛けて飛んできていた矢を包み込み、向かいの森の中へと消えていった。

 

技が放たれると、幸村達の目の前に黒い腹出しの服を着、赤いバンダナを巻き、顔に鳶の面を着けた男が姿を現した。

 

 

「何だ?!真田の助っ人か?」

 

「構うな!!奴も殺れ!!」

 

「うるさい……

 

光坂流水術水刀突き」

 

 

持っていた刀に水が纏い、水が纏った刀を使いの者たち目掛けて振り回した。使い達が乗った馬は一斉に森の中へと放り込まれてしまった。幸村達は走らせていた馬を止め、男の方に目を向けた。

 

 

(何者だ?あの野郎……)

 

「テッメェ!!

 

おい!!そこのくそ野郎!!よくもこの俺の」

「邪魔だ」

 

 

近付いてきた鎌之介を避け、男は六郎の隙を狙い幸村が乗る馬の後ろへ飛び乗り、刀を幸村の頭上にかざした。

 

 

「若!!」

 

「動くな。

 

動けば、お前らの当主の頭を切り裂く」

 

「!!」

 

 

「燥ぎ過ぎだ!バカ!」

 

 

その声と共に、男が降りてきた場所から青いチューブブラの上から、白い羽織の片袖だけ脱ぎ、腰にベルトを巻き首に襟巻を巻き、狐の面を顔に付けた女が降りてきた。

 

 

「また敵か?!」

 

「んなわけないでしょ?私だ」

 

 

そう言いながら、女は面の紐を解き外し顔を上げた。

 

 

「明日花!?」

 

「何故お主がここに?!」

 

「何故じゃねぇだろ!!

 

人の事置いて行きやがって、この殿方は!!」

 

「いやぁ……すまんすまん」

 

「二・三日は泊まるんじゃなかったのか?」

 

「少し事件が起きてのう……

 

儂は悪くないのに」

 

「何が悪くないだ!

 

どうせ、狸の前で誰かと剣舞か何かして、振り払った剣が狸の目の前に突き刺さって、それで機嫌損ねた狸が詫び入れろとか言ってきて、それに対応するのが面倒だから、逃げてんじゃないの?」

 

(図星です……)

(図星だ……)

 

「でも、どうしてアタシ達がここを走ってるって分かったの?」

 

「一族の仲間が、ここをアンタ達が通ったって教えてくれて、それで追いかけてきたんだ」

 

「へぇ…」

 

「となると、儂の頭に刃を向けているこの者も」

 

「一族の仲間だ。頭の命で私をアンタ等の所までついてきてもらったんだ。

 

銀、早く刀をしまえ」

 

 

明日花の指示に従い、銀之助は幸村の頭にかざしていた刀を鞘へしまい馬から降り、才蔵達を見回した。

 

 

「明日花の頭だと聞いたから、攻撃を仕掛けて見たものの護衛している奴らは弱い者だらけだな?」

 

「んだと!!

 

もういっぺん言ってみろ!!」

 

「止めろ!!

 

銀、お前はもう帰っていい」

 

「だが、こいつらだけでは些か心配だが……」

 

「大丈夫だ。早く行け。

 

 

頭の命令は絶対。だろ?」

 

「……」

 

「さっさと去れ!」

 

 

明日花の怒鳴り声に、銀之助は面を着け崖の方へ登っていき森の中へと姿を消した。

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