天守閣内への潜入に成功した遼太郎。だが、その中にも鬼どもがまだまだ蔓延っている状況で、中々前に進めていない。
「クッソ!一撃が重いし、ヘッドショット以外まともにダメージが入らない。素直に全部倒してたら先に弾切れだ!」
遼太郎としても、室内でのゲリラ戦はかなりやりにくい。通路の死角だけでなく、鬼が部屋からも突如として襖を突き破り襲いかかってくるのだ。
「結菜!どこだ!いるなら返事してくれ!」
天守閣一階から二階に向けての階段を駆け上がる。遼太郎は室内でハンドガンを使って走りながら戦闘しているので、今さらこっそり潜入なんていうのは無理なはなしである、そこで大声で結菜を探すことに変更。
稲葉山城の天守閣は四重屋根構造の五階建てになっている。一階から三階はほぼ同じ広さであり、四階五階と進むごとにその床面積は小さくなっていく。詩乃から聞いていた天守閣の作りからして、遼太郎的には三階の一室のどこかか、四階の広間に結菜はいると考えていた。
そしてそれは、遼太郎が天守閣二階の捜索をしている最中であった。
「……いやぁっ!助けて……!」
何階かは分からないが、上階の方から女性の悲鳴が響く。
「…結菜?!結菜なのか!!」
遼太郎は右手に握るハンドガンに一層力を込めて引き金を引き、さらに上へと進むために鬼どもを排除し続ける。ハンドガンの弾の消費が激しくなるが、それに構っている場合ではないのだ。
(頼む!間に合ってくれ……!)
悲鳴を上げた結菜の身にいったい何が起きてるのか。無事を願う遼太郎の思いは届くのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーー
時は少し遡る。
元々飛騨であった鬼の攻撃の隙をついて、結菜は三階から四階へと逃走していた。
結菜が逃げ出した部屋のすぐ近くには、上り階段しかなかったのだ。下りの階段を降りるには、長めの直線である廊下を走り抜ける必要があったのだが、黒フードの行動の素早さから、結菜は咄嗟にそれは危険だと判断したのだ。
(とにかく、離れなきゃ…)
この結菜の判断はある意味で、正解だったのかもしれない。というのは、三階より下の一、二階には鬼が蔓延っており、戦う手段がないわけではないが乏しい結菜にとってはかなり危険であったからだ。
とはいえ、天守一階の出口から遠退くのに変わりはない。その焦りはあるけれど、結菜としてはあの黒フードからいかに距離を取るかが最優先なのだ。
「…いやはや、あまり時間を取りたくはないんだがな。すでに本丸にも何か動きがあるようでな」
黒フードが結菜を追って階段を上ってくる。五階建ての稲葉山城の天守閣だが、五階はほぼ広間はない。結菜は四階で階段から一番遠い位置で、黒フードを待つ。
(落ち着きなさい、私。これでも蝮の娘なのよ。本丸まで動きがあると言うなら、逃げられる算段はまだある…)
結菜は三階からの階段を注視する。その一瞬のチャンスを逃さないために…
そして、その時が訪れた。
「さあ、追いかけっこは……」
「うるさい!女だからって舐めないで!受け取りなさいよ!ハァッ!
雷閃…胡蝶ッ!!」
階段を上りきった所の黒フードに向けて、結菜が全力の御家流を放つ。
「むっ!?」
白く光輝く蝶が無数に発現し、その全てが黒フードに向かって羽ばたき進み始める。これには黒フードも至近距離のために一瞬、防御姿勢に入る。
"ズドンッ!バァンッ!"
"バァンッ!ズパァンッ"
その蝶達が一気に爆発し始める。
黒フードもこれには一時的に身を守るために、その場から飛び退き階段付近から大きく離れる。
(今しかないわ!)
結菜が空いた下り階段へ一気に近づき、三階へと降りる。鬼に対してはそこそこの威力である雷閃胡蝶が、あの黒フードにはどれ程期待が出きるかはわからない。とにかく、今動きがあるという天守閣の外、本丸まで出ればどうにかなると考えて、結菜は三階の廊下をひた走る。
しかし、三階にある長い直線の廊下はやはり甘くはなかった。
「やってくれたな、帰蝶姫!女だと甘く見ていた我の落ち度だ」
「きゃ!!」
いつの間に、後ろまで近づいていたのか。結菜は腕を掴まれ黒フードに捕まってしまった。
「そんな…!あの至近距離で雷閃胡蝶を受けたのに…」
「御家流…だったか、確かにいい威力ではあったが、我を足止めするには威力不足であったな」
至近距離で結菜の全力の御家流を受けた黒フード、いや黒装束はフードも装束もあちらこちらで焼き焦げたようであるが、当の本人はどこかを痛めた様子はない。
「この時代の有力、有名なものはやはり油断してはならないか。礼を言おう。帰蝶姫よ、今回は為になる学習ができた」
「なに訳分かんない事いってるの!?離してっ!」
この時代、などと言う黒装束に構わずどうにか抜け出そうと踠くが全くと動かない。
「もう、貴女に構っている時間はないんだ。さぁ口を開けろ!」
「…いやぁっ!助けて…!」
黒装束が懐から鬼の丸薬を取り出し、結菜へ飲ませようと近づけてくる。結菜も抵抗するが、もう時間の問題だ。
(いや!あんな風になりたくない!まだ久遠とも、遼太郎とも再会できてないのに…。誰か…!)
目の前の丸薬を口にしてしまえば、先ほどの飛騨と同じに、いやそれ以上に酷い惨状になってしまう。だが、もうそれが結菜だけでは防げないところまできてしまった。
そう、結菜だけでは……
「結菜!目を閉じろ!!!」
結菜が向かっていた三階から二階への下り階段の方向から、聞き覚えのある男の声が聴こえたのだ。結菜は咄嗟にその声に従って目を固く瞑る。
"カランッカラン…"
そして、同時に結菜自身の後ろ付近に何か金属の物体が転がってくる音がする。そしてその音に気がついたのとほぼ同時に……
"パァッッッッン"
大きな破裂音と同時に、目を瞑ってもなおその瞼を貫通するほどの眩い光線が結菜襲う。
「っ!!」
「うおっ!!なんだこれは!!」
結菜を襲った激しい光は、勿論黒装束を激しく襲う。しかも、背中側でかつ目を固く瞑った結菜に対して、黒装束は正面からそれを直視してしまったのだ。
「クソッ!!!目が!!耳もだ!何が起こったんだ!」
視覚聴覚を奪われた黒装束が激しく踠く。結菜もそこまでてはないが、同様に視覚聴覚がおぼつない。
(いったい何が……)
結菜がそう考える間もなく、後ろから腕を引かれる。
「走れるか!?結菜!」
結菜の右腕が引かれる。とにかく、身の危険がある黒装束から離れるために、結菜も無我夢中でその腕に引かれながら走り始める。
そう言って結菜を誘導するのは。
徐々に回復してきた視覚を手立てに、結菜は腕を引く人物を確認すると…
「遼太郎っ!?」
「ああ!再会の約束しただろ、だから迎えきたんだ!」
服に多数の汚れがあり、顔は血と汗でうす黒くなって、なお右手に漆黒の武器を構える遼太郎であった。
※補足(使用武器説明)
・閃光手榴弾
形大きさは炸裂形の手榴弾とほぼ同じの非致死性の武器。ピンを抜いて数秒の後に強烈な光と音で付近の相手の視覚聴覚を奪い行動不能に追い込む。有効範囲は手榴弾系最大だが、目視の方向に入れないと効果は半減以下。室内で使用すれば効果は倍増。
戦国恋姫とバイオハザードのプレイ経験について
-
戦国恋姫(X.EX)プレイ済み
-
バイオハザードシリーズプレイ済み
-
両方プレイ済み
-
両方未プレイ