バカな執事と優秀な主   作:セイイチ

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さて、今日から新連載が始めたいと思います!

基本、前二作優先なので、亀更新&不定期更新になるかもですが、よろしければお付き合いください。

それでは本編へどうぞ!


プロローグ1

 僕の名前は吉井明久。中学三年生で、後一か月もすれば高校に入学する事が決まっている。

 突然だけど、僕は混乱していた。

 

 「あの~お母上様? どうして僕が外に遊びに行って帰ってきたら、僕の部屋から荷物が全て無くなっているんでしょうか‥‥‥‥?」

 

 受験が終わり(まぁ、受験勉強なんてしてないけど)後一か月は遊びまくれると思って、今日も朝から友達と遊んで、帰ってきたら僕の部屋からベッドを含む全ての荷物が部屋から消えていた。

 こんな状況で混乱するなって言う方が無理な話だろう。

 

 「明久、アンタは来週から母さん達が海外に行くって言った話を忘れる位バカなのかい?」

 

 「それは知ってるよ!! けど、それと僕の荷物とどう関係があるのさ!?」

 

 確かに、母さん達は来週から海外に行くって言ってたけど、それは母さん達が行くという話であって、僕は行かない事になっていたはずだ。

 僕の荷物がなくなるのとは一切関係ないはずだ。

 と、思ってたんだけど

 

 「私達が海外に行くって事は、アンタは日本で一人暮らしって事になるだろう? けど、アンタにそんな事無理だろうから、ヒナちゃん家に”執事”として預かってもらう事にして、荷物はヒナちゃん家に送っといたんだよ」

 

 母さんはお茶を飲みながら、そんな事を淡々と語りだした。

 

 「はい! そこおかしいから!! まず最初は僕の一人暮らしを認めてくれてたのに、なんでヒナの家に行く事になってるの!? それと、百歩譲ってヒナの家に行くとしても、どうして”執事”をやる事になってるのさ!?」

 

 「そんなの、(ズズッ)そっちの方が面白いからに決まってるじゃないか(ズズッ)はぁ」

 

 「僕はそんな話全く聞いてないんだけど!? 後、人が真剣に聞いてる時に暢気にお茶なんて飲むな!」

 

 そんな事を勝手に決めるなんて、何考えてるのさ!? 僕は来年から何の縛りもなく、自由気ままな生活を送ろうと思ってたのに、それが全部パーだよ!

 しかも理由が面白いからってどういう事だよ!

 

 「うるさい子だね。もう決まった事をグチグチと‥‥‥‥後、母さんのお茶の邪魔するなんて、アンタはいつからそんなに偉くなったのかね? ‥‥‥明久、ちょっとコッチにおいで」

 

 「すみませんでした!! お母様の邪魔はしませんから、勘弁して下さい!!」

 

 僕は全力で母さんに土下座して許しを請う。

 当然だ。母さんは、この家で一番力を持ってる人だ。あの姉さんよりも力を持ってる人に逆らうなんて、そんなの命を捨てるようなものだ。 

 

 「まぁ、そう言うわけだから、アンタ今日からヒナちゃん家に行ってきなさい」

 

 「今日から!?」

 

 この母親は何を言い出すんだ!?

 母さん達が海外行くのは来週からだよね!? なんで今日から行く事になってるの!?

 

 「どうせ行くのに変わりはないんだから、今からでも来週からでも一緒でしょ?」

 

 「一緒じゃないよ!! 心の準備とか色々あるでしょ!? というか、今さらだけど、一つ屋根の下に若い男と女が一緒って問題があるでしょ!?」

 

 主に僕の理性の問題とか!

 

 「大丈夫よ。どうせアンタが変な気を起こしても、ヒナちゃんに返り討ちに合うだけでしょ?」

 

 ‥‥‥‥‥‥‥‥ヤバイ。もしそんな気を起こしても、母さんの言う通り僕がボコボコにされる姿しか想像できないや‥‥‥‥

 

 「け、けどさヒナが嫌がると――」

 

 「ヒナちゃんは、これでしっかり勉強させられるって言ってたわよ?」

 

 「そんなバカな!? 僕は高校に行っても勉強なんてする気なかったのに!」

 

 はっ! しまった! つい本音が!

 母さんには勉強もちゃんとするって言って、一人暮らしを認められたのに(まぁ、もう一人暮らしは却下になったけど)こんな事言ったら、余計に母さんからの風当たりが

 

 「‥‥‥‥アンタ、今すぐヒナちゃん家に行ってしごかれてきなさい」

 

 嫌ぁぁぁああ!! やっぱりそうなった!

 

 「ほら、さっさとお行き。どうせ荷物は全部ヒナちゃん家にあるんだから、アンタに選択肢はないだろう?」

 

 「くっそー。自分の息子をなんだと思ってるんだ」

 

 「いいから早く行きな。バカ息子」

 

 どうやら僕はバカ息子だと思われてるみたいだ。

 それにしても、これがもう少しで息子と離れて暮らす事になる母親の態度なんだろうか?

 偶に僕は、この人が本当に僕の母さんなのか疑問に思う。

 

 「ふっ、母さん。母さんは自分の息子の実力を見誤ったね? 僕は荷物なんてなくても、手持ちの携帯ゲーム機さえあれば、生活に困ったりなんかは――」

 

 「言い忘れてたけど、執事として預かってもらっても、給料はいらないって言っておいたから、アンタの小遣いは仕送り制だからね?」

 

 「今すぐヒナの家に行ってきます。お母様」

 

 僕はお母様に敬礼して、急いで家を飛び出す。

 うん。あまり自分の母親を困らせるものじゃないしね。母さんの言う事には素直に従わないとね?

 だから、これは決して、小遣いが届かなかったら困るとか、そういう事じゃないからね?

 

 

    ☆ 

 

 

 「‥‥‥‥勢いでここまで来たのはいいんだけど、母さん、本当にちゃんと説明してるのかな‥‥‥‥?」

 

 僕は母さんに家を追い出されて、他に行く所もなかったから、真っ直ぐヒナの家に向かい、そして今ヒナの家の目の前で、突っ立ていた。

 もしかしたら、その姿は何も知らない人から見たら、ただの不審者のように見えたかもしれないけど、幸いにも僕とヒナは幼馴染という奴で、僕は小さい頃から良くヒナの家に遊びに来ていたから、近所の人達に怪しまれるような事はなかった。

 

 「ちゃんと聞いてるわよ。だからそんな所に突っ立てないで、早く入りなさいよ」

 

 と、僕は後ろから声を掛けられたから、振り返ってみると、そこには

 

 「こんにちわ。明久君」

 

 ピンクのロングヘアーに髪留めが特徴的な美少女であるその人。桂ヒナギクが立っていた。

 

 「ランニングにでも行ってたの?」

 

 ヒナはいつも日課で自分の決めたコースを走ってるから、今回もそれかな? と思って聞いてみると

 

 「うん。今日から明久君が家に来るって聞いてたから、今日は早めに行っとこうと思って、さっき走ってきたの」

 

 どうやら、本当にちゃんと説明をしていたようだ。

 というか、本人である僕がついさっき知ったのに、どうしてヒナの方が僕より先に知ってるの?

 

 「そんな事より、明久君のお母さんから”執事”として、こき使ってもいいって言われてるけど、私は基本的には用事とか言いつけないから、まずは自分の身の周りを片付けたら? 明久君の部屋に今日のお昼に届いた荷物は全部置いてあるから」

 

 ヒナはそう言って、僕の背中を押して僕を家の中へと押し込んでくる。

 

 「あぁ! ちょっと待って! まだ心の準備が!」

 

 「なんの心の準備よ? 家の中には昔から良く入ってるんだから、今さら準備も何もないでしょ?」

 

 そんなの一人暮らしを諦めるための、準備に決まってる。

 もう既に夢の一人暮らしの計画は潰えてしまってるけど、僕がこの家に入るまでは、一応一人暮らしする事になっていたから、この家に入る事で完全に夢が潰えるとも言える。

 だから、家に入る時は、それなりに準備したかったんだけど

 

 「あら、おかえりヒナちゃん、明久君。明久君? 今日から一緒に暮らすからって変に意識したりしないで、昔みたいにヒナちゃん家の”お姉さん”又は”お義母さん(おかあさん)”って呼んでね?」

 

 僕の抵抗は空しく、ヒナに家の敷地を軽くまたがされる。

 そして、出迎えてくれた僕は”お姉さん”と”お義母さん”をやけに強調された。

 これは、おそらく、おばさんって呼んだらダメだと言われてるんだな。

 この人も昔から、あの母さんと友達だったらしいから、怒ると怖いというのは予想ができるし、ここはおとなしく従っておこう。じゃないと、命が危ない気がする。

 

「‥‥‥‥じゃあお義母さんで」

 

 正直、どんなに若く見える人であっても、自分の母親と同い年の人を”お姉さん”はキツイものがある。

 

 「そう? じゃあこれからも、それで宜しくね? 明久君?」

 

 そう言ってお義母さんは片目を閉じて、ウィンクをしてくる。

 この人、ホントに僕の母さんと同い年なの?

 

 「あ、それと明久君。君は一応名目上はヒナちゃんの、専属執事って事になってるから、ヒナちゃんの事も宜しくね?」

 

 その執事するって話も、ちゃんと通ってるのか‥‥‥‥我が母親ながら、なんと抜け目のない。

 

 「まぁ、基本的には私は自分の事は自分でするから、明久君も自由にしてていいわよ? 用がある時は呼ばせてもらうけど」

 

 そう言って笑うヒナは凄い楽しそうだった。

 あー、これはダメだ。

 完全にヒナ楽しんでるや‥‥‥‥

 

 さっきもヒナが自分で言ってたけど、ヒナは基本的にパーフェクト美少女だから、自分で何でもできてしまう。

 頭の良さは、高校受験で”あの”白皇学院の試験を満点で合格する程だし、スポーツだって特に剣道が凄い強いけど、それ以外のスポーツもできる。

 おまけに、家庭的な事もなんでもできる。当然料理だって得意だ。

 ただ一つ、弱点があるとすれば

 

 「用って高い場所に登って降りられなくなった時とか?」

 

 ヒナが高所恐怖所である事だろう。

 

 「なっ!? ち、違うわよ! た、高い所に登るだけ登って、降りられなくなるとか、この私がするわけないじゃない!?」

 

 「え~? 子どもの頃良く――」

 

 ドスッ! ←ヒナが壁を殴った音

 

 タラタラ ←僕が冷や汗を流す音

 

 「忘れなさい? その昔の記憶は今すぐ忘れなさい。いいわね明久君?」

 

 「イ、イエッサー‥‥‥‥」

 

 「そ? なら良いわ」

 

 ‥‥‥‥‥後もう一つ付け足しておこう。

 ヒナは極度の負けず嫌いだと‥‥‥‥‥

 

 「さて♪ 明久君? そろそろ部屋を片付けてきたら? アナタの部屋はまだ、片付いてないのよ?」

 

 「あ! そうだった! 早く片付けないと!」

 

 こうして僕は、この後ヒナに僕の部屋を案内してもらい、荷物の整理をして、新たな生活への第一歩を踏み出した。

 

 

 こうして、明久は文月学園に、ヒナギクは白皇学院に、この時はまだ通う高校は違うが、才色兼備な主人とバカだが優しい執事モドキの少年の新生活が始まった。

 

  

 




はい。というわけで、アンケートの結果により投稿した作品のプロローグでした!

基本的には前二作を優先するため、亀更新&不定期更新になるかもしれませんが、よろしければ次話も見てやってください。

感想、評価もお待ちしています!!
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