タイトル未定(架空原作TS魔法少女もの)   作:鮮度の落ちたウニ

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魔法少女の選択

 

 皆さんは『魔法少女選択d択選』という作品をご存知だろうか。

 

 まぁ、知らなくてもしょうがない。かなりマイナーな作品で、一定数のコアなファンはいたものの、知名度はそこまで高くない。

 

 この作品は、魔法少女まどか☆マギカのような、ダークファンタジーの魔法少女もので、もれなく重厚で陰鬱としたストーリー仕立ての作品だ。これだけでは、何番煎じの作品かと言われそうなものだが、この作品には一つ、他にはない大きな特徴がある。

 

 それは、『視聴者アンケートの結果でストーリーが変わる』というものである。

 

 その結果できあがったのが、幾度とない鬱展開の数々だ。そう、何を隠そう“コアなファン”というのは、『曇らせファン』のことである。

 

 彼らのおかげ(せい)で主人公とその仲間たちは傷つき、悩み、後悔を重ねながら物語を歩むことになった。作者も、本来はもっと明るい話になるはずだったと後書きにて述べている。*1

 

 世界観としては、よくある現代日本もの...と思いきや、読者の悪ふざけによって主要都市以外のインフラが壊滅しているという状況。とある都市に暮らしていた主人公は、学校からの下校中に怪物と遭遇、"選択"を迫られることになる。

 『魔法少女として覚醒める』か、『ここで友達も守れず死ぬ』かという問いを自覚した主人公は、導かれるように(というか選ばせる気がない)魔法少女として覚醒める』ことになる。

 

 さて、あらすじとしてはこんなものだ。ではなぜ「魔法少女の選択」という作品について語っているかについて話そう。

 

 とはいえ簡単なことだ。私はこの世界に転生したのである。さらに、性別まで変わってしまった。いわゆるTS転生だろう。ここまで述べてもまだ、よくある(?)性転換ものと考える方もいるかもしれない。

 

 しかし、こと「魔法少女の選択(この世界)」においては、女として生まれることは大きな意味を持つ。この世界では、怪物に対抗しうる存在は魔法少女のみであり、その魔法少女になれるのが女の子だけなのである。なればこそ、怪物たちとの戦闘の最前線に立つのは彼女たちであり、主人公たちはその果てなき戦いに身を投じることになるのだ。

 

 もちろん、その世界に転生するなどというしち面倒くさい来歴を抱えた私も、もれなく魔法少女として覚醒めることになった。ふざけた神のいたずらだ。ただ、この鬱世界にトばされたからには、力を与えられたことに不満はない。

 

 そんな私であるが、現在、主人公とその仲間である二人と戦闘中である。

 

 

 

 

筆者あこがれのあのセリフを言うときが来たか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界の郊外には廃墟が立ち並び、どこか退廃的で、しかし不思議と郷愁を誘うような歪な空気が醸されている。怪物の襲撃による超人為的な破壊の痕や、お目こぼしを受けた公民館。掲示板には、何年も前の日付で大物アーティストのツアーがこの街にやってくるという広告や、この街の魔法少女が迷子の犬を見つけて飼い主に届けたことを伝える地域新聞、怪物によって住処を無くした人びとの支持を受け立候補した反魔法少女を掲げる男のポスターなどが、日に焼けたのか黄ばんだ様子で風に当たっている。

 

 そんな廃墟のさらに外れにある廃工場にて、現在私は三人の魔法少女と向かい合っている。

 

 一人は赤い髪を後ろに纏める炎のような少女。しかしてその若い体に不釣り合いな露出の多い衣装で、野性味溢れるといえば聞こえはいいが、まるで売春婦のような艶やかさも演出している。その"迷いのない"瞳は既に己の為すべき事が分かっているのか、こちらを注意深く()めつけ、拳を構えている。

 

 彼女こそ我らが主人公。

 

 

 択一の魔法少女 神 奏姫(じん かなめ)

 

 

 

 彼女の扱う魔法こそが最強にしてご都合主義の塊。

 『()()()()()

 この魔法を発動すると、彼女の前には彼女が取るべき最善の行動と最悪の行動が表示される。彼女はその二者択一を()()に委ね選び取り、直面する危機を乗り越えていくのである。ひとたび発動すれば、そこには彼我の実力差や情報アドバンテージなど一切関係なく、まるでそうなるよう定まっているかのように、選択の結末のみが残るのである。

 

 そして勘の良い者なら気付いているかもしれない。そう、彼女の"直観"こそが、毎回読者に委ねられる読者アンケートなのだ。つまり、『魔法少女の選択』は、読者次第なのである。

 

 だからこそこの『択一の魔法』は、彼女を主人公たらしめる魔法であり、主人公のみが扱える魔法なのである。

 

「今日こそは、あなたを倒す!」

 

 

 

 次に、その彼女の隣に立つ、やや癖毛の目立つ青髪と、所々に見える白い髪を後ろに流す少女。その豊満な肉体と波立つ海のごとき長髪と意志の強そうな瞳は、海の女神かくあらんといった印象を受ける。しかしその雄大な概観に対し、厚く着込んだ白銀のフルプレートという堅固な装いが作る不調和は、彼女独特の雰囲気あるいは歪さを表しているのだろうか。

 

 彼女は主人公の幼馴染にして守護者。

 

 

 受動の魔法少女 碧海 澪(あおうみ みお)

 

 

 

 彼女の扱う魔法は『受動の魔法』。

 これは、魔法の及ぶ範囲に魔力シールドを展開して相手の攻撃を受け止め、カウンターを行うという分かりやすい魔法である。このシールドを、仲間全体を覆うように展開するというのが彼女のやり口である。単純な魔法ほど強力であるというのは、だいたいのファンタジーでも共通であろう。

 

 基本的にこの世界の魔法少女は、一人につき1つ固有魔法を有している。これは魔法少女になった経緯や本人の性格、生い立ちなどに関連した唯一無二の魔法である___と読者の間で考察されている。

 

 というのも、この作品は未回収の伏線がいくらか見られるのである。これは、読者アンケートでどの選択肢が取られてもいいようにと、複数のプロットを作者が用意していたためで、もし別な選択(ルート)が選ばれていたら、この魔法少女の根幹に纏わるような話になっていたかもしれない。

 

 話が逸れたが、つまり魔法少女は固有魔法という本人独自の魔法を扱うものたちである。そしてそれとは別に一般的な魔法も存在しており、例えば炎を扱う魔法(主人公が得意な魔法)や、水を扱う魔法(盾役が得意な魔法)である。

 

 一般魔法とは具体的な事象を齎す魔法であり、固有魔法は抽象的な現象を起こす魔法だ。まあ簡単な話、普段使いする分かりやすい魔法が一般魔法で、必殺技っぽいふしぎな魔法が固有魔法だ。

 

 これまた少し寄り道するが、この碧海澪という少女に関しても数多くの伏線が未回収のまま残されている。というか、残したまま退場した(死んだ)のだが。

 

 碧海澪が死に、それを嘆いて泣き喚く主人公の姿に、読者たちの口角はヒソカもかくやの上がりようだったという♤

 

 そして碧海澪の死によって、「本当に読者アンケートの結果でストーリーが変わるらしい」「泣いてる主人公かわいい」「おれたちの理想のストーリーが作れるかもしれない」「実質安価やんこれ」と一部界隈にて人気が爆発。その後は皆さんご存知ダークファンタジーというわけである。

 

 彼女は(人気獲得のための)犠牲になったのだ。

 

「ふたりとも、あたしの魔法の範囲から出ないようにね」

 

 

 

 気を取り直して最後の1人にして最大の被害者の紹介に移ろう。

 

 絹のような緑の髪を肩の当たりまで伸ばした優しそうな少女。看護服にも見える白い大きな貫頭衣に身を包み、長手袋というよりはオペラ・グローブと言うべき高貴な白のロンググローブを身に着け、聖杖を持つその姿は神々しさすら感じさせる。

 

 彼女は主人公たちの傷を癒やす聖職者(ヒーラー)

 

 

 自責の魔法少女 癒宮 翠(ゆのみや みどり)

 

 

 

 彼女の扱う魔法は『治癒の魔法』。

 実は治癒魔法は一般魔法ではなく、収斂的に回復魔法のような現象を生み出す、一定数の魔法少女のみが扱える貴重な固有魔法なのである*2。癒宮翠もまたその1人であり、主人公の神奏姫や盾役の碧海澪の窮地を幾度となく救ってきた存在なのである。

 

 

 

 

 などといううまい話は存在しない。

 

 彼女の扱う魔法は『()()()()()』。

 これは傷を癒やす魔法などではない。傷を()()()()する魔法である。しかし彼女は周りを偽り多くの魔法少女の傷を癒やし(肩代わり)続けてきたのである。

 

 連載当初、彼女の魔法はぼかされており、回復魔法もまた一般魔法のような扱いをされていた。これを見て、いつか彼女による種明かしと共に固有魔法が発動し、主人公の窮地を救ったりするのだろうかと夢想したものだが、そうはならなかった。

 

 やつら(曇らせファンども)は、回復魔法が気軽に使える世界はおかしい(救いがありすぎる)だの、強力な魔法には代償があるべきだの、知らないうちに仲間が傷ついて曇る主人公が見たいだのと、『選択』を歪めてしまったのだ。

 

 その結果、この時限爆弾が完成したのである。ちなみに、碧海澪が生き残る非公式のスピンアウトでは、代わりに癒宮翠が死ぬのだが、その死に様が愉悦ポイントかなりの高得点である。*3

 

 やけに服の露出面積が少ないのは、肩代わりした傷が見られてバレないようにするためでもある。

 

「ヵ、カナメとミオは、わたしが癒やします!」

 

 

 

 

 

 さて、長々とした説明もとい現実逃避を終え、場面戻って廃工場には私と3人組(赤・青・白)の魔法少女。

 

 私は訳あってこの3人に敵として追われている。というのも、別に私は異常性癖ではないので(言われてるぞお前ら)、この主人公たちが苦しんでいるところを見たいわけでもないし、死んでしまうなんて事はなんとしても防ぎたいのである。

 

 そのため、この主人公3人衆が怪物を倒した後に毎回乱入して鍛えてやっていたのだ。ガッツリ関わるのも嫌だったし、閃いた時は素晴らしい名案だとも思ったものだった。

 

 しかしなにやら敵認定されて追いかけ回されるし、こいつらが魔法少女協会に通報でもしたのか反逆者扱いされるしで踏んだり蹴ったりである。本当にあの時の自分を踏んだり蹴ったりしてやりたいものだ。

 

 まあモグリの魔法少女だし、戸籍もないしでかなり厄介な御身分なものだから呼び掛けに応じるわけにもいかず、逃亡を続けつつ主人公パーティをしばいていた結果、指名手配されて今に至るというわけだ。ただ、最近は向こうからこっちを追いかけてくれるため、そこだけは便利になったと言えよう。昔は魔力の気配がするたびに向かっていたため、見つけた魔法少女がモブっ娘(ハズレ)だったことも一度や二度ではない。

 

「なんとか言ったらどうなの?遂に隠れ家が割れて焦っちゃってる感じ?」

 

 主人公たちを見て感慨に耽っていると、碧海澪(青い魔法少女)が問いかけてくる。

 

 実際、彼女の言うことは間違っていない。政府の管理から外れた廃街の、元から人も寄り付かないような廃工場にアジトを作ったのだ。更に念を入れてカモフラージュなどをしていたというのに、一体どうやって見つけたというのだろうか。

 

 しかし、このアジトも遂に捨てねばならないようだ。かなり長い間使っており愛着なども相応にあるのだが、安眠が妨げられる家など「家」とは呼べない。これからはいつ寝首を掻かれたものか知れないのだ。

 

 どうやら待ってくれているようだし、引っ越しの準備でもするk

「ちょーーーっと。

 

待ちなさい?何敵を前にそんな呑気なことをしているのかしら?」

 

 敵?

 

 駄目らしい。しかし気になる事があったのでつい言葉を返してしまった。彼女たちと話すとふとした拍子に原作(未来)の事を話してしまいそうなので、あまり言葉を交わしたくはない。

 

「ふん、何を惚けているの?怪獣を倒して疲弊した魔法少女を襲い、快楽のために痛めつける異常者。それがあなたでしょ?」

 

 違う。

 

「何が違うのよ。ああ、それとも私怨かしら?あの()()の件で、」

 

 もういい。

 

 久々に、キレちまったよ。

 

 今日はマジの"稽古"と洒落髑髏(しゃれこうべ)

 

 

 

 魔力が吹き荒れる。

 美しい金の髪が衝撃によって膨れ上がり空を泳ぐ。その美しさと可愛らしさを同居させる容姿は異界の姫君とも形容できよう。あるいはこの世界に迷い込んだ魂がそうさせたのか、まさしく『不思議の国のアリス』といった姿。対峙する3人の少女はしかし、年頃の少女が抱く憧れそのものといった姿の彼女に憧憬を浮かべる事もなく、警戒と決意といった戦士の眼差しを返す。

 

 彼女は反逆者の烙印を押された魔法少女。

 

 

 姿見の魔法少女 Nameless

 

 

 

 彼女の扱う魔法は『姿見の魔法』。

 童話の少女の周りに浮かぶ四対八枚の鏡はそれぞれに奇特な意匠が凝らされ、美醜が同居する浮世離れした様相に、対峙する3人は顔を引き締め、あるいは顔を顰めといった三者三様の反応を返す。長鏡はいまや戦場となろうとする斜陽の工場に西陽を乱反射し、光が顔に被ったのか先ほどまでモグリの魔法少女(推定:裏切り者)を問い詰めていた碧海澪(青い方)は目を絞り手庇をする。

 

 そうして敵の注意が逸れた間隙に、鏡は一斉に1人の魔法少女、神奏姫(主人公(赤い奴))を捉えた。続いて鏡は神奏姫の写った景色をそのままに童話の少女を取り囲む。かごめかごめと歌でも聞こえてくるかのような一連の儀式の後、童話の少女は背後の鏡に飛び込んだ。

 

 鏡から改めて現れたのは、先ほどのエプロンドレスから様変わりした燃えるような衣装に身を包む金色の少女。神奏姫の戦闘装束を身にまとった童話の少女その人であった。

 

 そう、これこそが彼女の能力。鏡に移した相手を模倣する力である。この力は、その容姿のみならず、戦闘能力や固有魔法までもを模倣する恐るべき能力である。

 

 そして、今回彼女が模倣したのは神奏姫。つまり、()()()()()()()()が、翻って主人公に襲いかかることになる。

 

 この瞬間だけは、主人公はあの3人の少女ではない。

 

 

 

 択一の魔法、発動

 

 

 

童話の少女は敗北する

 

童話の少女は勝利する

 

 

 

 

*1
ただし、終盤は作者も筆が乗ったのか、"選択"とは関係のない部分で大量の鬱展開を投下。歴戦のファンですら主人公たちに同情し、最終的に主人公たちはハッピーエンドを"選び"取った。

*2
固有魔法が回復系の魔法である魔法少女は数が多い。魔法少女をやるような善良な少女というのは、基本みな献身的な性格なためなのだろうか

*3
 強敵との戦いで致命傷を負った3人は、撤退する途中で別の怪物と遭遇する。生き残るために、致命傷を負った状態でさらに2人分の致死量の傷を受け負った癒宮翠は、万全の状態となり敵に向かっていく2人の背中に手を伸ばし、何事か呟いた後事切れるのである。怪物を倒して戻ってきた2人が見たのは、救いを求めるように手を伸ばし、うつ伏せで倒れる癒宮翠だったモノであった。

 このスピンアウトは、泣きながら「か゛いふくま゛ほう゛」と唱えるミドリと、帰還途中の乱入に苛立った表情を見せるミオの深刻さの対比が美しく、かなり評価が高い。

「あ~あ。自分の魔法についてちゃんと仲間に話してたらねぇ」ニチャア




アンケートの結果次第でストーリーが変わります。
と言っても初回は実験なので、どっち選んでも大して差はありません。
見たい方をどうぞ
ちなみに一週間くらい投票が無かったら、泣きながら小説を削除します

あと、次回から、神奏姫→カナメ 碧海澪→ミオ 癒宮翠→ミドリ に省略します。

選択

  • 童話の少女は、敗北する
  • 童話の少女は、勝利する
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