鎮守府居酒屋 瑞鶴屋、開店する!   作:駄人___

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うちの鎮守府には鳳翔さんいないんですよね…
キャラ崩壊と駄文がよろしければ見ていってください。


本日のお客さん[軽空母鳳翔]

「久しぶり、瑞鶴ちゃん。」

「えっ!鳳翔さん!お久しぶりです!!」

鳳翔さんに向けて私は頭を下げる。

鳳翔さんは以前、この場所で居酒屋鳳翔を開いていた。

私が店を持つ時にここの設備の使い方から店の回し方まできっちり教えてくれたり、本当にお世話になった人だ。

「そんなに固くならなくていいわよ。」

「いやいやそんな…」

こういう腰が低いところも鳳翔さんの魅力の1つ。

「…あら、注文待ちの娘がいるようだけど?」

鳳翔さんの目つきが一気に鋭くなる。

今までの明るい表情だが明らかにその目は私にプレッシャーを与えている。

「やっべ…今行きまーす!」

「瑞鶴!こっちもおねがーい!」

「瑞鶴〜」

「瑞鶴!」

やばいよやばいよ、なんで鳳翔さんが来る時に限ってこんなほぼ席が埋まってるのよ〜

「はぁ…」

鳳翔さんが大きいため息をついた…

あばばばば

絶対なにか言われる!

「…仕方ないですね。」

えっ!

「はい、オイルビールに鋼材の角煮ですね。」

「はい、油入りのワインに弾薬のムニエル。了解しました。」

「ウォッカのウォッカ割りにボルシチね。…響ちゃんは肝休日を取りなさい!」

早い…

「ほら瑞鶴ちゃん!ボートしてないで、これを!」

そう言って突き出された鳳翔さんの手には伝票が何枚も挟まれている。

「あぁ!はい!」

「ありがとうございました〜」

今日は鳳翔さんが入ってくれたおかげで何とかスムーズに店を回すことができた。

「暖簾下ろしましたよ。」

「ほんとうに、ありがとうございます!」

また深々の風翔さんに頭を下げる。

「…さて瑞鶴ちゃん、そこに直りなさい。」

「は…はい」

これは叱られる。

なんでこんな日に限って…

「いつもならこんなことはないのに…」

「いつもなら…ね、本音が口に出てますよ。」

「あっ」

無意識のうちについ本音が口に出ていたとは。

「そうやって不注意が多いのは変わってないですね。」

不注意、詰めの甘さは海に出てた頃から変わらない。

ちょっとは良くなったと思っていたがいざ指摘されたら思い当たる節が多い。

「確かにあなたが店を出す時、教える時間が少なかったのはあります。だとしても人が多いと店が回らないというのはいけません。」

鳳翔さんの言う通りだ。

店としてオーダーが滞るのは1番ダメだ。

それは分かっているが人が多いと1人だと手が足りない。

「はい…」

「…でも1人でやるのは大変だったかもしれませんね。ごめんなさい。」

鳳翔さんに謝らせてしまった…

ダメだ泣きそう…

「え、あ〜泣かないで瑞鶴ちゃん!強く言い過ぎたのも謝るから泣かないでぇぇぇぇ」

「落ち着いた?」

「はい…すみませんほんと…」

いつの間にか私はカウンターに座っていた。

向かいには鳳翔さんが料理を作っている。

「いや…こっちこそごめんね。」

あぁ今度はお酒まで…

「さっきとは逆ね。私が厨房からお酒をついで瑞鶴ちゃんがお酒を飲む。なんだか昔を思い出すわね。」

私も昔を思い出してしまう。

「昔はこんな感じでカウンター挟んで飲んでましたね。翔鶴姉とか空母の皆と一緒に。」

「任務終わりにみんなで来て、懐かしいわ。」

海に出ていた時が懐かしい。

翔鶴姉、蒼龍さん、飛龍さん、赤城さん、それに加賀さん。

怪我をすれば翔鶴姉に心配されて、鳳翔さんのところに飲みに来れば赤城さんの食べっぷりに載せられて馬鹿みたいに食べて、

「…本当に、懐かしいなぁ。」

「それにしても私がここに立つのは久しぶりね。」

鳳翔さんは私にこの店を譲ってからずっと新しいお店を開いている。

店名はそのまんま『鳳翔』。

ちょっとお高めな料亭。

しかし高くてもそれ以上のものが出ると超が着く人気店になっている。

実際、開店記念で招かれたが料理の匂いだけで赤城さんが満腹になるくらいの米は食べられるだろう。

「…そういえば新しいお店を出すとはいえなんで直ぐに私に店を譲ってくれたんですか?」

店を任された時からずっと疑問だった。

「それはね…間宮対策よ。」

間宮というと甘味処間宮の事だろう。

最近じゃ甘味以外にも手を出し始めている中々に手強い相手だ。

「間宮と私の店を比べたら甘味処の方に引かれる娘の方が多いでしょ。だからそこにもうひとつ居酒屋を作ることでこの鎮守府の料理所を三つ巴状態にしたの。」

確かに鳳翔さんの居酒屋が無くなって飲兵衛達が新しい店に流れるとは限らない。

そうなると間宮でツマミを買って自室で飲むようになってしまうかもしれない。

「何よりも間宮だけが繁盛するのは防ぎたかったのよ。」

「じゃあ私は上手いこと利用されてたんですか。」

「そういう事ね。ごめんね瑞鶴ちゃん。」

やはりこの人の考えてることは読めない。

なんだが別の理由もありそうな気がする。

「…とりあえずお通しね、ほうれん草のおひたし。」

これは居酒屋鳳翔の名物のひとつ。

適度な甘みと鳳翔さんオリジナルの一味から来る辛味が最高の1品。

葉のシャキシャキ感もあり本当に美味しい。

私もこの味を作ろうとするが近い味にすらならない。

「あぁ〜この味!やっぱり鳳翔さんのメニューはこれじゃなきゃ!」

「ありがとう瑞鶴ちゃん。今のお店じゃこれは味が濃いいし辛くて合わないから全然作ってなかったけど、口にあったなら何よりね。私としてはもうちょっと辛くてもいいんだけどね。」

「…相変わらず辛いの好きですね。」

笑顔の鳳翔さんも昔に見慣れた景色。

「ちょっと待ってね。次も何か作ってくるから。」

そう言って鳳翔さんは店の奥に入っていった。

…この場所、この景色、この匂い、全てが懐かしい。

私が経験してきたことが蘇ってくる。

海の上で弓を引いていた頃。

皆で鳳翔さんの店でどんちゃん騒ぎしていた時。

海から離れて鳳翔さんの店を手伝っていた時。

鳳翔さんからこの店を任された時。

「ほんと、楽しかったなぁ。」

「ウガッ!…グハッ!タ…タスケ…」

「え!鳳翔さん!」

「大丈夫ですか!?」

急いで厨房の中に入ると鳳翔さんが倒れれている。

「み…水…を」

上手く聞き取れないが水を求めているようだ。

私は急いでコップに水を注いで鳳翔さんに飲ませた。

「はぁ…はぁ……」

何とか息はできている。

「一体どうしてこんなことに…」

「あれが…」

鳳翔さんが机の方に指を指す。

そこにはカレーが入ったタッパーが置かれていた。

あれは間違いない。

何をとち狂ったのか、余ったからと言って保管しておいた長門さん用カレーだ。

私はなんて馬鹿な真似をしてしまったのだろう…

辛党の鳳翔さんがこんなもの食べてしまうとなれば…

「ウグッ!もう…ダメ………」

「ほ…鳳翔さぁぁぁぁぁぁぁん!!」

…あぁ…本当に私はなんて馬鹿な真似をしてしまったのだろう…

「…あれが例の長門カレーですか。」

「はい…ところで、正座はいつまでしていれば…」

「私がいいと言うまでです!!」

鳳翔さんが起きてから笑顔で説教が始まった。

かれこれ10分は経っただろう。

この間ずっと正座、若干足が痺れてきた。

「どうしてあんなもの作ったんです!?はっきり言ってあれは人が食べれるものではありません!!」

とてもじゃないが言えない。

只々ふざけて作っただけなんて口が裂けても言えない。

「瑞鶴ちゃんの事だからふざけて作ったとかなんでしょう…それはまだいいです…しかし、なんでそれを長門さんにあげたんですか!!」

図星だった。

「長門さんが甘いもの好きと聞いて…」

「良いですか!!長門さんの味覚はですね…正直いうと狂ってます!!」

長門さんも酷い言われようだ。

「その味覚を強制するのも私たちの役目なんです!!」

「長門さんは料理下手の娘達の改善を頑張ってるんです!!しかしそのせいで長門さんの味覚はおかしくなってしまってるんですよ!」

そんな話は聞いていたがそのせいで味覚がおかしくなっているとは…

「最近の長門さんは比叡カレーを主食に磯風ちゃんの秋刀魚…いえ、あれは炭ですね。あれを副菜で食べるようになっているんですよ…」

…それは確かに大変だ。

「そんな人に好みの味のものなんか渡したら引くほど喜んで食べるに決まっているでしょう。」

確かにあの時の顔はいい笑顔をしていた。

「はい…次から気をつけます。」

「次があったら困ります!」

その通りだ。

これ以上この鎮守府に味覚異常者を増やしてはいけない。

「特集!お艦鳳翔すら殺す!長門カレーの実態とは!』

「中々酷いこと書かれてるよ。」

「長門さんも気の毒ね。」

「やらかした…」

またしても青葉にすっぱ抜かれていた。

しかし鳳翔さんをお艦呼ばわりするとは…

同情の余地はないだろうが流石に青葉も可哀想だ。

「ほら〜大人しくしてくださいね〜」

「ワ…ワレアオバ…」

あーあ

鳳翔さんの手には下着姿にされ縄でグルグル巻きにされた青葉が担がれている。

よく見ると顔の方をボコボコに殴られているようだ。

「瑞鶴ちゃんこれ置いてくんで好きに料理しておいて下さい。」

「は…はーい。」

鳳翔さんはそういうと青葉を投げ捨て何事も無かったかのように歩いて行った。

「青葉、顔がすごいことになってるよ。」

「…前が見えねェ」

とりあえず修繕料理出しとくか…

 




お艦はやはり強いですね。
これでうちの鎮守府にも鳳翔さんが来るでしょう。
読んでいただきありがとうございました。
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