戦国†恋姫~世界変革の弾丸~   作:しゅんとも

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chapter2-11が抜けており追加しました。大変申し訳ありません。


chapter2-14

「オラッ!!ぶち壊せ!!!」

 

「怯むんじゃねぇ!どんどん押せや!!」

 

「城攻めじゃぁ!!オラオラオラッ!!!」

 

 

 

数刻前まで、静寂に包まれていた稲葉山城の大手門。それが今では、世紀末じゃないかと間違えてしまうほどに荒れて、戦の戦闘音に誰だかわからない怒号と雄叫びと悲鳴に包まれている。

 

 

 

 

 

「待ってくれ!織田は撤退したんじゃないのか!」

 

 

 

「そんなのは知らん!俺だってそう聞いていたわ!」

 

 

 

「しかし、現に攻められているだろ!どこの誰なんだよ!攻めてるのは」

 

 

 

 

 

 

 

門内側の斎藤家も突然の襲撃により、情報が錯綜し騒然とした状況。何も知らない下っ端の兵達は、今門の外にいるのどの軍勢なのか、外から聞こえる怒声と雄叫びは本当に人間のもなのか、全く分かっていない。

 

 

 

 

自分達は、いったい何と戦わせられているのか分からない不安と恐怖で斎藤軍は劣勢にあった。

 

 

 

「このままの兵力では、門が破られるのは時間の問題だ!物見の報告では、残りの門近くには敵軍はおらんようだ!最低限残して、大手門に兵を集中させろ!」

 

 

 

 

 

斎藤軍の幹部格らしき者が、残りの2つの門に伝令を急がせる。半刻もせずに大手門に斎藤軍の兵が集結するであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦況を整理する。稲葉山城には現在斎藤軍の兵が三千、その内三ノ丸には斎藤家の兵が二千、二ノ丸には千ほどが集められている。

 

 

 

 

 

三千程度しか集められなかったのは、織田の突発的な夜襲が大きく関係している。本来ならば一万以上を集められるが、あまりにも急すぎて直属の兵しか用意できなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

対して、織田は先陣千に続いて、二千、三千、三千の計九千と斎藤軍の兵力とは凡そ3倍であり、城攻めの目安としては同じ兵を用いれば、勝率は五分五分となる程度であったのだ。ここでは兵の質は考慮していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、大手門の守備には千五百、これに増援が千ほど来ると考えられるので、門の外から攻める五百の兵は門突破にはかなり苦しくなる。

 

 

 

 

 

急襲であるので、普通は戦が長引けば厳しい戦況に陥るのが明白であり、門を攻める兵達の士気は徐々に下がるのだが…

 

 

 

 

 

「おもしれぇ!!やっぱり戦は先陣に限るぜ!!!」

 

 

 

「おうよ!!俺の目の前全部が敵だからなぁ!全員ブッ殺せばいいだけで簡単よ!」

 

 

 

「もっともっと暴れさせてくれよっ!!!」

 

 

 

 

 

門の外では士気が下がるどころが、その勢いは尚も上がり続けているようである。

 

 

 

 

 

それも当然であろうか、少数五百で稲葉山城の大手門を攻めているのは織田家森衆の精鋭たちであるのだから。

 

 

 

 

 

「撤退戦なんかより、城攻めの方がおもしれぇと思ったんだ。まぁ少しは、お前の策も面白いと思ったから、乗ってやっただけだ。しくじるなよ、孺子が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森衆の棟梁、森桐琴がそんなことを呟く。久遠が認め、夫とさせたその男へ向けて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ここは大戦闘を繰り広げる大手門とは変わって、稲葉山城のほぼ真逆の位置である塀の外、静寂の森の中。

 

 

 

 

この戦国の世界には似つかわしくない、漆黒のハンドガンと戦闘用の大型サバイバルナイフを所持した男を含めて、僅か五人が息を潜めていた。

 

 

 

 

「それで、どうして俺は小夜叉に背負われてるんだ?」

 

 

 

 

「そんなん、テメェを塀の内に入れつつ、俺らも入るにはこれが一番早いだろうが。テメェどんくせぇからこの高さの塀なんか乗り越えられねぇだろうが」

 

 

 

 

「いやそうなんだけど…別に俺の策でも…」

 

 

 

 

「それはめんどいから却下したろーが!」

 

 

 

 

 

本来は森衆の屈強な男達の力を借りて、潜入しようと考えていた遼太郎であったが、こっちの方が早いと小夜叉に却下されてしまったのだ。

 

 

 

 

 

しかし、遼太郎としては自分より年下にしか見えない女の子に背負われると言うのは、恥ずかしすぎる状況なのである。しかも、遼太郎の策の遂行のために森衆からも3人兵を借りてきているので、その視線が刺さるのである。

 

 

 

「まぁお嬢が決めたら仕方ねぇからなぁ~」

 

「俺らが口出すことでもねぇしなぁ」

 

「お殿さんの旦那さんよ、もう腹を決めちゃいなや」

 

 

 

 

 

勿論、森衆棟梁の桐琴の娘の小夜叉が決めたことには、その3人は口を挟むなどできるはずもない。

 

 

 

「いつまでもグチグチいってんじゃねぇ!ってことで、いくぞ!オラッ!」

 

 

 

「うわっ!!!ちょっとは心の準備させろってーーーー!!!」

 

 

 

 

 

小夜叉は遼太郎に伝えることもなく、突如として走り出して、3メートル近くある塀へ一直線に近づいていく。

 

 

 

 

「マジかーーーー!!早すぎるってーーーー!!!」

 

 

 

「俺らも遅れて行きますので、敵はとっといて下さいよーー」

「頑張ってくだせぇよー」

「お嬢もお気をつけてー」

 

 

 

 

急激なGが身体に掛かる遼太郎の悲鳴に対して、呑気な声が後ろから聞こえてくるが、それを目視する余裕はもう遼太郎にはない。

 

 

 

"ダンッ!"

 

 

 

小夜叉の一際大きな足音とともに、移動に掛かっていたGが方向を変え、下方向に変わる。それに続いて急激な浮遊感が遼太郎を襲う。

 

 

 

(あ、これマジでヤバイやつかも…)

 

 

 

テーマパークの絶叫系でも経験したことない、感覚が一気に押し込まれた結果、遼太郎は一瞬気が遠くなるのを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りがあったが、数秒後には金髪の女の子と青年の姿は塀の外、森の中からは消えていた。

 

 

 

 

 

 




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戦国恋姫とバイオハザードのプレイ経験について

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  • バイオハザードシリーズプレイ済み
  • 両方プレイ済み
  • 両方未プレイ

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