月収50万ゼニー、ナルガクルガをモフるだけの仕事!!! 作:ルルザムート
4G…また誰かとやりたいな
(デン→デン↓デデデデン→デン↑)
続かないとか言って結局3もふ目です、だって更新楽しみにしてるなんて言われたらね、えへえへえへ…
メチャクチャ嬉しくなってあともう2話分書き終わってます、モチベって大事。
今回は大いなる誤解とミラルーツちゃんです
ジャンボ村 マイハウスにて…
「外からじゃ分からなかったけど広いマイハウスね…」
言われた通りの家に向かうとそこはかなり広い一軒家であり、半円形のテーブルとその周りにある10人分の椅子、天井付きのベッドに開放感溢れるいくつもの窓。それでいて雨などが入らないよう外側の屋根が普通の家より大きめに作られており、害虫などが入ってこないようお香のような物が焚かれている
話に聞くとこのマイハウスの持ち主はかつてナナテスカトリを一騎打ちで倒したらしい。今はドンドルマで仕事をしているとか。
「…もしかしたらすでに会っているかもしれないわね、私達」
(どうでしょうか、余程特徴的でない限り人間の顔ってみんな同じに見えますし…ところでそろそろ出していただけませんか?)
と、そうね
背中のリュックサックのファスナーを開け、ちびっこナルガ──ルナを外に出してあげる
窮屈だったのがこたえたらしく、出た瞬間ぶぶぶぶと身震いしたり、のび〜と背筋の伸ばしたりしてリラックスしている。
こうしてみると確かにかわいい
「ん…そうだ」
受付嬢曰く人払いをしてくれているらしく、ルームサービスも今は居ない。レイルが戻るまで私も元の姿に戻ろうかしら
ここ最近ワイバーンに戻っていない、レイルのように元の自分が分からなくなったりしては怖いので覚えているうちに戻っておこう、そう思い人化を一旦解くことにした
天井は結構高いし、屈めば大丈夫でしょう
伝説中の伝説、"祖龍ミラルーツ"が久々に元の姿を取り戻した。…ジャンボ村のマイハウスで。
(ミラルーツさま、その…)
? ああ、頭の上ね
(いいわよ、乗っても)
何故かはわからないが小さくなったルナは誰かの頭の上に乗りたがる、かわいいので特に気にしてはいないのだが
頭の上できゅーきゅー鳴いてるルナに釣られて私もリラックス、塔の頂とは違ってこの姿で羽を伸ばせる場所はそう多くない
(狭くて翼は伸ばせてませんけど)
(それは仕方ないわよ)
パティが手配した通りマイハウスには誰もおらず、誰も近付かないように指示が出ていた。この状況で誰かがやってくる可能性はありえない
が。
「フンフンフフフーン♪hey you ! ノってるかい!hun…たー?」
「あ。」
「きゅ(あ。)」
不幸にもミラルーツ達の元を訪れた1匹のアイルーが彼女を見て──アフロを落っことした
〜
「この店で物資の受け取りができると聞いた、お前がここの店番か?」
「そ、その通りですニャ。失礼ですがお名前をお聞きしても…?」
「レイルだ」
「レイル、様、ですニャね、代金は既に頂いていますニャ。そちらの包みがそうですニャ」
「これか」
包みの中身を確認する紫の瞳から彼の感情は読み取れそうにないので代わりに怯えながらも店番としての責務を精一杯果たす雑貨屋のアイルーを心の中で応援する
…正直私も怖い
「…よし充分だ、良い品質の品を取り揃えていて安心した」
「ありがとうございます、ニャ」
それにしても一体この人は何者でしょうか、例え裏の人間だろうとネコートさんと繋がりがあるのならある程度ギルドガールの私達にも情報が来るはずですが…
決して深掘りしたわけではないがそれにしたってレイルという男についての情報が全く存在しないことにパティは違和感を覚えた。
お忍びでネコートさんにヒプノック狩猟依頼を出しに来た某国の王女の情報でさえ私達ギルドガールなら少し調べれば分かったんだ。…いやまぁ正確にはベッキーさんに聞いただけなんですが
「そういえばここの村には食材屋があったな、そちらにも寄りたいんだが」
しかし今回に限ってはそのベッキーさんですら存在を知らない人だ、上層部の秘匿の本気さが伺える
「しかし、もしも…」
「…パティ?」
1つだけ気になることがあった、ドンドルマに出かけている村のハンターさんからこんなことを聞いた
『モンスター密猟組織が一斉検挙された』
別にそれ自体は秘匿でもなんでも無い、奇妙なのは検挙した人物の情報が無いこと
何故か組織のトップと幹部達が一斉にドンドルマギルドを訪れて自首したらしい。顧客情報の詰まったノートを持って。
「おいパティ」
たまたまその場にいたハンターさんが言うには組員達は口々に『助けてくれ』『死にたくない』『モンスターの餌はいやだ』『あいつが来る前に早く俺達を檻に』など…
異常な事態にギルド側も混乱して上層部…ネコートさんがいる部署に指示を仰いだらしい。すると1時間もしないうちに街の外から現れたギルド関係者と思われる何者か達が彼らを連れて消えた。…それ以降彼らがどうなったか、ハンターさんはおろか私達ギルドガールにも情報が入らなかった
「──やれやれ」
ただひとつ、他と比べて少し落ち着いていた組員が言ったらしい
『カッターのようなブレードを持った紫の目の生物がモンスターを率いて粛清しにきた』
そして今日のための打ち合わせでネコートさんと対話した時これについて聞いてみて返ってきたのは──
『知るな、知ればそなただけではない、最悪の場合ジャンボ村を地図から消さなくてはならなくなる』
当時を思い出して冷や汗が出てくる
ネコートさんはその『生物』が何者か知っている、その上で『聞くな』と…恐らく古龍も真っ青になるような恐ろしい秘密が──うわっ
チカチカと眩しい光が目元に当たって我に返る
あ、レイルさんをほったらかしに…し、て
「どうした、顔色が悪いようだが?」
「────」
どうやら持っていた武器が太陽光を反射していたらしい、いやそれより彼の持っている武器は──
「カッターのような、ブレード…」
〜
「やれやれ、大丈夫か?」
「え、ええ、はい、もちろん、きっちりしっかり、はい」
「とてもそうは見えないがな」
「大丈夫ですから!本当に…!」
急に上の空になった彼女を気付かせるために持っていた超硬質ブレードで太陽光を反射させてからというもの様子がおかしい
…やってしまったかもしれない
以前ミラから『太陽光は女性の敵』という話を聞いたことがある。かくゆう自分はミラから聞くまでスキンケアとか日焼け対策とは何もしていなかった。ただモンスターと戯れていればそれで満足だった
恐らく今の彼女は反射とはいえ太陽光をもろに浴びせられたことで腹が立っているのだろう、だが仕事上感情任せに怒ることは我慢している、と言ったところではないか
「さっきはすまなかったな」
「へ?」
案内された食材屋でシモフリトマトとオンプウオ、いくつかの調味料を購入しつつきちんと謝る
「あんなマネをしてあんたの考え事の邪魔をした、それの謝罪だ」
「そんな、私がぼーっとうっかりしてただけなので…」
く、我ながらなんて酷い謝罪だ
とはいえレイルを演じているうちに自分でも仮面が外せなくなってきており…具体的に言うと人間やアイルーの前ではどっちが本当の自分か分からなくなってきている
…その仮面を1発で叩き割ってくれるナルガたんてぇてぇ
買い物もひと段落し、ひとまず『お嬢様』のいるマイハウスへ戻ることにした
「案内ありがとう、助かった」
「い、いえ仕事ですから」
ぺこりと音が聞こえそうなおじぎにこちらもおじぎで返す
良い人だ、ここの村のハンターは恵まれているだろうな…ん?
密林が近い村ならではなのか彼女の肩にドスヘラクレスが乗っているのが見える、相変わらず虫というのは存在するだけで恐ろしい生き物だ
というか神は何を間違えたんだ?昆虫とかいう生物、あきらかに設計ミスだろう
(裏側とか特に。)
「そ、その1つお聞きしたいのですが」
「………」
彼女は気付いていない。…この大きさでか?
虫とはいえドスヘラクレスはかなり大きい、重量もあるだろう。それが肩に乗っていて気付かないものだろうか
「あっ、答えたくないならそれでいいんですけどね!」
…気付いていないみたいだな、駆除したいが素手で触るのは…ブレードで排除するか
いつ飛びかかってくるか気が気じゃないし
「レイルさんは、その…」
落ち着いて背中のブレードにゆっくり手を伸ばす
よし、イメージができた。動くなよ…
「レイルさんは、いったい何者なんで
くらえっ
ディノパルドも唸る速度でブレードを振り抜き、肩に止まっていた大きな昆虫を横向きに両断。もちろんパティに怪我はない
「ひ…!?」
どうやらパティが虫に気がついたみたいで驚いている、始末した後でよかった
「──え、あ、あの」
「ん?」
あ、まずい、害虫駆除に夢中で彼女の話を聞いていなかった
「すまないな、聞いていなかった。
…もう一度言ってくれるか?」
「すまないな、聞いていなかった。
…もう一度言ってくれるか?」
買い物をしていた時と変わらない無機質な声、魔界の入口のように光沢の無い紫の瞳でこちらを見据えて彼は語りかける。私の首筋にブレードを添えながら。
それはまるで、いやまさに『その先を口にすれば命はない』と宣告されているようで、ネコートの一言がフラッシュバックする
『最悪の場合ジャンボ村を地図から消さなくてはならなくなる』
もし彼がモンスターを率いることができるというのならこの村はひとたまりもない、ドンドルマのハンターさんが戻るよりずっと速く更地と化すだろう
「ああ、俺は昆虫の類が苦手でね?特に羽音のうるさい奴は嫌いなんだ。あんたのところからうっとおしい羽音がする前に駆除させてもらった。服は大丈夫か?汚れていないか?」
首筋から引き戻されたブレードの上には裏と表で綺麗に切り分けられたドスヘラクレスの表部分がスシネタみたいに乗っている。まるで『次はお前がこうなる番だ』と言っているかのように。
「────」
怖すぎて声が出ない
「どうした?一段と…
顔色が悪くなっているようだが?」
くそっ、まずい。冷静に考えれば分かるはずなのについやってしまった、なーにが「顔色が悪くなっているようだが?」じゃない!
ここは熱帯地帯の村、虫なんか日常茶飯事だ。肩に1匹止まってもここの住民は気にならないだろう、それどころか俺が斬ったのはドスヘラクレス…
メゼポルタやドンドルマ地方以外の人間にはあまり知られていないがドスヘラクレスは実は食べられる。食材のひとつなのだ。
そうでなくとも武器防具をはじめとした様々な物の加工に使用できるため価値も高く無駄にしてはいけない。都心のように金さえ積めばすぐ手に入る、という程便利な立地でもないだろう
それを『苦手』という理由だけで斬り捨て、挙句の果てに受付嬢としての服を虫の死骸で汚してしまった。怒るのも無理はない
ま、まずい、本当にまずい、こちらとしても受付嬢とは仲良くしたい。人間相手ではこの上なく無愛想な俺に対してどの地方の受付嬢も笑顔で懇切丁寧に接してくれた。自分はモンスター第1に考えるケモナーだがだからといって尽くしてくれる相手を無下にするのは俺自身が許せない。…ああソフィアちゃん、私はどうすればいいの…?
マイハウスまで徒歩10秒といった位置で雪山より冷たい空気が張り詰めている、お互い内心で怯えまくっているこの状況を覆したのはパティでもレイルでもな く──
「Dangerooooous!!!」
マイハウスの中から飛び出してきたサングラスのアイルーが着けアフロを片手に騒いでいる
…マイハウスから出てきた?
「マイハウス?no! ドラゴンハウス!謎のワイバーン、バーンと登場!あまりの惨状、meは退場!なんてソウゼツ!これはシンジツ!?スれたアフロが痛いぜゲンジツ!白いレジェンド!俺はたまらずブラックアウト!Yeeeeeah!!!」
アイルーはひとしきり叫んだあとばったりと倒れて気絶、ピクリとも動かなくなったが生きてはいるようだ
謎のワイバーン、白いレジェンド…まさかミラルーツちゃん…!
「え、え、なんですか今の」
「パティ、あのアイルーの介抱を。マイハウスを見てくる」
とりあえずこれ幸いと不審なアイルーを彼女に任せてマイハウスの中へ
ああ、やっぱり…
「キュッキュッ!きゅぴい!」
(ミラルーツさま、早く人間形態に戻ってください!大騒ぎになりますよ!)
「キシ…」
(分かってる!分かってるけど久しぶりでどうやったらいいか忘れちゃったのよ!…あ、ああ!翼がぶつかっちゃう!)
カン高い鳴き声とやたら重音な鳴き声を交わしながらルナ(赤ちゃん)とミラルーツ(ワイバーン形態)があたふたしている。さらに言えばルーツに関しては大きさがマイハウスギリギリで翼が支柱に当たりそうで縮こまっている
私が居ない間に戻ったな?全く、こんなところで勝手に戻って…
本当に仕方のない龍だ、全くあなたたちは──
「私の知らないところで天国を作るなぁぁぁ!!!」
ナルガクルガの顎乗せになりたい作者のルルザムートです、ハイ。
区切りの都合上、ミラルーツちゃんをモフるのは次回になります
それとレイルですが基本的に人のいない場所かつモンスターの目の前でないと素の人格…『レイン』が出ません、『出さない』のではなく『出せません』…のでいろんな人間に勘違いされます
というか噂の一部は勘違いというわけでもなく…具体的には密猟者や名声のためだけにモンスターを攻撃する人間に対しては容赦しません。
『イビルジョーのエサにしちまうぞこのやろう』