遼太郎は結菜を連れて天守閣入口へと戻る一方、
「クソッ!やはりイレギュラーの守り手か!あともう少しであったというのに…」
遼太郎の閃光手榴弾によって奪われた視覚が、ある程度まで戻った黒装束。すでにその三階には結菜、遼太郎の二人の姿はなくなっていた。
「まぁ今回は例のものも未完成な状況であったので我は引き下がってやるが、このまま易々と逃げられるというのも、ちと面白くないな…」
なにやら黒装束が不吉なことを言い出す。そして、手元には結菜に飲ませようとして残ってしまった鬼の丸薬の未完成版。
「まぁこの城にはもう一人、先ほどの斎藤飛騨守よりも格のある人物が居たな…、今回はそれで良しとするか」
そう言って黒装束は遼太郎達が走っていった二階への下り階段ではなく、四階へと続く上り階段の方へと踵を返していった。
斎藤家で飛騨守よりも地位の高い人物、この天守閣には確かに五階の最上階にその人物がいる…
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「おーい!小夜叉!!」
「お、遼太郎じゃねぇか!しかも殿様の奥さんまで連れて。やったじゃねーかバカヤロー!」
「「「旦那!お疲れ様です!」」」
天守閣の内部を抜けて、遼太郎と結菜はその入口まで戻ってこれたのだ。そして、入口でその天守閣の防衛をしていた小夜叉が二人を歓迎して迎える。そして、遅れてきた潜入組として森衆から借りた三人組もそこにはいた。
「とにかくみんな無事でよかった。このまま小夜叉と道を開くから、森衆の三人は結菜を連れて塀の外に脱出してくれ」
「おうよ、任せてくれや」
「こっからは俺らの出番てか」
「手が空いたら鬼どもぶち殺しときヤスぜ」
(頼もしいなぁ…笑)
遼太郎の言葉に森衆の三人は快諾してくれる。遼太郎の潜入と結菜の救出を見て、その力を認めたと言うところだろうか。
「ちょ、ちょっと待ってよ!遼太郎と小夜叉は2人はどうするの?」
ここまで、遼太郎に誘導されてきた結菜が、すかさず遼太郎と小夜叉の二人はどうするのかと問いただす。
「あー?ンなもん、鬼ども全部殲滅するには決まってんだろーがっ!」
小夜叉が手を腰に当てメンチを切って、
さも当然のように答えてくる。
「まぁ半分は正解…かな?結菜達の脱出を援助するから、四人が脱出できたら俺らも続くよ。だから早めに頼む」
「…わかったわ。でも無理しちゃ駄目なんだからね!今回の事色々聴きたいんだから!」
小夜叉の言葉に遼太郎が補足をする。小夜叉的には本当に鬼を全て殲滅するつもりだったかもしれないが、さすがにそれは体力的に無理であるので、ある程度で脱出すると遼太郎が伝える。
「さっさとしろ!鬼どもがまた集まってきてんぞっ!!」
「わかった!三人とも結菜をたのむぞ!」
「「「おう!!」」」
潜入組の本丸からの脱出劇が始まる。
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「オラッ!死に晒せェッッ!」
「おいおい!そんなに前に出たら、四人の支援できないだろ、全くっ!」
本丸を囲う塀を背中に、四人の脱出の支援のため小夜叉がその槍を大きく振るう。そして、そのサポートと脇を抜けてきた鬼の殲滅を遼太郎が担う。
後ろでは森衆の一人が、武器として背負ってきた角材を上手く利用して脱出を計り、最後の一人が抜けようとしていた…、その時だった。
「ヴヴヴヴオオォォォッッッ!!!」
天守閣の遥か上の方から、しかしその距離からでも地鳴りが起こるほどに大きく響く咆哮がした。
「なっ、なんだ!?」
「遼太郎!上だ、避けろ!」
小夜叉に言われるがまま上を向くと、月明かりで明るくなった夜空から、大きな黒い塊が降ってきていたのだ。
「遼太郎!避けてーー!!」
すでに本丸の塀を脱出した結菜からも、悲鳴に近い声があがる。
"緊急回避"
そして、極力見たくなかったコマンドまで発生する。
(まじかよ!)
前回最後でのアクションで、遼太郎はミスして瀕死状態に陥ってしまっている。
多少の突発的な驚きはあるが、しかし今回はすでに身構えていたことから、何とか回避に成功する。
「いったいなんなんだよ…」
緊急回避により地面に飛び込んだ身体を起こそうと遼太郎が、辺りを見渡す。
「遼太郎、離れろ!こいつは普通の鬼じゃねぇ!」
「え…?」
咆哮をあげて落ちてきたなにかによる土煙が晴れる間もなく、そのなにかが動き出しているのだ。遼太郎は小夜叉に言われるがままに、距離を取る為に後ろへステップを踏む。
「ヴヴヴヲヲッッ!ヲダメユルサヌゾ!」
土煙が晴れるとそこにいたのは、大きさは三メートルほどと、墨俣城で対峙した鬼に比べてやや小型であるものの、特出すべきはその歪な四肢の形、大きさである。
特に右腕関しては本来相対的な大きさの二倍以上長く、代わりに半分から先はかなり細い形状となっているのだ。脚も左脚のみが大きく肥大しており、かなりバランスが悪そうである。
しかし…
「ヴヴォォォッ!ヲダノヘイコロス!」
その細く長い右腕をその鬼がまるで鞭のようにしならせて、襲ってきたのである。
「うぉっ!まじか!!」
「一旦下がれ遼太郎!」
小夜叉の指示で遼太郎は鞭のような右腕の射程外へと逃げる。
「いったいあれはなんなんだぁ?あ?」
「俺に聞かれても…、ただあの歪な鬼、確か天守閣の上の方から降りてきたよな…。確か斎藤家当主の龍興が最上階にいるって詩乃が言ってた気が…」
小夜叉がキレ気味に遼太郎に聴くと、遼太郎は先日及川隊の長屋で、稲葉山城の図面を詩乃と見ていたときの事を思い出した。
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『なぁ、詩乃。この天守閣のことなんだけど』
『ええ、そちらですね。恐らく帰蝶姫が閉じ込められているのはこの天守閣と思われます』
机の上に図面を広げ、詩乃が一つ一つ指を指しながら丁寧に解説してくれる。
『人質ってことはやっぱり一番逃げられにくい最上階とか?』
『確かに上階の可能性が高いですが、最上階は恐らくないかと…』
遼太郎の質問に、詩乃が少し困ったような素振りを見せてくる。というのも、
『ここ、稲葉山城においての天守閣最上階は斎藤龍興の一室となっているんです…』
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「なるほどな、ってことはあれはもしかしたら斎藤龍興って可能性があるってことだな」
「ああ、詩乃が言うには龍興のワガママで一番高いところが良いとかでね」
幾度となく争ってきた久遠からも、斎藤龍興はうつけだと言われてきており、さすがの脳筋森衆でもその程度のことはしっていたようである。
「けっ!アホが考えそうなこったな!そんで、なんでか知らねーけど鬼となってるってことか。確かに、あんなに織田に執念があるってことを鑑みるに、あの鬼は龍興っぽいな」
「けど、いったいどうして…」
遼太郎は誰に聴くでもなく、ただ純粋に疑問を口にした。しかし、これに答える人物が現れたのである。
「ちと、予定が狂ってしまってな。本来ならばこいつに飲ませた薬は、帰蝶姫に使う予定だったのだ。だが、こちらはそこそこに面白い結果となったぞ!」
声の主の方向を向くと、天守閣三階ほどの屋根に黒装束が立っていた。
「なんだ!テメェはよ!」
「待て小夜叉!あいつは結菜を連れ去った、そして多分今回の騒動の首謀者だ」
小夜叉は急に口を出してきた黒装束に対して、怒りを顕にするが遼太郎が説明を入れる。遼太郎としても、先程結菜をコイツから救出した時点で、こいつが裏幕であることは確信していた。
「しかし、今回は貴様の到達の早さを見誤った我の敗北だ。これは手土産としておいてってやるから、せいぜい楽しむといい!」
黒装束はそう言い残すと、屋根から塀をつたって姿を眩ませてしまった。そして、そこに残されたのは。
「ヴヴヴッ!ヲダコロス!」
「結局こいつは俺らでどうにかしないといけないわけか…」
「おもしれぇ、随分と骨のある奴みてぇじゃねぇか!」
小夜叉と遼太郎のコンビが、歪な鬼と激突する…
戦国恋姫とバイオハザードのプレイ経験について
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戦国恋姫(X.EX)プレイ済み
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バイオハザードシリーズプレイ済み
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両方プレイ済み
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両方未プレイ