【転生したらスライムだった件】世界を旅する、貴方を見守る   作:すっぱい調味料

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11話:オーク軍との交戦

そして会議から一夜明けリムルは町民を広場に集めオーク軍と戦うことを発表した。

発表したのはいいがリムルはよくわからない神輿に乗せられている。まあ威厳があるのでいいか。

そして、リムルはこの決戦での第一陣に加わるものを発表した。

 

ぷにぷにとリムルを突く。珍しくリムルは私に話があったらしい。真剣そうな表情で私に話しかけてくる。

「ステラ、もし何かあったときは任せるぞ」

「何か、はない」

「この間も言ってたよな、それ」

「リムルなら、大丈夫」

リムルだからと心配はしていない。それに魔王とかなら問題あるがオークロードなら問題はないだろう。

「そうか。ま、それでも何があるかわかんないしそん時は任せるぞ!」

「ん、まあ、助けてあげる」

「よろしくな!」

にぱー!と笑いかけてくるリムルをうりうりと撫でてそのままリムルには私達の着せ替え人形となってもらった。

 

そんな会話から数日後、ついに出撃の準備が整った。

カイジンやシュナ、クロベエたちが作ってくれた刀に服や武具をそれぞれ身につける。

かくいう私も装い新しく心機一転した。今までの町民の子たちと同じだった服から一転、コルセットパンツ、というものだろうか少しタイトなズボンにシュナがすごく楽しそうに作っていたフリルのあしらわれたワイシャツ、そしてまるで星空のような色のローブを身につける。

全体的にリムルが出していた案の中でシュナが気になったものを私の身体に合うように仕立ててくれたようだ。ちらちらとシュナの工房には顔を出していたときにリムルの出した服の図案が凄いのだと頬を染めて話していたのだが、まさか私の服をここまで趣向を凝らして作ってくれるとは。

「シュナ、着心地、すごく良い。ありがとう」

ぽぽぽとシュナは頬を染めた。

「い、いえとてもお似合いです!」

「シュナも、似合ってる」

ときゃっきゃと話をしているとリムルたちも着替えが終わったようだ。みな晴れ晴れとした顔をしている。今から行くのは戦ではあるがリムルのことを信頼しているのだろう。私も、気合を入れなくては。

 

町を出発し早3日。湿地帯が近づいている影響で木々が湿っており食事の準備なんかが少し時間がかかるようになってきた。

それにしても嵐牙狼族の速さは何度感じても良いものだ。今回はドワルゴンに行ったときのようなスピードではないがそれでも早い。まさか3日でここまで来れるとは思っていなかったな。そんななかソウエイが集めてきてくれた乾いた薪に火を付け野営の準備を進めていたのだがリムルがいきなり野営の中止を叫んだ。よく見てみるとソウエイが近くにいないな。もしやリザードマン側になにかあったのか?あ、リムルがランガと影移動でいなくなった。私は影移動できないからついていけないのだ。リムルを見守るのが私の仕事なのだが。。。少し寂しいが、まあ、とりあえず片付けるか。

 

鬼人の子たちとゴブタを先にリムルの方へ行かせあとから追いついたのだが、話を聞いた所ガビルが謀反を働いた、というか突っ走ったというか、簡単に言うとリザードマンは今危機に陥っており同盟を結んだリムルたちに助けを呼びに来たらしい。そのまま私達は湿地帯へと向かうことになった。勿論、リムルとソウエイは先行している。

 

少しして、100名余の狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)と共に湿地帯へと到着した私達。ふむ、見た所なかなかにオーク軍の数が多いな。それでも今日はリムルが上から見てくれているしそこまで『魔力感知』に回さなくても良さそうだ。

ゴブタがやられそうになっているガビルの元へと駆けつけたのだが何をどう思ったのかゴブタが村の主だと思われていたらしい。あまりガビルのことは気にしないほうが良さそうだな。うん。

そのままゴブタのほうへと急ぐと黒い鎧を纏ったオークと会敵した。のだが、その後ろでベニマルが発動したのか黒いドーム上に衝撃波が続いていくせいであまり話が入ってこない。鬼人の子たちのことは全く心配していないがなかなかに彼らも楽しんでそうだな。しかし私の耳に入った

「どこぞの木っ端魔物の配下が加わったところで我らの優勢は少しも揺らがんわ」

というオークの発言にゴブタも私も、ムッとする。このまま広範囲魔法をこいつだけに圧縮してぶつけてやろうと思ったのだが、それよりも早くランガが「黒雷嵐(デスストーム)」を繰り出す。

メキメキメキなんて音と共にストームによって巻き上げられていくオーク軍。

そしてそれにゴブリンたちが巻き込まれそうになっているが踏ん張って耐えてもらう。もう少し加減してほしいなと思わなくはないがリムルを木っ端扱いされたのだから仕方ないか。

そして嵐が消えると共にランガの遠吠えが聞こえる。そしてランガを見ると1本しかなかったはずの角が2本へと増え本来の姿を表していた。そのままの勢いで私達はベニマルの思念伝達を合図にオークの残党を片付けていくべく駆け出していく

。今回は殲滅戦のようなものだろう。ならばちまちまとやるより一気に広範囲攻撃をしたほうが早い。それに私だってできるのだというところをリムルに見せたいのだ。

シュナのときはできる限り怪我させないように牽制のみだったし。そう思い、ゴブリンたちも鬼人たちもいない方向へと向かう。

さて、まずは動き回っているのが邪魔だな。普段は使えない演算領域も今日は使えるのだからぶっ放してしまおう。

ふぅーと深く息を吐きまた腹をふくらませるように空気を含んで詠唱を初める。そして一気に魔力を込める。

水氷大魔嵐(アイスブリザード)ッッ!!!」

辺り一面が吹雪に覆われ、オーク達が凍りついていく。

水氷大魔嵐(アイスブリザード)。吹雪を生み出し周りを凍りつかせる範囲魔法。広範囲とまでは言わないがこの場なら問題はない。

(ちょちょ、ステラさん!?なにそれ!?え、威力やばくない??)

(そりゃあ、水の元素魔法でもまあまあ高位の技、だから)

(そ、そっかー。こ、これなら1人でも、大丈夫そうだなー)

(任せてリムル。このまま)

「消し飛ばしちゃうから、さ!火炎大魔嵐(ファイアストーム)!!!!!」

凍らせたオークたちを炎によってできた竜巻が巻き込み消し炭にしていく。

ベニマルのドームのように逃げられる心配もないし何も残さないから楽でいい。問題があるとすれば魔力量が多いやつには凍結も抵抗(レジスト)される可能性が上がるし魔力の消費もまあまあ多い。

しかしそれだけだ。オークレベルの殲滅なら問題はない。軽く魔力感知で周りを見渡し生存者がいないことを確認すると、消し炭になった残りの灰の上を歩きながらオークロードがいる場所へと足を踏み出した。そしてそこへ着くと空から飛行してくる気配とともにわめき散らかす魔人が現れる。なんだこいつは。

「これは一体どういうことだ!?このゲルミュッド様の計画を台無しにしやがって!!」

こいつがゲルミュッドか。そこまで強くなさそうだが計画とは?奴は何を企んでいる?奴はふー、ふーと息を荒々しく吐き出しながらオークロードへと更に喚く。

「このノロマが!貴様がさっさと魔王に進化しておればわざわざわ上位魔人であるこの俺様が出向く必要などなかったのだ!!」

魔王に進化。そうか、複数の種族の強力なものに名付けをしたのはそういう意図があったのか。名付けすることによって魔素量が増えたり進化したり、そういった強くなったやつを食わせて魔王へと進化させようとしていたのか!しかし、オークロードはというより名付けされたものは誰も計画を知らなかったようだ。

素早い動きでベニマル、ハクロウ、シオンがゲルミュッドを囲う。彼らの里を襲わせたのはお前なのかという質問にああそうだとゲルミュッドが答えた瞬間に殺意が膨れ上がるのを感じる。そんな彼らに「上位魔人をなめるなぁっ!!」と叫び魔力弾を放つがベニマルに後ろを取られ耳を切り落とされるそいつ。この程度で上位魔人だと言うのか。であれば魔王クラスのヤツラやこいつを囲っている鬼人たち、そしてリムルはなんなのだろうか。さんざん喚き散らし逃げようとしたゲルミュッドはソウエイの糸に絡め取られオークロード、いやゲルドに助けを求めた。しかし、数多の力を得たことにより意識が混濁としたからか、それとも主の願いを最短で叶えようとしたのかはわからぬがゲルドはゲルミュッドの首を切断しボリッグチャグチャと音を立て食べてしまった。そして世界の言葉が響く。ありえないと思っていたことが当たるとは思わなかったな。

《確認しました。個体名ゲルドが魔王種への進化を開始します》

それと同時に『見守人』が私に囁く。

《新しい魔王種の存在を確認。ユニークスキル『腐食』の獲得を認識。オーク、個体名:ゲルドの豚頭魔王(オーク・ディザスター)への進化を確認。逃亡を推奨》

 

相変わらずこいつは逃亡をおすすめしてくるな。しかしまさか魔王へと進化するとは。ゲルミュッドの目的がわかっていれば対策の仕様があったというのにあんなに怪しかったのに考えていなかった。ここまで仕組まれていたとでもいうつもりか?

そして魔王へと進化したゲルドは宣言する。世界へその存在を、爪痕をしっかり残すために。

「俺の名はゲルド。豚頭魔王(オーク・ディザスター)ゲルドと呼ぶが良い!!」

その言葉にオークたちが跪く。

そんなオークを横目にシオンがゲルドに斬りかかる。が、片腕で押し戻されてしまった。シオンは見た目はか弱そうな女性だがドワーフなんかよりも怪力だというのにまさか片腕で戻されるとは。

次にハクロウとシオンが同時に攻撃を仕掛けハクロウが首と胴を真っ二つへとする。が、全く効いてないとでも言うように反撃をしてきた。

そしてソウエイの「操糸妖縛陣」が炸裂しベニマルが「黒炎獄(ヘルフレア)」を繰り出し「操糸妖縛陣」が解け始めた瞬間にランガが追撃を仕掛ける。

それでもゲルドは倒れず更には仲間のオークを喰らい回復していく。

どうしたものかと様子を見ていると、完全に回復したゲルドの前にリムルが1人立つ。リムルが小さい分小回りがきくがこうも広い場だと意味はないだろう。しかしそれでも素早い動きでゲルドを翻弄していくリムル。

翻弄するリムルに嫌気が差したのかゲルドがおそらくさっきゲルミュッドを食べたときに得たのであろう餓鬼之行進演舞(デスマーチダンス)がリムルへと向ける。

死んだか?と呟くゲルドだが私達のリムルがこの程度で死ぬわけがないだろう。

そう思った瞬間にゲルドの首を切断したハクロウよりも速いスピードでゲルドの右腕が切り落とされる。しかし先程までのようには再生が始まらない。右腕の切断面に見える黒い炎は、リムルの持つ「黒炎」の力だろうか。

いつもと違い赤い瞳になったリムルが呟くように話す。

「「大賢者」への主導権の一任を確認。自動戦闘状態(オートバトルモード)へ移行します」

そこからのリムルの動きは先程とは全くの別人のようだった。ようだったというかつぶやいた通り『大賢者』が代わりに動いているのだろう。炎を維持し再生させぬように立ち回る『大賢者』。なんと素晴らしい動きなのだろうか。私はその動きに魅了され立ち尽くしたままでいた。

自らの腕を喰い再生させたのかその腕で『大賢者』を捕まえるゲルド。しかしそれはイフリートがリムルへとはなった技であった「炎化爆獄陣(フレアサークル)」によって防がれることとなった。高熱の炎のドームに包まれるゲルド。しかし喜びは直ぐに終わる。

また世界の言葉が響く。

《───確認しました。豚頭魔王(オーク・ディザスター)ゲルドは炎熱攻撃耐性を獲得》

そうなるか。リムルには手はいくつかあるだろうが今あるのは炎系の技が多いと前の実験で確認しいている。私も手を貸したほうが良いだろうか。そう考えていた時、フレアサークルがおそらくリムルの意思で解かれた。

そして現れたのは本来のスライムの姿へと戻ったリムルとそのリムルに纏わりつかれているゲルドの姿。そして間髪入れずにリムルが捕食を開始していく。どんどんと捕食されていくゲルドの姿に配下であるオークたちが駆け寄ろうとする。しかし近寄れないようだった。

そして、リムルの捕食とゲルドの自己再生を繰り返す、長いような短いような時間の中でゲルドはついにリムルに捕食されることとなった。

 

豚頭魔王(オーク・ディザスター)、個体名:ゲルドの消滅を確認。対象はスライム、個体名:リムルの異空間に収納されたことを確認》

 

うっすらと、魂の回廊を通し、ゲルドが何を思っていたのかが流れ込んでくる。そうか、君も、自らの民を守りたいだけだったのか。

あんなにも荒れていた天気はリムルがスライムから人型に戻るとほぼ同時に少しづつ澄み渡る空を取り戻していった。

「俺の勝ちだ。安らかに眠るがいい」

というリムルの言葉に皆が歓声を上げる。しかしそれに私もリムルも喜ぶことは出来なかった。きっとリムルは私よりもしっかりとゲルドの心核(ココロ)に触れたのだろう。少し塞ぎ込むような表情をしているリムル。

そんなリムルを横目にフォっとまた前のように辺りに魔素が広がるのを感じる。おそらくコレを見ていたトレイニーだろう。形作られる形は前と同じ姿。やはりトレイニーだった。

「さすがはリムル様。見事約束を果たしてくださいましたね」

「いいタイミングだな、トレイニーさん」

そりゃそうだろう。最初から最後まで見られていたというのが事実だろうし。意外と抜け目がないものなのだ妖精なんかは。そしてこれまた前のときのように現れたドライアドに驚く声が聞こえる。そんなみんなを静かにさせるためかコホンと大げさに息をつくトレイニー。

「森の管理者の権限において事態の収束に向けた話し合いを行います。日時は明日早朝、場所はここより少し南西、森よりの広場」

その後も勝手に話し合いに向けて代表を選ぶようにと続けるトレイニーなのだが嫌な予感が。。。。

「それから異論はないと思いますが・・・・議長はリムル=テンペストとします!」

ほら、そんな気がした。シオンに抱え上げられているリムルを見るとあからさまにえ!?とでも言いたげな表情をしている。だって、ゲルドを倒したのはリムルだし、被害が少なくて済んだのもリムルのおかげなのだし、リザードマンやゴブリンたちなんかより魔人(一応転生者ではあるが魔人というくくりでいいだろう)であるリムルが収めたほうが早く終わるだろうし。まったく、リムルは。なんて思いながらとりあえず今日の野営の準備を進める私達であった。

 

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