Fate/Genisys 新起動   作:全自動髭剃り

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お待たせしすぎたかもしれません


決着

「――ッ!!」

 

 想定はしていた。

 だが、たった一撃で。

 

「はァ……ッ、……ッ!」

 

 体力が根こそぎ持っていかれる。

 これでも数々の死地を踏破した自信がある士郎だったが、今回ばかりは未経験だ。

 

 幾度も閃く剣戟。

 その軌道を追うことすら難しく。

 

「――ッ!!」

 

 手持ちのナイフで防ぐことすら、ままならず。

 苦々しい表情でセイバーは語る。

 

「衛宮、お前に恨みはないが……」

「なら、多少手加減を……!」

「手加減をすれば発砲する」

 

 だが、釘を刺すようなT1000の言葉。

 マスターを人質に取られたセイバーに、譲歩という選択肢はなかった。

 いかにマスターの同盟者とはいえ、マスター本人の命には代えられない。

 

「くそ――ッ!」

 

 ならば仕方がない。

 本来は人間相手に取る予定ではなかった戦術を切ることにする士郎。

 

 懐に入れた数個の手榴弾からピンを抜く。

 そのまま無造作にセイバーに投げつけるとともに、退避のために退却する。

 だが、

 

 キン――ッ、キン――ッ、キン――ッ!!!

 

 銃弾ですら一刀両断するセイバーが、それらを易々と見逃すはずもなし。

 

(躊躇すらねえのかよ……)

 

 セイバーが超常的な強さの持ち主であることは知っていたものの、流石に手榴弾の誘爆すら気にせずに斬るとは思わなかった士郎。

 手榴弾を知らない無知ゆえか、それとも斬っても問題ないと確信したゆえか。……その手に持つ時代のおかしい騎士剣からして、前者と断定する士郎だったが。

 

(なに? 手榴弾ではなかった?)

 

 過去の経験から、セイバーはすでに現代兵器の知識は十分にあった。

 手榴弾と断定し、自分ならばその爆風を受け止められると判断した結果であった。

 

「……」

「……」

 

 地面に転がるのは、不発の閃光手榴弾。

 小細工を弄して一度仕切り直しを狙う士郎の試みは失敗に終わり、再びの衝突が起きる――。

 

 ・・・・・・

 

 遠坂凛は、負傷した右足の応急措置を終えていた。

 T1000が銃弾を撃ち込んだところだ。人質が簡単に逃げてしまわないようにと。

 適切な処置をしても数ヶ月はかかる銃創。下手に放置すれば死亡に至る。それこそが常識。

 魔術などという前提がない、データとしてある知識。

 

(これで、最低限は……!)

 

 だがその応急措置とは、魔法ではない。

 なんの代償も無しに傷を癒すのは、イエスト・キリストレベルの奇跡だ。

 これはただ、患部付近の血流を押し留め、痛くないと信じこむだけの自己暗示に過ぎない。だが、急場凌ぎならばこれで十分。

 

『聞こえる!?』

『な――ッ!?』

 

 急造の意思疎通手段。つい先ほど、ピストルをもらった代わりに、”験担ぎ”に渡した水晶を経由したものだ。

 うまくできるか確信はなかったが、返答として聞こえる驚きの声を聞く限り、賭けには勝ったようだ。

 

 戦況はセイバーの圧倒的優位。

 手抜きを禁止されているセイバーの猛攻に、士郎は守勢を強いられている。

 懐に隠していただろうピストル類や投擲物、壁にかけられていた銃火器などを活用しているが、さすがに生身の人間と英霊とでは分が悪いのだろう。

 

(それでも、英霊とある程度渡り合えてるって何よ……)

 

 人間にしては出鱈目な身体能力に文句を言いつつも、全力で事態の打開のために頭脳を働かせた。

 

『戦ったままでいいから、聞いて! ここは強酸部屋だって言ってたわよね。それで()()()を溶かす予定でしょ?』

『――ッ!! ああ!! 天井に樽が見えるだろ!』

 

 ピュ――ンッ! と、セイバーによって切り捨てられた鉛弾頭が近くを掠めていく。

 反射的に頭を手で覆った凛は、なおも念話を続ける。

 

『だったらちょうどいいわ。私が隙を作るから、強酸の雨を降らせなさい』

『何!? お前、両脚が撃たれてて……!』

『そんなことを言っている場合じゃないでしょ! 私のことは自分でなんとかするわ』

 

 現時点で残っている切り札の数を数える。

 そのどれもがベストな選択肢とは言えないが、それでも状況が状況なのだ。

 

『でも、その怪我じゃ……』

 

 ことここに至って、それでもこちらの心配をする始末な士郎。

 そのお人好しさや善意は評価すべきことなのだろうが、それに従っていても事態は悪化する一方なのだ。

 

『……っ! 私のことは自分でなんとかするわ、あなたの知らない”魔術”でね! だから』

『見た限り軽く止血しただけだろ!? そんなんじゃ、走って逃げるどころか立つのも難しいぞ! 自分では気づいてないかもしれないけど、出血のせいで顔色が悪い! そんな怪我人を――!』

『――ッだー、もう!! 私が失敗したなら、見捨てなさい! 合図をしたら、強酸を頼むわよ!』

『見捨てるってそんなこと――』

 

 念話を一度無視する。

 同時に、令呪を起動させる。

 

(……ツいてないわね)

 

 聖杯戦争が始まる前に、2画もの令呪を消費したマスターがいたとなれば、それはいい笑い話だ。

 だが、英霊ですら苦戦するような存在を放置するのは、選択肢にはない。

 

『行くわよ! 5、4――』

『なッ!? どうなっても知らねえからな!』

『3、2』

 

(令呪をもって命じる。私を連れて退避しなさい)

 

 ――今よ。

 

 刹那。

 音速を超え。事象自体が歪むかと錯覚するほどの速さで、セイバーは動く。

 ただ逃げる、その一点のみにかけられた令呪の命令は、サーヴァントを限界にまでブーストした。

 

 直前までセイバーと鍔迫り合っていた士郎も、人質をとっていたはずのT1000も動きが止まる。

 何が起きたのか、頭脳とコンピュータは理解できなかった。

 だが、一瞬だけ早かったのは士郎だった。

 

「――ッ!」

 

 壁にかけてあったUZI(サブマシンガン)を取ると、T1000の立つ天井に向けて弾をばら撒く。

 対して士郎に向けて走り出そうとしていたT1000は。

 一歩を歩き出すたびに溶け出す体組織によって、まともに動くことが叶わなかった。

 

「……、ダメージが蓄積してたのか」

 

 素早い動きで迫り来ると予定して構えていた士郎だったが。

 吐き捨てるように言うと、撃ち切った短機関銃ごと投げ捨てると、強酸部屋の入り口へと向かった。

 

 

 ・・・・・・

 

 

「流石に肝が冷えたぞ……」

 

 切り傷だらけの筋肉隆々な少年が少女二人に歩み寄る。

 

「いきなりどこからともなく声が聞こえて……」

「けど、助かったでしょ」

「ああ。おかげでT1000はどうにかできた」

 

 振り返ると、未だに強酸の雨が降り続けている。

 なかなかの長丁場だったが、想定と同じ破壊方法だ。

 

 流石に疲れたので、どさっと床に座り込む。

 少しばかり深く息を吐いた。

 

「……」

 

 決戦自体は一夜のものだったが。

 ここまでの旅路を考えると万感の思いが湧くばかりであった。

 

 そんな黄昏ている雰囲気の士郎だったが、

 

「衛宮。謝罪をさせてほしい」

「うん? えーと、セイバーさん、でいいのか?」

「はい。呼称については自由にしてくれて構いません。先ほどの失態、全ての責任は私にあります」

 

 そう言うと、セイバーは頭をふかぶかとさげてきた。

 先ほどの失態、つまりは自分とセイバーが戦うことになったことについてだろう。

 

「気にしないでいいよ。そっちにもそっちの都合があったんだろうし、セイバーさんも優先しないといけないことがあったんだろう?」

「……それはそうですが、それでもあなたに剣を向けた事実は覆りません」

「なら、俺がセイバーさんに鉛玉を撃ち込んだ事実も変わらないだろ。何が起きたにせよ、凛や俺たちが無事だったんだからそれで十分じゃねえか。反省会や感想戦はまたの機会にしようぜ」

 

 突き放すような口調で吐き捨てる士郎。

 とてつもない数の実戦を重ねてきたような剣筋にしては、いたく常識的で小心者のような謝罪を申し込んでくることに違和感を感じてはいたのだが。

 それについて何か言及するほどの心的余裕も体力的余裕もなかった。

 

 未だ複雑そうな表情のセイバーを見ぬふりして立ち上がる。

 ずっしりと重たいチェストリグと防弾ベストを脱ぎ捨て、自身の服の布を引き裂きながら銃槍を処置していた凛の前まで歩く。

 同じような状況で遠坂邸では半裸の変態扱いされていたものだが、今回は流石に文句が飛んでくることはなかった。

 

「じきに有毒ガスが立ちこもる。ここから出よう」

「……そういうことは早めに言ってよね」

 

 しばらくはここで休む予定だったのか、少しばかり顔を顰める凛。

 だからといって体力が無かろうとも毒ガスの中にいるわけにはいかない。

 負傷した状態で立ちあがろうとしたのだが。

 

「……っ、……!」

 

 脚がいうことを聞かない。

 当たり前だ。両脚を銃弾で撃ち抜かれたら、士郎でも苦労するものだ。

 なので手を伸ばす。

 

「……、ありがとう」

 

 肩を貸してくれるのだろうか。

 その手を取った凛だったが。

 

「え、っうえッ!?」

 

 手を引いた士郎といえば、肩を貸す予定だったわけではなく。

 両腕を引っ張り上げて、無理やり上体を立ち上がらせると、両脚に遠慮なく手を回して担ぎ上げた。

 

 手順自体はお嬢様抱っこと違わない。

 なんなら、もしかしたら空気を読まないこの男ならそんなことをしてくるかもしれないと想定もしていた凛だったわけで、吊り橋効果のいい感じに効いたこの雰囲気にやられて、されてもいいかなーなんて思っていたのだが。

 問題は凛が担ぎ上げられた姿勢は、背中が空を向くもので。懐ではなく背中で担ぎ上げられていた。

 いわゆる、消防士搬送(ファイヤーマンズキャリー)と呼ばれる姿勢だった。

 

「……あんたに何か期待した私が馬鹿だったわ」

「? なんだ?」

「なんでもない。私のこと落とさないでね」

 

 胸部を思いっきり触れているだとか、両足の間に腕を入れていたりとか。

 おおよそ女の子に対する配慮のかけらもない士郎だったが。

 これがこの男の通常営業だと考えることにした凛だった。

 

 

 ・・・・・・

 

 

 夜が明ける。

 

 重なる死闘の疲労により困憊としていた士郎と凛、彼らの隣を無言で護衛を続けていたのはセイバーだった。

 もはや廃墟と化したアインツベルン城、その離れにある医療用テントでの出来事だ。

 

 布から漏れ出る柔らかい光に眩しさを覚え。

 体のあちこちから痛覚が悲鳴をあげる、気分の悪い微睡から目を覚ます。

 

「起きたか?」

 

 動きたがらない肩関節に鞭打って、ゴシゴシと目を擦る。

 ぼやけた視界が徐々に定まっていくと、そこに見えたのはここ1日ですっかり見慣れてしまった少年にしては大きすぎる背中だった。

 

「……ええ」

 

 上体を起こして、鉄パイプで作られたベッドから起きあがろうとしたのだが。

 下半身がうまく動かない。

 それでも動かそうと力を入れると、

 

「い、(いた)ッ……!」

「っと、待て待て。怪我人なんだからあんまり動くな」

「……」

 

 目を見やると、両の大腿には包帯がぐるぐる巻きにされ、ガチガチに固定されていた。

 動かないわけだ。

 

「手当してくれたの?」

「応急措置だけどね。運がいいことに、両方とも骨には届いてなかった」

 

 シャツ一枚の部屋着姿で返答する士郎。

 武装姿ばかりを見てきた凛からして、少し物珍しいものだった。

 

「痛み止めはあるけど、気になるならちゃんとした病院に行ったほうがいい」

「……今は大丈夫よ」

「昨日のあの時もそうだったが、その歳で痛みに相当慣れているのだな」

「ええ。魔術師には、色々あるのよ」

 

 軒並みならぬ事情。

 おそらく目の前の少年には理解されないだろうものだ。

 

「そうか。……そういえば、おじさんから話を聞いた」

「おじさん? ……あー、衛宮くんと一緒にいるあの人ね」

「ああ。お前たちが来てくれなかったら危なかったって。ありがとう」

 

 振り返りながら、凛の目をまっすぐ見ながら感謝を述べる士郎。

 それをぼーっと見ながら、凛は答えた。

 

「気にしないで。私たちも散々な結果だったし。それよりも、あなたのおじさん、ボロボロだったけど大丈夫だったの?」

「ああ、今は倉庫で自己修復中だ。残念ながら包帯で治る素直な体してないからね」

「ふふっ、何それ」

 

 士郎の言うとおり、確かに消毒液香る医療テントに用事はないのだろう。

 そこでふと思いついた疑問を声にあげた。

 

「それで、T1000は倒せたのよね。これからはどうする予定なの?」

 

 これだけ大掛かりな罠を用意して、死闘を繰り広げたのだ。

 聞くところによれば、10年近くこのために備えてきたという。

 それが終わった今、この火薬庫みたいな男が何をしでかす予定なのかを知っておくに越したことはない。

 

 対して、医療用テントの端、通信機が置かれている机の上で何かしら続けている士郎。

 少しばかり考えるそぶりをして、返答した。

 

「……未来のスカイネット、ターミネーターの元締めのコンピューターは、俺の存在をどうしても消したいらしい」

「衛宮くんの存在……?」

「そう。だから備え続けないといけない」

 

 どこか落胆したような声の士郎。

 それもそうだ。これだけの悪戦苦闘でやっと倒せた存在が、また現れるかもしれないのだ。

 

「だけど、少しの間は平和だろう。タイムワープを実行するのは、スカイネットでも難しいって話だ」

「……そう」

「だから、それまでは平和を謳歌させてもらおうと思ってる」

 

 少しだけ息を吐いて、士郎は振り返る。

 

「それに、ここの片付けもしないとな。銃火器類はもちろん、電磁場発生装置とか、戦術核弾頭とか」

「は?」

「強酸の後処理もそうだし、役に立つかもと思って用意した低高度衛星攻撃(Lods from God)との通信装置も」

 

 などと、目の前の男がベラベラと喋り続ける中。

 遠坂凛の脳は処理落ちをしかけていた。

 

「ねぇ、衛宮くん。今なんて……」

「あ、いや、だから片付けを」

「違う。……戦術、なんて言った?」

戦術核弾頭(MIRV6)のことか? 安心してくれ、あれはマジのマジでヤバくならない限り使う予定はなかった。それこそT1000がこの場で全面核戦争を開始させるトリガーを引きかねなかったりしたらって話で」

 

 間違って爆破キーを回してしまえばこの街の150万人の住人が死ぬ。一瞬にしてだ。

 それくらいはわかる。いくら機械音痴でも、核兵器がどんな結末をもたらすのかは常識だ。

 

「いい、衛宮士郎。ここから核兵器(そんなもの)を撤収させなさい。即刻、そして永遠にね!」

「あ、ああ。だけどその前に」

「その前もその後もないわよ! ……いや、これは私が悪いわ。頭のイかれた大男が冬木(ここ)映画(ハリウッド)の真似事をしてて、それが世界のために殺人機械を倒すからってんだから、多少は大目に見てあげたけど、私の想定が甘かったわ。あんたは正真正銘の馬鹿よ! 頭のネジが何本飛べば、日本のど真ん中に核兵器なんてものを持ち込む発想になるのか、理解できないわよ!」

「いや、だからそれは全面核戦争を防ぐために」

「あんたが核爆弾を起爆してどうするのよ!! いいからすぐに片付けなさい。それも適切な方法でね! 私もありとあらゆる方法で手伝うから! というか、そんなものがこの街にあってはおちおち寝てもいられないわよ! 処理が終わるまでは私がずっと監督させてもらうわ!」

「あ、ああ」

 

 否を言わさぬ剣幕で捲し立てる凛。

 それもそうだ。いくら魔術師などという倫理観のかけらもないような集団に属しているからと言っても、核爆弾という単語のインパクトの前では色々なことが瑣事になってしまう。

 

 そして二人は次の日、核弾頭の処理のために共にロシアに向かうことになるが、それはまたの機会に語られることになる。

 

 

 ・・・・・・

 

 

 アインツベルン城のいざこざから数日後。

 朝の喧騒の中、再び二人は出会う。

 

「おはよう、遠坂」

「……、なんで……」

「ん? どうした、難しい顔をして。学校だろ? せっかくだから、一緒に登校しようぜ」

「なんであんたが、穂群原学園の制服を着て……」

 

 頭痛を抑えるようにして凛は立ち尽くしていた。

 

「先日無事に編入試験に受かったんだ。これからは同級生だから、よろしく頼む」

「同級生……」

「C組に配属されたんだが、遠坂のクラスはどこなんだ?」

「私はA組よ。……あんたが別のクラスで安心すべきなのかどうかもわからないわね……」

「なんだよ、残念だなぁ」

 

 などと嘆く士郎に、凛はため息をつきながら歩調を合わせた。

 朝っぱらから会うにはハイカロリーな相手だが、一緒に登校することを断るほどの間柄でもないのだ。

 どうかこの男が問題を引き起こしませんようにと祈るしかない凛だったが、

 

「脚の方は大丈夫なのか? 先日も無理してたみたいだけど。包帯は巻いてないから、遠坂の方法で“治療”したんだろうけど」

 

 心配そうん声をあげる士郎。

 

「仕組みは知らないけど、歩き方からしてまだ痛むんだろ? よかったら手伝おうか?」

 

 純粋な善意から手を差し出す。

 だがここで騙される凛ではない。先日の記憶(担ぎ方)を忘れてはいないのだ。

 早朝から男に担ぎ上げられて登校するのはごめんである。

 

「善意には感謝するけど、断らせてもらうわ。衛宮くんはもう少しでいいから女の子の扱いってのを学んだほうがいいわよ」

「? ああ、すまない。荷物も重たいだろうから手伝おうと思ったんだが……」

「へ? 荷物?」

 

 と、意外すぎる返答が返ってきた。

 

「……私、てっきりまた担ぎ上げられるかと……」

「はは、なんだよ遠坂も変なやつだな。女の子を公共の往来で抱き上げるなんて、常識的に考えてするわけないじゃん」

「ッ!! 常、識……!」

 

 この男が最も欠如しているものがないと宣われた凛の脳は一瞬にして沸騰した。

 

「そこに直りなさい。一発パンチをお見舞いしてあげるわ!」

「えっ、なんでさ! やだよ、遠坂のパンチ、バルベルデで出会った奴隷商のやつ並に痛かったぞ」

「よりによって誰と比べてんのよ!」

 

 叫びながら追いかける凛から逃げる士郎だった。

 

 

 ・・・・・・

 

 

「契約金はざっと、……こんなもの(10万ドル)でいいかい?」

「……ただでも喜んでやる、と言いたいところだが。ありがたくもらうとしよう」

「ふん、君たちのような野蛮な輩の流儀に従うのは癪だが、……足元を掬われるのだけは避けないといけないのでねぇ」

「全くお笑いだ。一度コトが始まれば、あんたをヤツから守ることができるのは、俺だけです。忘れないことだ」

「……そうかい。ならばお手並み拝見としよう」




 ベネット!? 殺されたんじゃ……。

監督役からする匂いは?

  • カレー
  • 麻婆
  • 監督役と匂いは関係ないだろいい加減にしろ
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