【転生したらスライムだった件】世界を旅する、貴方を見守る   作:すっぱい調味料

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2話:過去の思い出、ヴェルドラとの別れ

『見守人』が私に囁く。

『見守人』の権能の一つである並列演算を応用してこうやって何かしらあったときに私が思考しなくても状況の確認をしてくれる優れもので普通のスキルはこんなふうに便利ではないので私オリジナルの応用技だ。しかし、どんなものにも欠点が存在する。このスキルの欠点としてはこうやって魔力感知に演算をリンクさせたり『見守人』を使用して状態を確認しているリムルとヴェルドラに対する解析だけで6割近くを使ってしまっていることだろうか。もう少し魂に定着すればもっと効率良くなるのだがそれには私の計算でもあと30日はいるのだ。なんて、自分のスキルを心の中で自慢しながら囁かれた情報に耳を傾ける。

 

《竜種、個体名:ヴェルドラの名付けにより人魔族、個体名:ステラの種族が人間から人魔族に変化。並びにスライム、個体名:リムル、人魔族、個体名:ステラ両名に加護:暴風の紋章が付与されたことを確認》

 

トモダチ。懐かしい響きだと感じる。ステラという名前もとてもきれいだ。ステラは星を表す言葉だったと記憶しているからこれも運命なのかと私は笑みを深め過去を思い返す。

 

「はじめまして!僕は■■■■。君には僕と一緒に色々してほしい事があるんだ。一番の仕事は僕のお喋りに付き合ってもらうことなんだけど。。。うーん、名前があったほうがいいかな?」

「この場に存在する個体は二名のみを確認。名付けの必要はないかと愚考いたします」

「えー、でもそうなると君にねぇ、とかって呼び方することになるし」

「それで構いません」

「いいや、僕が構うの!よし、君の名前は■■■■■■!今日からよろしくね!」

 

ステラにとって名前とは自分が生まれたときにもらった最初の贈り物だった。そして自分のことを考えてくれる名付けという行為には名持ちになった魔物も感じるとは思うが少なからず優越感を感じるのだ。

名前を考えている間だけは相手は自分のことだけを考えてくれる。それに対する喜びと優越感をステラは遠い遠い昔に知ってしまった。

そして自分のことだけを考えてくれたということを知っているからこそリムルと旅をするためとはいえ名はないといったことにほんの少し胸が痛む。まあ、それでもこれからの未来のためと存在値を低くするために仕方のないことなのだ。そういえばきっと許してくれるだろうとも考えてはいる。だがそれを抜きにしても嬉しいという気持ちが収まらず頬が熱を持つ。

同じファーストネームをもつ存在として、同格として、ネームドとして、これなら彼とともに旅をしてもおかしくはないだろう。そう、そうだ、嬉しいとはそういえばこういう気持ちだったわ、と熱くなった頬を冷ますように両手を当てる。

私はヴェルドラとリムルが話をしているのを横目にほわほわとした気持ちに浸り、これからの旅を夢想する。きっと、きっと、楽しいものになるでしょうね、と夢見ごごちな気持ちのまま二人を私は眺めていた。

 

 

さて、それでは出発しようかな。っとその前に、

(で、行く前に一応聞いておくけど、その封印って解けないの?)

(我の力では解けぬな。勇者と同格のユニークスキル持ちなら、あるいは可能性があるかもしれぬが・・・・)

(ヴェルドラはユニークスキル、持ってないのか?)

(持ってはいる。が、封印された時点で、全て使えないな。かろうじて、『念話』が出来るのみだ・・・・)

(『無限牢獄』で封印をされて、こうやって『念話』ができている、というのは、とても凄いことよ?ヴェルドラ、気落ちしないで?)

本来、勇者のユニークスキル『無限牢獄』は、対象を永遠の時間、無限の虚数空間に封じ込めるスキルであり、現実世界への干渉を許す程甘い能力ではないそうだ。

つまり、ヴェルドラの『念話』だけしか出来ないという考え方のほうがおかしいし、時間とともに封印が弱まるとかゲームとかでよくある展開なんて無いのだから、現実世界を認識した上、『念話』だけでも鑑賞可能なのは異常なことなのだ。

無論、俺もヴェルドラもそのことには気付かない。それに気がついているのはステラだけだったので不思議ではないように話をしている俺達を困惑した顔で見ていた。

(よし。一回試してみるか・・・)

そう言って、俺はヴェルドラに触れた。

《ユニークスキル『捕食者』にて、ユニークスキル『無限牢獄』を捕食します・・・失敗しました》

流石に、勇者の封印は格が違った。

眩い閃光を発し、ユニークスキルの干渉が行われたのだが、一瞬で跳ね返されてしまった。

僅かな綻びを作ったようだが、それだけだ。直ぐにでも修復されてしまうだろう。そもそも、同じユニークスキルなら何とかなるか?という発想だけで何とかなったら苦労はない。ステラお姉さんは何故か綻びを凝視していたけど解除できたわけではないし思ってたよりも簡単な話じゃないみたいだ。

どうにか出来ないか?

どうすれば───

《解。ユニークスキル『無限牢獄』の一部解析が終了しました。脱出方法を提示いたします。》

そういって大賢者さんが提示してくれた方法は2つだが実質1つのようなものでで意思体のみでの脱出だった。しかも可能性は1%で、下手すると記憶と能力の全ては消えるというデメリットもある。もう1つは虚数空間の解除による脱出なのだがこれは『無限牢獄』の内部から解析を行わないといけないようで今はできないらしい。

(そうね、これは中から解析する、っていうのがよさそう。でもヴェルドラは、ユニークスキル、使えないのよね?)

(うむ!おかげさまで暇で暇で仕様がなかったぞ!)

(そう。私も、使えそうなものは、何もないわ)

おいおいヴェルドラってば自信満々に答えるなよ。。ステラお姉さんも息症って感じでうなだれている。それにステラお姉さんも同じ結論に至ったみたいだけどでも中から解析はできないようだ。そして依代を準備するっていう方法は成功率が低すぎる。

揺らめく透明な膜にしか見えない、ユニークスキル『無限牢獄』───

しかし、物理的ダメージでの破壊は不可能と来たか・・・。ひょっとすると、絶対防御の能力を併せ持つとかありそうだ。

詳しく勇者の話なんかを聞いて方法を模索してみたけど確率が少しでもあった方法もヴェルドラが【個にして完全なる者】ということで出来ない方法だということがわかった。だからステラお姉さんは中から解析する方法だけ言ったのか。詰んだと思っていたのだがいっその事『捕食者』でヴェルドラを喰ってしまう、という俺の案に大賢者も可能だといい『捕食者』の能力とやろうとしていることを説明したヴェルドラも、そしてステラお姉さんも賛成してくれた。

(クアハハハハ!面白い、ぜひやってくれ。お前に、我のすべてを委ねる!)

(上手くいけば、大丈夫だと思うわ。ヴェルドラとリムルならきっと、大丈夫。私は何も出来ないけど信じてるわ)

(そんな簡単に信じていいのか?)

(無論だ!ここでお前たちが帰ってくるのを待つよりも、リムルと協力して『無限牢獄』を破るほうが面白そうだ!なぁに、我とお前と二人でかかれば、ステラの言う通り簡単に『無限牢獄』も破れるかもしれん)

(ヴェルドラ、私、簡単だなんて言ってないわ。まあ、出来るとは思うけど)

(だろう!ステラは我とリムルを信じて待つが良い!)

そうか。

一人じゃなく、二人か。いいじゃないか。それにステラもいてくれてる。大賢者と同じ考えに到達出来るくらい頭が良いし、俺が思いつかない方法で封印を解く方法を考えてくれるかもしれない。

俺が『大賢者』と『捕食者』で解析を行い、内部からはヴェルドラが破壊を試みる。

胃袋の中なので、意思が拡散し消滅する恐れもない・・・いけるような気がしてきた。

(じゃあ、今からお前を喰うけど、さっさと『無限牢獄』から脱出してこいよ?)

(私も、リムルと一緒に、待っているわ)

(クククッ。任せておけ!そんなに待たせずに、お前たちと相まみえよう!!)

よし!

俺は覚悟を決めた。ステラお姉さんも少し緊張したような顔でヴェルドラと俺を見る。

ヴェルドラに触れ、捕食を行う。実に、あっけなかった。今まで喋っていたのに。いなくなって寂しさを感じる。そんな俺に気付いたのかステラお姉さんはまた最初のように俺を無遠慮に、しかし今度はよしよしと撫でてきた。

《ユニークスキル『無限牢獄』の解析を行いますか?YES/NO》

頼むぞ!俺は祈るように、YES、と念じた。

 

この日、世界に激震が走った。

天災級モンスター暴風竜ヴェルドラの消滅が確認されたのだ。

その原因を作った一匹のスライムと人間はそんな騒ぎは露知らず外に出るため行動を始めたのだった。

 

 

目の前でヴェルドラがリムルのユニークスキルによって捕食された。たしかに胃袋の中にいれば魔素の流失による消滅は防げるかもしれないけれど一か八かの賭けではあるのだ。何年かかるかわからないしリムルの解析能力がどのくらいのものなのかを私は知らない。だとしても先程のほんの少しとはいえどもあの『無限牢獄』にほころびを作ったのは凄いことではある。私にも貸せる分の解析能力があればいいのだけどそんな都合の良いことに持ってはいない。しかし、せっかくトモダチになったのに私だけ話せないのは寂しいと感じる。リムルの胃袋という異空間の中であればリムルはヴェルドラと話をすることは出来るだろうけど私は出来ないのだ。どうにか出来ないだろうか。そんな事を考えていると『見守人』が私に囁く。

 

《竜種、個体名:ヴェルドラがスライム、個体名:リムルのユニークスキル『捕食者』の胃袋に収納されたことを確認。個体名:ヴェルドラに対する干渉が魂の回廊により可能》

 

魂の回廊。そうか、同じ名を共有したことによって魂の回廊が接続されたのね。であれば私が話しかけることは可能かもしれない。いや、でも、驚かせるためにすぐには話しかけないでおこう。

「ふふふふ」

ついつい笑みが溢れる。

(ん?どうかしたか?)

いきなり笑い出した私を不審に思ったのか鉱石を捕食していたリムルが話しかけてきた。相変わらずの魅惑なボディに手を伸ばす。

(わわわ!なんだよ~もう!ステラお姉さんいきなり触ったら危ないだろ!)

「ん、問題は、ないわ。それに、ステラお姉さんじゃなくて、ステラ、と呼んで」

間違ってもリムルが私を溶かしてしまうことはないだろう。そういう意味も込めて問題ないという。私の返答が気に食わなかったらしいリムルがぴょんぴょんとしているがそれも私を魅惑することしか出来ないのだ。恐ろしさなんて全く感じないし可愛らしさすら感じる。

(う、なんか誤魔化された気がする)

ふふふとまた笑みが溢れる。これからの旅はとても楽しいものになりそうだ。

 

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ステータス

名前:ステラ=テンペスト

種族:人間→人魔族

加護:暴風の紋章

■■■の加護

称号:なし

魔法:なし

ユニークスキル『見守人』

エクストラスキル『魔力感知』

コモンスキル『念話』

耐性:刺突耐性

物理攻撃耐性

痛覚無効

熱変動耐性

電流耐性

麻痺耐性

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