戦国†恋姫~世界変革の弾丸~   作:しゅんとも

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chapter1-19

東の空の山際の朝日が見え始める頃

 

 

 

"ドンッ!"

 

 

 

運搬物資最後の遼太郎が乗る船が対岸にぶつかり乗り上げる。

 

 

 

「最後の物資が到着したよー!!皆急いで囲いの中に入れてー!」

 

 

 

その到着を待っていたかのように転子が引き連れていた数人の仲間に指示を送る。

 

 

 

「遼太郎様、物資防衛から運搬お疲れ様です!すぐに移動しますのでご準備ください!すでにひよが築城に取り掛かっていますので」

 

 

 

仲間に指示を出し終えた転子が、遼太郎の元に駆け寄ってくる。

 

 

 

「了解だ。それで堀と砦の修復はどうなってる?」

 

 

 

今度はの作戦の要が気になる遼太郎。その指揮をしていた転子に状況を尋ねる。

 

 

 

「ええ、滞りなく進展しています。むしろ、あのしゃべる、でしたっけ?あの道具のお陰で予定よりもさらに良いものができましたよ」

 

 

 

「それはありがたいよ。じゃあ急いで向かおう!」

 

 

 

転子の言葉に安堵するもまだ作戦は始まったばかりである。遼太郎は転子の後を追って拠点場所へ向かった。

 

 

 

 

 

「おおぉーー!!」

 

 

 

そこに広がっていたのは大穴だった。無論、それは穴ではなく塀を囲う堀であるのだが実際に目にすればとても深く、そして幅は広い。目算で深さ四、五メートル、幅は六、七メートルはあろうものが墨俣の砦をぐるっと囲っている。

 

 

 

「すごいじゃないか!ころ!これなら行けそうだ!」

 

 

 

予想以上の物を作りあげてくれた転子に遼太郎は感嘆の声をあげる。

 

 

 

「えへへ、野武士の皆が気合いを入れて作ってくれた結果ですからね。現在は物資運搬のために残しておいた場所を、堀作成組が総出で掘っています。遼太郎さん、それではあちらに一時的な橋を掛けてありますのでそこから入りましょう」

 

 

 

転子は嬉しそうに答え、遼太郎を中に入れる。塀の中に入れば物資運搬組が城の土台を組み上げているところだった。

 

 

 

「あ、お頭ー!到着したんですね!ご無事でなによりですぅー!」

 

 

 

今度は築城の指揮しているひよ子が遼太郎に気が付き駆け寄ってくる。

 

 

 

「築城の方はどうだ?ひよ」

 

 

 

「うーん、そうですね。ころちゃんの堀が思った以上に早く進んだお陰で、人手が増えて築城も予定より早く完成しそうですよ」

 

 

 

ここにもシャベルの副作用であろうか、堀作りの前倒しが築城にも良い効果を産み出していた。

 

 

 

「それはなによりだよ。とりあえず、全員で築城する必要はないから何組かに分けて休憩をとらせてあげて」

 

 

 

一応万が一、堀と塀を乗り越えてきた場合の戦闘に備え遼太郎が休憩を指示する。

 

 

 

「わかりました。それと遼太郎様、空いている手勢で物見を放ってもよろしいですか?」

 

 

 

ともにいた転子が遼太郎に尋ねてくる。

 

 

 

「え?あ、ああ。もちろん大丈夫だよ。その辺はころの方が詳しいだろうから任せてもいいかな?」

 

 

 

今回の作戦が遼太郎の物でも、兵の運搬面ではさすがに野武士筆頭のころを上回ることはできない。素直に遼太郎は兵の運用をころに任せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ここは尾張から美濃に向けて、墨俣とは別方向にある開けた平地

 

 

 

そこに構えた陣地の中に据わる久遠に墨俣からの一報が入る。

 

 

 

「我らも動くぞ!」

 

 

 

報告を受けた久遠が、声をあげて指示を出す。

 

 

 

久遠率いる部隊はこれから陽動として、美濃に攻め入るように見せるのだ。

 

「無用に深追いすることはない。しかし、少ない勇気を振り絞りしかりと働け!」

 

 

 

陽動部隊の中心をなす柴田衆を率いる壬月があしがる達へ檄を飛ばす。

 

 

 

「和奏!貴様の鉄砲で幕を開けぃ!」

 

 

 

壬月が続けて和奏に命じる。

 

 

 

「よっしゃー!いくぞ、赤母衣衆!ボクに遅れるなよ!」

 

 

 

壬月の言葉に和奏が答え、彼女の持つ槍から弾丸が放たれる。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「織田側のこの動き………、なるほど陽動ですか。ふーむ、私はどう動くべきでしょうか。この事を進言するべきでしょうか?」

 

 

 

織田家の軍勢と正面から事を構える斎藤家の軍勢の中の少女がポツリとこぼす。

 

 

 

「いえ、やめておきましょう。私が申したところで、皆嘲笑うだけです。はぁ、この美濃も枝は折れ、根は腐り、見る影もありません……」

 

 

 

織田側の考えを見透かしたような発言をするこの少女、だが彼女は斎藤家側ともなにやらあるようで……

 

 

 

 

 

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遼太郎が墨俣に到着してから既に五、六時間が経過した頃であろうか。放っていた物見をから一報が入る。

 

 

 

「遼太郎様、物見が美濃衆の旗を見つけたようです」

 

 

 

その知らせを受けた転子が遼太郎へ報告する。

 

 

 

「距離はどれくらい?」

 

 

 

「おおよそ三里ほどって所ですね」

 

 

 

ふむ、と遼太郎が考え込む様子を見せる。築城の方は既に土台が完成し後は組み立て済みの資材を組み合わせていくだけとなっている。外見的だけなら半日とかからないであろう。

 

 

 

「よし、それじゃ先の割り振りの堀組を堀と塀に沿って配置してくれ。籠城とは言えないけど敵さんの侵入を妨害するんだ。残りの運搬組はそのまま築城を続けながら状況を見て加勢してくれ」

 

 

 

「「「はっ!」」」

 

 

 

転子とひよ子が引き連れていたリーダー格であろう人たちに遼太郎は指示を出す。

 

 

 

(大丈夫、ここまで何も問題ないんだ)

 

 

 

己の考え出した作戦、己が出した指示から生まれる責任感という重圧から、呼吸が浅くなる遼太郎。

 

 

 

遼太郎がこの世界に降り立ってから初めての戦闘がついに始まろうとしている…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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戦国恋姫とバイオハザードのプレイ経験について

  • 戦国恋姫(X.EX)プレイ済み
  • バイオハザードシリーズプレイ済み
  • 両方プレイ済み
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