マナ(陰キャオリ主)とマナ(ブラック・マジシャン・ガール)の異世界転移デュエル・アカデミア   作:SOD

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そろそろ寿司のファンクションを実行する。





内倉(マナ)自問自答(コンプレックス)

 

 

 「どうよ? 俺っちの握った寿司は」

 

 

 (マナ)とマナの二人は、何故か台車のように引いて移動するタイプの屋台のカウンターに座って、板前風の格好をした少年のニギった寿司を食べている。寿司ネタは鮪。

 

 「あ、はい……美味しいです……」

 

 たった一個の寿司を小さな口で少しずつ食べている(マナ)は、緊張で味など分からずに当たり障りないことを口にした。

 なにせついさっき寿司を食べないと死ぬぜと言われたばかりだ。愛されたい陰キャ少女はひたぶるに命が惜しい。

 

 「(もぐもぐ……)」

 

 (シャリが硬い……握りが強かったからかな。刺し身の隠し包丁も入ってないし。鮪そのものは良いみたいだし、採れたてってこともあって素材そのものは美味しい

 

 うん。差し引きで『普通』だね)

 

 そしてマナの方は、脳内で出された寿司を査定している。評価は中の下と言った所。修業が足りぬ。

 

 「ところで、寿くん……だったよね。

 

 寿司を食べないと死ぬって言うのは、どういう意味だったの?」

 

 「…………(ビクッ!?)」

 

 マナの問いかけにビクリと肩を震わせる(マナ)。聞かねばならぬが効くのが怖いと言った様子だ。冷や汗が止まらない。

 

 「ああ。そいつはまあ……ちょいと訳ありでな。何処からか話したら良いものかなあ。

 

 う〜ん。まあ、取り敢えずだ。俺っちは見ての通り寿司屋なんだが、実はデュエルアカデミアの生徒でもあるんだ」

 

 そう言って、真黒が取り出して来たのはデカい寿司。もとい……。

 

 「「マグロのお寿司のデュエルディスク……!??」」

 

 (…………凄い。どうやって作ったんだろう? もしかしてお金持ちの人なのかな?)

 

 (だ……ダサい…………)

 

 「デュエルディスクを持っているならお嬢さん方も知ってるとは思うが、デュエルモンスターズのデッキは2種類ある。

 メインデッキと融合デッキだ」

 

 「うん。そうだね」

 

 コミュ障の(マナ)に代わってマナが返答する。(マナ)は寿司を咀嚼している体裁で喋らずに小さく首肯するだけ。

 

 「この寿真黒は『天才寿司職人』だけに収まらず『天才決闘者』でもあり『天才発明家』でもあってな」

 

 

 (お寿司だけじゃなく、デュエルも出来て発明家でもあるんだ……いいなぁ、いっぱい出来ることがあって)

 

 (お寿司の味を見る限りでは、天才はただの自称っぽいなぁ)

 

 

 「この寿司型デュエルディスクは自作だし、コイツに刺さっているデッキだって、俺っちがジュニア世界大会に優勝した時にデュエルモンスターズの生みの親のペガサス・J・クロフォードにプレゼンして製作して貰った一品モノなんだぜ!」

 

 

 「「ーー世界大会優勝!??」」

 

 

 「おうよ! 寿司職人だった俺っちの父ちゃんがな。連帯保証人になってた友達が蒸発しちまって、あわや()()()()での()()()()()にご招待されちまうって時にさ。俺っちがハッタリで『世界大会の優勝賞金で借金返すから、それまでは店を担保にするまでで待って欲しい』って言ってよ。

 

 ルールも知らねえしカードも持ってねえから、大人になったら暖簾分けで店出そうと思って貯めてた貯金全部叩いてデッキと旅費に変えてよ。

 

 本当に優勝しちまったんだよコレが! ナハハハハハー!!」

 

 「………………」

 

 真黒の話に、空いた口が塞がらない(マナ)

 片や、才能と行動力に満ち溢れた好青年。

 片や、女子高生である事くらいしか取り柄のない陰キャ少女。

 比べることでもないが、(マナ)は格の違いに絶望した。

 

 (わたし……世界大会どころか、マスターデュエルでも一回も勝ったこと無いのに…………才能の差ってズルい)

 

 「まあ、優勝する間に金貸し屋の奴らは組織ごと潰されちまったから。優勝賞金丸儲けしただけで終わったってーオチとしちゃ〜弱い最後だったけどな」

 

 聞いた話によると、ヘビ柄の革ジャン着た男に、この世の地獄を見せられたとかなんとか……今じゃ皆して口に出すのも憚られる状態で居るらしい。

 

 

 「なんだか壮絶な人生の話だね」

 

 「まあ、他所様と比べるのも烏滸がましい話ではあるけどよ。話のネタには困んねえわな!

 

 んで……本題はここからだ。コイツを見てくんな……」

 

 それまで気さくに話していた真黒が、真剣な顔になって『融合デッキ』から()()()()()を取り出した。

 

 ソレを見たマナは、初めて見たと言う反応を示す。

 

 「黒いモンスターカード……? 初めて見た」

 

 「そうだろうな。コイツは実は……」

 

 

 「………………あ、エクシーズだ」

 

 

 真黒が説明しようとした瞬間、(マナ)がポロッと言葉を溢した。

 

 「な、何だって!? お嬢さん、このカードのこと知ってんのかい?」

 

 「あ……あ、あ……あの……」

 

 驚きの余り身を乗り出した真黒に、(マナ)は今にも泣き崩れそうな表情になった。

 

 「あーごめんね寿くん! (マナ)ちゃん、人見知りが激しくって人とお話するの得意じゃないの。

 

 もう少しだけ、そっと話してあげてくれるかな?」

 

 「おっと、ソイツは失敬。

 

 ーーオッホン……あー。お嬢さんは、どうしてこのカードを知ってるんだい?」

 

 

 「あ……あの、えっと……」

 

 「ああ、目が合うのが怖いってんならお茶でも淹れてやるよ。

 ゆっくり落ち着いたら話してやってくんな……」

 

 真黒は笑顔でそう言うと、寿司屋によくあるような湯呑と茶葉を用意して二人分のお茶を準備し始めた。

 

 「よしよし……(マナ)ちゃん。大丈夫だよ。

 寿くん、怖い人じゃないと思う」

 

 「は、はい……」

 

 

 (マナ)も別に、今までのやり取りで真黒の人柄を疑っているわけではない。

 

 ただ、自分と正反対過ぎるこの少年に何処か苦手意識を感じているのだ。

 

 

 (あ、朝田さんの時は……もう天使とか神様みたいって言うか。完璧過ぎて、凄過ぎて、現実味が無くて。比較とかそういうのじゃなかったから……でも、寿さんは)

 

 目も合わせられない瞳で、お茶を用意していく真黒を見つめる。

 

 (お寿司さんになるって言う『夢』を持ってて、お父さんのピンチに立ち上がって戦う『度胸』があって、知らないカードゲームのルールを1から勉強して、カードも集められるだけのお金を貯金してて『努力』してる。

 

 そして、『勝利』する『才能』もある。

 

 私とは、何もかも正反対。

 

 

 それでも……人が出来るだけの範囲で『頑張ってる人』だ)

 

 「あいよ。お茶お待ち。お茶請けに真黒特製のお新香もサービスだ!」

 

 「……………………(ぺこり)」

 

 

 寿真黒は、内倉(マナ)にとっては天敵も同然だった。

 何もしていなくても、己に対して『お前は何故そうなんだ?』と問い掛けてくるような存在。否、自問自答を引きずり出される存在(コンプレックス)だ。

 

 

 「……………………」

 

 

 「さてと。黙ってても仕方ねえから、取り敢えずさっきの質問に答えるぜ。

 

 寿司を食べないと死ぬぜってやつだ」

 

 「うん。教えて欲しいな」

 

 「ああ。ズバリソイツは……この黒いカード。エクシーズモンスターって言うんだがよ。

 

 そのエクシーズモンスターの中で、『No.(ナンバーズ)』って言う名前のカードがある日突然生まれたのがことの始まりなんだ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




寿(ことぶき)真黒(まぐろ)(15)

自称天才寿司職人にして、天才決闘者にして、天災発明家。


世界大会の予選一週間前の日。
寿司屋をやっていた父親が友人に騙されて連帯保証人としてあらゆる臓器移植を待つ人たちの希望にされそうになっていたのを転機として、決闘者になった。

その後、無事優勝して賞金を手に事務所を訪れると、金貸し屋の人たちは軒並み腕や脚がブラックジャックでも匙を投げると言われたくらい念入りにグシャグシャにされた状態になっていた。


その後、寿司屋としての修業を再開……したかったのだが。ペガサスから受け取った世界でたった一つのデッキの『融合デッキ』が輝き出し、100枚のナンバーズカードを生み出し解き放ってしまった。

その際に偶然近場に落ちたナンバーズカードが発揮した恐るべき力を目の当たりにしてしまった真黒は……。


 『ーー寿司握ってる場合じゃねえ!!』

 
となり、自分の修業を兼ねてナンバーズが集まりやすい場所の一つとしてデュエル・アカデミアに入学した。




 
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